深川市議会 平成27年第1回定例会 2015年3月10日
農業の担い手対策
2015年3月10日、深川市議会の一般質問で、小田雅一議員が「農業の担い手対策」について質問し、経済・地域振興部長 藤田正男、農業委員会会長 伊東光男が答弁しました。
- 質問者
- 小田雅一 議員
- 答弁者
- 経済・地域振興部長 藤田正男、農業委員会会長 伊東光男
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 4番 小田雅一
それでは、次に移ります。農業担い手対策について伺います。戦後70年が経過する中において、今までの米政策を顧みれば、戦後の食糧増産の時代を経て、昭和46年度以降、米の生産過剰が問題となりました。米の過剰は一過性的ではなく、構造的なものであるという判断によって、中長期的な視点による生産調整目標数量と一定の実施期間を定めた政策として、稲作転換対策が本格的に進められたところであります。その後においても、昭和53年には水田利用再編対策、昭和62年に水田農業確立対策、平成18年には品目横断的経営安定対策が行われ、品目横断的な農家経営全体に対する直接支払い制度に移行されました。後に民主党政権になり、平成22年より戸別所得補償政策がスタートし、標準販売価格から標準生産額の差額を補填するという、いわゆるゲタ対策が実施されたところであります。この対策によって、農業経営が安定したと言えます。しかし、平成24年12月には政権は自民党に移り、今に至っては、米の直接支払交付金が半額の7,500円になるなど、農業経営に大きな影響が出ていると言えます。また一方で、近年の農業戸数の変化を見てみますと、第6次深川市農業振興計画で言われておりますが、北空知農協が合併した時点の平成12年では戸数で1,328戸でありましたが、21年においては戸数で1,055戸となり、直近の25年年末の農家戸数は、法人を含めても709戸となり、急激な減少を示しています。今後、さらに加速度的に農家戸数が減少し、地域農業を支えている担い手の農業者により多くの負担がかかってくるのは必然と言えます。そして、JAの調査によると、さらに水稲作付農家628戸のうち、後継者がいないとする農家が38%の235戸に上るということであります。毎年10人前後の後継者がUターンし、農業に従事するとしても、10年後には450戸を切ってしまうのではないかという悲観的な考えに陥ってしまいます。もし現実に450戸となったとすると、1戸平均約20ヘクタールとなりますが、全ての農業者が20ヘクタール以上を耕作するとは限りません。低米価で推移している中においては、所得確保に向けて大規模に花・野菜などの高収益作物の栽培を手がける農業者も多くなってきており、全ての農業者が規模拡大に向かうとは考えられず、50ヘクタールを超える経営をしても、地域の農地を守ることは難しく、荒廃地が出ることが予想されますし、もう既に40代の農業者は20ヘクタール近い農地を所有し経営している中で、50ヘクタールつくるとなると家族だけでは到底難しいわけで、外部からの労働者が必要になってくることを考えると、どうしても農業就業者、若い働き手の確保対策が早急に求められます。しかし、一方では、今現在最も経営危機にさらされている農家の大半は、急激に規模拡大した働き盛りの若い世代であり、その土地の購入資金が償還できないほど米価は低迷し、その未償還金が短期負債となり、加えて若い世代ほど生活費がたくさんかかりますから、さらに雪だるま式に借金が膨らんでしまうという図式になってしまいます。これらの状況を見るときに、規模拡大では農家所得が増大せず、生活が向上しないのであれば、雇用を求めながらでも、高収益作物に取り組むか、露地栽培で収益性の高い作物を取り入れるか、または規模拡大し水稲プラス大豆、麦、ソバ等を作付し農業を継続していくか、いずれかであり、今後、農家戸数の減少を抑えながら、農業生産力の向上を図ることが急務であると思います。総体の農業生産額の減額と農家戸数の減少は、このまちにとりましてもとても大きなマイナスであり、深川市の活力の低下につながります。そこで、1点目は、ここ数年の新たな担い手の動向と見通しについてであります。毎年10人前後の後継者が農業に従事しておりますが、その形は新規学卒、またはUターンしてきている青年であります。一方、新規参入者においては、以前の一般質問での答弁でありましたが、アグリサポート事業を通して、畜産農家へ就農したとの報告がありました。今後の見通しはどのような状況か。また、平成25年の道内での水稲農家への新規参入での就農者は5人と仄聞しておりますが、なかなか新規参入者での担い手確保に至っていないのが現状であります。その要因は所管としてどのような認識をされているのか伺います。2点目は、農家戸数の現在の状況と今後の推移についてであります。今、政府は「攻めの農業実現」として、農政改革を進めようとしています。昨年度よりスタートした農地中間管理機構の創設や農協改革、さらには米の直接支払交付金の廃止、そして政府による米の生産調整目標配分の廃止などが挙げられます。昨年は豊作年でありましたが、米の持ち越し在庫の影響により、販売価格が低迷し、加えて青死米の発生によって調整歩どまりが悪く、製品出荷数にも影響が出た年でありました。農家経済に大きな影響を与えたことは言うまでもなく、先の見通せない農業情勢の中では将来に不安を感じ、離農を考える農業者もふえるのではないかと危惧するところであります。そこで、現在の農家戸数の状況と今後の推移の見通しについて伺います。3点目は、規模拡大、または土地生産性の高い作物を導入するなどによって農繁期の作業が集中し、一時的ではありますが、労働力不足が生じている現状であります。また、市内では田植え時期に高齢者事業団の労働派遣によって田植え作業等をしてきている方もおり、今まで来ていた人が高齢になり、派遣も難しくなっているとの声を聞きます。私は以前の一般質問において、地域を越えて効率的に人材を派遣できる組織の立ち上げと運用について検討する時期に来ているとお話をし、前向きな答弁をいただきました。その後の経過についてお伺いいたします。
答弁 経済・地域振興部長 藤田正男(経済・地域振興部長は2015年3月まで)
農業の担い手対策について、私からは1点目と3点目の質問についてお答え申し上げます。初めに、1点目の近年の農業の担い手の動向と見通しについてでありますが、質問にありますアグリサポート事業は担い手の育成・確保のため、新規就農希望者への農業研修を行っておりまして、この事業を通しての就農実績といたしましては、平成24年3月に畜産を主体に経営を行っている法人に1人、26年3月に水稲を主体に経営を行っている法人に1人、計2人が法人の従業員として現在も就農している状況にあります。今後の見通しといたしましては、現在5人の新規就農希望者がアグリサポート事業の各就農研修に取り組み、それぞれの方が自分に合った農業形態を模索し、就農を目指しているところであり、中には法人従業員としての就農のみならず、独立自営就農を目指すという明確な意思を持っている方もおりますことから、今後も引き続きアグリサポート事業を推進し、担い手の育成・確保に努めてまいりたいと考えております。次に、水稲における新規参入者が少ない要因につきましては、農用地・農業用機械・施設などの取得に係る初期投資が少ない農地でも経営できる野菜や花卉などの施設園芸等に比べて過大でありますことから、新規参入者においては自己資金や経済的余裕がないこと、また融資を受けた場合の返済計画が厳しいことなど、さまざまなものがあると認識しておりますが、議員の質問にもありました農政改革による米の直接支払交付金等の減額などによって、水稲農業経営の展望が描きにくいことも要因の一つであると考えております。こうしたことから、市としましては、空知総合開発期成会を通じての国費重点要望におきまして、新規就農者がより利用しやすい融資制度の創設や経営所得安定対策の拡充・強化を要望してきておりますし、今後においても引き続き国・道の施策などに対し機会あるごとに要望してまいる考えであります。次に、3点目の規模拡大等による雇用不足解消に向けた組織の対応についてでありますが、組織の立ち上げにつきましては、継続してJAきたそらちと連携し、労働力不足に対応すべく検討してきておりますが、現在のところ、残念ながら具体的に立ち上げという状況にはなっておらず、現段階での農繁期の労働力不足の対応といたしましては、JAきたそらちにおきまして組合員の要望を聞くなどして、旭川市や滝川市の人材派遣会社を利用した労働力の確保に取り組んでいるところであります。農業を基幹産業とする本市にとりまして、質問にあります地域を越えて効率的に人材を派遣できる組織の立ち上げにつきましては、農業現場における労働力不足を補完する観点から大変重要なことと認識しておりますので、アグリサポート事業の農作業サポート活動を活用していただくとともに、今後とも引き続きJAきたそらちと協議・検討を行いまして、支援体制の構築につきまして積極的に進めてまいりたいと考えております。
答弁 農業委員会会長 伊東光男(農業委員会会長は2017年6月まで)
私からは質問の農業担い手対策についての2番目、農家戸数の状況と今後の見通しについてお答え申し上げます。初めに、農家戸数の状況についてでありますが、当農業委員会の農地台帳をもとに直近3年間の状況を申し上げますと、平成23年度末の農家戸数は個人が736戸で法人が21戸の合計757戸、24年度末は個人が711戸で法人が22戸の合計733戸、そして前年25年度末では個人が685戸で法人が24戸の合計709戸となっております。この3年間では、毎年平均25戸余りの減少となっておりまして、平成26年度も2月末では個人が656戸で法人が27戸の合計683戸となっており、既に26戸の減少となっているところであります。次に、今後の見通しについて申し上げます。質問にありましたように国が平成25年度に決めた新たな米政策の推進に加え、今般の米価下落は、水稲を柱とする農業経営者に大変深刻な影響を与え、議員が心配されているように、我々農業者を取り巻く昨今の農業情勢においては、先の見通しに不安を感じざるを得ないものと私自身も大変憂慮するところでございます。このような情勢のもと、農家戸数の今後の見通しでありますが、質問にありました10年後をめどに後継者の有無に基づき考えますと、先ほど申し上げました平成25年度末の個人農家の戸数685戸のうち、経営主が既に農業者年金受給開始年齢に到達した65歳以上の世帯が200戸ありまして、そのうち後継者のいない世帯が185戸であります。さらに、その手前の55歳から64歳までの世帯のうち後継者のいない世帯が173戸ありまして、そのうちの約4割が65歳で離農すると見込みますと、さらに70戸が加わり、合わせて255戸となり、市内の個人農家の4割近くが後継者不足を主な要因として減少することが避けられないものと考えるところであります。先ほど申し上げました直近3年間の農家戸数のうちの法人に目を向けますと、平成23年度末の21戸から25年度末では24戸、そして本年2月末では27戸と農業経営の法人化が着実に進んでいるところであります。このような動向は全道・全国的にも同様で、国も補助制度を設けて推進しており、現在新たな法人化の検討を進めている地区があり、相談を受けているところでもございます。本市においては、まさに農家戸数の減少や後継者不足、農業経営者の高齢化、労働力不足が深刻な問題となっている中で、地域の農業を維持・発展していくためには効率的・安定的な経営体の育成・確保と農地の利用集積、経営体の体質強化を図っていくことが喫緊の課題であります。こうした課題に対応する一つの手段として、農業経営の法人化が注目されているところであり、特に複数戸による農業経営の法人化は、地域の中核的な担い手として経営の合理化や生産性の向上を図るだけでなく、地域における農地の担い手として、また雇用の創出、新規就農者の育成、さらには集落の維持などにも期待できるものとされております。法人化することにより、経営管理能力の向上を初め、農業用機械、施設の合理化、規模拡大、複合化や新規事業の展開が可能となるほか、個人経営のときよりも有利になるケースがあると言われています。しかし、一方で、個人経営のときよりも経理の事務の厳格化が求められ、意思決定も組織としての決定となるなど、法人化による新たな義務や負担などが生じる場合もあるところです。したがいまして、法人化を検討するに当たっては、目先の有利性だけではなく、法人化にする意義・目的について確かな見通しを持ち、みずからの経営の将来を見据えた上で法人化を考える必要があるとされておりますので、農業委員会としても、これらを踏まえて今後の相談・支援に対応していかなければならないものと考えております。