新得町議会 令和8年第1回定例会 2026年3月12日
本町の観光施策における投資対効果の検証と、持続可能な推進体制の構築について
2026年3月12日、新得町議会の一般質問で、櫻田郷史議員が「本町の観光施策における投資対効果の検証と、持続可能な推進体制の構築について」質問し、町長 湯浅真希が答弁しました。
- 質問者
- 櫻田郷史 議員
- 答弁者
- 町長 湯浅真希
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は町のサイトの一般質問の一覧の表記です。
質問 櫻田郷史
通告に従いまして、本町の観光施策における投資対効果の検証と、持続可能な推進体制の構築について、一般質問させていただきます。1.本町の観光施策における投資対効果の検証と、持続可能な推進体制の構築について令和6年度、新得町観光協会への補助金は約1,948万円でしたが、令和8年度予算案では4,136万円に倍増しています。一方で、令和6年度「まちづくりアンケート」における観光振興施策の満足度はわずか25パーセントという極めて低い数字にとどまっています。私が議員となり、町民や東京ふるさと新得会の皆さまからお聞きした声は、「もっと新得の魅力を発信してほしい」、「どんな施策をやっているのか見えてこない」という切実なものでした。多くの自治体で観光協会の形骸化が問題となる中、公金を投じる行政とそれを受ける組織の在り方を、今こそ見直すべきです。社会課題として地域創生を捉え、地域創生の柱の1つが「観光」であり、「地域が稼ぐ観光」を作っていかなければならないと考えています。本題に入りますが、令和3年3月に行われた議会の議事録において、前浜田町長は観光協会に対し、「地域の『稼ぐ力』を引き出す『観光地経営』の視点に立ったかじ取り役」と、いわゆるDMO的な役割を期待する発言をされています。補足ですが、DMOとは、今までの観光振興に経営力やデータ分析を取り入れたものです。ただ、2018年の新得町観光振興ビジョンでは、「ノウハウがないためDMOは難しい」とされていました。しかし、現在はAIやデジタル技術の急速な発展により、かつては困難だったデータ分析が容易になっています。一説では情報量はネット以前の1,000倍以上に増えており、単に「知ってもらう」だけのピーアール活動では、もはや消費者の記憶にすら残りません。これからは、広告による「認知」に頼るのではなく、生活者の価値観に寄り添った「観光体験プログラム」を観光協会が中心となって町全体で開発していくことが「稼ぐ力」に直結するはずです。このような「稼ぐ観光」を推進する組織形態を作っていかなければならないのですが、現在の「一般社団法人」という形態は、設立のしやすさから全国で最も多く選ばれていますが、行政からの補助金が「単年度主義」である以上、予算を無理やり使い切る傾向が強まりやすく、中長期的な投資が困難になります。さらに、会員事業者の議決によって物事を決定するので、個別の利害調整に時間がかかり、迅速な経営判断ができません。対して「一般財団法人」という形態であれば、中長期的な「基金」の運用が可能になり、会員の意向に左右されず、設定された目標に集中した運営が可能になります。今後の観光のかじ取りができる組織づくりを一般社団法人のままDMOとして事業収益化を目指すのか、あるいは一般財団法人として「補助金」ではなく「基金」による自立的な運営を目指すのか、抜本的な組織改革を検討すべきではないでしょうか。以上を踏まえ、町長に次の3点をお伺いいたします。1.満足度25パーセントという低い住民評価の中、令和8年度予算を4,136万円へと実質倍増させた具体的な根拠、およびこの投資に対する費用対効果をどう見込んでいるのか、お伺いいたします。2.現時点において、DMOのようにデータ分析をどの程度実施しているのか。また、そのKPIを従来の「人数」ではなく、観光消費額や地域利益額といった「稼ぐ力」で評価しているのか、お伺いいたします。最後に、3.一般社団法人の体制では、「稼ぐ力」に変えることは困難ではないでしょうか。「一般財団法人」への移行、あるいは運営の抜本的見直しを行う考えはあるのか、お伺いいたします。以上です。
答弁 町長 湯浅真希
櫻田議員のご質問にお答えいたします。観光振興は関連する事業者も多く、町内経済を支える裾野の広い重要な産業であると認識しております。1点目についてでありますが、令和6年度の決算額と比較すると、2,188万2,000円増額しており、その主な内訳は、冬期間運行しているシャトルバスを町の事業から観光協会事業へ移行したことによる650万円、来年度リニューアルを予定しております観光パンフレットの作成費用を含む広告宣伝費として544万7,000円、職員1名増加等による人件費として694万7,000円、さらに観光協会の事務所が新得駅前地域交流センター「とくとく」に移設されたことに伴う固定費等が145万2,000円となっております。また、費用対効果については、「まちづくりアンケート」における観光振興施策の満足度が25パーセントにとどまっているという住民評価を重く受け止め、満足度の向上に努めてまいります。投資に見合う費用対効果につきましては、観光協会の事業目的として、費用対効果を求めるものだけではないと考えております。ただ一方で、先ほどの中村議員のご質問でも申し上げましたが、補助金は血税であります。「一般社団法人」ではありますが、公金を使用している以上、透明性の高い事業評価をしていく必要があると考えております。次にデータ分析、KPIの現状でありますが、現在の観光協会におけるデータ分析の取り組みについては、宿泊客調査や観光入り込み客数の把握など基礎的なデータ収集にとどまり、観光消費額や地域利益額といった「稼ぐ力」を直接測定するKPIの設定・運用には至っていないのが現状であります。本町の観光協会は、令和3年4月に一般社団法人化し、「地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役」としての役割を担うこととしておりました。議員ご指摘のとおり、観光消費額、滞在時間、リピート率、地域への経済波及効果といった「稼ぐ力」に直結する指標を設定し、PDCAサイクルを回していくことが重要であると考えております。一方で、データ分析に割く時間やノウハウも不足しており、データ分析に基づく施策展開には、限界があることは認識しているところであります。その上で、3点目の組織形態の抜本的見直しについては、まずは観光施策をいま一度確認し、観光協会の役員、会員とも十分に協議し、今後の組織の在り方について、検討を深めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、本町の観光振興が真に地域の経済活性化につながるよう、観光協会会員の皆さまとともに取り組みを進めてまいります。以上です。[湯浅真希町長 降壇]
質問 櫻田郷史
ありがとうございます。ただいま町長から、データ分析のノウハウ不足により、施策展開に限界があるという、極めて正直な現状認識を伺いました。今回、人件費として約700万円が増額され、職員を1名増員するとのことですが、今いる職員の皆さまがノウハウ不足で苦労されている現場に、もう1名加えるだけで、本当に稼ぐ力が生まれるとお考えでしょうか。専門家の意見では、地域の若手人材不足やノウハウ欠如といった課題に対し、外部のプロフェッショナル人材や専門チームを招へいし、数年かけて地元の採用を増やしていくという手法が推奨されています。観光協会が持つ一般社団法人の自主性は尊重すべきだとは思いますが、ほとんどの財源は町の補助金で運営されていますので、その補助金の交付決定権を持つのは町長です。事実上の経営者なので、その根幹となる人材育成やチーム編成にもっと積極的に関わっていくべきだと考えています。官公庁の最新の手引書にも、DMOの活動の質向上を図るために、自治体が適切に評価し、役割を明確にすることと求めており、国も自治体が協力してデータを評価しましょうと言っています。そこで、再質問いたします。この700万円の増額予算を単なる人数の補充ではなく、町が認めた不足している専門性を補完するための外部の専門人材や、専門の運営チームの招へいに活用するお考えはありませんか。もしくは、町が自らプロの人材を雇用し、それを協会に出向させるようなことも可能だと思いますが、どう思いますか。お考えをお聞かせください。以上です。
答弁 町長 湯浅真希
人件費の話であったんですけれども、申し上げたのは令和6年度との比較でありまして、これから1名増員するのではなく、もう既にいらっしゃる状態です。なので、来年度またさらに1人増員するとか、そういった予算ではないというところは押さえていただければというふうに思います。観光協会というところなんですけれども、それと、実質、町のトップが経営者だというようなお話しがありましたが、現在の観光協会の組織体制で経営という観点は恐らくないというふうに思っております。観光協会会員の皆さんから会費をいただいて、そして、町の補助金を出して成り立っているものでありますので、経営という観点から今の観光協会は少しずれているのかなというふうに思っております。DMOというところなんですけれども、DMO、なかなか難しいというふうに申し上げたのは、どこからどんな方が来て、いくら消費していっているのか、そういったデータ、ビッグデータといわれるものを取って、そのデータを分析しながら、では、どこで何を売り出したら売れるのか、そういったところの本当の経営というような感覚を持つ組織であります。ですので、今の現状の観光協会とDMOのようなデータを分析するチームとは、なかなか相反するところがあるのかなというふうに思っております。やはり観光協会、現状でその会員の皆さまから会費をいただいて運営しているというところでは、先ほど議員もおっしゃっていたとおりなんですけれども、平等に予算を配分するその横並びの、どうしても意識というものが働きますので、DMOを今の観光協会の組織運営の中でしていくというのは、現状は難しいのかなというふうに感じております。そのため、現在の法人形態のままでいいのかどうかというところ、事業の収益化を目指すDMOをやるのかというところなんですけれども、実際、組織改編というものが本当に必要なのか、そういったところも含めて、会員の皆さんと共に設立当初の原点に立ち返りながら、本町の観光をけん引する組織として、今あるべき姿というものをいま一度確認していかなければならないなというふうに思っております。また、従来の観光協会というものが、ピーアールやイベント、これを行うというものが主の目的だった部分が大部分です。ただ、DMOは先ほどからも申し上げているように、経営分析が仕事となりますので、観光協会の役割というものも時代とともに変化しますので、今までの主目的だったものだけでいいのかどうか、そしてそれがダメであれば、DMOという観点を観光協会が担うのかどうか、そこもしっかりと協会の中で検討していかなければならないというふうに考えております。以上です。
質問 櫻田郷史
ありがとうございます。いろいろと言いたいことはあるんですけれども、一番最後のほうにあったやはりDMOを今の観光協会に取り入れるのは非常に難しいというお話しだと思うんですけれども、結局は観光協会というのも、地域の会員というか、会員事業者の議決とかでいろいろと会費を集めて運営しているというのは分かっているのですが、それの原資というのは、ほとんど補助金から出ているものです。やはりそういう補助金で運営しているということは、みんなの税金が使われているということなので、やはりそれに1つ1つやっていくものに対して、これが本当に効果があるものなのかどうなのかというのは、必要になってくる概念だと思っています。例えば自分で会社をやっていて、それで好きに年間でPDCAも回さずにやっているというのは自由な話だとは思うんですけれども、結局、外郭団体になりますので、基本的には町の手足みたいな存在だと思うんですよね。だから、皆さまの税金から運営している以上、難しいとか難しくないとか、何かそういう話ではないと思っていて、やるかやらないかの話なので、やればという話なんですよね。難しかったら、専門の人たちを呼んだりとか、何かしら勉強していく必要はあると思っていますので、何か今のまま難しいとかという話ではなくて、ただやればいいのかなとは思います。先ほどの答弁で、助成金は費用対効果を求めるものだけではないというお話しがあったと思うんですけれども、確かに地域への愛着の醸成といった、数値化しにくい側面は否定しないんですけれども。しかし、4,136万円という巨額な税金を投じている以上、町民が納得できる客観的な指標というのは必要だと思っています。つまり、投資収益率や地域の利益額を示すことは、行政としては必要最低限の責務ではないでしょうか。こんなにもたくさんの人に新得を楽しんでもらっているということが、そのデータとかを見て目に見えて分かれば、やはりシビックプライド、町民の意識も向上して、町の活性化につながると考えています。その分析の延長線上に、結局、新得町の観光にはどんなピーアールが必要なのかという話にもなってきますし、観光体験ができるスポットはいくつもあるので、そことどう連携して観光を盛り上げていくのか、そういうことを考えていくことになるかと思います。今の考え方だと、だいぶかい離してしまっているのかなと感じますが、もう3回目なので、最後に、費用対効果を求めるものだけではないとおっしゃっていますので、町長は観光協会のような外郭団体に対して、税金を使って費用に対して効果を求めなくてもいいと思う部分、そういう部分、逆にどこにあるのかということを、考えを聞いて終わりたいと思います。質問の意図としては、自分は税金が使われている以上、費用対効果とかそういうことは必ず考えなければいけないのかなと思っていますので、そうじゃないところがもし、どういうところにあるのかなと思いました。それをお伺いいたします。
答弁 町長 湯浅真希
もちろん櫻田議員おっしゃるとおり、公金を投入している以上は、一番最初の答弁でも申し上げましたけれども、透明性の高い事業評価というものを行っていく必要があるというふうに思っております。議員の皆さんも、その立場というものは同じであると。観光協会の決算書などをしっかりチェックしていただいているのかなと。その上で、事業が適正であるかどうか、予算のほうでも審議していただいているというふうに考えております。私が申し上げたのは、ピーアールであったり、イベントをやったり、お手伝い、そういったところが現在は主の目的になってしまっていますので、そこに費用対効果というものを、企業のような利益という形で求めるのは酷かなというふうに考えております。ただ、やはり櫻田議員おっしゃるとおり、今後、町から事業費に対して数値目標KPI、こういったものを求めていきたいなというふうに思っておりますし、例えば先ほど申し上げましたけれども、冬期間のバスの運行、この乗客数なんかは把握しておりますので、なぜ続けるのかというところは、やはり利用客が増えているからというところなんです。そういったところも、1つ1つ町のほうでは検証していきたいなというふうに思っております。例えばですけれども、イベントに100万円かけたら町内消費はどれくらいあったのか、そういったところまで求めるのであれば、やはり観光協会の中でもっともっと審議していただかなければならない。自主財源というものをどういうふうに持っていくのか、その比率をどう上げるのか、そういった目標値を設定するのは、健全な組織運営の在り方ではないかなと思いますので、そこも町としてはしっかり求めていきたい。また、運営費の部分に関しては、相談件数であったり、会員の皆さんの満足度、こういったものの活動の質をしっかり評価していきたいなというふうに思っております。先ほど櫻田議員がずっとおっしゃっているDMOと観光協会では、なかなか現状の観光協会とは一致しないのかなというふうに思っておりますので、観光協会に丸投げするというところは、今、町の考えとしては持っていないというふうに思っております。ただ一方で、やはり櫻田議員おっしゃるように、DMO、観光地域づくり法人というようなものが実施するようなデータ分析、これは今後恐らく重要になってきて、そういったものを活用しながら、観光経済を回していくというのは理想形であるというふうに思っておりますので、町としてもそういったことができるかできないか、やったらいいんじゃないかというところなんでしょうけれども、しっかりと検討してまいりたいと思っております。以上です。[櫻田郷史議員 降壇]