士別市議会 令和6年第2回定例会 2024年6月19日
農業と環境との調和を実践する新たな制度の創設と食料安全保障の確保に伴う新法の制定に対する捉え方と今後の対応について
2024年6月19日、士別市議会の一般質問で、大西陽議員が「農業と環境との調和を実践する新たな制度の創設と食料安全保障の確保に伴う新法の制定に対する捉え方と今後の対応について」質問し、市長 渡辺英次が答弁しました。
- 質問者
- 大西陽 議員
- 答弁者
- 市長 渡辺英次
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。
質問 12番 大西陽
それでは、通告のとおり一般質問を行います。その前に、昨日の地元紙、道北日報です。ビートの作付面積が今年517ヘクタール確保したと。そして当初いろんな議論の中で、国の政策もあって、大幅に作付面積が減少するのではないかという危惧をしていましたけれども、結果的に市長を先頭に関係部局、それからJA北ひびきを含む関係団体、さらには生産者団体のてん菜振興会の努力によって、当初考えておりました500ヘクタールを何とか確保できたということは非常によかったという印象であります。今後ともこの努力を絶え間なく継続していただいて、何とかビートのまち士別ですから、しっかりビートの作付面積を確保するように、私どももできる努力は精いっぱいやりますので、これからもよろしくお願いをしたいということを最初に申し上げて、質問に入らせていただきます。最初に、農業と環境との調和を実践する新たな制度の創設と食料安全保障に伴う新法の制定に対する捉え方と今後の対応についてであります。通告が長くなって、中継画面に書き切れないという話もあったんですけれども、恐らく調整をして今日の演壇が前に行ったのはその配慮かなと思いますけれども、大変御迷惑をおかけしております。国は、将来に向けた農業政策の方向性を示す、いわゆる農政の憲法とされる改正食料・農業・農村基本法が6月5日に公布、施行されました。今後は、同法に沿った具体的な政策立案の礎となる次期食料・農業・農村基本計画の策定を進めることになります。法改正の新たな基本理念に、農業と環境の調和と食料安全保障の確保を掲げていることから、これに関わる制度の創設と新法の制定が既に示されております。まず、農業と環境との調和に対する新たな制度として、環境負荷低減に取り組む農業者を支援する直接支払制度を2027年に導入するとしております。現行は有機農業や堆肥散布など、地域ぐるみの集団的な取組を支援する、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律を根拠法としている環境保全型農業直接支払交付金を今回見直しを行い、新たな直接支払制度をみどりの食料システム法に移行して、都道府県の環境負荷低減に向けた基本計画に基づき、都道府県の認定を受けた個人の農業者に対する支援に改めるとしており、より環境負荷低減事業活動に対するインセンティブの強化が必要になると思われます。言うまでもなく、現在大きな課題となっているのは、既に国から方針が示されている水田活用の直接支払交付金の見直し、いわゆる国から言わせると、厳格化によって、2022年度から2026年度の5年間に一度も水を張らなかった水田は2027年度から交付金の対象外となるため、該当する農業者は将来に不安を抱えながら、今後の営農継続も含め、悩んでいるのが実態であります。今回示された農業と環境との調和を実践する農業者に対して、新たな直接支払制度が2027年度から導入されることで、現行の水田活用直接支払交付金が見直しにより対象外となった水田に対する交付金を一定程度補うことになれば、状況が大きく変わることになりますので、この制度の内容把握と迅速な情報提供が極めて重要だと考えます。新たな制度の内容を現時点でどの程度把握しているのかも含めて、今後の取組の考え方をまず伺います。次に、気象変動や紛争、世界の人口増加などで、食料供給が不安定となるリスクに備えるために、新たに制定された食料供給困難事態対策法は、国があらかじめ重要だと位置づけた食料及び必要物資を指定して、これらの供給が大きく不足する兆候を確認した段階で、買占めや価格高騰の未然防止のために、事業者などに計画的な出荷調整や輸入拡大を要請するとともに、農業者にも増産を求め、必要な場合は補助金を交付するという内容になっています。さらに、食料供給自体の悪化により、供給量が2割以上の減少があったときや価格高騰に至った場合にも困難事態が宣言され、農業者や事業者に輸出入と生産を含めた食料の確保に向けた国の指示に基づく計画の策定が求められ、正当な理由なく計画の届出をしなければ、罰則として20万円以下の罰金を科す内容となっております。国会での審議過程を見ますと、罰金では厳し過ぎるので刑罰ではない過料にすべきだとの意見もあったようですが、私はそんな問題ではなく、まず前提として、国の政策で国内の食料自給率を向上させた上で、困難事態に対する法整備を行うことが必要だと思います。諸外国でも国内の食料自給を高める政策により、一定の成果を上げた上で食料安保のリスクに対応する法整備に取り組んでいるようであります。参考までに、各国の食料自給率をカロリーベースで比較すると、日本38%に対して、フランスは125%、ドイツは86%、イギリスは65%となっております。ちなみにアメリカは115%程度と聞いております。日本の食料自給率が低いのは、現基本法の下で進められてきたFTAやTPPなどの農畜産物の貿易自由化も一つの要因かもしれません。国は2021年7月に緊急事態食料安全保障指針を策定して、食料危機時の対応策を示していますが、これは法的拘束力がなく、実効性を担保していなかったことから、今回法整備を行ったと思われます。農業者は生産性を高め、収益確保を図るために、土地条件に合った作物の導入を考え、さらに輪作体系を組むなど、日頃からたゆまぬ努力をしており、その意味では、国からの急な要請にすぐに対応できるのかは極めて疑問であります。食料安全保障は国民の生命に関わる重要な問題であり、国民との合意形成を図った上で慎重に進めるべきだったと思います。これらのことを踏まえ、今回新たに法整備された食料供給困難事態対策法に対する本市の捉え方と見解をお伺いして、この質問を終わります。 (降壇)
答弁 市長 渡辺英次
大西議員の御質問にお答えします。初めに、新たな環境直接支払制度の内容把握と迅速な情報提供についてです。この制度については、より先進的な環境負荷低減に取り組む農業者を支援する新たな直接支払制度として令和9年度を目標に導入する検討が進められるとされていますが、具体的な内容については現段階では国から示されていない状況です。環境問題に対する関心が高まる中、農業分野においても、地球温暖化防止や生物多様性の保全など、環境に配慮した持続可能な農業生産の実施が求められてきています。現在、本市では、土づくりの取組として、国が実施する環境保全型農業直接支払交付金事業を活用し、土づくりの推進と化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上の低減に取り組む農業者に対し支援を行っています。このような中、令和4年にみどりの食料システム法が制定されました。このことにより、農林水産省の各種補助事業において、環境に優しい農林漁業のために、必要最低限の取組を要件化したクロスコンプライアンスが9年度から本格実施されることとなりました。これに先立ち、試行期間として6年度から8年度までの間、補助事業の申請時に適正な施肥や防除、エネルギーの節減などの取組の意思を確認する環境負荷低減のチェックシートの提出が求められています。また、現行の環境保全型農業直接支払交付金事業については、7年度より次期対策が始まる予定ですが、有機農業の取決め面積の拡大や環境負荷低減に係る地域ぐるみの活動といった観点から、国において新たな仕組みの導入を検討するとしています。今後においても、国の動向を注視するとともに、情報収集に努め、国に対し迅速な情報の提供や丁寧な説明を行うことを強く要請してまいります。次に、新たな法案、食料供給困難事態対策法に対する捉え方についてです。農林水産省は、食料安全保障の強化のため、農政の方向を示す食料・農業・農村基本法を制定から25年ぶりに改正しました。また、今回の基本法の改正に併せて、食料安全保障に係る不測の事態が発生した際に国民の食料を確保するため、食の危機管理対策の具体的な実効性を担保しておくための法律として食料供給困難事態対策法が成立したところです。この法律は、緊急事態時に対策本部を設置することや、どのような措置を取るかなど、食料の確保に向けた対応が定められることとなります。まず、特定食料の米や小麦などの供給が不足するおそれがある場合、農業者や事業者の自主的な取組による出荷や生産の促進を求めることや、特定食料の供給量が平時より2割以上減少する段階になった場合には、国が事業者に対し、生産、製造の計画を作成するよう指示することとなっております。ただ、こうした指示は、農業者や事業者から円滑に協力が得られるよう、対策の必要性について丁寧な説明を行い、理解を得る必要があると考えています。また、こうした不測の事態への対応が必要となった場合、緊急増産に対応するための農地や農業者など、農業生産の基盤が重要であると考えています。現在、農業者の高齢化や担い手不足が懸念されており、今後においても、食料安全保障の観点から最も重要な要素は農地の維持、確保であり、その農地を生かす農業経営体、人材の確保であると考えています。そのため、価格補償、所得補償などで農業の持続的な発展や農村の振興を図り、自給率を高めていくことが極めて重要と捉えているところです。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)
質問 12番 大西陽
今答弁にありました、この緊急事態の法律は、国民に対する、特に農業者に対する、市長の答弁のとおり、丁寧な説明をして、理解をしてもらったことを前提に進めるべきだと、私もそう思います。いろいろな国内に意見があって、例えば著名なジャーナリストの一人は、この法律は、大昔の穀物流通統制あるいは戦後の配給制度さながらの内容ではないかという酷評もあります。さらに、先ほど市長が言った丁寧な説明をするべきだというのは当然でありまして、今議会の最終日に提案を予定しています意見書の中にも、今まで積み上げてきた農業者の生産努力をないがしろにする、前科を伴う罰則規定は除外し、インセンティブによって政策を図るべきという意見もあります。これは最終日の議会で議決されたときには、政府に対して送ることになるんだと思いますので、今後とも、この点に注視をしながらぜひ取組をしていただきたいということを申し上げて、この質問を終わって、次の質問に入りたいと思います。