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士別市議会 令和2年第4回定例会 2020年12月15日

「農業増産目標」とRCEP(東アジア地域包括的経済連携)・日英貿易協定の影響や農家交付金の混乱などについて

2020年12月15日、士別市議会の一般質問で、山居忠彰議員が質問し、経済部長 井出俊博が答弁しました。

質問者
山居忠彰 議員
答弁者
経済部長 井出俊博

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。

質問 15番 山居忠彰

2番目の質問の大きなテーマは、農業増産目標とRCEP、東アジア地域包括的経済連携、日英貿易協定の影響や農家交付金の混乱などについてであります。まず、道が農業増産目標を打ち出したが、本市の農業・農村活性化計画との整合性や目標をどう具現化するかとの点についてお尋ねいたしたいと存じます。北海道が2030年に農業産出額を18年比8%増の1兆3,600億円に引き上げるとの目標を示しました。第6期農業・農村振興推進計画の素案に盛り込まれたもので、来年3月に決定する予定であります。食料基地としての役割強化を打ち出したもので、前向きな展望を示したことは大いに評価したいと思います。ただ、士別市農業・農村活性化第3次計画、2018年から21年度も国の食料・農業・農村基本計画や道の農業・農村振興推進計画に当然のことながら準拠して策定されてございます。まだ時間的余裕があるとはいえ、急速に進む過疎化、高齢化、担い手不足の中、本市の第4次計画にどう影響してくるのでしょうか。また、国や道との整合性をどのように図って地域目標を具現化していくべきでありましょうか、お聞かせください。また、増産達成には基盤整備や人材確保に向けた明確で具体的な道筋を描くことが欠かせません。しかし、新型コロナ禍で雇用構造や市場動向も変わり始めました。農業関係者の対応だけではハードルが高く、限界がございます。集約化やIT化はもちろんのこと、外国人実習生だけではない地域での人材の流動化を促す工夫が求められることでありましょう。2030年の本市の農家戸数や作付面積、必要な新規就農者数はどの程度必要不可欠なのでしょうか。さらに、より効果的な設備投資、物流の強靱化など増産に向けた課題解決で、農業未来都市士別市を切り開くためには、今何をしなければいけないのでしょうか、お示しください。次に、RCEP15カ国署名や日英貿易協定など農産物の市場開放が急激に進むが、本市農業への打撃は回避されるのかという点についてお伺いいたしたいと存じます。日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合、ASEANなどが進めてきた地域的な包括的経済連携、RCEP交渉がインドを除く15カ国で合意いたしました。インドの離脱で均衡を失うとともに、参加国の中で最大の経済規模を持つ中国の影響力が高まるのは必至の情勢であります。そこで質問です。政府は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の重要5品目は関税維持をするので道内農業への打撃は回避されたと言及しましたが、本当にそうでありましょうか。参加国には農業国が多く、中国からの加工野菜攻勢を初め、今後の需給への影響は楽観できないと思います。交渉は秘密主義で、農業への影響など国内議論は置き去りのままでありました。加えて、日本と英国が署名した経済連携協定、EPAもまたしかりでございます。農産品は日欧EPAの水準を超える市場開放はしないから影響はないと明言したのです。だが、日欧EPAが発行した昨年は欧州からの豚肉やチーズなどの輸入が急増いたしました。前後して環太平洋連携協定、TPPと日米貿易協定も発効し、日本農業はかつてない自由化の波に直面しているのでございます。そこでさらなる質問です。自動車など工業製品の輸出増と引きかえに農業に犠牲を強いる協定のあり方や、秘密主義、生産現場軽視、発効前に示す影響額の過少試算、既存対策の効果の精査未実施、必要な対策の曖昧さ、経過検証の不徹底などについて市の御見解をお示しください。あわせて、RCEPや日英貿易協定の本市に与える影響見込みや試算についても市の見通しをお教えください。また、攻めの農業を旗印にTPPなどの大型連携協定を次々に結んだ安倍政権を踏襲した菅義偉首相は、農産物の輸出拡大を掲げると同時に、さらなる市場開放にも意欲を見せてございます。しかし、多くの生産現場は農家人口の減少と高齢化で疲弊しているのが実態であり、規制緩和で企業の新規参入を進め、高値で農水産物の輸出を拡大するという政府の成長戦略は、くしくも新型コロナ禍による世界的な需要減退とも相まって事実上頓挫しているのが現実の姿と言えます。攻めの農業はまた、農協改革や米の生産調整、減反廃止、生乳の流通改革にも着手しました。政府の規制改革推進会議や未来投資会議などの提言をもとに、自民党農林族議員や農業団体の反対を押し切って進める手法は官邸主導農政と呼ばれました。北海道内では、酪農家の機械など設備投資を支援する畜産クラスター事業を優先し、多くの酪農家が借金を増やしてしまいました。この間、日本の食料自給率は38%前後で低迷したままであります。輸出額も当初掲げた19年に1兆円の目標を達成できず、攻めの農業の成果は乏しいと言わざるを得ません。そこで質問です。1次産業政策は、一辺倒とも言える過度な競争で現場の農家同士が潰し合う構図のままでいいのでしょうか。輸出増より安定的な国内供給が先なのではないでしょうか。見せかけのスローガンではなく、基盤整備や担い手育成など地道な課題に正面から取り組むことこそ必要なのではないでしょうか。これらの点についても市の御見解をお伺いいたしたいと存じます。次に、高収益作物次期作支援交付金をめぐって市内農家の混乱は解消したのかという点についてお尋ねいたしたいと存じます。新型コロナウイルス感染拡大で困窮する農家向けに5月に創設した交付金制度をめぐり、農林水産省の方針が二転三転いたしました。農家からの申請数が予想を大幅に超え、10月中旬になって支給要件を厳格化したところ、批判が殺到したのです。10月末に急遽設けた救済措置にも不公平との声が上がり、早期支援を目指して見切り発車したツケが回った格好になりました。この制度は、高収益作物次期作支援交付金で、コロナの影響で野菜や果樹、花といった作物の売り上げが減少した農家らに対し作物や面積に応じて一定額の交付金を支払う内容でありました。これに対し、交付金が減ったりゼロになった農家が、はしごを外されたと猛反発して大混乱となったのであります。一転して新たな救済策を出したものの、火種は依然くすぶったままであります。決着案が交付金を見込んで農機具など先行投資した農家だけを対象としたからであります。北ひびき農協が管轄する士別、和寒、剣淵の1市2町の農家では計142件で約6億円に上る交付金を申請したと聞いてございます。とりわけ本市の農家における混乱は解消または鎮静化したのでしょうか。また、農林水産省がこのほど発表した2020年の農林業センサスによると、道内で農業を主な仕事とする基幹的農業従事者2月1日現在は5年前の前回調査に比べて17.8%減の7万123人とのことであります。全道的に後継者不足が深刻化し、高齢で農業をやめる人が増えていることが影響しているのだと思います。基幹的農業従事者のうち65歳以上が占める割合は5.0ポイント高い40.6%と高齢化が一層進んだようです。一方で、1経営体当たりの耕地面積は4.1ヘクタール増の30.6ヘクタールと規模拡大の傾向が目立ちました。個人経営は17%減の3万493経営体、法人が13.4%増の4,055経営体となり、法人化が進んだのが目を引きます。そこで、これらの数値を本市だけに当てはめてみるとどうなるのでしょうか。また、大事なポイントですが、地域の中で担い手とされる人への集約を進める農地バンクの活用はどれだけなされているのでしょうか。そしてもう1点、ことしの新米の相対取引価格が6年ぶりに下落してございます。作柄が良好で収穫量が前年を上回っている上に、消費税増税の影響で前年の在庫が積み上がっているところに新型コロナウイルス感染拡大も重なり、需要が急減しているからであります。畑作物の中でも特に小豆の価格下落で農家が悲鳴を上げてございます。生産者は、価格下落が続くと経営に響きかねないとして懸念していますが、国や道の対策の動きが新型コロナに隠れてさっぱり見えてきません。わかっている範囲で結構ですので、今後の見通しや対策の動向をお教えください。以上お尋ね申し上げ、農業に関連するテーマの質問を終わります。 (降壇)

答弁 経済部長 井出俊博(経済部長は2021年3月まで)

ただいまの御質問にお答えします。初めに、第4次農業・農村活性化計画の策定における国・道との整合性や地域目標の具現化についてです。本市の農業は、稲作、畑作、野菜、酪農、畜産とあらゆる分野で営農活動が展開されており、我が国の食料供給基地としての役割を担いながら、良質な農畜産物を安定的に供給し、食料自給率の向上に努めています。市はその役割を果たすため、士別市農業・農村活性化条例において、地域的な土壌や気象などの特性を最大限に生かし、安全で良質な農産物の安定供給を図り、収益性の高い農業を継続的に発展させ、活力あふれる豊かで住みよい農村を市民総意のもと将来に引き継いでいくとしています。第3次計画では、国が定める食料・農業・農村基本計画と北海道農業・農村振興推進計画を踏まえ、本市農業の課題解決に向け、基本目標を足腰の強い農業・農村を目指すものとして、本条例の基本方針に沿って、土づくり、人づくり、収量アップ、農村づくりを4つの柱に捉えて、農業者や関係機関と連携を図りながら事業の推進を図ってきたところです。2022年から始まる第4次計画の策定に当たっては、今月から始まった農業者や関係機関との地区別意見交換会において、人・農地プランや農業研修者の受け入れ、現計画の取り組み状況などについて意見交換を行っているところであり、現在、道が作成中の第6期北海道農業・農村振興推進計画における地域農業・農村の目指す姿と主な取り組みの方向を視野に入れ、地域事情を踏まえた計画策定に努めてまいります。また、増産達成における2030年の本市の農家戸数や作付面積、必要な新規就農者数についてですが、先ほど申し上げました道が作成中の第6期北海道農業・農村振興推進計画の素案をもとに本市に置きかえた場合、作付面積はおおむね横ばいですが、農家戸数は約400戸と推計され、まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる毎年5人程度の新規就農者数を確保できた場合には道の計画と同様の数値目標となる見込みです。このことから、農畜産物の安定生産、経営の効率化、担い手の育成、ICTの活用など時代の変化に即応した持続可能な生産体制の確立に向けて、国・道の補助事業を活用した施設整備や農業機械導入、担い手対策及び本市独自の農業政策を含め、農業未来都市の実現に向けて努めてまいります。次に、RCEPや日英経済連携協定などの本市への影響についてです。本年11月15日に署名されたRCEPは、重要5品目が関税削減、撤廃から全て除外されたほか、農林水産品の関税撤廃についてもほかの経済連携協定より大幅に低い水準となっており、来年1月1日に発効を予定している日英EPAについても、国は欧州連合、EUとの経済連携協定の内容を踏襲することを理由に、いずれの協定が発効された場合も、既存の協定水準を超える影響はないとの政府見解を示しているところです。しかしながら、TPPや日米貿易協定を含む各協定は、長期的には食の安全性や農作物の安定生産、農業所得等さまざまな影響が懸念されることから、今後も輸入動向等を注視していくとともに、機会を捉えて本市農業の持続的な発展を図るための取り組みについて国・道へ求めてまいります。また、安定的な国内供給を進め、基盤整備や担い手の育成に取り組むべきではとの御指摘でございますが、これまでも本市は国と道と連携し、農業基盤整備を進める中で、暗渠排水の更新や除れき、農道補修等、生産基盤の充実を図るとともに、農業者の共同取り組みとして、中山間直接支払交付金や多面的機能支払交付金を活用いただきながら、取り組みを進めてきたところです。今後においても、農業者の方々に御意見を伺いながら、国と道と連携を図り、有効な農地整備の推進に努めてまいります。次に、高収益作物次期作支援交付金についてです。本交付金は、野菜、花卉、果樹等の次期作に対して前向きに取り組む生産者を支援することを目的として、国は第1次補正予算で242億円を措置し、市とJA北ひびきが事務局を担う士別市農業再生協議会が実施主体となり、7月末に49件、1億8,796万8,000円を申請いたしました。しかしながら、農水省は、当初予算を大幅に上回る申請があったため、必ずしも新型コロナウイルス感染症の影響を受けているとは言いがたいとの理由から、10月12日に突如、減収を要件とする運用の見直しを一方的に公表したため、全国的に感染症の拡大による不安が広がる中で、既に次期作に向けて生産性向上などにつながる資材の購入や発注、機械、施設の整備といった前向きな投資を行った農業者にあっては、要件に即して申請したにもかかわらず、さらに経済的な損失のおそれが生じるなど、大きな混乱を招く事態となったものです。そこで、市はJA北ひびきを初め、和寒町、剣淵町の各農業再生協議会と連携し、国に対して当初の要件どおり交付するよう求める要請書を10月21日に提出するとともに、申請者に対して早急に説明を行うよう要請し、北海道農政事務所による説明会を開催いたしました。また、各関係機関とも連携し、多方面から農業者に不利益が生じないよう要請を行ってまいりました。このような中で、国は全国的な批判の高まりを受けて、安定的な農業経営に影響が生じ、取り組みの継続に支障を来すことがないよう、交付予定額が減額または交付されなくなった農業者に対して、機械、施設等の整備や資材等の購入、発注を行っている場合は、当初要件での交付予定額、または既に購入している額のいずれか低い方の額を交付するなどの追加措置を設けたことから、年内の申請に向けて事務を進めているところです。今後、農水省は第3次補正において追加措置分の予算要求を行うことから、その動向を注視していくとともに、今後も感染症対策に伴う補助金、交付金等が示された場合には、迅速な周知と丁寧な説明に努めてまいります。次に、2020年農林業センサスについてですが、令和2年11月27日に公表された概数値に係る本市の前回調査を踏まえた結果については、基幹的農業従事者は16.6%減の982人、65歳以上の占める割合は9.1ポイント高い42.9%と1経営体当たりの耕地面積は6.0ヘクタール増の29.7ヘクタール、個人経営体は18.7%減の461経営体、法人化している経営体は9.5%増の46経営体となっており、基幹的農業従事者の減少や65歳以上の従事者の増加、1経営体当たりの耕地面積の拡大、法人化している経営体が増加するなど、全道の結果と同様に農業従事者の高齢化や農業経営の法人化、大規模化が進んでいるという結果となっております。また、農地バンクの活用については、平成26年に公益財団法人北海道農業公社が農地中間管理機構として指定を受け、離農や規模縮小による農地の出し手から農業経営の規模拡大を志向する担い手に農地集積、集約化を促進する制度であり、本市での活用実績は3件となっており、担い手への農地集積のほとんどがあっせんによるものとなっております。次に、米や小豆等の今後の見通しと対策ですが、国はGoToEatキャンペーン事業を軸に生産者に対する支援を行っており、本市においても臨時交付金を活用し、まるごと士別収穫祭の開催経費を補助するなど、地産地消と消費拡大に努めてまいりましたが、感染症の影響に伴うインバウンドや中食、外食等の落ち込みにより需要の減少は続いているものの、現在のところ新たな対策は示されておりません。また、作物に対する交付金等についても、先ほど申し上げました高収益作物次期作支援交付金以外に措置されていないことから、今後も国の動向を注視してまいります。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)

出典:士別市議会 令和2年第4回定例会 2020年12月15日 議事録 PDF(10ページ) 間違いを知らせる