士別市議会 令和3年第3回定例会 2021年10月27日
米価下落の衝撃と干ばつ被害の畑作や酪農家の不安と諦めについて
2021年10月27日、士別市議会の一般質問で、山居忠彰議員が「米価下落の衝撃と干ばつ被害の畑作や酪農家の不安と諦めについて」質問し、副市長 法邑和浩が答弁しました。
- 質問者
- 山居忠彰 議員
- 答弁者
- 副市長 法邑和浩
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。
質問 16番 山居忠彰
2番目の質問の大きなテーマは、米価下落の衝撃と干ばつ被害の畑作や酪農家の不安と諦めについてであります。まず、本年度産米概算金下落に伴う米農家経済への影響緩和策について、お尋ねいたしたいと存じます。道内の水稲の10アール当たりの予想収量が今年は595キログラムとなり、統計開始以来最多になると発表されました。作況指数は108で、全国で唯一、良となりました。そこで、士別市の実態をお教え願いたいと思います。本市の今年の米農家戸数と主食用米の作付面積や収穫量推計はどれほどになるのでしょうか。また、過去5年間の平均米農家戸数及び平均作付面積と平均収穫量や総販売額はどれほどでありましょうか。過去最大規模の作付転換をして適正生産量をほぼ達成する水準となったにもかかわらず、新型コロナ禍による外食需要の想定を超える激減で在庫が昨年以上に積み上がり、概算金が2割ほど引き下げられました。ななつぼしで2,200円、きらら397で2,500円、ゆめぴりかでさえも1,200円の引下げで、米価暴落が明確になりました。平均的な農家の損失は200万円から400万円、大規模農家では600万円の減収になります。加えて、農機具費に種子や肥料、農薬やビニール、原油価格の急騰など、経費増もあって大幅な収入減となり、生産者の先の不安は尽きません。だがしかし、真の原因は別のところにもあるのです。それは、国内の米市場を圧迫しているミニマム・アクセス米77万トンであり、農家間に不当で過剰な競争を強いた新自由主義のアベノミクス農政の失敗であります。士別市としては、現場を軽んじたこのような状況を実際はどう見ているのでしょうか、御見解をお伺いいたしたいと存じます。米対策が衆議院選の争点に急浮上し、今月15日、農水省は緊急支援策を発表しました。在庫米15万トンの保管費などを補助する事業の強化と無利子融資などが柱です。しかし、抜本的な対策にはほど遠く、不十分と言わざるを得ません。本市としても、米農家経済の影響緩和策を何とか講じることができないものなのでしょうか、御検討をお願いいたします。次に、高温少雨の災害級干ばつ被害で深刻な畑作農家の救済について、お尋ねいたしたいと存じます。この夏記録的な高温少雨となった影響で、全道、特に士別など上川北部で、ビートやタマネギ、カボチャ、バレイショ、スイートコーン、豆類など畑作物で生育不良が起きました。収穫期になっても真夏の猛暑や干ばつが大きな打撃となり、収量不足や品質低下が顕著で、まさに災害レベルと言えるものであります。そこで今、士別市の畑作農家の実態をお教え願いたいと思います。畑作農家戸数と主要な作物の作付面積及び収量予測、または標準収量と総販売額などについてお示しください。異常気象の中、秋まき小麦は平年並みだったものの、大豆や小豆は着莢数が少なく、バレイショは、種イモ不足、小玉傾向、でんぷん量減の三重苦です。てん菜は葉の黄化と枯れや根部が細いなど、行政報告にもあったとおりでございます。ネギ、トマト、キュウリ、キャベツ、ニンジン、レタスなどの主な野菜も長雨と日照不足など天候の影響を受けました。市としては、農協などと連携して、これら被害農家に対し何らかの救済策が取れないものなのでしょうか。一方で、皮肉なことに、コロナ禍からの景気回復に伴う中国などの需要拡大などで、輸入小麦や大豆、食用油など食品の原価が上昇し、食品卸の値上げが広がっています。パスタやマーガリン、菓子、冷凍食品など加工食品もこの秋続々と値上げです。これは、我が国が食料をあまりにも多く輸入に頼っているからであります。このほど、2020年の食料自給率、カロリーベースが発表されましたが、37%と過去最低の水準であります。この何とも不条理な状況を市としてはどのように見ているのでしょうか、御見解をお伺いいたしたいと存じます。次に、改正畜安法施行後初の生乳生産抑制に乳価維持の方策についてお尋ねいたしたいと存じます。新型コロナ禍による需要不振で脱脂粉乳やバターなどの在庫が膨らみ、北海道農協酪農畜産対策本部委員会、いわゆる道酪対は、このほど来年の生乳生産量を抑制する方針を決めました。酪農家の間では不安と諦めの声が広がりました。2018年の改正畜産経営安定法施行後では初の生産調整です。伸び率は2011年度から3%を基本としており、12年ぶりの抑制です。そこで、本市でも、その販売額を急激に伸ばしてきている酪農畜産の現状をお示しください。乳牛、肉牛に馬、豚、鶏なども含めた酪農畜産として、飼養農家戸数や飼養頭数及び飼料作付面積や総販売額などをお教え願いたいと存じます。近年の酪農家は国の増産政策に従って大規模経営に移行しており、多額の借金を抱えていることから大きな波紋を呼ぶ可能性がございます。若い後継者たちの間では、新規投資したばかりでやる気を出していたのに、このままでは破綻すると頭を抱える者もいます。さらに、系統外には上限がかからず不公平だと憤る声もあり、法改正に踏み切った国の責任は大変重いと言わざるを得ません。しかも、この秋は燃料費や飼料価格が急激に高騰しており、せめて乳価を維持するように、市から道や国に働きかけてほしいとの酪農家の悲痛な声に耳を傾けることはできないものなのでしょうか。農業者がこれらの苦境に陥っているのは、コロナ禍ばかりのせいではありません。人災でもあるのです。なぜならば、国の農業政策は、10年間程度を見通した基本方針、食料・農業・農村基本計画と農政改革の基本方針、農林水産業・地域の活力創造プランの2つを大きな柱としていますが、安倍、菅政権下では毎年のように改定を繰り返し、しかも、実行状況を検証する組織がいつの間にかなくなってしまったからです。つまり、政策方針の矢継ぎ早の乱立で整合性が取れなくなったことに加え、その後のずさんな進捗管理で責任の所在も消えてしまったことが大問題であります。このとんでもない矛盾について、市の御見解をお伺いいたし、2番目のテーマの質問を終わります。 (降壇)
答弁 副市長 法邑和浩
ただいまの御質問にお答えします。初めに、米農家経済への影響緩和策についてです。本市の令和3年度における米農家戸数は206戸で、主食用米の作付面積は2,410ヘクタール、収穫量は1万4,000トン程度を見込んでいるところです。過去5年の平均では米農家戸数は249戸となっており、作付面積は2,658ヘクタール、収穫量は1万5,352トン、JA北ひびきの取扱いによる総販売額は37億7,000万円となっています。本年度産米の概算金下落については、山居議員お話のとおり、外食需要の減少や平成7年にGATTウルグアイ・ラウンドでの交渉を経て、年間約77万トンの外国米輸入枠を設けた、いわゆるミニマム・アクセス米の影響も考えられます。国の農業行政は受け止めなければならないものの、本市の農業・農村を守る取組を継続することによって農業者の所得安定を図ることが肝要であると考えています。このような中で、米農家経済の影響緩和策については、国の政策を最大限に活用し、水田農業から新市場開拓米や加工用米等の需要拡大が見込まれる作物を生産する農業へ刷新する水田リノベーション事業の実施などにより、水稲農家の所得安定を図る所存です。次に、干ばつ被害による畑作農家の救済についてです。本年は雪解けも早く、農作業もおおむね順調に推移してきましたが、7月以降は全道的に記録的な高温少雨が続き、士別地域農業振興連絡協議会の作況状況調査においても、豆類やバレイショ等の畑作物を中心に生育の停滞を確認しています。また、JA北ひびきが実施した農業者への聞き取り調査においても農作物全般にわたり平年に比べて収穫量の低下が見込まれるほか、例年以上にかん水作業等を実施したと伺っています。そこで、本市の畑作農家の実態についてですが、令和3年度の畑作農家戸数は362戸で、主要作物の作付面積は、秋小麦が1,613ヘクタール、春小麦が450ヘクタール、大豆が2,288ヘクタール、てん菜が660ヘクタール、生食バレイショが78ヘクタールとなっています。収量予測については例年より2割程度減少する見込みですが、総販売額も含めて確定していない状況です。JA北ひびき等との連携による救済策についてですが、今後の被害の状況によっては、JA北ひびきでは、農業経営相談や緊急支援資金等の支援策を視野に検討されていると伺っています。本市としても、平成28年の降雨、雪害や30年の湿害の際には、JA北ひびきの融資に対する利子補給を行った実績もあることから被害状況の把握に努める中で速やかな支援を行ってまいります。食料自給率については、国の食料・農業・農村基本計画では、令和12年度にカロリーベースで45%とする目標を掲げています。しかしながら、議員お話しのとおり、令和2年の食料自給率は過去最低の37%となっており、国内で生産された農畜産物の需要拡大に向け、国による強化策等を期待するところです。一方、北海道の食料自給率は元年度に216%を示すなど、我が国最大の食料供給基地であり、本市も引き続き自給率向上の一助となるよう良質な農畜産物の安定供給に向けた取組を進めてまいります。次に、生乳生産抑制に対する乳価維持の方策についてです。初めに、本市の乳牛など酪農畜産に関する飼養農家戸数と飼養頭数です。本年2月1日現在、乳用牛41戸4,609頭、肉用牛14戸1万500頭、養豚2戸1万2,781頭、養鶏1戸490羽です。飼料作付面積は、本年度実績として、牧草が3,679ヘクタール、デントコーンが636ヘクタールで、合計4,315ヘクタールです。販売総額については、JA北ひびき取扱高によりますと、令和2年度の全体取扱額189億3,780万円のうち、生乳が28億9,560万円、畜肉等で63億6,580万円、酪農畜産物の合計が92億6,140万円で、全体に対する割合は48.9%となっています。直近の全体の割合は、元年度が50.8%、平成30年度が50.5%となっており、酪農畜産物の占める割合が高い傾向がうかがえます。そこで、コロナ禍による乳製品の需要不足に対して、生乳生産量を抑制することについては、北海道農協酪農畜産対策本部委員会は、コロナ禍の中、乳製品の在庫が膨らんでいることなどを背景に、4年度以降の年間生乳生産量の基本目標を例年より抑制する方向で調整していることが報道されています。また、農業物価統計調査による総合乳価の推移は、平成23年のキログラム単価89.3円以降年々上昇し、令和2年度はキログラム単価105.5円となっています。次に、国における農政改革の基本方針の進捗管理についてですが、御指摘のとおり、農林水産業・地域の活力創造プランは毎年改定となり、農林水産業の輸出力強化戦略や農業生産基盤強化プログラムなど、各分野のプログラムの追加が行われています。これらに対し、関連団体で組織する輸出戦略実行委員会等で検証がなされているようですが、情報の提供が安定していない面も見受けられるところです。本市にも影響がある主食用米の転作作物を対象とした政府方針においては、飼料用米作物を推進する計画や野菜等の高収益作物への転換を掲げる計画もあるなど、整合性が明確ではないものもあり、当該プランの基本骨子にも掲げている農業・農村の所得倍増や美しく伝統ある農山漁村の継承、農業の自立促進に向けた政策の実現等が戦略的に図られるよう期待するところです。最後に、本市農業のさらなる発展のためには、乳価の維持に関連することも含め、国や道への働きかけが重要であると考えます。そこで、本年の北海道市長会の春季中央要請行動により要請を行ってまいりましたが、本市は、稲作、畑作、酪農・畜産とあらゆる分野で営農活動が展開されており、その動向が地域経済等ヘ与える影響は極めて大きいと感じていることから、11月にも秋季の中央要請行動を予定していますので、引き続き多くの自治体と連携する中で、本市農業等の持続的な発展を図るための支援を求めてまいります。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)