みんなの議会

士別市議会 令和2年第2回定例会 2020年6月17日

本市農業特に酪農の危機や種苗法・労働力不足など当面の課題と今後の展望について

2020年6月17日、士別市議会の一般質問で、山居忠彰議員が「本市農業特に酪農の危機や種苗法・労働力不足など当面の課題と今後の展望について」質問し、経済部長 井出俊博が答弁しました。

質問者
山居忠彰 議員
答弁者
経済部長 井出俊博

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。

質問 15番 山居忠彰

続いての質問の大きなテーマは、基幹産業でもある本市農業、特に酪農の危機や種苗法、労働力不足など当面の課題と今後の展望についてであります。まずは、酪農の危機だが難局克服はできるかという点です。新型コロナウイルス感染防止のために学校給食や外食産業が長期間休業した影響などで、食材となる農畜産物を供給する生産者の一部が、低迷する価格や膨らむ在庫で想定外の困窮をしているということです。全国的にも全道的にも、生鮮野菜や高級食肉、花卉など広範に影響を受けているものの、特に酪農家が生産する生乳が行き場を失うおそれが強まっていることを見逃すわけにはいきません。生乳廃棄という最悪の事態だけは何としても避けなければなりません。ついては、現時点における市内の酪農家戸数と生乳生産量及び生産販売額や流通状況などについてお教えください。問題は、4月以降の外出自粛と休業要請で飲食店、ホテル、土産用の菓子製造などで使われるバターや生クリームなど業務用の需要が消滅してしまったことであります。もちろん緊急事態解除で早い回復を願うところでありますが、業界と行政が協力し、需給調整と消費拡大の不断の努力が不可欠だと思われますが、市とJAなどの間で平素から迅速な対応が可能な連携の形はできているのでしょうか。一方で、脱脂粉乳の在庫が過去最高水準になっており、発酵乳や乳飲料の消費喚起も必要となっています。市内の酪農業は地域の重要な産業であり、観光にも一役買っていることは周知のとおりでございます。そもそも国が進める過剰なほどの輸入増が問題ではあるのですが、当面は官民挙げて消費を増やす意識を持つことで難局を克服すべきと考えますが、御所見をお伺いいたしたいと存じます。次に、種苗法改正案が見送られたが、懸念が払拭されていないのではという点です。ブドウのシャインマスカットやイチゴのあまおうが韓国産、中国産として輸出されています。日本で開発され、品種改良された穀物、野菜、果物の種苗の不正な持ち出しを禁じる種苗法改正案の国会審議が見送られ、秋の臨時会へと先送りになりました。法改正によってすぐれた国産ブランドの保護を図る旨は十分に理解できるし、大賛成です。しかし、一方で長年認められてきた農家による種取りや株分けといった自家増殖の権利を規制するというものであり、極端な賛否両論が激しく火花を散らしています。農業関係者からは自由な栽培や売買が難しくなるという懸念が噴出し、慎重論が出ているのです。もしも懸念が払拭されないまま強行採決されるようなら大きな問題です。現場の生産意欲を奪うことのないよう、制度運用のあり方についてもっと丁寧な議論を尽くすべきだと思いますが、どのように考えるのでしょうか。不正に歯止めをかけるための制度改正は必要な処置であります。しかし、農家が業者などに種苗の許諾料を支払う必要が生じ、農家の負担を増やし、農業経営を圧迫すると思われる疑念が残るのです。農業従事者が減少し、食料自給率が低迷する現状にあって、EUでは免除となる小規模零細農家の負担を、日本でもこれ以上増やさない仕組みづくりこそが何よりも求められているのではないでしょうか。安倍政権は2年前、主要農作物種子法を廃止し、公的機関の知見を海外資本を含む民間に引渡すよう促してきました。一連の官邸主導農政の流れを見れば、海外の巨大種苗企業が日本で品種改良し、高額な許諾料を設定する事態が頻発しかねません。やみくもに民間開放を進める発想を転換し、品種開発で成果を上げてきた都道府県を改めて後押しする制度こそ必要と思いますが、御見解をお伺いいたします。次に、外国人技能実習生が来日できず、人手不足が深刻なのではという点です。新型コロナウイルスにより、繁忙期を迎えた酪農家や畑作農家が人手不足にあえいでいます。海外からの技能実習生が来日できなくなったからであります。また、逆に実習を終えたのにもかかわらず帰国できなくなった人もいるのです。本市において、これら類似の問題が発生していませんか。実態を教えてください。また、大規模農家ほど外国人材という頼みの綱を失い、窮地に陥っていると聞きます。実習生だけではありません。農業従事者の中にも自分の子供の長期休校などで農作業から離脱せざるを得ないケースもあり、人手不足に追い打ちをかけているのです。道内の各地でJAや役場の職員に加え、コロナで休業中の観光、宿泊、航空会社のキャビンアテンダントやアルバイト先を失った学生などが応援に出て話題になりましたが、本市でも似たようなケースが見られたのでしょうか。加えて、農業人口はこの10年で4割も減ってしまいました。高齢化も急速に進んでいます。皮肉にもコロナ禍によって農家の人材確保のヒントが見つかったのは一筋の光明でした。とはいえ、その場しのぎでは真の解決策になりません。国や道が農業の人材育成を担う農業系の学校・企業への財政支援を戦略的に強化するなど、長期的ビジョンに立った育成システムを構築すべきではないでしょうか。本市の政策も含め、御所見をお伺いいたしたいと存じます。このテーマの最後に、スマート農業はどこまで進んだかという点にも触れたいと思います。全国の耕地面積の4分の1を占める食料基地北海道でありますが、近年人手不足と高齢化で生産基盤は急速に弱体化してございます。そこで、情報通信技術ICTを農業に活用するスマート農業は、今や農家減少のもとでも食料生産を維持・拡大でき得る切り札となりました。鳴り物入りで始まった本市の取り組みでありますが、どこをゴールとして一体全体どこまで進んだのでありましょうか。スマート農業のすごさは高精度測位技術による自動化・ロボット化はもとより、高速大容量の新通信技術5Gを活用して、熟練の農家が持つ経験や観察力、匠の技を人工知能、AIに置き換える技術であります。ロボット化で労働力を確保するだけでなく、膨大なデータ解析で収益力も向上させるのです。先進的なメーカーや大学等の指導機関との連携も重要になります。そこで、市の内外から大きな期待を寄せられている本市スマート農業の将来像をどのように位置づけ、描いていくのでしょうか。中長期的な本市農業を展望すれば、昭和感覚を持つベテランのリタイアと新しい平成感覚を持つ若手の参入で世代交代が一気に進むでしょう。また、さらなる大規模化が進行する中、法人経営にシフトすると同時に、多品目生産に切り替える流れがあります。作業はロボットに任せて、農家はすぐれた販売戦略を練ることが成長の大きな鍵になる可能性があります。本市農業の戦略的イノベーションで新たなる最先端農業未来都市創造を完成させるために、行政としての市は何ができるのでしょうか、また、何をしなければならないのでしょうか、明快な御答弁を御期待申し上げ、このテーマの質問を終えたいと存じます。 (降壇)

答弁 経済部長 井出俊博(経済部長は2021年3月まで)

ただいまの御質問にお答えします。初めに、本市酪農家の現状についてです。本年4月1日現在の酪農家戸数は35戸であり、前年度同月と比較すると2戸の減少となっています。次に、生乳の生産につきましては、令和元年度の生産量は2,418万3,000トンで販売額は23億1,200万円となっており、本年1月から4月までの出荷量は前年比613トンの減少となっています。議員お話しのとおり、全国的な休業による学校給食向けの牛乳のキャンセルや休業要請等による外食産業の需要減少により、生乳から乳製品などの加工品用へと切り替えられているものの、在庫にも限度があり、決して生乳破棄とならないよう、JAと連携し、対応していかなければなりません。そこで、これまでの市とJAの連携、対応についてですが、まずは生産者に新型コロナウイルス感染症の感染者が発生しても、日々の搾乳作業を継続できる体制の構築が重要であると考え、3月16日にJAと本市、和寒町、剣淵町の担当者で名寄保健所と協議を行いました。その内容は、感染者及び濃厚接触者と判断された従業員は14日間出勤が停止されるとのことから、感染者以外の従業員やヘルパーなどが濃厚接触者とならないよう注意し、感染者が出た施設は即座に保健所の指示、立会いのもと、アルコールなどで消毒し、作業を継続する環境を整えることが重要であることを確認し、これらの内容を畜産農家及び関係者に周知してきたところです。次に、生乳加工品等の消費拡大の取り組みについてです。JAでは、学校給食等による牛乳の消費量減少に伴う消費喚起対策として、北ひびき管内の小・中・高校の児童・生徒を対象に牛乳贈答券200円相当を1人当たり2枚を1,605名に配付されました。また、市職員では、牛乳消費拡大の取り組みとして、5月11日から職場ごとに購入しており、6月15日現在、1リットルパック約600本を購入しております。さらに、上川地区農協酪農畜産対策委員会による上川地区ヨーグルト消費拡大運動にJA職員、組合員及び市職員が参加し、1,000円のヨーグルト製品を全体で2,878個、JA管内で698個を購入しております。また、追加の支援対策として、緊急事態宣言後、大幅に需要が減少している業務用バターの消費拡大についても、市ではJAと連携して取り組みを進めているところです。今後におきましては、6月くらいまでが生乳生産のピークとなることからも、引き続きJAと連携し、経済団体等とも協議しながら、さらなる消費拡大を図り、本地域にとって重要な酪農・畜産業を支援していく考えです。次に、種苗法改正案についてです。日本で開発された優良品種が海外に流出し、他国で増産され、第三国に輸出されるなど、日本の農林水産業の発展に支障が生じている事態を踏まえ、国は植物の新品種の育成者権の適切な保護及び活用を図るため、輸出先国、または栽培地域を指定して登録された品種について、育成者権の効力に関する特例の創設や育成者権の効力が及ぶ範囲の例外を定める自家増殖に係る規定の廃止などを盛り込んだ種苗法の一部を改正する法律案を今通常国会に提出しています。この改正により、農業者が登録品種の収穫物の一部を次期収穫物の生産のために稚苗として用いる自家増殖について、育成者権の許諾が必要となることから、許諾の手続や費用、新たな種子の購入等の負担が増え、営農に支障が出てくるのではとの懸念が広がっています。農作物の新品種の育成には多くの年月が費やされるとともに、専門的な知識や技術のほか、広大な隔離圃場などの施設、労働力と経験及び資金が必要であり、また品種として生産者に供給された後には、簡単に増殖することができるという特性があることから、種苗の育成者が育種に要した投資を回収し、さらに新たな品種開発に取り組めるよう育成者の権利を保護する必要もありますが、農家の自家増殖については、育成者権が及ばないものとして認められてきた経過もあることから、丁寧な説明と多大な負担とならないような仕組みづくりが必要と考えております。主要農作物種子法は主要農作物である稲、麦、大豆の優良な種子の生産及び普及を促進するため、優良な品種の決定、原原種及び原種の生産などを都道府県に義務づける法律でしたが、平成30年に都道府県が持つ品種開発のノウハウや施設などを民間事業者に対し提供することで、官民の総合力を発揮して種子の研究、開発を活性化させるとして廃止されたところです。北海道では、種子法の廃止を受け、昨年基幹作物及び主要畑作物の優良の種子の生産、普及を促進するため、北海道主要農作物等の種子の生産に関する条例等を制定し、原原種や原種の生産、優良品種の認定など、今までの体制を維持しておりますが、北海道のような栽培条件の厳しい積雪寒冷地域対応の種子開発、研究には人材や時間、資金等が必要であることから、今後も農業者が安定的に高品質な農産物の生産が継続できるよう、優良で品質の高い種子の安定供給に向けた政策の推進について、関係団体と連携し、国に要望してまいります。次に、外国人技能実習生の来日についてです。本市に来日している技能実習生は、現在、耕種農家で5名、酪農畜産で19名が研修を行っています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で本国へ帰国できない実習生は今のところいませんが、その場合6カ月間の在留資格延長が可能であり、その間の就農内容については、管理団体と実習生で協議することとなっています。現在、感染症の影響で来日できていない実習生は5名となっていますが、このことにより、人材確保が難航している農業者についてはいないことから、大学生やJA職員等による農家支援は実施されておりませんが、今後も感染症の長期化が予想されることから、このことによる人材不足等について、農業者や関係機関からの情報収集に努めてまいります。次に、農業人材育成・確保の取り組みについてです。国の助成事業としては、次世代投資事業による準備型の支援や独立就農する経営開始型の支援等さまざまな事業が実施されています。また、農業関係の研修、教育機関として全国42都道府県に農業大学校や各都道府県に新規就農相談センターを設置し、就農に関する情報提供や就農希望者からの個別の就農相談に対し、農業人材の育成・確保が図られているところです。士別市においては、農業・農村担い手支援事業により支援を実施しており、士別市担い手支援協議会が中心となって農業人材の育成確保の取り組みを行っています。具体的な内容としては、地域農業者や関係機関と連携を図り、各種制度の周知や道内大学などへのPR活動、国の制度である地域おこし協力隊制度等を活用し、地域農業を支える担い手の育成・確保を図っております。今後も、士別市農業の魅力の発信・PRを移住ナビデスクへの情報提供や市ホームページなどで広く周知することで、新規就農者の確保、人材育成に努めてまいります。次に、本市のスマート農業の取り組みについてです。農作業の省略化が見込まれる無人ヘリ農薬散布費用の一部補助を平成22年から実施しており、農作業の高精度化やコスト低減が可能なGPSガイダンス基地局を26年に上士別地区、27年に多寄地区、30年に本所地区に設置し、現在利用農家戸数は103個、一部の農業者はこれに連動した自動操舵システムを利用しています。また、作物の品質向上や収穫機械の効率化が可能な衛星写真解析によるリモートセンシング技術を活用して、小麦の適期刈取判定を一部地域で実施しているほか、直近では上士別地区においてスマートフォンで遠隔操作が可能な水管理システムが導入され、現在は55台、令和8年度までに280台の導入を計画しているところであり、畜産農家では搾乳ロボットや自動給餌器等が導入され、労働力の省力等が図られているところです。スマート農業の将来像については、現在、国や農機具メーカー等での技術開発が推進されています。今後は人工知能・AIなどの新たな技術の導入により、農作業の超省力化や熟練農業者のノウハウが新規就農者へスムーズに継承されるなどのシステムや営農に必要な農業データの連携基盤が整備されることで地域の営農に必要なさまざまなデータを農業者間で共有し、比較しながら作物の品質向上や均一化、コスト削減が可能となるなどのさまざまな技術革新が予想されます。高齢化による農業者の減少により、さらなる担い手や労働力不足が懸念される中で、今後のスマート農業の推進に向け、さまざまな先端技術の中から地域で必要となる技術を見極め、農業者や関係機関と連携しながら調査・研究し、安定的かつ持続的な農業の構築に努めてまいります。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)

出典:士別市議会 令和2年第2回定例会 2020年6月17日 議事録 PDF(11ページ) 間違いを知らせる