小樽市議会 平成26年第3回定例会 2014年9月9日
地域防災について
2014年9月9日、小樽市議会の一般質問で、佐々木秩議員が「地域防災について」質問し、市長 中松義治が答弁しました。
- 質問者
- 佐々木秩 議員
- 答弁者
- 市長 中松義治
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 17番 佐々木秩
地域防災について伺います。まず、本市の土砂災害防止対策についてお聞きします。8月後半、広島県広島市、北海道礼文町で相次ぎ局地的な豪雨により土砂崩れが発生し、多数の住宅がのみ込まれるなどして、多くの人命が奪われました。日本中でいまだかつてない規模の豪雨の被害が続いており、今後も局地的集中豪雨は本道も含めて増加傾向にあるそうです。一方で、新たな宅地開発が進み、土砂災害の発生するおそれのある箇所も年々増加し続けています。自然災害が少ないと言われている本市でも、いつ起きても不思議ではないと考えるべきです。そこで、現在見直し中の市地域防災計画に今回の災害の反省を反映させ、市民の安全をより確実に守れるよう、幾つか質問をいたします。本市には土砂災害の危険のある区域がほかの自治体に比べても多数存在していますが、いまだに、国が示す土砂災害危険箇所であるにもかかわらず、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に未指定になっている地点があるとのことです。未指定の理由等は報道されていますが、私がお聞きしたいのは、その地域周辺の住民は、たとえ指定されていなくても、実際には自分たちの地域が警戒区域、特別警戒区域相当の危険な場所だとわかっているのでしょうか。市の対応をお聞きします。市は警戒区域について避難経路などを記したハザードマップを作成していますが、この周知方法はどうなっていますか。また、その地域の皆さんの避難準備などの防災意識等について調査はありますか。今回の広島市の災害でも、過去に同様の被害がありながら、危険だと思っていなかった、自分のところは大丈夫と思い込んでいたようです。あまり災害の発生していない本市の場合、いったん発生すると、住民も当局側も大きな混乱が予想されます。そうならないための準備を入念に進めておくべきと考えます。続いて、実際に災害の発生のおそれがある場合についてお聞きします。本市における避難勧告や指示を出すまでの判断手順を示してください。また、その発令基準はどうなっていますか。また、その判断の材料となるデータや情報は何でしょうか。今回の広島市でも情報データは示されていたはずですが、勧告を出すのが遅れています。その理由はさまざまあるようですが、同じ轍を踏まないための本市の対応をお聞かせください。今回のように未明の睡眠時に災害に襲われると、被害が甚大になります。本市計画では、こういう事態に対応しているでしょうか。他県でも始められている予防的避難の考え方も参考になると思います。夜間に大雨が心配される場合、自治体が夕方から避難所を設け、自主避難を呼びかける方法ですが、たとえ空振りに終わっても、住民の危機意識を高める効果があるそうです。今回の他地域の大災害から、国や道もこれまでの防災対策にさまざまな変更を考えているようですが、市の防災体制や見直し中の地域防災計画への反映や見直しはこれ以外で考えておられますか。あればお示しください。次に、津波避難計画についてお聞きします。先月末に日本海側における大規模地震に関する調査検討会が公表した津波の高さの推計で、本市に押し寄せる津波は平地最大津波高が3.9メートル、全海岸線最大津波高は6.1メートル、高さ30センチの津波の到達時間が最短で24分と発表されました。これは2010年の最大津波高予測値3.5メートル程度を大きく上回る数値です。以前より、最新の予測値が出た段階で浸水予測図の更新等を行うとのことでしたが、市内の浸水区域の変更やそれによる被害予測、各町会の避難対応の変更や訓練内容等、その他多くの影響が出てくると思いますが、予測値の変更による津波避難計画への影響や今後の対応についてお答えください。次に津波等、大規模災害時の観光客への防災対応についてお聞きします。市民をさまざまな災害から守るための防災計画はもちろん大切ですが、本市を訪れるたくさんの観光客を対象とした防災対応はどうなっているのでしょうか。改めて見てみますと、運河、堺町はいずれも標高5メートル以下で、小樽市を訪れる観光客の大半が津波浸水区域にいることがわかります。観光客は災害弱者であるという認識が必要です。地の利が全くない、知り合いもいません。特に外国人観光客は言葉も不自由です。昨年度、本市の観光入込客数は710万7,700人、このうち一番少ない4月でも1日平均1万3,000人、多い8月では1日3万人もの観光客が訪れています。災害発生時、少なくてもこの何割かの対応が必要になります。そこでお聞きします。災害発生時の観光客の避難計画、特に津波発生の際のものはありますか。発生時、観光客の皆さんは、実際にどういう動きになると予想されていますか。また、現時点での対応、例えば事前の周知方法、避難誘導方法、発生情報や避難先情報、その後の帰るための交通手段など情報発信方法、伝達手段はどうなっているでしょうか。今後に向けて、早急に小樽市地域防災計画に観光客の防災対応をのせていくべきです。道外観光地では、全国に先駆けて観光客の対応を明文化することで不安を軽減するとともに、イメージアップ効果を期待しているところもあります。本市もぜひ取り組むべきと考えますが、いかがですか。この項最後に、原子力防災計画について伺います。青森県大間町で建設中の大間原発をめぐり、函館市は、国と電源開発株式会社に対し、設置許可の無効確認や建設差止めを求める訴訟を起こしました。東日本大震災の前から同様の裁判は全国にありますが、自治体が原告になるのは初めてです。国はこれに対して、地方自治体の存立を維持する権利を憲法が保障したものではない、また、自治体は住民ではないから訴える資格がないと主張し、中身の論争に入らずに訴えを却下するように求めました。本州最北端に当たる大間原発から函館市域までの距離は最短で23キロメートル、しかも間は津軽海峡で遮るものがないので、事故が起きた際の風向きによっては、27万5,000人の市民を抱える函館市は、自治体が崩壊するほどの壊滅的被害が現実のものとなります。工藤壽樹函館市長は、「私は、函館のまちを守り、そして市民の安全安心を守るため、万やむを得ず訴訟を提起いたしました」と、意見陳述の中で述べています。市民の安全や自治体の存続に主体的に決断し、動き始めている函館市の姿勢について、中松小樽市長はどのような見解をお持ちですか、お聞かせください。私たちは、原発事故が起きると自治体が機能しなくなる、つまり自治体の命が失われてしまう事態を目の当たりにしました。地方自治体の存立を維持する権利を今や実体ある権利として扱うべきだと思いますが、地方自治体の存立を維持する権利、地方自治権や市の所有権、財産権について、本市の基本的お考えをお示しください。工藤函館市長の主張を見れば、根底に地方は国が決めたことに無条件に従わなければならないのかとの問題提起があるのだと感じます。国は、原発から半径30キロメートル圏内の自治体に原発の建設再稼働の同意権を認めず、一方では避難計画の策定を課しています。自治体の権利を否定しておいて、義務ばかりを求める国の理不尽さ。今回の場合、原発を具体的な論点としていますが、市長はこの論点で国と地方の関係性についてどのように受け止められますか、見解をお聞かせください。原子力規制委員会は、九州電力川内原発について、新規制基準に適合するとして、事実上、再稼働審査合格としました。しかし、審査にかかわって田中俊一委員長は、規制基準による適合性審査を絶対安全を保証するものではない、再稼働の判断にはかかわりませんと発言。一方、安倍首相は、世界で最も厳しい安全基準にのっとって規制委が審査し、安全と結論が出れば再稼働を進めていきたいとして、みずからは再稼働に関して判断を行わず、政権としての判断責任を曖昧にして、あとは地元同意が整えば再稼働可能としています。これに対して中松市長は、7月17日の報道では、北電泊原発再稼働について、原子力規制委員会の結論に基づき、国に総合的に判断してほしい。また、本年第1回定例会、我が会派の斎藤博行議員への答弁で、泊原発について安全でありますと規制委員会が話し、国もそれについては安全だというふうに認めました、その上で進めていただきたいと述べておられます。残念ながら、中松市長の思いと違い、規制委員会は絶対安全とは言っていませんし、国は判断責任を放棄しています。このような状況では、これまで市長が求めてきた泊原発再稼働後の絶対安全は誰も保証していないことになります。やはり市長としては、北電泊原発再稼働について、自治体の長として市民の安全を守るために主体的に判断されるべきではありませんか。その際、即廃炉とは言わなくても、最低限、原発事故の際のきちんとした市の対応ができるまでは再稼働は認められないと主張できるのではありませんか。見解をお聞きします。
答弁 市長 中松義治(市長は2015年3月まで)
ただいま、地域防災について御質問がありました。初めに、本市の土砂災害防止対策についてですが、まず土砂災害警戒区域等の指定がされていない土砂災害危険箇所周辺の住民が危険な場所とわかっているかということにつきましては、これまで市民の方が土砂災害危険箇所を知るには、北海道が作成した土砂災害危険箇所図を市建設部都市計画課で閲覧する方法と北海道のホームページで確認する方法がありましたが、今回の災害を踏まえ、公共施設内に図面を新たに掲示するほか、危険箇所図を閲覧できる北海道のホームページのアドレスを本市のホームページ上に掲載したいと考えております。次に、ハザードマップの周知方法や地域住民の防災意識などにつきましては、警戒区域の指定後、区域内の各戸へ配布するほか、町会で回覧を行うとともに、小樽市のホームページに掲載しております。また、ハザードマップには土砂災害の予兆現象や気象情報に関する内容を記載し、注意喚起に努めておりますが、警戒区域内の方への意識調査は実施しておりません。次に、避難勧告等の発令基準などにつきましては、現在の地域防災計画では、災害対策本部長である私が気象庁と北海道が共同で発表する土砂災害警戒情報のほか、過去の土砂災害の発生状況や予兆現象などを総合的に分析した上で判断し、避難勧告等を発令することとしております。次に、勧告を出すのが遅れないための本市の対応についてですが、北海道では本年8月に国が策定したガイドラインを踏まえ、市町村の参考となるように避難勧告等の判断・伝達マニュアル(案)を作成しております。これは、土砂災害警戒情報などが発表された場合に市町村が避難勧告等を発令するための判断基準を示して、判断が遅れないことに着目したものとなっております。本市ではこの案を参考に、年度内をめどにマニュアルを作成することとしておりますが、この間の災害には道のマニュアル(案)に準じ、勧告等の発令が遅れることのないよう対応してまいりたいと考えております。次に、未明の災害対応につきましては、本市地域防災計画ではその対応についての計画はありませんが、今回の災害を踏まえ、予防的避難の方法など、他の自治体が行っている手法などについて研究してまいりたいと考えております。次に、今回の災害を踏まえた防災体制や地域防災計画の見直しにつきましては、今後、国においてさまざまな角度から今回の土砂災害が検証されると思われますので、その結果を参考に地域防災計画の見直しを行っていきたいと考えております。次に、津波避難計画についてですが、まず津波の予測値の変更による津波避難計画への影響などにつきましては、今後、北海道が作成する津波シミュレーションによって、小樽市内の各地区における津波遡上高や到達時間の詳細が判明することとなりますことから、これらを踏まえた津波避難計画を新たに地域防災計画に位置づけてまいります。次に、観光客の避難計画につきましては、現在は多言語表記した津波注意喚起標識などを沿岸地域に計画的に設置しておりますが、観光客の避難を目的とした計画は作成しておりません。次に、災害発生時の観光客の動きにつきましては、災害による動揺や地理に詳しくないことから生じる不安により、多くの方が的確な避難行動をとれないことが想定されます。次に、観光客に対する情報発信方法や伝達手段につきましては、現時点ではこれらの対応について明確な計画は整っておりませんが、観光マップへの避難所の表記など、国内外の観光客に向けた対策を検討してまいりたいと考えております。次に、小樽市地域防災計画における観光客対策につきましては、今後、策定する津波避難計画の中に国内外からの観光客に対応した内容も盛り込んでいきたいと考えております。次に、原子力防災計画についてですが、まず函館市の姿勢につきましては、函館市においては福島第一原発事故後、防護対策を講ずる区域が拡大され、函館市が原子力防災計画の策定義務を負うにもかかわらず、国や事業者から説明などがない中で建設工事が再開されたことは理解しがたいこととして、今回の提訴に至ったものと承知しております。この建設工事の中止については、北海道市長会でも国へ要請をしてきたところでありますが、函館市が自治体として全国で初めて提訴に至ったことについて、国や事業者は重く受け止め、慎重に対応すべきと考えております。次に、地方自治権及び市の所有権の基本的な考え方につきましては、一般論としてお答えしますと、地方自治法上、地方公共団体には法人格が付与され、特に市町村は基礎的な地方公共団体として、地域における事務などを処理することとされておりますので、地域のことは地域で決める、いわば自治権は地方公共団体に可能な限り幅広く認められるべきと考えております。また、地方公共団体は一法人として財産を所有する権利を有しておりますが、その財産に急迫の危険がある場合には、市民共有の財産という観点からしましても、必要な保全措置をとらなければならないと考えております。次に、国と地方との関係性につきましては、これについても一般論となりますが、平成12年施行のいわゆる地方分権一括法により、国と地方との関係は、制度的には対等協力の関係に改められたものと認識しております。あわせて、役割分担の明確化も図られましたことから、原子力を含むエネルギー政策は、国の専管事項として、避難計画の策定は地方公共団体の事務として考えられます。次に、泊原発の再稼働についてですが、原発の安全性については、やはり国の責任においてしっかり判断をしていただくということが必要だと考えており、規制委員会も含め、国が一元的な責任を持っているということは当然のことであると考えております。また、本市は原子力防災計画の策定を義務づけられた自治体ではありませんが、地域防災計画の中に原子力災害対策を盛り込むこととしており、規制委員会で再開する原子力災害事前対策等に関する検討チームによるUPZ外におけるプルーム通過時の防護措置実施の範囲及び判断基準についての検討結果なども踏まえ、作業を行ってまいりたいと考えております。