小樽市議会 平成25年第2回定例会 2013年6月18日
原発の再稼働をめぐる市長の認識について
2013年6月18日、小樽市議会の一般質問で、林下孤芳議員が「原発の再稼働をめぐる市長の認識について」質問し、市長 中松義治が答弁しました。
- 質問者
- 林下孤芳 議員
- 答弁者
- 市長 中松義治
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 16番 林下孤芳
次に、原発の再稼働をめぐる市長の認識について伺います。5月30日付けの新聞、泊原発停止1年、首長に聞くと題するインタビューで、「安全確認後に再稼働を」との大見出しで市長の発言が報じられ、翌日には訂正記事が出されましたが、大変ショックを受けました。私どもは、市長の発言を封じ込める意思や撤回を求めるものではありませんが、原発政策をめぐっては、福島第一原発の事故以来、一貫して原発の再稼働に反対の立場を明らかにしてきました。そうした立場から、情勢認識として、市長と少しでも一致できるものがあれば、との立場で質問させていただきたいと思います。まず、原子力発電所の再稼働について、再稼働の是非は軽々にお話はできないが、国が安全だと判断したのなら反対するものではないとお答えになっております。確かに原発の安全性については、福島第一原発で過酷な事故が起きるまでは、原発の安全神話がつくられ続けてきました。本市の市民を含む多くの国民もそれを信じて、CO2 を出さない安いクリーンエネルギーとして原発は評価され、私たちも一抹の不安もありながらも過渡的なエネルギーとしての役割を認めてきました。しかし、福島第一原発の過酷事故により、原発の安全性は、あくまでつくられた安全神話にすぎず、安全な原発などあり得ないことが明らかになったと思います。福島第一原発では、いまだに放射能漏れが続き、それを食いとめるために多くの作業員が被曝の危険にさらされ、今なお従事しています。避難住民は15万人にも上り、いまだに帰還のめどもなく、避難を余儀なくされています。そして、非常に不安定な状態で保管されていると言われる使用済核燃料棒は、安全に取り出す技術や方法すら確立できず、より深刻な過酷事故が再び起きる危険にさらされていると言われています。我が国は、地震列島と言われるほど地震が多発しています。我が国は、地球上の面積の0.25パーセントにもかかわらず、地球上で発生するマグニチュード6以上の地震の20パーセントが発生しているとのデータがあります。特に東日本大震災を契機として地殻変動が続き、東海・東南海地震の危険度も高まっていると言われています。アメリカの地質調査機関は、地球規模での地殻変動期に入っているとの判断から、地震観測を強化して、原発事故の可能性の分析を進め、対策を強化していると報道されています。そうした厳しい環境の中で、国の原子力規制委員会は、産業界の圧力や電力業界の批判にさらされながらも、厳しい判断を示しています。しかし、安倍政権は、原子力規制委員会のメンバーを一新して、参議院議員選挙後には再稼働に向けて動き出すとの観測が流れています。それが現実になるとすれば、国の安全宣言は、また安全神話に逆戻りする懸念があります。再稼働を考える上で、このような地球規模の地殻変動と原発の安全確認は、しっかりと検証されなければならないと思います。何より万が一にも事故が起きたときに制御できない原発を本当に再稼働していいのか、このことが福島第一原発の過酷事故を経験した私たちが考えるべき規制基準でなければならないと思いますが、市長の見解はいかがですか。次に、電気料金値上げについて検証してみたいと思います。確かに市長が指摘するように、火力発電所の燃料費がかさんでいることは現実の問題ですが、全国で唯一原発を運転している福井県の大飯原発を持つ関西電力は、5月から電気料金を値上げしています。福島第一原発事故が起きるまでは原発の発電コストが一番安いと言われてきましたが、それは本来すべきである事故のリスクに備えた投資や安全の確保に対する投資を怠り、コストを抑えてきたからではないでしょうか。北海道電力は、泊原発1号機から3号機が本年12月から順次再稼働することを前提として、家庭向けの電気料金の10.2パーセントの値上げを申請しています。審査に当たる経済産業省の専門委員会で、2015年度までに再稼働が実現しなかった場合、平均で35パーセント程度の値上げが必要との説明を行ったと言われています。つまり、原発が停止すると、電力が足りなくなるのではなく、原発を動かさなければ電力会社の経営が厳しくなるということです。原発は、運転を停止中でも運転中と同じ監視体制が必要で、使用済核燃料の冷却にも大量の電力がかかっているために、電力会社は一刻も早く再稼働を望むのは当然と言えます。我が国の原発50基を維持・管理する費用は、停止中でも年間1兆2,000億円もかかっています。世界でトップクラスの高コスト電気料金は、地域独占が認められ、競争原理が働かない規制によって守られ、全ての費用を電気料金に含めることが許されているのは、現在の自由主義経済の日本社会では、電力会社以外にはありません。銀行出身で経済に精通した市長として、北電の電気料金値上げをどのように考えているのか伺います。使用済核燃料の安全な処分方法や数万年にも及ぶとされる管理の方法も、原発が稼働して約50年を経過した現在でも確立しておりませんので、当然のことながら正確なコスト計算もできておりません。原発の安全性を求めるには、最終処分までの安全な方法を確立しなければ、再稼働はあり得ないと考えます。次に、再生可能エネルギーは、どの程度原発のかわりになり得るのかということについて、市長の認識を伺います。私どもは、再生可能エネルギーの開発技術の進歩や脱原発を進めるべきとの思いから、再生可能エネルギーのごく一般的な現状について訴えさせていただき、共通認識に少しでも近づければ幸いと考えています。先般、NHKで、「北海道のナンモン!」という、電力不足は解決するのかということを取り上げた特集番組がありました。その中で、北海道の自然エネルギーの潜在能力は非常に高く、風力、太陽光、地熱、バイオマス、小水力など、現在でも技術的に実現が可能な自然エネルギーは1億キロワットにも及び、北海道で使われている電力をはるかに上回り、我が国の使用電力の半分にも達するとされています。高橋北海道知事も、自然エネルギーの拡大は地元の雇用の拡大にもつながり、有望な産業として、現在あるさまざまな規制の見直しや条件の整備については国に働きかけてまいりたいとコメントしています。北海道は特に地熱発電の潜在能力が非常に高く、全国で開発可能な地域の7割が北海道に集中し、発電能力は泊原発の8倍の1,674万キロワットもあり、安定した発電が可能であるとされています。森町では、既に発電所が稼働し、排出される熱や蒸気はビニールハウスの熱源として活用され、無駄のない効率的な産業になっているとのことです。現在のところ、熱源の多くが国立公園内にあるため規制が多く、昨年規制の一部見直しが行われたと言われていますが、まだ調査段階であり、今後に期待しているとのことであります。風力発電は、管内の寿都町が早くから設置して、効率的な発電を行っていますが、送電網の能力が低く、採算性はいいものの、フル稼働はできないとのことであります。苫前町では、現在42基の風力発電機が設置されていますが、将来的には123基までの増設を見込んでいます。ここでも送電線の能力がない、発電に変動があり調整が難しいとの理由で北電が買取りを拒否し、メガソーラーの計画についても、北電の買取り制限によって断念や撤退が相次いでいることが明らかになっています。やはり自然エネルギーの活用には、発送電の分離や電力の地域独占の見直し、時代に合った規制や法令に改正していくことが重要になっています。北海道と同様に人口500万人規模のデンマークでは、風力発電機の80パーセント以上が個人所有の土地にあり、個人が風力発電機を設置して農家にとっても貴重な収入になっているとのことで、北海道の20倍に当たる約5,000基の風力発電機が稼働しており、民間のメンテナンス会社が通常の点検や異常時の対応も全て行って、問題はないとのことです。送電網の整備も専門の整備会社が担い、各地域間の送電の調整はコントロールセンターが行い、あらかじめ地域ごとの発電量をコンピュータに予測させ、不足分を火力発電で補う仕組みとなっています。現在、デンマークの総発電量の約30パーセントを風力発電で賄い、コントロールは可能で、ドイツやスウェーデンの近隣諸国との協力で、風力発電を50パーセントにまで増やす計画と言われています。バイオマス発電については、十勝の大樹町の飼育農家が4億円の設備投資をしてバイオマス発電のプラントを建設して、1,500頭の牛のふん尿から年間約8,000万円の収入を得ているとのことで、厄介者であったふん尿が電力に変わり肥料として再生され、農家にとって大変大きな収入源になっております。しかも、このプラントは、地元企業が全て請け負い、完成させたと言われています。先端技術や地域経済への波及効果と、まさに地産地消のエネルギーとして、国内はもとより世界中から注目を集め、視察が殺到しているとのことです。北海道では、1年間に及ぶ節電生活を原発なしで乗り切りました。市民からも冬の節電は命にかかわるとの懸念の声が多い中で、市長も苦悩の1年であったと思いますが、北海道だけを見ても、この10年間、人口減少が続く中で、消費電力を10パーセントも増やしてきました。その44パーセントは原発によるもので、安全性やコストに何の疑いもなく、ただ豊かな生活を謳歌してきたのではないかと思います。福島第一原発の過酷事故は、途方もない損害と苦痛を国民に与え、しかも今後何世代にもわたって負の遺産として引き継がれることになります。教訓としてはあまりにも大きな代償ですが、原発に絶対の安全はないこと、原発の発電コストは非常に高いことを確認した以上、国や電力会社の方針にとらわれることなく、自然エネルギーの宝庫である北海道と小樽の再生のチャンスとして、脱原発、自然エネルギーへの転換へと踏み出すべきと考えますが、市長の認識を伺います。以上、4項目について、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
答弁 市長 中松義治(市長は2015年3月まで)
ただいま、原発の再稼働をめぐる認識について御質問がありました。初めに、原子力発電所の再稼働についてでありますが、現在、原子力規制委員会において、福島第一原発事故を教訓に、シビアアクシデント対策や地震・津波対策を含む新規制基準の検討が行われているところであり、本年7月に基準が策定されると伺っております。原発の再稼働については、私は、何よりも安全性の確保が最優先であると考えているところであり、今後原子力規制委員会が策定する新規制基準に基づき、科学的・技術的見地からその安全性について厳格な審査、確認をしっかりと行うべきものであると考えております。いずれにいたしましても、再稼働については、国の責任において、新規制基準に基づく安全性の確保、電力需給、社会経済への影響などを踏まえ、総合的に判断すべきものと考えております。次に、北電の料金値上げについてですが、一般家庭や小規模工場などを対象とした値上げは、国において審査が行われ認可されるものであることから、市がその料金設定の妥当性について判断できるものではないと考えておりますが、これまで節電を行ってきた市民の皆さんや、企業努力を行いコスト縮減を図ってきた事業者の皆さんなどへ大きな影響が及ぶことを懸念しております。北電には、引き続き最大限の企業努力を行っていただくとともに、市民や事業者の皆さんに情報の公開を積極的に行いながら、丁寧でわかりやすい説明により理解を得る努力をお願いしたいと考えております。次に、脱原発、自然エネルギーの認識についてですが、電力の固定価格買取制度が昨年から開始され、化石燃料の枯渇や地球温暖化対策、エネルギー源の分散化や自給率の向上、また経済成長実現のための手段の一つとして、再生可能エネルギー導入拡大の重要性は、ますます高まっているものと認識しております。したがいまして、再生可能エネルギーで安定的な電力供給が確保されることとなった場合には、原子力発電所はゼロとなることが望ましいと考えておりますが、送電網などの課題も整理されていないことから、現状では全ての電力を再生可能エネルギーで賄うことは難しいのではないかと考えております。(「議長、16番」と呼ぶ者あり)
質問 16番 林下孤芳
多くはこの後の委員会でも質問させていただきたいと思っていますけれども、原発問題については、おおむね市長の答弁も非常に前向きで理解ができるところなのですが、やはり電力会社の地域独占、あるいは料金に全てのコストがはね返るという仕組みについては、恐らく国が原発政策を推進するためにこういった逆の規制をしてきたのだろうと私は理解をしているわけであります。そこで、経済に精通した市長として、このような料金体系や、地域独占をやるような政策というのは、日本にあるのはやはりおかしいのではないかと思いませんかと、私はこういう思いから主張をいたしました。例えば、NTTが電電公社から民営化されたときは、電電公社の通信網を利用して民間業者が参入して、その通信網をフル活用して、現在は携帯電話にかわっておりますけれども、いまだにそういう影響が、NTTを脅かすほどの競争が働いているという現状であります。いろいろなことで、私も国鉄改革を経験しましたけれども、やはりその課題というのは、いまだに尾を引いているものもありますが、国民に不便をかけたり、サービスが低下したりしたということは全くありませんし、本当にそういう規制を改革するほうが、私は重要な課題ではないかと思います。骨太の方針の議論も若干したいとは思っているのですけれども、まさに頑張る地方自治体に対する国の支援というものをもっと活用して、強いて言えば、電力会社の地域独占を崩していくためには、むしろエネルギー特区などというものをつくってやっていく余地は、十分にあるのではないかと考えるわけですが、その点について市長の認識はいかがでしょうか。
答弁 市長 中松義治(市長は2015年3月まで)
林下議員の再質問にお答えいたします。北海道電力の電気料金の値上げについての御質問かと思いますが、先ほど答弁させていただいたように、やはり私どもとしましても、一般家庭においても、できれば値上げをしていただきたくないというのが本音でありますけれども、電気がないというのも、我々の今の日常生活にとっては大変なわけでございます。ですから、やはり電気の供給ということは安定的にしていただきたいというのも、一方ではあるわけでございます。それとあわせて、料金値上げについては、今、答弁させていただきましたように、北電においては、やはりしっかりとした詳細な説明をしていただきまして、私ども市民、あるいは企業経営者にも御理解をいただけるような取組はお願いしたいと思っております。ただ、本音を言うと、できれば料金値上げはしていただきたくないというのが本音でありますけれども、そのようなことで御答弁をお許しいただきたいと思います。(「議長、16番」と呼ぶ者あり)
質問 16番 林下孤芳
私は、そういったことをいろいろな角度から取り組めば、全原発の再稼働は必要ないのではないかということが最終的な結論でありまして、ぜひこれからもそういった視点で、よりよい有効な方法があれば、知恵を出し合って、こういうことは乗り切っていくべきだと考えております。以上で質問を終わります。後ほどまた委員会で質問いたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)