みんなの議会

上士幌町議会 令和2年第1回定例会 2020年3月16日

仮称「認知症の人が普通に社会参加できるまち」新規条例の制定について

2020年3月16日、上士幌町議会の一般質問で、馬場敏美議員が「仮称「認知症の人が普通に社会参加できるまち」新規条例の制定について」質問し、町長 竹中貢が答弁しました。

質問者
馬場敏美 議員
答弁者
町長 竹中貢

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

件名は質問の本文をもとに当サイトで付けたものです

質問 10番 馬場敏美

仮称「認知証の人が普通に社会参加できるまち」新規条例の制定について質問いたします。本町におけるまちづくりの基本計画は、現在、第5期上士幌町総合計画を上位計画として、福祉関連では、社会福祉法に基づく上士幌町地域福祉計画を統合的な計画に位置づけ、個別計画として上士幌町三愛計画があります。近年、各地域で認知症の人からの発信がまちづくりに反映され、当事者として条例づくりに直接参加している例が出てきております。国においては、2019年6月20日、衆議院で議員立法として認知症基本法案が提案され、その中で、市町村の努力義務ではありますが、基本理念として、認知症の人が地域において尊厳を保持しつつ、他の人々と共生することが妨げられないことを旨とする、また、基本的施策では、認知症に関する教育の推進、認知症の人の社会参加の機会の確保等が条文化されています。本町の高齢者に関係する計画には、特に団塊世代が75歳を迎える2025年に向けた施策の中に、認知症対策がそれぞれ記載されておりますが、残念ながら、認知症当事者からの発信が計画へ反映されているという手法が取られておりません。高齢者に係る計画を継続的に、そして実効性のあるものにしていく上で、認知症の人、町民、事業者及び関係機関の役割並びに町の責務を定め、認知症の人が暮らしやすいまちづくりに向け、認知症の人が普通に社会参加できるまち条例を制定し、生き生きと活躍でき、希望を持って自分らしく暮らし続けることができるまちづくりを目指すことが大切であると考えます。本町における第5期総合計画には、「このまちが好きだから みんなで創ろう 元気まち上士幌」、第1期総合戦略では「いつまでも暮らし続けられるまち」、第7期三愛計画では「いつまでも元気で暮らせるまちづくり」「地域でふれあい生きがいを持って暮らせるまちづくり」「みんなで支え合い住み慣れた地域で安心・安全に暮らせるまち」を掲げております。これらの計画の中には、新年度からスタートする計画や、一、二年後の見直しが迫っているものもありますが、計画作成においては、健康な側にいる人たちの考え方だけではなく、繰り返しになりますが、認知症の人、町民、事業者及び関係機関の役割、町の責務を明確にすることで、要介護や病気になっても安心して暮らせる共生社会の実現に近づくのではないでしょうか。以上、認知症施策に当たり、当事者視点を取り入れた条例を制定することにより、これを基本理念としたまちづくりは、誰もが安心して暮らすことができるまちづくりにつながると考えますが町長の見解をお伺いいたします。

答弁 町長 竹中貢

仮称「認知症の人が普通に社会参加できるまち」新規条例の制定について。馬場議員のご質問にお答えいたします。認知症の対策につきましては、国において、平成27年1月に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が策定されており、認知症への理解を深める普及啓発や適時適切な医療と介護の提供など、7つの柱を重点的な取組として進められてきました。令和元年6月18日に、認知症施策推進大綱が閣議決定され、認知症の人や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪として施策を進め、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指しているところであります。その後の認知症基本法案は、議員立法として衆議院に提出され、現在、継続審議となっているところでありますが、認知症になってもその方の尊厳や社会の一員として尊重される考え方は、今後の取組において十分配慮すべきものであると認識しているところであります。大府市や神戸市など、先駆的に認知症に対する条例を制定した自治体では、当事者から意見を十分聞き取ることで、条例の内容や施策に反映がされております。また、条例は理念を広く市民に浸透させることが目的の一つでありますが、補償制度や早期診断などの支援制度等も同時に進めることで、市民の関心と理解を深めることにつながっているものと感じているところであります。そのため、新規条例の制定は、住民の理解と当事者や家族からの発信、関連する社会福祉法人等の連携が深化することが必要であり、そのことがあって条例の必要性や内容の議論が進むものであると考えております。特に、認知症は本人や家族が相談をためらうことで早期発見、医療の関わりが遅れてしまう実態もあります。認知症に対する正しい理解を当事者や家族に深める取組の展開や安心して通える居場所づくりなどを地道に進めていくことが重要であると認識しております。また同時に、認知症の人やその家族を地域で理解し見守る体制づくりと、共に暮らしていく意識の醸成が重要であり、そのための情報発信や学習活動の推進が必須であります。新規条例の制定においては、現在実施している施策、成果の確認により、不足する施策の充実や整理を進め、町民の間に認知症に対する理解が深まることにより、当事者や家族の意見反映、認知症施策に関する社会福祉法人等との連携と共通認識から、最終的に条例化を目指していくことが最良であると考えるところであります。本町におきましては、平成28年4月に、認知症になりにくいまちづくり宣言を表明しております。認知症についての正しい知識の提供、認知症になりにくい生活習慣の普及、体力と認知力の測定などによる早期発見、早期対応に努め、高齢者の自立した生活をサポートすること、そして認知症になっても安心して生活できるまちづくりを目指しております。また、認知症予防発見対策としての「まる元」運動教室の推進や認知症の人や家族から一般の方も対象とした認知症予防カフェの開催など、医療、福祉等の関係機関とも連携する中で、積極的に認知症についての施策を進めてきているところであります。今後もさらなる町民理解の進展に向けて取組を広め、深めることが必要であります。事業に参加されることで当事者の家族のつながりが深まることは、元気に生き抜くためのきっかけとなり、自分らしく生きるための話をしていただく場にもなることで、今後の施策の意見反映にもつながるものと考えております。次年度策定の上士幌町三愛計画の策定におきましては、これまでも関係団体からの意見聴取や現場職員の情報を拾い上げ、策定委員会での意見を頂きながら策定してきておりますが、今後はさらに認知症の方、障害者などの当事者や家族の視点を汲み入れる手法も検討してまいります。今後も誰もがなり得る認知症に対して、再度町として掲げた宣言を確認していく中で、町民の皆様の理解・共生・受援力を深めていくことと同時に、関連する医療・福祉機関や関係団体との連携と共通認識を持って、認知症の人であっても、普通に社会参加できる町を共に目指していきたいと考えているところであります。

質問 10番 馬場敏美

ただいま答弁の中にもありましたけれども、令和元年の認知症施策推進大綱、これは実は認知症の人や家族の視点を重視しとありますが、実は、当初、認知症の当事者、家族の視点が全く入っていなかったという、そういう経緯がございまして、共生という言葉が入ったということで、当事者の視点がこういう大綱の中にも入っていないという現状がありました。また、ただいま答弁の中で、住民の理解、当事者や家族からの発信、関連する社会福祉法人等の連携が深化することが必要で、最終的に条例化を目指すというような答弁であったなというふうに思います。私は、今だからこそ、この条例が必要だというふうに思っております。本町では、実際に認知症に関わるいろんな取組をしてきております。その中の一つが、認知症サポーターの養成講座を行って、昨年の12月現在、1,116名登録しているという状況があります。1人当たりの高齢者人口で見ますと、1.5名ということになりまして、これは管内でも3番目に多い人数になっております。また、認知症サポーター登録店、これも40店舗ぐらいもう既に登録しているという状況がございます。それから、弁当の宅配時の見守りですとか、町民参加による認知症の模擬捜査訓練等も行ってきております。そして、何よりも介護現場においては、非常に認知症の中でも対応が難しいと言われていたピック病の方を施設で受け入れて見てきたという、そういう状況がございます。そしてまた、介護保険法の中では、当事者に軸足を置いた制度としてケアプラン介護計画の作成、これも制度化されてきております。このように啓蒙啓発、そして現場の経験もたくさん積んできているのかなと、そんなふうに思っております。厚労省の調査によると、65歳以上の高齢者の認知症発症率が2015年で16%、525万人、これが2025年では20.6%で730万人と言われております。65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されております。また、85歳以上では、55%以上の方が認知症の発症の可能性があると言われております。本町においても、例外ではないと思っております。このようなことから、誰もが認知症になる可能性があるという前提で考えれば、認知症と共によりよく生きていくという当事者一人一人に軸足を置いた視点が必要であると思います。認知症の人、町民、事業者並びに関係機関の役割、そして何よりも町の責務を定めた条例を制定することは、町のスタンスを明確にすることでもありますし、認知症の人と共に生きる決意表明にもなるんではないかと、そんなふうに思っております。そして、本人はもとより、家族や地域の安心を高めることにつながるのではないでしょうか。このような意味においても、制度、それから現状を成熟する中で条例を目指すというよりも、なるべく早く、早急に条例の制定の中で、安心・安全に生活できるまちづくりを目指したほうがいいんじゃないか、そんなふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

答弁 町長 竹中貢

まず、認知症についてのこれまでの我が国の取組といいますか、まさに認知度でありますけれども、極めて浅いですね、歴史的に。馬場議員についても専門ですから言うまでもありませんけれども、つい数十年前にようやく動き始めたということだと思います。それまでは、今は使われておりませんけれども、ぼけだとか、痴呆症だとか、様々な時代背景があって、早期にはなかなか家庭から外に出ることすら、何となく後ろめたいというようなことで、社会の中から、本当に隅に置かれてきたということであろうかと思います。以来、急速にいろんな医学的な視点からも、あるいは行政サービス、社会保障という視点からも整備されてきていますが、先ほどお話しあったように、大綱の中でも本人の意思を尊重するという文言がなかったりだとかという、そのことでありますから、まだまだ全体的な普及啓発の途中にあるのかなと、そんなふうに思っております。せっかく議員立法として法案を提案しているということでありますけれども、それはまだ可決されないということであります。これはどういうことなのかということなんかもよく存じ上げておりませんけれども、いろいろと課題がまだそこにはあるのかなと、そう思ったりもしています。先ほどもお話ししたように、町やあるいは法人を含めて、様々なところで認知症に関する取組というのは、決して劣っているということではなく、むしろ全体的なその取組としては、かなり先進的な取組をしているというふうな評価を頂いているというところでもございます。それが全体的に見える形で統合されているのかということと、もう一つは、今回のこの条例のもっとも柱である認知症当事者の意見をどう取り入れているのかということで、みんなやる方々は立派なことをやっていると、こういう思いを持ってこの介護関係や認知症関係についての事業や支援をしているということでありますけれども、一つ、私どもも含めて、改めて教えられるのは当事者の立場に立っているのかどうかということだと、そんなふうに思っております。つい最近、NHKのドキュメンタリーで長谷川和夫さんの日本を代表する認知症の先生のドキュメンタリーがございました。非常に感銘を持って、説得のあるお話だったなというふうに受け止めました。認知症の先生でありながら、認知症になって始めて、認知症のことをみんなに伝えることができるということでありますから、そういった私ども認知症にまだなっていないところでは、やっぱりそこのところの視点が決定的に、認知症の立場に立っていなかったと、これは全てそういうことだろうというふう思って、非常に衝撃的でもありますし、私どもとしては、その視点はより極めて大事なことだなと、こういう認識をしたところでもございます。そういった意味では、このサポート登録なんかも非常に大切で、最終的に行政が何をどうするかということではなくて、町民一人一人が認知症とどう向き合っていくのかというのが、この認知症のまちづくりといいますか、認知症の方々が安心して住めるまちということになるんだろうと、そんなふうに思っております。そういったところの準備も一つ一つができつつあるということでありますから、これはやっぱり条例制定に当たっては、そういった方々の条例に関わって宣言に参加してもらうだとか、いろんな取組の過程があって、まさにこれは町民の意思を持ってそういう町を目指していくんだというような形での条例を制定していく手順が必要になってくるんじゃないかなと、こんなふうに考えております。決して先送り、先送りするということではなくて、そういうことがやっぱり今日的には非常に大切になってきているということも、私どもも認識しながら準備をしていければなと、そんなふうに思いますから、そういったときには、やっぱり行政だけでなくて、議会としての総意を持って、この認知症の人方が安心して暮らせる町を、既に宣言をしながら一つずつやっていますけれども、もっと大きな輪として進めていくのが望ましい。そういう視点で、今回答弁させていただいたところであります。

質問 10番 馬場敏美

非常に前向きなお話を聞かせていただいたなと、そんなふうに思っております。本当にこれは非常に進めていく上で難しい内容だなというふうに思います。当事者の立場にどう立つかというのは、これは非常に人それぞれ考え方も違うし、難しいところなんですね。そうすると、当事者の話を聞ける体制、状況をどうやってつくっていくかというのが大事になると思います。今、町長もありましたけれども、日本の認知症の研究の第一人者である長谷川和夫さんが、私もテレビを見ました。今、町長がおっしゃったとおり、今まで本当に認知症のことが分からないでやってきた、自分が認知症になって初めて認知症のことが分かったという、非常に重い言葉だなというふうに私も受け止めて見ていました。そういうことも含めて、いかに当事者に軸足を置いたまちづくりをしていかなきゃならないかということなんだと思うんですね。これは恐らく認知症条例をつくったから、この認知症だけじゃなくて、上士幌町総体のまちづくりに向けての、いかに当事者、いわゆる町民の意見を聞きながらまちづくりをしていくかというところにつながるのかなと、私はそんなふうに思っております。最後になりますけれども、和歌山県の御坊市の条例の実際の制定に関わった認知症の人本人がこういうことを言っているんですね。将来的に認知症の人と区別しない地域、そして、この条例が必要のない地域になればと願っていますとこの方は言っているんですね。私は、この認知症条例の制定が、この認知症の施策の入り口なのかなと思っています。そして、出口は何かといったら、今この方がおっしゃったように、認知症の条例がない地域になればいいな、そういう出口を求めて、いかなきゃならないかなと、そんなふうに思っております。先ほどの町長の前向きな答弁を頂きましたんで、特にこれについては答弁はよろしいです。以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

出典:上士幌町議会 令和2年第1回定例会 2020年3月16日 議事録 PDF(131ページ) 間違いを知らせる