広尾町議会 令和7年第4回定例会 2025年12月3日
フンベの滝を守るための太陽光発電設備の建設の規制について
2025年12月3日、広尾町議会の一般質問で、雄谷幸裕議員が「フンベの滝を守るための太陽光発電設備の建設の規制について」質問し、町長 田中が答弁しました。
- 質問者
- 雄谷幸裕 議員
- 答弁者
- 町長 田中
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は質問の本文をもとに当サイトで付けたものです
質問 4番 雄谷幸裕
私も、田中町長も、そして数多くの町民が、フンベの地下水で生活を営んできました。その地下水が噴き出ているフンベの滝を守るために質問いたします。フンベの滝は、広尾町観光資源であり、観光名所であります。夏には滝の流れが涼しさを提供してくれ、冬になると滝の流れが凍りつき、見事な氷柱となって美しい自然の造形を見せてくれます。岩盤から地下水が直接噴き出している珍しい滝と言われていますが、滝の水量が近年、著しく少なく、今年の7月、8月の昆布漁のときに見てみますと、「噴き出す」という表現より「しみ出ている」程度でした。日高山脈襟裳十勝国立公園の見どころ22選に掲載されている写真では、物すごい滝の水量で、この写真を見たら行ってみたいとなりますが、現地に来てみますと、あれ、写真と違うなとなり、SNSで酷評されるのではないでしょうか。気象庁のデータを調べてみますと、広尾町の1991年から2020年、30年の年間平均降水量は1,709.2ミリ、降雪の深さは297センチです。フンベの海産干場のすぐ隣の太陽光発電設備は、運転開始となったのが2020年6月30日です。2020年から2024年の5年平均では降水量は1,565ミリで、30年間の年間平均より144.2ミリ少なく、降雪の深さでは257.4センチで、30年間の平均より39.6センチ少ない状況となっています。このように、降水量、降雪の少なさがフンベの滝の水量に影響していると思われますが、原因はこれだけなのでしょうか。気象の問題だけなのでしょうか。釧路湿原国立公園周辺での大規模太陽光発電所の乱立に歯止めをかけるため、釧路市では、出力10キロワット以上の事業用太陽光発電所の建設を規制する条例が本年10月1日に施行されたところであります。町内の各所で太陽光発電設備が建設され、運転されているところであります。本年3月に策定された「広尾町地球温暖化対策実行計画」の基本方針2の再生可能エネルギーの普及拡大の施策で、太陽光発電などの町内への再生可能エネルギー導入・活用推進を図るとなっていますが、その本文には、「ただし、導入にあたっては本町の恵まれた自然環境の保全も十分考慮する」と明記されています。地球環境を守るはずの再生可能エネルギーが自然を破壊しては、本末転倒であります。温室効果ガスの削減、災害や土砂崩れを防ぐ、そして水の浄化など、これら森林が持つ多くの機能によってフンベ地区、フンベの滝が守られてきました。森林を伐採しての太陽光発電設備の建設を規制する条例が必要ではないでしょうか。町長の考えを伺います。
答弁 町長 田中
それでは、雄谷議員のご質問にお答えをいたします。近年、地球温暖化が原因とされる気候変動の影響により、猛暑や豪雨といった異常気象が頻発しており、本年9月には十勝地方で初めて線状降水帯が発生するなど、集中豪雨や台風等による自然災害が増加しております。また、温暖化が進むことで、気温・海水温の上昇や降水量の増加、これらに起因した自然環境や生態系への影響等が懸念されております。本町におきましても、漁業、農業といった第一次産業を中心に大きな影響を受けており、その対策は喫緊の課題となっているところであります。本町は、2050年二酸化炭素排出実質ゼロに向けて取り組む「広尾町ゼロカーボンシティ宣言」を令和6年6月に表明し、脱炭素化社会実現に向けた町の基本方針や具体的な目標などを定めた「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を本年3月に策定したところであります。この計画では、二酸化炭素の吸収のために適切な森林整備を行うことや二酸化炭素排出の抑制、再生可能エネルギーの導入などの取組を進めることとしております。脱炭素化を進めるに当たりましては、資源量に限りがあり、二酸化炭素を多く排出する化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を推進していくことは非常に重要であります。しかし、脱炭素化の推進における広尾町の最大の強みは、町の面積の約8割を占める森林による二酸化炭素の吸収であると考えております。それに加えて、議員からもありましたように、森林は多くの機能を持っております。その機能を十分に発揮させるためには、森林の適切な整備が必要であります。太陽光発電設備を建設するために森林を切り開いていくことは、本町にとっては全く意味のないことであります。本町でも近年、各所に太陽光発電設備の設置が進んでおります。町といたしましても、計画に記載していますとおり、「自然環境の保全も十分考慮する」ことが第一であると考えております。自然や景観保護などの観点も踏まえ、設置を規制する条例につきましても、他自治体の例なども参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。以上、答弁とさせていただきます。
質問 4番 雄谷幸裕
それでは、二次質問になりますけれども、フンベの海産干場付近には既に太陽光発電設備が4か所運転されております。本年10月1日に着工されている太陽光発電設備、これの工事標識を見ますと、事業区域面積が約8万平方メートル、発電出力は約2,000キロワット、来年の6月30日完成予定で工事が進められています。さらに、道道音調津陣屋線の脇には1,990キロワットの発電設備が2021年9月に運転開始となっています。北海道は、釧路湿原周辺の大規模太陽光発電所の建設などの法令違反を受けまして、新たな再生可能エネルギーの建設計画に関する情報提供を10月に全市町村に要請したところであります。さらに、11月21日には、鈴木知事が事業者向けに、法令遵守、法令違反には厳正に対処する、地域との共生が大前提とのメッセージを発表されています。さらに、道内自治体で大規模太陽光発電所の建設を規制する条例の制定、反対署名など住民団体による反対運動が展開されています。政府も、釧路湿原国立公園周辺の大規模太陽光発電所建設をめぐる問題を受け、法律の改正方針をまとめた政府パッケージを年内に公表するとしています。そこで伺います。町長は北海道、それから道内各地、政府の動きをどのように捉えているのかお尋ねいたします。
答弁 町長 田中
今、雄谷議員からご質問ありましたフンベの滝の関係でありますけれども、今年10月1日ということでありますけれども、フンベの滝の上段側といいますか、海産干場のある付近に、今、計画がされているところでありますけれども、この関係につきましては、現在まだ工事着工には至っていないところであります。というのも、この設置をする事業者等々から、今、説明を聞いている段階でありまして、町として、この太陽光発電設備の設置に関し、意見を十勝総合振興局を通じて上げているところであります。その理由としまして、やはりフンベの滝の、今、議員からもあったように、最近の水の枯渇の部分、水が少なくなってきているという部分、あるいは過去にこのフンベ地区において大規模な土砂崩れがあったこと等々踏まえて、そういった災害防止、それから水源の涵養等も含めて、フンベの滝が昨年、国定公園から国立公園の区域内に指定されたということもありますし、そういったことで今、その懸念として振興局を通じて事業者に対し影響について確認を取っているところであります。法律的に今現状、太陽光発電設備の工事について差し止めることは今の法律上はできないというふうに考えておりますけれども、先ほど来お話のあるとおり、やはりこのフンベの滝というのは、広尾町にとって昔から大きな観光資源でもありますし、地域の皆さんの憩いの場といいますか、そういったところで認知をされているところでもあります。最近のフンベの滝の水量減少による影響等が直接太陽光発電の建設によってどうなるかということは、科学的に証明することは非常に難しいと言われておりますし、その証明をするには非常に長い時間もかかるということでありますけれども、今現在のところそういった規制をするところは難しいのかなというふうには思っております。今ご質問にあった北海道、道内各地の動き、それから国の動きについてのお話でありますけれども、大規模な太陽光発電所、いわゆるメガソーラーの建設をめぐっては、議員からもありましたように、釧路湿原周辺での建設計画における法令違反ですとか、根室市では住民の反対が多いことから着工を延期するなど、トラブルが多く発生している状況であります。それを受けまして、北海道では11月21日に規制を強化する対策を発表しております。現在の広尾町で行われている太陽光発電の部分については、振興局も通じて法令違反等には該当しないものであるというふうに確認を取っておりますけれども、議員からもありましたように、関係法令の遵守は絶対でありますし、法令違反には厳正に対処してまいります。また、地域との共生が何よりも大前提、この3つの柱を注視していきたいというふうに考えておりますし、また、本町としましても、地域と共生できない、地域の理解が得られない事業は当然望んでおりません。今後、太陽光発電設備の設置が民間事業者によって実施される際には、北海道が掲げる地域と共生する6つの要素、「関係法令等の遵守」「地域住民の理解」「自然環境の保全」、そして「生活環境の保全」「景観への配慮」「防災対策の実施」、これらを念頭に対応をしてまいりたいというふうに考えております。また、国も、地域と共生した再生可能エネルギーの導入を進めるため、法令の改正や監視体制の強化など対応策を検討するということでお聞きをしております。それらの動きも注視して、今後、進めてまいりたいというふうに考えております。
質問 4番 雄谷幸裕
今、冒頭、町長がフンベ地区の部分の経過、着工されていないということで説明もありましたけれども、昨日も見てきますと、実際に木は伐採されていません。ただ、資材はいっぱい運び込まれています。そこはもう着工していると。そして、工事標識に6月30日までに完成させると。今の段階では止めることもできないので、多分もうあれは着工しているのだなというような認識で私はいます。脱炭素の実現には再生可能エネルギーは欠かせませんが、再生可能エネルギーと自然環境との調和を図ると。この包括的な法令の整備を国に働きかけていく必要があるのではないかというふうに思います。フンベの滝が枯れてしまって、万が一観光資源としてのフンベの滝の名称を削除するようなことになっては、広尾町にとっては本当に大きな大きな損失になります。また、フンベの地下水には、もう一つの役割があります。フンベの滝を守るためにも早急な対応が必要であります。一次答弁で条例制定を検討するという答弁がありましたが、町民憲章の3つ目に「自然を愛し、きれいな町をつくりましょう。」とあります。自然を守るためにもスピード感が不可欠であるとも思います。国への働きかけと併せて町長の決意を改めて伺います。
答弁 町長 田中
冒頭ありましたフンベの滝の部分でありますけれども、確かに工事には着工というか、伐採はしていないのですけれども、資材等の搬入等については、今、行われているところであります。先ほど私申し上げましたとおり、今、太陽光発電設備を建設する業者等々と協議をしているところでありまして、町のほうでやっぱり懸念している部分につきましては、計画しているところからの土砂の流出、それからフンベの滝の水量減少への影響、そして土砂崩れ災害防止、それから太陽光発電の事業の運転に関して年次報告をいただきたいということ、それから将来この太陽光発電事業、20年から30年と言われておりますけれども、この事業が終わったときの設備の撤去について、きちっとした覚書等の回答をいただきたいということで申入れをしているところであります。また、よくあることなのですけれども、この太陽光発電事業というのは所有者が転々としていくというような状況が見受けられます。そういったところで事業者が替わった場合に適切な対応を取るようにというところの申入れ、そういうところで町と事業者で今後、最終的にそういった部分も含めて協定というか、覚書というか、そういったことを締結するような形で進めているところであります。今、議員からありましたように、このフンベの滝の景観、そして今後、国立公園になったフンベの滝が消滅してしまわないように、町民の財産として今後も守っていく覚悟であります。そういったことを踏まえて、現在、国が建設の規制や見直しについて検討しているというふうに聞いております。十勝管内の状況等も情報収集しながら、町村会、そして十勝圏活性化推進期成会などを通じて国に対し要望してまいりたいというふうに考えております。また、北海道内においても、既に多くの自治体で設置等に関する条例が制定をされております。現状では町の条例の中で規制するというのは難しいというふうには考えておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり国の規制強化が今後進められるということでありますので、そういった動向も見極めながら、早急に条例の策定に向けた作業に着手してまいりたいというふうに考えているところであります。