深川市議会 平成29年第3回定例会 2017年9月7日
命のとうとさを学ぶがん教育
2017年9月7日、深川市議会の一般質問で、松本雅祐議員が「命のとうとさを学ぶがん教育」について質問し、教育部長 荒井清光が答弁しました。
- 質問者
- 松本雅祐 議員
- 答弁者
- 教育部長 荒井清光
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 3番 松本雅祐
続きまして、2点目、命のとうとさを学ぶがん教育についてお伺いします。昨年12月9日、改正がん対策基本法が成立しました。それを受け、文部科学省は、2017年度から、がんに対する正確な理解を深め、命の大切さを学ぶがん教育を、全国の小中学校、高校において取り組みを本格化させることとしました。なぜがん教育を推進するのか。今やがんは日本人の2人に1人がかかる病気で、国民病と言われておりますが、「がんってどんなイメージ」と聞くと、「苦しい」「死んでしまう病気」と思う人が多く、国民ががんのことをよく知らないという指摘もあります。がんは、早期発見で9割が治り、がんはちょっとした知識とそれによる行動によって大きく運命が分かれる病気です。子供のときにがん教育を受けることにより、がんという病気を正しく理解し、がんにかかる原因、予防、検診、治療法など、正しい知識を得ることができるのです。東京豊島区の区立明豊中学校で行われたがん教育では、医師による出張授業が行われ、「たばこを吸う人のがん手術は正直とてもつらいものです」と外科医が体験を語り、がんは治療の難しい病気から長くつき合う病気へと変化していることや、生活習慣病が予防に影響すること、検診による早期発見が治療に有効なことなどを学びました。この日特に力を入れたのが、がん患者の気持ちを考えることで、命のとうとさを見詰め直してもらう視点でした。同校の小林校長は当時、肺がん治療を続けながら学校に復帰したばかりで、校長はがんのことを大勢の友人に伝えたことで、たくさん励まされ、それが力になったと話されました。終了後のアンケートでは、「家族や知り合いにがん検診を勧める」「大人になってもたばこは吸わない」「がんで苦しんでいる人がいたら勇気づけたり優しく接したい」といった感想が多くあったそうです。がん教育授業を推進されている東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授が日本経済新聞の中で、香川県宇多津町でのがん教育の成果について書かれ、宇多津町は2013年度から毎年、町で唯一の公立中学校の2年生を対象にがん授業を行い、がん教育を受けた子供たちが保護者などにがん検診を勧めているとのことが紹介されておりました。宇多津町での乳がん検診では、がん教育授業を実施する前の2012年度の受診率は22.3%でした。しかし、授業を行った後の2014年度は22.9%増の45.2%に急増、子宮頸がん検診は、2012年度の30.7%から2014年度は50.3%へと19.6%増加したとのことであります。がん教育の目的は、がんについて正しく理解することですが、副次的効果として、がん教育を受けた生徒が命のとうとさを感じ、親を思いやる心でがん検診を勧め、親もまた子供の素直な気持ちに耳を傾け、検診を受けたのだと思います。同じように埼玉県熊谷市でも2014年度から生命の授業を行い、がん教育開始後、その授業が後押しとなり、親世代のがん検診の受診率が5から7%増加したことも確認されております。中川准教授は、「がん教育は、子供たちの将来を支えるだけでなく、逆世代教育を通して、がん教育は日本人全体をがんから守る力を持っている」と言われました。ですから、がん教育の役割は重要であります。お伺いします。1点目、本市のこれまでのがん教育の取り組みとして、どのような授業を実施しているのかお聞かせください。2点目、がん教育の考え方と今後の取り組みについてお聞かせください。3点目、治療に携わる医師や、がん経験者の話を聞くことにより、子供たちが正しい認識を持つことで、将来望ましい生活習慣を身につけたり、検診に対する意識を高めるなど、教育効果は大きいと思います。がん教育は、教員では十分に説明できないこともあると思います。本市として、医師やがん経験者など外部講師を登用した授業を行うことに対しての考え方をお聞かせください。
答弁 教育部長 荒井清光(教育部長は2019年3月まで)
命のとうとさを学ぶがん教育について、3点質問いただきましたので、順次お答え申し上げます。初めに、これまでのがん教育の取り組みについてでありますが、小中学校における現行の学習指導要領には、直接がん教育は含まれておりません。しかし、市内の小中学校では、主に小学6年生と中学3年生の保健の授業において、死亡原因第1位のがんについても学習しており、その中で日本人の死亡原因の約3割ががんであること、またたばこや食事などの生活習慣ががんにつながること、細胞の遺伝子が傷つくことでがんが発症することなどを学習してございます。また、がん教育に限らず、命のとうとさを学ぶということで申し上げますと、市の健康福祉課による「小学生のダメダメたばこ教室」で、たばこによる健康被害の一つとして、肺がんなどの事例を学んだり、昨日の午前に一已中学校3年生を対象に実施しましたが、命や性について知る、自分と他人を大切にする行動がとれることを目指し、「中学生の赤ちゃんふれあい教室」などの取り組みをしてきてございます。次に、2点目のがん教育の考え方と今後の取り組みについてであります。1点目でお答えしましたとおり、これまでも疾病としてのがんや命のとうとさを学ぶことについて、保健の授業などで取り組んできておりますが、本年3月公示の新学習指導要領、これは平成32年度から33年度までに全面実施となりますが、この新学習指導要領では、がんについても取り扱うものとするというふうに、初めてがん教育について明文をもって記載されました。これにより、今後、がんとは何か、がんの要因、予防策に始まり、検診などによる早期発見や疾病の回復などに触れることにも配慮しまして、指導計画を検討することになります。その取り組みにおきましては、新学習指導要領が学びの質と量の両方を重視し、教科の新設等を行う一方で、学習内容の削減はしない考え方に基づくものでありますことから、学校教育の限られた時間枠の中でどのようにこれらの命題を両立させるのか、各学校の実情を踏まえた研究、検討を行う中で、がん教育につきましてもバランスをとって位置づけるべきものと考えているところでございます。次に、3点目の今後のがん教育に医師やがん経験者など外部講師を登用することについてでありますが、議員の質問にありました事業と同様な事業として、北海道保健福祉部主催の「がん教育出前講座」がございます。これは専門医によるがん予防をテーマとした講義と、子供たちが学んだことを家族宛てのカードにまとめる授業で、毎年北海道教育庁を通じて実施校の推薦依頼がありまして、学校に周知しているところでございます。学校からはこれまで事業の実施希望は上がってございませんが、「がん教育出前講座」は保健の授業のほか、特別活動や総合的な学習の時間に位置づけての実施も考えられるところでございます。その際には、それぞれの指導計画において、単元ごとの配当時数に組み入れる必要があり、類似する行事、事業の中で何を実施し、また何を取りやめるかということも生じてまいりますので、これまでの取り組みの継続性や相互の関連性等も踏まえまして、各学校の主体的判断において選択していくということになります。教育委員会といたしましては、各学校での検討に資するよう情報提供してきたところでありますし、今後におきましても「がん教育出前講座」を初め、教材・資料の提供など、がん教育に活用できるさまざまな情報も含め、引き続き積極的に情報提供してまいります。