小樽市議会 令和7年第3回定例会 2025年9月9日
地域医療と介護等について
2025年9月9日、小樽市議会の一般質問で、髙橋龍議員が「地域医療と介護等について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 髙橋龍 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 18番 髙橋龍
次に、地域医療と介護等についてお聞きいたします。このたび小樽市議会に提出された陳情では、市内医療機関が慢性的な人材不足やコロナ禍、物価高騰の影響により、経営危機に直面し、このままでは地域医療の維持が困難になるとの強い危機感が示されています。陳情の要望の柱は、病院や診療所への補助金支援、医師、看護師の確保、公立病院の機能強化、市民への情報提供の充実などです。もし、医療体制が崩れれば、市民が必要なときに必要な医療を受けられなくなるおそれがあります。安心して暮らせる小樽市を守るためには、早急かつ抜本的な支援が欠かせないと訴えているものであります。また、その中には85歳以上の急性期疾患では濃厚な治療が必要になり、診療報酬では赤字になると記されています。実際、厚生労働省のDPC、診断群分類包括評価分析では、救急や高齢者急性期の医療は入院1件当たりの収支がマイナスになる傾向があると報告されています。ここで伺います。市内病院の診療科別、年齢層別の収支について御説明ください。高齢者医療が赤字という点以外でも、収支に影響する要因について御説明ください。病院経営悪化の要因は、単純に診療報酬が低いことだけではありません。患者数の減少、平均在院日数の短縮、人件費や光熱費の上昇など複合的要因が絡んでいるため、一元的な話にはなりませんが、例えば、全国病院協会の調査では、令和5年度決算で一般病院の約6割が赤字を計上し、最大の要因は人件費の高騰とされています。病院規模や地域によっても大きく開きはあるでしょうが、全国の6割が赤字というのは、もはや制度として成立していないようにも感じますし、実態がどうなのか知る必要があるのではないでしょうか。人手不足でありつつ、経営を圧迫するほどの人件費を要するというのは、構造的にゆがんでいると言わざるを得ません。この点について、どのようなことが理由であるのか、御説明いただけますか。次に、北海道が策定した後志地域医療構想では、急性期、回復期、慢性期、高度急性期、それぞれの病床必要量が示されています。2025年に向けた推計では、急性期病床の過剰と回復期、高度急性期の不足が指摘されています。圏域での推計値と実情の比較はどうなっていますか。特に不足している領域をどう分析していますか。さらに、その不足に対して小樽市では何ができるのでしょうか。厚生労働省は昨年12月、新たな地域医療構想をまとめ、市町村の役割強化を明確にしました。病床だけではなく、在宅医療や連携機能を含め、市町村が主体的に医療体制を設計することが求められていますが、小樽市はどのような役割を果たすのでしょうか。次に、地域包括ケアシステムに関連して伺います。厚生労働省では、地域包括ケアシステムを2025年度までに全国で構築すると掲げていました。しかし、小樽市では、在宅医療と介護、生活支援を一体的に提供する体制がいまだ十分には整っていません。既にこの議論は10年以上続けられてきたと認識していますが、いまだに実現もされているとは言えません。小樽市として、在宅医療・介護・福祉・生活支援を統合した地域包括ケアシステムをどう実現していくのかについて、市長のお考えを伺います。国は、居宅介護支援事業所と訪問介護、訪問看護との間でケアプランやサービス実施状況を電子的にやり取りできる、いわゆる標準仕様を示しています。しかし、小樽市内では、紙やファクスによる情報共有が依然として多いままです。これでは入退院時の情報伝達が遅れ、在宅での切れ目ない支援に支障を来してしまいます。今は様々なベンダーからサービスが提供され、本市でも導入されているケースも存じていますが、調べていく中で、それぞれのサービスの互換性のなさが広がりを阻害しているようにも見えます。ただ、ビジネスとしては、顧客の囲い込みでそうしていることも理解はできます。せっかく共有できる仕組みがあるのですから、患者や御家族を考えると積極導入すべきであるとも思います。後志との連携などを考えて、複数自治体で協力し、標準仕様のシステムを開発するということも方法論としてあり得ると考えます。手続論として可能かどうか、お聞かせください。また、そういうシステムを開発する場合、例えば福祉保険部など関連部署が予算を確保して運用するということができるかどうかについてもお示しください。小樽市でも地域ケア推進会議が開催されてきましたが、中には、会議での議論が実務に結びつかない、情報共有が形式的といった声も聞かれます。高齢化率が高い小樽市において、地域包括ケアシステムの実効性を高めるために、会議体を単なる情報交換にとどめず、課題と解決策を年度ごとにアクションプランとして明示するなど、従前のやり方からの転換が必要でないかとも考えます。市の御見解を伺います。市内医療機関の経営危機と地域医療構想への対応、医療・介護・福祉の情報連携、そして地域包括ケアシステムの実現に向けた取組について伺いました。高齢化の進む本市にとって、大きな課題となっているものであり、実現に向けた動きが加速するよう期待しております。質問の結びになりますが、本市の状況は申し上げたとおり、人口は年々減っていき、その中で建物は老朽化していく。しかし、子供たちは日々成長を続け、時間だけは誰にとっても平等に、また容赦なく過ぎていきます。哲学的に言えば、時間には時計で計る量的時間と体感する質的時間があると言われます。量的時間では、小樽市の人口減少は統計の冷たい数字として表れます。しかし、質的時間の中では、祖父母との別れや子供の巣立ち、商店街のシャッター、友人の移住といった心に刻まれる体験として現れます。行政が扱いがちなのは、往々にして前者の量的時間です。予算は年度で区切られ、計画は3年、5年、10年という単位で策定されます。しかし、市民が生きているのは、質的時間の中です。今日の買物、明日の通院、来月の子供の行事、来年の就職活動といった日々の暮らしの中で感じる不安や希望こそが政治が向き合うべき現実であると考えます。統計上の人口は減少しても、質的には豊かな時間を過ごせるまちにできないか。数字上の財政は厳しくても、心豊かに暮らせる仕組みをつくれないか。計画上は困難な課題でも、市民の実感として希望を感じられる道筋を描くことができないか。量から質への転換こそが人口減少時代の自治体経営に求められる根本的な発想の転換ではないかと考えます。以上、今の小樽市の課題を単なる行政上の案件としてではなく、未来の市民にまでつながる質的な課題として受け止めていただきますようお願い申し上げ、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
答弁 市長 迫俊哉
ただいま、地域医療と介護等について御質問がありました。初めに、市内の医療機関の診療科別、年齢層別の収支につきましては、市では医療機関の経営状況を確認する法的根拠を有しておらず、こうした情報は基本的に非公表となっていることから、把握いたしておりません。また、収支不足となる要因につきましては、人件費、医薬品費、診療材料費の増加のほか、水道光熱費等の経費の増加などがあるとお聞きいたしております。次に、病院経営における人件費の高騰につきましては、医師や看護師など医療従事者の不足を背景に人材確保のため超過勤務手当や深夜勤務手当等を含め、人件費の引上げが余儀なくされていることに加え、嘱託や派遣といったコストの高い雇用形態を活用せざるを得ないことも要因となっているものとお聞きしております。次に、後志圏域における病床必要量の推計値と実情の比較につきましては、直近で把握しております令和5年7月時点の稼働病床数で申し上げますと、急性期病床が推計値に比べ約1.8倍となっている一方、回復期及び慢性期病床が推計値を下回っております。市といたしましては、市内の医療機関が参加する後志圏域地域医療構想調整会議において、不足している領域の病床の解消に向け、医療関係者が共通認識を図れるよう、後志総合振興局と共に努めてまいります。次に、新たな地域医療構想における本市の役割につきましては、新たな構想においては、在宅医療や介護との連携が対象に追加されることから、市としてはこの構想に沿って、これらの体制整備に取り組むことや、基盤となる、かかりつけ医機能確保の取組を推進することが必要と考えております。次に、地域包括ケアシステムの実現につきましては、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、切れ目のない在宅医療と介護、生活支援を提供できる体制づくりを目指し、これまで在宅医療と介護の情報共有、住民主体で高齢者を支える仕組みづくりなどに取り組んでまいりました。しかし、85歳以上の高齢者が増加する2040年に向け、重度化、複雑化する支援ニーズに対応するためには、より実効性のある地域包括ケアシステムの構築が必要であることから、現在、既存事業の在り方も含め、どのように進化させていくか、関係機関と協議を進めているところであります。次に、介護事業者間の情報連携システムにつきましては、複数自治体で開発すること、関係機関の間で運用すること自体は可能であります。しかしながら、独自のシステム開発には多大な財政負担が生じるほか、現在国が標準仕様のシステムを開発し、全国の自治体に参加を求めていることから、現実的ではないものと考えております。次に、地域ケア推進会議につきましては、4圏域の個別会議で抽出された課題について、情報共有を図っておりますが、御指摘のとおり、解決策や実効性のある取組まで協議が進まない事案もあるのが現状であります。そのため、地域課題の解決につながるような会議の在り方について、見直してまいりたいと考えております。(「議長、18番」と呼ぶ者あり)
再質問 18番 髙橋龍
幾つか再質問をさせていただきたいと思います。まず、人口減少に関してですけれども、移住者ミーティングを御答弁の中で挙げていただきまして、その中で有用な御意見もあったとお答えいただきました。例えば行政の施策に生かせるような移住者の方からいただいた御意見はどのようなものであったのか、概括的で結構ですので、お示しいただければと思います。次に、官民共創プラットフォームについてですけれども、御答弁の中で札幌市のプラットフォームに参画されているということでありました。事務分掌でいうと官民連携室の所管になるのかなと思いますけれども、今、総合政策部官民連携室の御尽力もあって包括連携協定を結んでいる企業というのも増えてきていると認識しています。例えば、包括連携協定を結んでいる企業と市の課題解決について一緒にプロジェクト立ち上げることも考えられるのではないかと思うのですが、この辺りの可能性といいますか、お考えについてお示しいただければと思います。あと、災害対策に関してです。災害時の通信機能に関してですが、災害時に、通信機能を有する移動式の設備を持ってくることで通信機能を強化するという旨の御答弁であったかと思うのですが、現状、既に移動式の設備などは当たりがついているというか、もう既にあるもので発生時にはそれを持ってくることができるとなっているのか、あるいはそれはまだ今後の課題という形であるのか、この点について説明いただければと思います。
答弁 市長 迫俊哉
髙橋龍議員の再質問にお答えいたします。まず、人口対策との関係で、移住者ミーティングに私も参加をさせていただいて、非常に有用な意見をいただいていると答弁させていただきました。お尋ねは、施策に生かせるような御意見の例示ということでございましたけれども、全て把握しているわけではありませんが、私が感じているのは、一つにやはり小樽市の歴史を活かしたまちづくりということで、例えば小樽市に残されている倉庫の再活用については、独自性をもっと発揮してもいいのではないかということですとか、あるいは文化の面では、小樽市では夏の間、毎週のようにお祭りが開催されている、こういったのは小樽市の魅力ではないのかということです。あるいは、やはり自然が豊かだということと、スキー場が三つあるということで、全国的にも同一の地域に三つもスキー場があることはあまりないのではないかという御意見ですとか、あるいは赤岩山といったあまり知られていない絶景もあるということで、いろいろな御意見もいただいておりますので、こういったことも踏まえながら、先ほど答弁でも申し上げましたが、ターゲットに対して、どのようなアプローチが可能かを検討してまいりたいと思っておりますし、これからも引き続き小樽市に移住された方々の御意見をしっかり伺いながら、移住対策に反映をしていければと思っているところでございます。2点目につきましては、包括連携協定等、連携している企業が増えてきているということで、この連携協定の下に、何かプロジェクトを進めていってはどうかという御提案ですが、御質問の中にもありましたけれども、おかげさまで連携協定を締結している企業が少しずつ増えてきております。まさに民間の力を生かしながら、いろいろな面でノウハウ、ネットワークなどを活用しながら、まちづくりに生かしていきたいという思いは、私も全く共感するものであります。包括連携協定の内容は全庁的に及ぶわけですから、窓口は総合政策部官民連携室になっておりますが、官民連携室にとどまらず、まず、それぞれ幅広い連携協定の内容を各部で把握することが必要だと思っております。各部が主体性を持って包括連携協定を進めていくという中で、それぞれ連携協定による枠組みの中でプロジェクトも検討してもらい、進めていきたいと思っているところでございます。それから、災害時の移動通信機能につきましては、想定しているのがNTT東日本や自衛隊、北海道総合通信局を想定しておりますが、この移動通信機能の連携につきましては、既に協定等で確認させていただいておりますので、課題ということではなく、現実的に利用が可能ということで御理解いただければと思っております。