小樽市議会 令和8年第2回定例会 2026年6月16日
市内経済・産業について
2026年6月16日、小樽市議会の一般質問で、髙橋龍議員が「市内経済・産業について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 髙橋龍 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 18番 髙橋龍
次に、次世代に向けた経済と産業の戦略について伺います。本市が持続していくためには、基幹産業である観光産業の高度化はもちろんのこと、それを下支えする市内中小企業の経営基盤強化、そして次世代を担う新たな産業の創出が不可欠であると考えます。しかし、足元の市内経済に目を向けますと、世界的な原材料高騰やエネルギー不足、化学製品やプラスチックの原料となるナフサの不足・価格高騰が、市内の製造業や建設業、各種産業に深刻な影響を及ぼしています。こうした危機に対し、基礎自治体として市民生活や市内経済を守るために何ができるのか、真剣に考えていかなければなりません。まさに「経済の血液」とも表現されるナフサですが、私たちの身の回りにあるあらゆるプラスチック製品や化学繊維に形を変えています。例えば、建築の分野では、発泡スチロール、ウレタン等の断熱材や、塩化ビニル製の配管、床材などに広く用いられており、その供給が滞ることで、建設現場での資材調達の遅れや工期の長期化といった直接的な悪影響が生じます。また、医療の現場では、使い捨ての注射器や手袋、点滴チューブといった消耗品の多くがナフサ由来であり、人工透析に不可欠な透析膜にも使用されています。このように、ナフサの需給は私たちの命に直結する医療体制の維持にも影を落としています。さらには、農業の現場においても、冬期の営農を支えるビニールハウス用の農業用フィルムの価格高騰はもとより、出荷や作業時に必要な消耗品が市場から枯渇、あるいは著しく値上がりしているという切実な声が農家の方々からも聞こえてまいります。政府の発表によれば、国内のナフサ全体の流通量は統計上一定程度満たされているとされ、中東の代替で南米やアフリカからの調達により、例年の約8割の量の確保と、プラスチック樹脂ペレットが一定量プールされていることなどを根拠としたものであるということです。しかし、ナフサは法定の国家備蓄の対象外であり、代替確保した南米やアフリカ産のナフサと中東産のものでは含まれる成分の比率が異なるため、特定の成分が予定どおり抽出できず、生産バランスが崩れてしまう、結果として、量は届いたが、現場が求める製品が造れないという事態が生じるわけです。今後、供給が復活したとしても、一度崩れた需給バランスや世界的な原油価格の動向を踏まえれば、価格の高騰が長期化することは想像に難くありません。市が主導してナフサそのものを物理的に確保できるわけではありませんが、国や北海道による大枠の経済対策とは異なる、地域密着の自治体だからこそ果たすべき役割があると考えます。そこで、ナフサ不足や価格高騰が市内事業者の経営に対してどのような影響を与えているか、ナフサを用いた部品や製品、資材を使用する市内事業者の調達コストをどれほど押し上げているか、市として情報の集約やヒアリングなどの調査を行うことも必要ではないかと考えますが、現時点で市が把握している状況と、今後の実態調査の意向について伺います。コストが上がる分を製品価格やサービス価格に適切に転嫁することは、企業の存続において極めて重要であります。しかし、価格を引き上げれば消費の抑制を招き、逆に値段を据え置けば原価高騰により利益が圧迫され、どちらにしても事業者はじり貧の状況に追い込まれます。現時点でも、市内中小企業からは限界を訴える悲鳴にも近い声が寄せられています。原油不足やサプライチェーンの混乱による原材料高騰により、経営危機に瀕している市内の中小企業に対し、制度融資における利子補給や信用保証料の補助など、事業者向けの支援策を講じることについてお考えを伺います。ちょうど、この質問を通告した後、国の重点支援地方交付金約5,600万円が示されました。政府は、来月には代替ルートが安定する、秋には需給が緩和するという希望的観測を発表し、現場はその言葉を信じて高価なシンナーを買い、借金して操業を何とか維持しています。国からは、現場の中小企業が二重発注や在庫の抱え込みを行うことで需要が増し、品薄になっているという発表もありました。これは中小企業が強欲だからではなく、昨日まで1缶4,000円だったシンナーが、あっという間に1万円になり、しかも、次はいつ入るか分からないと卸売事業者から宣告されているからです。そんな状況を勘案せず、発注の重複という現象だけを捉えて、現場のモラルハザードのせいだと論理のすり替えが起きていることには大変な違和感を覚えます。そのような中で、市内企業の経営危機を乗り越えることは、同時にそこで働く市民の雇用を守ることにほかなりません。特に現在の突発的なナフサショックのような事態に当たり、市内産業の雇用維持と不本意な雇い止めや倒産を未然に防止するため、関係機関との連携について、現在、どのようなことを行っているのか、お聞かせ願えますでしょうか。ここまでの質問は、主に民間事業者の経営に関するものでありましたが、次に、市が発注する公共施設の建設工事に対する影響について伺いたいと思います。ナフサをはじめとする原材料価格の高騰が、市が発注する土木工事、建築工事の資材、特にアスファルト混合物や塩化ビニル管などの調達価格に与えている影響について伺います。あわせて、急激な調達価格の上昇や、資材の調達困難などによる入札不調や、それに伴う工事遅延のリスクへの対応の考え方を伺います。さらに、このような物価高騰や資材不足の局面が中長期的に常態化する可能性も見据えるならば、これまでの個別最適な調達手法だけでなく、新たなアプローチが必要との声もあります。市内の中小企業や建設業者が共同で資材を調達、備蓄し、輸送効率を向上させるような共同購買・共同物流の仕組みづくりも方法論の一つに挙げられます。こうした新たな取組に関する見解をお示しください。次に、事業者の支援と雇用を守るという点に関連して、地域の産業にとっての大きな課題である後継者不足と事業承継について伺います。この件については、我が会派でも以前から質問を行ってまいりました。全国の地方都市と同様に、後継者が決まらないことや、経営者が60歳代になっても、そもそも事業を将来的にどうしていくのか検討していないというケースも多く見られたということでありました。そこで、直近の動きについてお聞きします。本市の特色ある地場産業、技術を守るための取組の一つとして、事業承継があると思いますが、事業承継に関する直近3年間の取組状況をお示しください。また、そうした産業が現代のライフスタイルや新たな顧客ニーズに合わせた新商品開発へと挑戦していく際、市としてどのような後押しを行っているのか、お示しください。このように、地場の産業の伝統を守ることと同時に、次世代産業の創出、誘致にも取り組まなくてはならないと考えております。本市でも従前から取り組んでこられたIT企業やサテライトオフィスの誘致等におけるデジタル関連産業の進出件数について、コロナ禍以降の状況をお示しください。半導体関連企業やデータセンターの誘致も、地方の政策的なトレンドとして話題に上がるものの、立地条件や環境、エネルギー政策など、様々な要素が加わることから高いハードルとなってきました。しかしながら、DXの広がりとAIの急激な進歩により、テック関連のスタートアップも以前より行いやすくなってきています。本市においても、その潮流の中で新たな動きをつくることができれば、市内経済によい刺激を与えられるのではないかとも考えています。重要なのは、デジタル技術と本市に優位性のある資源を組み合わせることで、独自性を持たせることであると考えます。本市においてどのような取組を行っているのか、御説明を願います。これからの時代、小樽市の経済が持続していくためには、これまで培ってきた伝統的な地場産業を守り、次世代への事業承継や後継者とのマッチングを丁寧にコーディネートすることと、小樽市移住・定住促進「ひと旗」プロジェクトのように、スモールビジネスを始めるサポートをすること、それに加えて、先端技術やデジタル、新分野のビジネスによるイノベーションを興すこと、それぞれのレイヤーの取組が必要不可欠であると感じています。この伝統と革新のバランスを取りながら、小樽市の経済・産業の骨太な青写真を行政が民間の力を巻き込みながら描いていくべきと考えます。本市の経済・産業の将来像について、市長のお考えをお聞かせください。以上、2項目めの質問を終わります。
答弁 市長 迫俊哉
ただいま、市内経済・産業について御質問がありました。初めに、ナフサの不足や価格高騰が市内事業者に与えている影響の把握と今後の実態調査につきましては、本年4月以降、継続的に市内事業者及び業界団体へのヒアリングや、市内の経済団体、金融機関と情報交換を実施してきたところであり、その結果、製造業、建設業など幅広い業種において、原材料の価格上昇や受注量の制限による事業への影響があるという声をお聞きしております。今後も、ヒアリングや関係機関との情報交換を継続し、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。次に、中小企業者等への支援につきましては、現在、高圧電力を使用している事業者や公衆浴場及びクリーニング事業者を対象とした支援を、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して実施しているところであり、今後は、追加の交付が示された同交付金などの活用も含め、必要な支援対象や内容、実施時期などについて検討してまいります。次に、市内産業の雇用維持等の関係機関との連携につきましては、小樽商工会議所主催の中東情勢等に関する情報交換会などにより、経済団体や金融機関と連携して必要な情報を収集しております。次に、本市発注の工事への調達価格の影響につきましては、資材メーカーや市内建設業者などへの聞き取りによりますと、アスファルト混合物や塩化ビニル管などの複数の建設資材の調達価格が上昇している状況であり、一定の影響は生じているものと認識しております。また、入札不調などのリスクへの対応につきましては、現在のところ、調達価格の上昇などが原因と考えられる入札不調などは発生しておりませんが、入札の実施に当たっては、資材価格や資材調達状況の動向を把握しながら、適切に設計に反映させ、入札不調などのリスクを最小限に抑えてまいりたいと考えております。仮に入札不調となった際には、その原因を速やかに把握し、資材価格や工期の見直しを行うなど、再入札の実施に向けて迅速な対応に努めてまいります。次に、物価高騰や資材不足への新たな取組につきましては、事業者間での共同購買や共同物流の取組は、資材の安定確保やコストの抑制、輸送の効率化といった観点から、有効な方策の一つであると考えております。次に、事業承継に関する取組状況につきましては、小樽市中小企業等実態調査を基にしたヒアリングなどを実施し、必要に応じて専門の支援機関である北海道事業承継・引継ぎ支援センターを紹介するなどの対応のほか、セミナーの開催、市内金融機関等におけるリーフレットの配架により、事業承継に関する周知、意識啓発の取組を行ってきたところであります。次に、現代のライフスタイルや新たな顧客ニーズに合わせた新商品開発への後押しにつきましては、一般社団法人小樽物産協会への委託事業の小樽産品販路拡大支援事業や、厚生労働省からの受託事業の地域雇用活性化推進事業において、新商品開発の伴走支援を行っております。また、中小企業者等が地域産業の振興に寄与する新技術及び新製品の開発を行った場合に、当該開発に要した経費の一部を助成する小樽市新技術及び新製品開発助成事業を行っております。次に、コロナ禍以降のデジタル関連企業の進出件数につきましては、令和4年度に1社、令和8年度に1社が進出しております。次に、デジタル技術と本市に優位性のある資源を組み合わせた取組につきましては、DXの普及によりAI技術は進歩しておりますが、本市においては、地域の強みを生かしたデジタル活用は十分に進められていないことから、官民連携プラットフォームを活用し、新たな技術を持つ事業者とも連携を図りながら、本市にとって優位性のある取組を進めてまいりたいと考えております。次に、本市の経済・産業の将来像につきましては、地域経済の発展は、まちの活性化のための重要な要素であることから、地域資源の強みを生かした高付加価値化や、産業の担い手の確保、育成に関する取組を進め、安定した雇用を創出し、市内経済と市民生活の好循環を生み出すなど、時代のニーズを捉えた新たな企業を含め、地域経済を支える中小企業が元気に事業を続ける環境をつくっていくことが必要であると考えております。