小樽市議会 令和7年第3回定例会 2025年9月8日
観光政策等について
2025年9月8日、小樽市議会の一般質問で、中村岩雄議員が「観光政策等について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 中村岩雄 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 20番 中村岩雄
それでは、令和7年第3回定例会、みらいの代表質問をさせていただきます。まず、観光政策などについてです。日本遺産を活用した観光振興と地城活性化についてです。小樽市は現在、「北前船寄港地・船主集落」「炭鉄港」「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」の3件で日本遺産の認定を受けており、これらはそれぞれ異なる時代背景と文化的価値を有しており、個別の事業は展開されているものの、全体を俯轍した統合的な活用や市民への浸透にはまだ課題があると感じております。まず、観光振興の観点から伺います。構成文化財を活用した周遊型観光ルートの整備や、ARデジタルマップなどの技術を活用した体験型観光の導入の現状についてお聞かせください。また、北前船や炭鉄港など広域にまたがる日本遺産について、他自治体との連携による観光資源の相互活用や共同プロモーションの可能性について市の見解を伺います。次に、次世代への啓発の観点から伺います。日本遺産を題材とした学習教材については、市内小学校において教材「小樽の歴史」などを活用した授業が行われていると伺っておりますが、地元高校・大学との連携による周知促進については市としてどのような取組を進めているのか、お答えください。若者による構成文化財のPR動画の制作や地域イベントの企画運営などに主体的な参加を促す仕組みの整備についても、市の考えをお聞かせください。最後に、推進体制について伺います。日本遺産の活用には官民が連携し、庁内横断的な体制の整備が必要と思いますが、市としての推進体制はどのようになっているのか、お知らせください。また、市民との協働について、地域団体や若者世代による日本遺産活用の促進、さらには地域プロデューサーの活用について、市の見解を伺います。これらの取組を通じて、日本遺産を単なる観光資源としてではなく、地域の誇りとして次世代へ継承し、持続可能なまちづくりにつなげていくことを強く期待しております。次に、小樽市歴史的風致維持向上計画についてです。本年7月30日、本市が策定を進めてきた歴史まちづくり法に基づく小樽市歴史的風致維持向上計画が国の認定を受けました。策定に当たっては、関係部局をはじめ、市民の皆様や専門家の方々など、多くの関係者の御尽力により、約2年の歳月をかけて取りまとめられました。この間の御尽力に対しまして、心より敬意を表します。本市は、海と山に囲まれた豊かな自然の恵みの下、港や鉄道、漁業、商業の発展とともに、独自の町並みを築いてきました。こうした歴史や文化、景観を守り育て、次世代へと継承するための計画として、確かな成果へ結びつくことを期待しまして、以下、質問いたします。本年2月には、「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」が本市単独の日本遺産の認定を受けました。それに続いて、本計画の認定を受け、しかも北海道で初の認定となりました。本計画の認定について、市長はどのように受け止めているのか、御所感をお聞かせください。次に、本計画を確実に進めていくための推進体制について、本計画を着実に実行するためには、市はどのような組織体制で行っていくのか、お聞かせください。続いて、重点区域に関することについてです。重点区域は、重要文化財などの用に供される土地やその周辺の区域であり、かつ歴史的風致の維持及び向上を図るための施策を重点的かつ一体的に推進する区域であると理解しています。今回、計画に記載する重点区域も、法の要件に基づいて設定されたものと思いますが、いま一度確認させていただきたいのは、重点区域以外の蘭島からオタモイまでの地域や、朝里などで何か取組をしないのかという点です。お考えをお聞かせください。また、計画には、重点区域内における歴史的建造物について、歴史的風致形成建造物の指定候補として68件の建造物を位置づけていますが、歴史的風致形成建造物の指定についてはどのように進めていくのか、お聞かせください。次に、国の制度活用についてです。今回、計画が認定されたことにより、本市が活用できる国の支援メニューがあると承知しています。今後、歴史的風致の維持・向上に向けて各種施策を進めていくことと存じますが、現在どのような施策に支援メニューの活用を想定しているのか、お聞かせください。最後の質問となりますが、本年2月の日本遺産の認定に続き、本計画も認定されたことで、今後、歴史的な町並みを生かしたまちづくりが一層進んでいくことが期待されます。そのためには、行政だけではなく市民や各種団体などと連携して取組を進めていくことは必要なことだと考えますが、どのように計画を推進していくのか、お聞かせください。本市の歴史と文化は、先人たちの営みと誇りによって築かれたかけがえのない財産です。今後、この計画に掲げる各種事業を着実に実施し、歴史的風致を維持・向上させて、未来へと引き継ぐとともに、市民の皆様がまちへの誇りと愛着を育めるよう期待します。次に、住民視点のオーバーツーリズム対策についてです。小樽市では、令和6年度の観光入込客数が800万人を超え、コロナ禍からの回復に伴い観光需要が急速に高まっています。観光客の増加は、地域経済にとって大きな追い風となる一方で、その集中により観光客の交通マナー違反や私有地への無断立入りなど、地域住民の日常生活に直接的な影響を及ぼす事例が増えています。特に、銭函や船見坂、JR朝里駅周辺などでは、SNS映えを目的とした危険な撮影行為が相次ぎ、JR朝里駅では実際に死亡事故まで発生し、観光地としての魅力と安全の両立が喫緊の課題となっています。観光振興は、地域経済やまちの活力にとって欠かせない一方、市民の安全と安心を守ることは行政の最も重要な責務であります。観光と市民生活の両立を図らなければ、観光そのものに対する住民の理解と協力を得られず、結果として持続可能な観光都市の実現が困難となります。このような中、本市のオーバーツーリズム対策は、まだ住民の声や生活環境の保全といった視点が十分に反映されているとは言えず、住民の生活環境を守る対策の強化が求められています。そこで質問させていただきます。まず、住民被害の把握について伺います。市として、観光客の迷惑行為による生活環境への影響の実態把握をどのように行っていますか、御説明ください。また、住民から寄せられる苦情や相談にはどのようなものがありますか、主なものをお示しください。住民視点の施策強化について、住民の生活環境の保全を目的とした対策として、迷惑行為防止の啓発や警備員配置などを強化する考えはありますか、お答えください。オーバーツーリズム対策を進める上で不可欠なのが住民の理解促進です。観光が地域経済に寄与している一方、負の側面ばかりが目立つと、住民の観光に対する意識は否定的になりかねません。観光がまちの活力を支える重要な柱であることを丁寧に説明し、観光振興を推し進める意義を改めて住民と共有する取組が重要と考えますが、今後の取組の予定についてお示しください。官民協議会の住民参加について、小樽市では小樽市オーバーツーリズム対策連絡協議会が設置されていますが、この協議会に地域住民や町内会代表に参加していただくことで、課題を抱える地域の声を反映させることが重要と考えますが、現状をお聞かせください。また、年1回程度、関係町内会に対する経過報告や意見交換も必要と思いますが、お考えをお聞かせください。今後の方向性についてです。観光と住民生活の調和を図るために市としてどのようなビジョンを持ってオーバーツーリズム対策を進めていくのか、今後の方針を伺います。今後も、小樽市ならではの魅力を守り育て、市民と観光客が共に笑顔になれる観光都市の実現を目指していただきたいと思います。以上でこの項目の質問を終わります。
答弁 市長 迫俊哉
中村岩雄議員の御質問にお答えいたします。ただいま、観光政策等について御質問がありました。初めに、日本遺産を活用した観光振興と地域活性化についてですが、まず、周遊型観光ルートの整備につきましては、民間事業者により日本遺産をテーマとした周遊型観光が商品化されておりますので、情報提供など引き続き事業者と連携してまいりたいと考えております。また、ARなどの技術を活用した体験型観光の導入につきましては有用なものと認識いたしておりますので、今後、調査・研究を進めてまいりたいと考えております。次に、シリアル型日本遺産における他自治体との連携につきましては、北前船では令和4年度に本市の雪あかりの路においてブースを設けて共同プロモーションに取り組んだほか、令和5年度には北前船子どもフェリー交流・地域活性化事業を実施しております。また、炭鉄港では、構成自治体を周遊する仕掛けづくりとして、炭鉄港カードや炭鉄港めしスタンプラリーを実施しているほか、10月には炭鉄港3DAYSの開催を予定しております。シリアル型においては、他自治体との連携が重要であると認識しておりますので、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。次に、地元高校・大学との連携につきましては、まず、高校については、令和5年度事業の高校生による日本遺産周遊コンテンツの開発として、高校生が主体となって構成文化財を巡る謎解きコンテンツを運営いただきました。また、大学については、小樽市日本遺産推進協議会に小樽商科大学に参画いただいているほか、本年7月に開催されました民間事業者によるセミナーにおいて、日本遺産をテーマに扱っていただき、多くの大学生の参加があったところであります。次に、若者の主体的な参加を促す仕組みの整備につきましては、これまで小樽市日本遺産推進協議会において、学生インタープリターの育成や学生ワークショップなどに取り組んできたほか、民間による取組としても若者主体のイベントなどが行われてきたところでありますが、日本遺産を次世代につなげるためにも、引き続き、若者のアイデアなどを積極的に取り入れることのできる環境整備に努めてまいりたいと考えております。次に、日本遺産の推進体制につきましては、産官学及びまちづくり団体が参画する小樽市日本遺産推進協議会が事業を実施しているほか、民間事業者や実行委員会などが行う事業とも協議会として連携するなど、様々な取組を進めているところであります。また、庁内におきましては、教育委員会のほか、総務部、財政部、建設部の部長が協議会の委員となり、横断的な体制で取り組んでいるところであります。次に、市民との協働につきましては、令和4年の市制100周年や令和5年の小樽運河100周年を契機に、20歳代から30歳代の若者を中心とした実行委員会が組織され、日本遺産を活用したイベント等が実施されたほか、令和3年度から令和5年度にかけて小樽市日本遺産地域プロデューサーを育成し、商品開発などに取り組んでいただいております。私といたしましては、日本遺産を活用し、地域活性化につなげるためには、こうした現代の民の力が重要と認識しており、引き続き協働して取組を進めてまいりたいと考えております。次に、小樽市歴史的風致維持向上計画についてですが、まず、本計画の認定に対する所感につきましては、本計画が北海道内で初めての認定となったことは、本市の歴史的・文化的資源を活用するまちづくりにとって、大きな意義を持つものと考えております。認定はゴールではなく、新たなスタートでありますので、今後は本計画を通じて、市民の皆さんや関係団体の皆さんと連携を図りながら、歴史的な町並みや、有形・無形の文化遺産の保全・活用に取り組み、小樽市らしい歴史と文化を後世に継承してまいりたいと考えております。次に、小樽市歴史的風致維持向上計画の推進体制につきましては、建設部、産業港湾部及び教育部が事務局として中心的な役割を担い、庁内の関係課と連携しながら、事業に関する情報の共有や進捗状況の把握などを行い、計画を推進してまいります。また、事業実施に当たっては、必要に応じて学識経験者やまちづくり団体及び市民などで構成する小樽市歴史的風致維持向上協議会や、関係する市の審議会に協議や助言等をいただくなど、調整を図りながら、事業を進めてまいりたいと考えております。次に、重点区域以外の取組につきましては、本計画において歴史的建造物保全助成事業や未指定・未登録建造物の調査事業、歴史的建造物めぐり事業など、市内全域に及ぶ事業も位置づけており、小樽地域遺産連合会をはじめ、地域の皆さんの御意見も伺い、取組を進めてまいります。次に、歴史的風致形成建造物の指定につきましては、市指定有形文化財建造物、国登録有形文化財建造物及び市登録・指定歴史的建造物として、既に価値づけされた建造物につきましては、所有者の意見を聞き、同意を得た上で指定の通知を行い、建造物に標識を設置いたします。また、現在、価値づけされていない未指定の建造物につきましては、景観審議会等の専門家による調査及び評価を行い、市登録・指定歴史的建造物などに価値づけをした上で、同様の手続を進めてまいりたいと考えております。次に、国の支援制度の活用につきましては、本計画では、歴史的風致形成建造物保存支援事業において、歴史的風致形成建造物に指定することにより、外観の修理や復原等に対する国の支援制度の活用を考えております。次に、小樽市歴史的風致維持向上計画の推進につきましては、まずは、市民の皆さんに本計画を知っていただくことが重要と考えております。そのため、広報おたるや市のホームページ、SNSなど様々な媒体を活用し、広く情報発信に努めるとともに、事業を通じて市民の皆さんや各種団体等に参加・協力していただくなど、連携して取組を進めながら、本計画の目的である歴史的風致の維持・向上を図ってまいりたいと考えております。次に、住民視点のオーバーツーリズム対策についてですが、まず、観光客の迷惑行為による生活環境への影響の実態把握につきましては、総連合町会と連携して取り組んでおり、本年8月には関係町内会との意見交換を実施するなど、実態の把握に努めているところであります。また、苦情や相談の主なものにつきましては、私有地への侵入やごみのポイ捨てなどが挙げられます。次に、住民の生活環境の保全を目的とした対策の強化につきましては、これまで本市ではマナー啓発を目的としたポスターの掲示や冬期間における船見坂での警備員の配置を行ってまいりましたが、今年度はさらに観光庁の補助金を活用し、新たに街頭放送によるマナー啓発に取り組むほか、警備員の配置箇所を船見坂に加えて、三本木急坂、JR朝里駅周辺、JR銭函駅周辺へと拡大する予定といたしております。次に、住民の理解促進に関する今後の取組につきましては、今年度、観光庁の補助金を活用し、観光が地域に与える影響を地域で共有する取組を実施してまいります。具体的には、本市が行っているオーバーツーリズム対策の取組の紹介に加え、観光が地域にもたらす恩恵を見える化して紹介するリーフレットを作成し、新聞折り込みやホームページ、SNS等を通じて広く周知を図ることで、観光振興の意義や効果について、市民の皆さんにも御理解いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。次に、小樽市オーバーツーリズム対策連絡協議会への住民参加の現状につきましては、本年3月から、町内会を代表して、総連合町会に参画いただき、地域の皆さんの声を反映しているところであります。また、今後の関係町内会に対する経過報告につきましては、引き続き総連合町会と連携して、意見交換の場を設けるなど、経過報告と課題の共有に努めてまいりたいと考えております。次に、オーバーツーリズム対策における今後のビジョンにつきましては、小樽市オーバーツーリズム対策連絡協議会の議論を基に策定した対策計画において、「「観光がもたらす恩恵」と「市民の安心快適な暮らし」の両立による持続可能な観光地域づくり」を本市の目指す姿としております。