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小樽市議会 令和5年第2回定例会 2023年6月20日

持続可能な観光都市について

2023年6月20日、小樽市議会の一般質問で、横尾英司議員が「持続可能な観光都市について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。

質問者
横尾英司 議員
答弁者
市長 迫俊哉

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 10番 横尾英司

次に、持続可能な観光都市についてお伺いします。政府は、本年3月31日に2023年度から2025年度に向けた新たな観光立国推進基本計画を閣議決定しました。観光庁は、この計画に基づき、持続可能な形での観光立国復活に向けた様々な施策を進めています。その中で、観光の質的向上を象徴する、持続可能な観光、消費額の拡大、地方誘客促進の三つをキーワードに、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復戦略、国内交流拡大戦略の三つを具体的な施策として、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策を提示しています。各領域では、質の向上を重視し、人数に依存しない目標を中心に設定されていることが特徴です。持続可能な観光地域づくりでは、取り組む地域数を2025年までに100地域にすることを目指しています。インバウンド回復戦略では、訪日外国人旅行消費額を早期に5兆円に増やす、訪日外国人旅行者の消費額単価を2025年までに20万円とするなどを設定しています。国内交流拡大戦略では、日本人の地方部延べ宿泊者数を2025年までに3.2億人泊に増やす、国内旅行消費額を早期に20兆円、2025年までに22兆円に増やすという目標が掲げられています。まさにこれからは、量から質へ転換し、持続可能な観光都市を目指していくことを示しています。また、コロナ禍以降の旅のキーワードとして、地方分散、サステナブル・ツーリズム、アドベンチャートラベルの三つが挙げられていました。しかし、持続可能な観光を指す、サステナブル・ツーリズムという考え方では、幾ら観光地側が工夫をしてもできる対策には限界があることから、観光客一人一人に責任ある行動を求める、レスポンシブル・ツーリズムという一歩進んだ考え方が生まれました。そこで、レスポンシブル・ツーリズムについてお伺いいたします。令和2年第3回定例会の経済常任委員会でも、レスポンシブル・ツーリズムという、観光地の生活・自然環境を守るため、訪れる側の取組を重視する動きを紹介し、京都の事例を示し、観光客の集中により市民の生活が脅かされるオーバーツーリズム現象となりつつある小樽市においても、リピート志向、滞在志向の観光客を地域に引きつける、質の観光、そして、ニューノーマルにおける新たな観光として積極的に導入したらどうかという提案をさせていただきましたが、前回の第1回定例会で確認したところ、ほとんど進んでおりませんでした。そのときに紹介した京都府京都市では、この3年間のうちに、観光事業者、従事者、観光客、市民の皆さんがお互いに尊重し合い、思いを一つにし、かけがえのない京都を未来へと引き継いでいくため、京都観光に関わる全ての皆様に大切にしていただきたいこととして、京都観光行動基準(京都観光モラル)を策定するなど、かつて観光課題が発生していた新型コロナウイルス感染症拡大以前の観光に戻すのではなく、観光客も京都の魅力をしっかり味わい、市民もより豊かさを実感できる地域に貢献する観光を目指したレスポンシブル・ツーリズムを着実に進めていました。今後、観光客の皆様にも小樽市の魅力をしっかり味わっていただきながら、市民生活や地域文化をより重視し、市民及び観光客の皆さんの安心・安全の確保を図りながら、市民の皆さんがより豊かさを実感できる、地域に貢献する観光を目指していく必要があると考えますが、オーバーツーリズムを解消する手段ともなる小樽市におけるレスポンシブル・ツーリズムを具体的に導入し、根づかせていただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。次に、自然などの魅力や資源の活用についてお聞きいたします。アドベンチャートラベルは、アクティビティー、自然体験、異文化体験の3要素のうち二つ以上を含む旅行形態のことを指し、欧米市場では非常に大きなニーズが存在します。本年9月には、北海道でアドベンチャートラベル・ワールドサミットが開催されます。食事やアクティビティーなどの関連消費は大きく、旅行期間も通常の旅に比べて長いため、消費額は必然的に高くなります。このアドベンチャートラベル・ワールドサミットを契機に、欧米の富裕層が日本のアドベンチャートラベルに注目するはずです。小樽や後志の豊かな自然や文化の魅力を最大限に引き出したアドベンチャートラベル商品が提供できればと考えています。そこでお聞きしますが、朝里川温泉のさらに奥に朝里ダムがあり、ダムにせき止められてできた人造湖、オタルナイ湖は、秋になると周辺の山々が色づき、紅葉スポットとしても親しまれています。また、自然とダムの空間をダイナミックに体験させる北海道では初めてのループ橋の景観は、小樽市都市景観賞も受賞しています。オタルナイ湖の湖畔は、朝里ダム記念館のほか公園として、レクリエーションゾーンや展望ゾーンなどが整備されていますが、湖面は利用されておりません。この湖面利用について、朝里川温泉地域と近い位置にあることから、観光面ではかなり有効なものではないかと考えられ、アドベンチャートラベル商品としても、また、小樽市の豊かな自然の魅力を引き出す資源になるのではないかと考える方も多いかと思います。近年、自然環境、レクリエーション等に対する国民の要望が高まる中で、ダム、ダム湖及びその周辺地域は、水と緑のオープンスペースとして、その利活用の推進、自然環境の保全等を図ることにより、地域の活性化に重要な役割を果たすことが期待されており、地域の創意工夫を生かすとともに、ダムをより快適に一層開放し、ダムが地元にとってより密着した施設になるよう、ダムの利活用をさらに推進し、地域の活性化を図られていると伺っています。しかし、市内で使用される水道水の約6割の水源となっているオタルナイ湖ですので、水質汚染につながらないような形での限定した活用になるかと思いますが、市ではオタルナイ湖の湖面利用の可能性についてどのような見解をお持ちか伺います。次に、高付加価値化についてお聞きします。観光庁では、令和4年5月に地方における高付加価値化なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプランを策定し、その中で、高付加価値旅行者の誘致へ向けた課題として、ウリ(魅力的なコンテンツの発掘力・商品造成力)、ヤド(上質なインバウンド宿泊施設)、ヒト(高付加価値旅行者層のニーズを満たす人材)、コネ(有力な高付加価値旅行者誘客人脈へのコネクション力)の不足を挙げています。日本は北海道から沖縄県まで、文化や自然の保全を当たり前のように行っており、サステナブル・ツーリズムの資源は豊富ですが、日本人はなかなかその資源に気づかず、むしろ訪日客のほうが敏感です。石川県金沢市の兼六園では、美しい庭園を維持するために、枯れたコケを手摘みする庭師がおり、その庭師の仕事や歴史をガイドが紹介すると、訪日客は、ぜひその庭師と一緒に写真を撮りたいと言うそうです。そういった背景などをガイドから説明する仕組みをつくることで、訪日客ニーズに応えることもできるという事例でしたけれども、訪日客の、特別なものや体験、学びが欲しいというニーズに応えるためにも、現在のサービスに付加価値をつけて料金を上げるというのは正しい方法だと考えます。これらの高付加価値旅行者の誘致へ向けた課題とされる各項目における市の現状についてお示しください。その上で、市ではインバウンド観光地づくりを通じた地域活性化の取組として、どのようなものが付加価値としてつけることができると考えているのか、また、どのような仕組みや体制、そして、制度が必要であると考えているのか、見解をお示しください。次に、宿泊施設のDXについてお伺いいたします。小樽市観光基本計画の観光客が快適に過ごせる環境整備の項目では、小樽を訪れた様々な観光客がストレスなく滞在時間を快適に過ごすことができるよう、交通アクセスについての情報提供のほか、トイレや駐車場など受入れ施設の整備などの環境整備を行うこととしており、主な取組の中に、民泊利用の可能性の検討も設定されています。小樽市が抱える課題である滞在時間延長、宿泊者数の増加に貢献できる一つの要素となる民泊ですが、平成29年12月に成立した旅行業法の一部を改正する法律の施行に伴い、新基準に合わせた旅行業法施行令と施行規則が平成30年6月から施行されると同時に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されることで大きな規制緩和が起こり、合法的に民泊がやりやすくなりました。これまで必須であったフロントの設置基準も緩和され、宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること、当該画像が施設の近傍から発信されていることを確認できることを要件にICT設備の導入が認められることになりました。これは、顔認証による本人確認機能を有するビデオカメラを想定しており、対面での受付は不要となるものです。また、ICT設備をフロントの代替として活用する場合、宿泊者の緊急を要する状況に対し、10分程度で職員などが駆けつける体制が整備されていれば、鍵の受渡しは手渡しでなくても可能とされました。一般的に、外国人観光客の増加や多様な宿泊施設の選択肢を提供する観点から、国は規制緩和の方向で進んでいると言えます。この旅館業法改正及び施行令改正もその枠内にあったかと思いますが、これに対して地方自治体の立場からすると、外国人観光客が身近に増えるということについては、地域住民からの不安の声が出てくることも少なくありません。また、地元の旅館業からすると、旅館業や民泊新法による規制緩和は、競争激化の側面もあり、緩和してほしくないという声も出てきます。つまり、総論として、日本に外国人観光客が増えて経済が活性化することについては賛成するが、各論として、自分の身近なところに外国人観光客が増えることについては不安があるという状況が少なくないそうです。その結果として、国は規制緩和をするが、地方公共団体は条例で規制し、セルフチェックインを認めていない自治体があるとお聞きしています。これが上乗せ条例と言われ、法律や施行令で定まったルールを超えて、地方公共団体などが条例により、さらにルールを厳しく上乗せすることを指します。そこでお聞きいたしますが、小樽市においてこのようなICT設備の導入により、対面での受付は不要とする事例についての対応とその根拠についてお示しください。セルフチェックインのツールは、基本的に法令を遵守するシステムとなっており、本人確認や宿泊台帳の記録も可能になっています。また、鍵の受渡しに関しても、電子キーなどのツールと組み合わせることによって完全非対面を可能にすることができる旅行業法にのっとったシステムなのですが、もし認めていないのであれば、規制のない他の自治体で開業してしまう方も増え、市が抱える課題である滞在時間の延長、宿泊者数の増加の機会を逃すこととなってしまいます。AIでの顔認証などを含めたICT機器の導入などを活用した営業形態があれば認めていただきたいと思いますが、見解をお示しください。以上、2項目めの質問を終わります。

答弁 市長 迫俊哉

ただいま、持続可能な観光都市について御質問がありました。初めに、レスポンシブル・ツーリズムについてですが、具体的な導入につきましては、本市においては、現段階では京都市のように観光行動基準の明示には至っておりませんが、外国人観光客に対し、市のホームページ等を通じて、日本の習慣やルール、マナーに関する情報を発信しているほか、立入禁止区域での撮影行為等が問題となっている地域には多言語による注意喚起の貼り紙を掲示するなど、所要の対応を講じてきたところであります。今後、持続可能な観光都市を目指すためには、レスポンシブル・ツーリズムの実践は必要であると認識しておりますので、国内先進都市の取組なども参考にしながら、周知、啓発の方法について登録DMOである小樽観光協会などと協議をしてまいりたいと考えております。次に、自然などの魅力や資源の活用についてですが、オタルナイ湖の湖面利用の可能性につきましては、朝里ダムとその周辺を含む朝里川温泉地区の観光レクリエーション機能の充実については、温泉地区の活性化はもとより、本市の観光振興に大きな効果をもたらす可能性が高いものと考えております。しかしながら、市内の6割以上へ給水する水道原水として利用しておりますので、湖面利用による水質汚染の危険性も否定できず、その確率を高めることについての懸念があることから慎重に対応しなければならないものと考えております。次に、高付加価値化についてですが、まず、高付加価値旅行者の誘致へ向けた課題の現状につきましては、私といたしましても、本市が観光地としても投資先としても選ばれるまちとなるためには、量も必要ですが、質の向上に軸足を置き、観光施策を進めることが経済波及効果の面から重要であると考えております。しかしながら、本市の現状としては、旺盛な旅行消費が期待される訪日客のニーズを満たすための魅力的なコンテンツや上質な宿泊施設、また、これらのサービス提供に必要な人材などが、いまだ十分ではないと認識をしております。次に、付加価値としてつけることができる取組につきましては、日本遺産を活用した取組や、小樽運河倉庫群や旧北海製罐株式会社小樽工場第3倉庫などの歴史的建造物のライトアップを活用した高付加価値旅行者のニーズに合った旅行商品の造成などが挙げられます。次に、必要な仕組みや体制等につきましては、特に高付加価値化のヒトについて、引き続き、おたる案内人やインタープリターなどの人材育成を進めるとともに、令和4年度から小樽観光協会が進める、おもてなし推進事業を支援し、リピーターの獲得を目指し、質の高いサービスを提供できる人材の育成に努めているところであります。また、令和4年度は、観光庁の地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業を活用し、市内宿泊施設や観光施設の高付加価値化改修に取り組んできたところであり、こうした施設の高付加価値化に活用できる補助制度についても必要であると考えております。次に、宿泊施設のDXについてですが、まず、ICT設備の導入により、対面での受付は不要とする事例についての根拠とその対応例につきましては、厚生労働省の旅館業における衛生等管理要領と令和2年10月12日付事務連絡に基づくもので、対面での受付を不要とする要件は、緊急時の迅速な対応ができること、テレビ電話やタブレット端末機により画面上で宿泊者の本人確認ができること、さらに、鍵の受渡し等を適切に行うことが可能であることを全て満たすことであります。次に、ICT機器の導入を活用した営業の許可につきましては、旅館業法に規定される一定の基準を満たせば、市として営業を認めております。しかし、現段階におきまして、AIによる顔認証のみでは宿泊者の本人確認としては認められておりませんが、今後におきましても、厚生労働省の動向を注視しながら個別事例ごとに適切に判断をしてまいりたいと考えております。

出典:小樽市議会 令和5年第2回定例会 2023年6月20日 議事録 PDF(57ページ) 間違いを知らせる