小樽市議会 令和8年第2回定例会 2026年6月15日
生活保護受給者の自立支援について
2026年6月15日、小樽市議会の一般質問で、橋本布美絵議員が「生活保護受給者の自立支援について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 橋本布美絵 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 9番 橋本布美絵
生活保護受給者の自立支援について。生活保護受給に至る理由には、障害やひきこもり、ニート、難病、独り親、高齢者等、様々あります。働きづらさを感じている就労困難者の数は、公益財団法人日本財団の推計では国内で600万人に上り、そのうち適切な支援があれば270万人が就労可能とされています。本市の生活保護受給者は、市内の高齢化率も高いことから、高齢者の割合が多いとは思いますが、私は以前、若くして持病により働けなくなり、生活に困窮した方の相談を受けたことがあります。その方は、できれば生活保護を受けずに頑張りたいと生活していました。しかし、経済的に通院ができなくなり、持病が悪化。友人が心配する中で、相談につながりました。その方と、まずは健康になることが大事である等のお話をする中で、できれば働き、自立したいとの気持ちが強いことが分かり、陰ながら応援したいと思いました。いわゆる生活保護からの卒業は、仕事に就くことがゴールではないとも思います。しかし、人口減少、生産年齢人口の減少が進む中、生活困窮者やひきこもりなどの層が社会で自立することは、福祉的課題にとどまらず、地域経済維持のために社会の一員として活躍してもらうことも、今後のまちづくりに必要であるとも考えると、そこに至るためには、たくさんの時間や労力が必要であっても、一方的な受益者と見るのではなく、地域の担い手へという視点を持った支援が必要ではないでしょうか。生活困窮者自立支援制度ができて10年が過ぎました。これまで、経済的貧困のみならず、コミュニケーションの力、人間関係の貧困が可視化され、声なきSOSに向かい合う中で、単に就労のみがゴールではないことが見えてきました。令和7年度で、本市が行っている被保護者就労準備支援事業の利用者数と支援の内容、そのうち実際に就労等につながった人数をお示しください。釧路市が行っている生活保護利用者自立支援プログラムについて、会派で視察をしてきました。このプログラムでは、就労による生活保護の脱却だけではなく、健康的な生活を自ら管理する「日常生活の自立」、社会とのつながりを築き維持する「社会生活の自立」、新たな仕事に就いたり、増収を図ったりして、経済的に自立した生活を送る「就労の自立」という3段階に分け、本人の状況に応じた目標設定を行います。健康を保ち、健やかに暮らせること、地域や社会とのつながりを持ち活躍ができること、そして自分らしく生きられること、就労前の寄り添いに力が入れられていることが分かります。様々な働きづらさを感じている就労困難者の自立支援には、当事者がその人らしく生きるための支えが必要です。このプログラムでは、平成15年に厚生労働省のモデル事業として始まり、当時、全国平均をはるかに上回る受給率であった母子世帯に対し、地元大学と協力し受給している世帯と、していない世帯に対しアンケート調査を行い、受給者の傾向を調査しました。調査では、受給世帯の母親の低い自尊感情や、管理・監督的な指導により意欲を失っていることが判明し、エンパワーメント(自発的な行動促進)を重視する方針に転換したという背景があります。小樽市での生活保護受給者の自立支援では、どのような取組をしていますでしょうか、お示しください。自尊感情を高め、エンパワーメントを醸成するために、必要なことの見極めが必要です。例えば、学歴等に課題がある場合は、履歴書の内容を補う就労訓練や資格取得なども必要ではないでしょうか。昨年度末での、生活保護受給世帯の数と世帯類型別の世帯数をお示しください。生活保護を受給している母子世帯の自立支援上の課題をお示しください。本市での自立支援におけるエンパワーメントの醸成に関して、取り組んでいることをお示しください。生活保護世帯の独り親等に限らず、就労困難者世帯の子供には体験格差なども生まれます。親は、体験を望む子供の気持ちに寄り添いたいものです。しかし、子供の貧困について研究している方が、日本は海外に比べると、子供が最低限ここまで享受すべきであるとの生活の基準値が低いと話しています。勉強やスポーツに比べると、絵画、音楽といった趣味や旅行などのレジャーは、あったほうがよいが、持てなくても仕方がないとの傾向が高いと言います。体験格差は、将来どのような影響が出るのかは個人差もありますが、貧困の連鎖を起こさないためにも、当事者への聞き取りや寄り添いが必要ではないでしょうか。本市でも、子供への学習支援を行っていますが、令和7年度の利用状況を中学生・高校生別にお示しください。また、子供の体験格差を埋める支援や取組について、本市としてのお考えをお示しください。生活保護受給者が就労の自立を目指すには、地域企業などの協力も必要です。自尊感情を高めて、労働意欲を醸成するために、釧路市のプログラムでは、介護ヘルパーの補助員を被保護世帯の母親に呼びかけ、参加者の状況に合わせてプランを立て、3週間から6か月の期間、補助作業を行いました。事業所や利用者からの感謝の言葉に触れ、自分が必要とされている実感を得ることで、自分は支えられている側に立っているが、支える側にも立てるのだと思えたと言います。この補助作業は20人が参加し、そのうち16人が資格を取得し、そのまま就職もしたそうです。また、千葉県では、障害者手帳がない就労困難者が、手帳保有者向けの就労継続支援A型、B型事業所などで就労訓練を受け、一般就労を目指した事例などもあります。就労訓練の段階に応じた支援には、地元企業との連携も必要だと思いますが、どのような取組をしているでしょうか。また、本市の自立支援を受けた方の感想などがあればお示しください。支援する場合の組織体制についてお聞きします。生活保護のケースワーカーは、1人で多くの方の担当を受け持っていると思います。本市では、生活保護世帯の高齢者比率が高いと思いますが、ケースワーカーや会計年度任用職員などの担当業務を、例えば高齢者担当と稼働層担当などに分けるなど、職員と会計年度任用職員の配置や作業内容の細分化等で、職員の負担が軽減される体制づくりも大切ではないかと考えます。現在ケースワーカーの人数と、1人が受け持つ世帯数をお示しください。ケースワーカーが、業務の中で職員の声を反映するような仕組みはありますでしょうか。あれば、どのような声が反映されたかを御説明ください。生活保護を受けている場合は、その生活の状況を把握し、複合的課題があっても、支援につなぐことができます。しかし、生活保護受給に至る前での相談体制も重要であります。現在、本市では、たるさぽで様々な困り事の相談を受け付け、重層的な支援をしています。令和7年度の新規相談件数と、相談の中で割合が多い相談をお示しください。就労に関する相談では、どのようなケースが多く見られるのか、お示しください。本市でも、近年、競技者、経験者が増えているモルックは、フィンランドのソーシャルファームが商品化したブランドです。ソーシャルファームとは、一般の労働市場で働くことが難しい方たちに、きちんとした雇用を提供する社会的企業のことです。障害者、ひきこもりの経験者、独り親、刑務所出所者、高齢者など、多様な就労困難者や働きづらさを感じている方が、一般の従業員と対等に働ける場をつくることを目的としています。日本では、恩賜財団済生会が、ソーシャルファームジャパンを推進しています。ソーシャルファームの理念を基に、農業を行う企業などが増えてきています。小樽市では、北海道済生会との地域共生社会の実現に関する包括連携協定を結んでいますので、ソーシャルファームの考え方を共有していくことが地域共生社会の実現に寄与するものと考えます。以上、第2項目めを終わります。
答弁 市長 迫俊哉
ただいま、生活保護受給者の自立支援について御質問がありました。初めに、被保護者就労準備支援事業につきましては、3人の方が利用され、本人の自立指導、コミュニケーション能力等の開発、就労に向けた訓練、企業等でのボランティア体験などを支援し、お一人がボランティア活動を通じた社会参加につながったところであります。次に、本市の自立支援における取組につきましては、生活保護における通常ケースワークに加え、自立支援相談員による面談や助言を行うほか、本人からの希望があれば、ハローワークと連携しながら、就業指導員による求人情報の提供や助言などの支援を行っております。次に、昨年度末での生活保護受給世帯数などにつきましては、生活保護受給世帯数は2,968世帯であり、類型別に申し上げますと、高齢者世帯が1,808世帯、母子世帯が102世帯、障害者世帯が316世帯、傷病者世帯が348世帯、その他が394世帯となっております。次に、生活保護を受給している母子世帯の課題につきましては、子供が小さい場合、保育所などの託児場所が決まらないため、求職活動が十分に行えないことや、就業の稼働時間が制限されることから、経済的自立が難しいことなどであります。次に、エンパワーメントの醸成につきましては、全ての生活保護受給者に対し、通常のケースワークの中で行ってはおりますが、特に自立への意識が希薄な方に対しましては、自立支援相談員や庁内関係各課が連携し、例えば、日常の生活リズムの改善や部屋の整理整頓を促すなど、一人一人の状況に応じ、寄り添いながら、主体性を持って生活を送ることができるよう取り組んでいるところであります。次に、本市で行っている学習支援につきましては、経済的な理由によって塾に通えないなど十分な学習の機会を得られない中高生を対象に、学習と生活を支援する、おたる子ども未来塾を令和元年度から開設しており、令和7年度末の登録者数につきましては、中学生が41名、高校生が8名となっております。また、子供の体験格差につきましては、将来の選択肢を狭めるなど、子供の将来にも影響を及ぼす懸念があると認識しており、生まれ育った環境にかかわらず、全ての子供が能力や可能性を最大限に伸ばし、それぞれの夢に挑戦できることが望ましいものと考えております。次に、就労訓練における地元企業との連携等につきましては、就業指導員を通じ、ハローワークが地元企業と連携して行っている就労支援制度のプログラムにつなげ、地元企業での訓練を受けられるようにしております。支援を受けた方からは、できることが増えて、自信につながったなどの感想をいただいているところであります。次に、ケースワーカーにつきましては、本年4月1日現在では37名であり、1人当たりの担当世帯数は、地区別に担当者を配置しているため、担当する世帯数にばらつきはありますが、平均すると80.2世帯となっております。国が定めるケースワーカーの配置基準は80世帯に1人となっており、現時点では、この基準を満たしております。次に、ケースワーカーの声につきましては、各ケースワーカーからの意見やアイデアを係長職である査察指導員を通じて聴取し、毎週開催している査察指導員会議などにおいて検討の上、必要に応じて業務に反映させております。最近では、生活保護システムの標準化に伴って発生した業務手順の変更などにおいてアイデアが出され、業務負担の軽減化とミスの未然防止につなげられた事例があります。次に、令和7年度におけるたるさぽの新規相談件数等につきましては、新規の相談は234件で、そのうち経済的困窮に関するものが140件あり、全体の約6割を占め、最も多くなっております。次に、就労に関する相談につきましては、単に失業、経済的困窮という理由にとどまらず、長引くひきこもりや心身の健康不安、過去の就労における挫折経験、さらには周囲の人間関係からの孤立といった複合的な課題を抱えているケースが多く見られます。