小樽市議会 令和6年第1回定例会 2024年3月5日
人口減少対策について
2024年3月5日、小樽市議会の一般質問で、髙橋龍議員が「人口減少対策について」質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 髙橋龍 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 18番 髙橋龍
二つ目の項として、人口減少対策について伺います。このたびの予算編成に当たっては、「危機」に立ち向かい、希望が集まるまちづくりがテーマであったとのことです。ここで言う危機とは、人口減少とそれに伴う歳入減や市内経済の停滞であると捉えます。そして、希望が集まるとは何かといえば、人や企業、投資が集まることを指していると市政執行に対する市長の所信から受け止めたところです。これまでも多様な経済施策を行ってなお、今の状況があることを見てまいりました。それゆえ、ここへ至って、さらに各施策の実効性を上げるため知恵を出し合わなくてはなりません。ですから、次年度の事業の中でも政策的予算がどのように使われるのか、人口減少にあらがうために何を行うべきなのか問うてまいります。投資を集めるという文言は様々な解釈ができることから、まずその点について伺います。人や企業、投資を集めるための施策とは何を指すのか、当初予算に組み込まれている事業からお答えください。次に、移住促進の取組の中で、今年度、モニター的に実施した親子ワーケーションは、事業の組立てや周知、集客が難しい事業ではありますが、大変興味深く見ておりました。モニターを実施してみて多くの困難もあったと推察されることから、お聞きします。今年度の親子ワーケーションの課題認識をお示しください。そして、それを踏まえて次年度にブラッシュアップする点についてもお答えください。また、次年度、令和6年度の目標数値について、今年度当初の話では120組程度と示されていたと記憶しておりますが、改めてどう設定するのでしょうか。目標数の増減があるとすれば、その理由についてもお答えください。少子化傾向を反転させるには、自治体の独力では困難を極める上、短期的に効果が見込まれないことから、多くのまちが人口減少対策では社会減対策、とりわけ移住促進に力点を置いています。本市もまた同様であると考えますが、かねてより申し上げているのは、移住を呼びかける際には他都市との違いを明確化させる必要があるということです。ここで、多くの自治体が移住者を呼ぶために子育て支援を打ち出していることについて触れたいと思います。社会システムとして、子育て支援のさらなる拡充が必要不可欠であることに異論はありません。そして、社会増になっている自治体で、子育てしやすいまちを標榜する割合が高いのも事実です。ただし、類似の事業を水平展開したときに先進地と同じ結果が得られるというわけではなく、成功しているところは、近隣地域に先駆けていたことやプロモーションの妙などの要因が存在しているのでしょう。つまり、2匹目のドジョウはいないかもしれないということ。ただやっていることを他市と同程度の規模で行ったとして、条件として並ぶだけで、優位性が生まれるわけではないため、幾度も申し上げてきた独自性が必要であると言えるのです。そこで伺います。子育てにおける本市の強みは何であると考えていますか。その強みは可視化して、移住のターゲットとなる方々に広く知らせることはできているのでしょうか。施策の中身よりも、先駆けてこういうことをやっていますという姿勢に対して魅力を感じたりすることのほうが多いのではないかとも思うのです。場合によっては、事業の中身よりも力強いキャッチコピーで誘引されることすらあり得るということです。ほかと同じ土俵ではなく、小樽市しかやらない、やれないことを打ち出す。極端な話、隣接自治体で効果の出た施策は、あえてやりませんということすらあり得る選択だと考えます。自治体も個性、ダイバーシティーを打ち出す時代、小樽でのライフスタイルの提案をし、共感してくれる人を呼ぶことで、まちの活性化と、定住性の向上を図ることができるのではないでしょうか。次に、移住促進の重要な要素である仕事に関する施策に触れます。以前、事業承継の話と絡めて、近しい提案をさせていただいたことから、市内に滞在しながら地域の仕事を体験してもらうワーキングホリデーの施策には期待をしているところです。この事業の内容について、対象者や狙いなどを少し具体に御説明いただきたいのですが、いかがでしょうか。本市には、人口減少に立ち向かうための組織として、人口対策会議が設置されていると存じます。そこではどのようなことが話されているのかなど、同会議の内側がどうなっているのかをぜひお聞きしたいと思います。人口対策会議について、会議の持ち方や頻度などについて御説明をお願いします。また、直近で話し合われている内容についてもお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。人口減少対策会議ですから、人口減に対する策を議論する会議ということであると考えます。人口減に関する政策の意思決定もこの会議が行っているのでしょうか。加えて、政策立案の機能として、この会議が持ち得るのかどうかもお聞かせいただけますでしょうか。そもそも人口減少がなぜ問題か。人口が少ないこと自体が直接的に悪いわけではなく、少子高齢化による支え手の減少、経済の縮小、インフラ維持の困難さなどに問題があるわけです。そのため行政経費、とりわけ物理的なインフラの維持コストは縮小できることが望ましいのです。やはり市街地の在り方を長い期間をかけて理想に近づけていくためにも、長期にわたる計画が重要であることが分かります。そこで、人口が減ることを認めた上での対策である、まちなか居住の推進に関して改めて伺います。市街化区域縮小の見直しなどと組み合わせて、インフラや行政サービスの維持として効率的かつ望ましい市街地の規模で居住誘導を考えることも必要かと思います。この点に関しての御所見と展望はいかがでしょうか。人口減対策として、全国各地で様々な都市が移住を呼びかけているのは御存じのとおりです。しかし東京への人口集中は止まりません。古くからの漁村、農村は、過疎化が加速し、国全体で見ると、首都圏一極集中の超コンパクトシティーではあるものの、度が過ぎてしまっていて、デジタル田園都市国家構想のデジタル部分が主体になってしまい、田園回帰を起こせていません。少子化対策も異次元と称するほど政府もせっぱ詰まっていますが、子育て支援策の充実に偏っている印象が否めません。子育て支援イコール少子化対策とならない理由は複数あります。第1に、子育て支援は、既に子供を持つ世帯に焦点を当てており、少子化の根本的な原因である出生率の低下に直接的な影響を与えにくいこと。第2に、子育て支援は経済的な面だけでなく、働きやすい環境や教育制度の整備などの要素も含みますが、これらの要素が十分に整備されない限り、支援の効果は限定的であること。さらに、社会や文化の変化により、若年層の結婚や出産の意欲が低下していることも考慮すべきであるため、少子化対策には単独での子育て支援だけでなく、より包括的かつ多角的なアプローチが必要とされているのです。ただ、人口減少は2030年までがポイントと方々で言われているのはそのとおりで、タイムリミットは目前に迫っているのだと考えます。そこまでの道のりに政策的に何をやるかが、我がまちにとっても重要であると考えます。2030年をデッドラインとすれば、中期的な見通しは今、立てるしかないと思います。次年度以降の5年間における少子化対策への向き合い方や必要な取組に関して、本市の考えをお聞きできますか。ただ、出生数の増加に向けては、自治体の介入で解決できることと、そうでないこともあります。市長の提案説明の中でも近しいことが言われていたように記憶をしています。人口減は全て行政の責任とは言えず、市民の方々の協力なくしては解決できることではありません。人口減に立ち向かう協働の姿として、民間企業や市民の方々に対して呼びかけたいこととしてはどのようなことがあるのか、お聞かせください。また、人口減対策のKPI設定、目標などを細かく設けないと、惰性で意識が薄くなると思いますが、改めて目標をどのようにお考えですか。一つの施策だけで人口を増やすというのは困難であるため、施策の力学を考えて体系化をしなくてはいけないわけです。事業をつなぎ合わせることで大きな政策体系をつくり、その中でどういう効果が生まれるのか、データを取れるようにしないとなりません。以前の本会議でも、地域の未来予測のような形で本市の今後を可視化してほしいと要望しており、できるのが望ましいという御答弁をいただいたと承知しております。その後の進捗はいかがですか。度々その件を申し上げているのは、危機感の共有を必要としていると考えるからです。毎年、人口が減っていること、少子高齢化の進行、インフラの維持も大変で、市の財政は厳しいという大まかなことは多くの市民に伝わっているはずです。しかし、市内では大型の開発もあり、お金がないとはいえ、そうした事業に支出できるなら大丈夫なのだろうという空気もあり、細かな状況が見えなければ我が事として捉えることは難しく、誰かが何とかする話という心理に陥ってしまうため、改めてこのまちの未来像、ビジョンを示し、次のアクションにつなげていかなくてはなりません。まさに危機に立ち向かう気概を持たなくてはならないことから伺うところです。以上、この項の質問を終わります。
答弁 市長 迫俊哉
ただいま、人口減少対策について御質問がありました。初めに、人や企業、投資を集める施策につきましては、移住促進策としては、本市での暮らしを体感してもらうワーキングホリデーや、おたる移住・起業「ひと旗」サポートセンターの運営を行う人口戦略推進事業などに取り組んでまいります。また、観光面では、ナイトタイムエコノミー等を推進する観光誘致促進事業費補助金、効果的なインバウンド誘致を進める外国人観光客誘致広域連携事業費補助金、クルーズ船の寄港の促進に取り組む小樽港クルーズ推進事業などにより誘客の促進に努めるほか、第3号ふ頭周辺における新たな人の流れを生み出すため、観光船ターミナル整備事業などを進めてまいります。このほか、企業誘致促進事業やサテライトオフィス誘致事業の取組により、本市の特性を生かした企業誘致を進めるとともに、新規創業の促進や雇用の場の創出を図るため、創業支援事業に取り組んでまいります。次に、今年度実施している親子ワーケーション事業の課題と来年度に向けた改善点につきましては、昨年7月の募集開始時には、発達支援事業所において午前中のみの受入れで事業を開始いたしましたが、午後からの受入れも希望する声が多く寄せられたことから、保育所との併用により、昨年12月から受入れを可能にし、新年度は当初から実施をすることといたしました。また、既に他地域で実施をしている保育園留学と同様の募集方法では対象となる御家族に情報が行き届きにくかったことから、本市で親子ワーケーションを体験された御家族の経験談を積極的に情報発信するとともに、全国の児童家庭センターの学会や研修での事例発表、済生会のネットワークを活用した情報発信など、新年度に向けて周知を強化したいと考えております。次に、次年度の親子ワーケーションの目標数値とその増減理由につきましては、今年度当初の目標数値については、他地域で既に行われている保育園留学の事例を参考に、月10組の受入れを目標としておりました。新年度の数値目標につきましては、事業の認知度向上や浸透にさらなる時間を要することが想定されますことから、月1組、年間12組の受入れを目標にしたいと考えております。次に、移住促進を目的とした子育て支援策における本市の強みにつきましては、発達障害のある子供を対象とした親子ワーケーションを行っている北海道済生会が運営する発達支援事業所は、商業施設と連携した全国的にも特色ある支援サービスや、専門職として作業療法士と言語聴覚士が勤務し、保育士と連携したプログラムを提供しており、この充実した子育て環境は本市の強みの一つと考えております。現状、情報発信方法の充実などに課題はありますが、関係人口の創出を行い、移住・定住につなげることを目的に、本市ならではの取組として推進してまいりたいと考えております。次に、新年度に実施するワーキングホリデー事業の内容につきましては、東京圏の若者世代をターゲットに、市内の短期間、短時間労働の求人者と求職者のマッチングを行い、本市に滞在し、働きながら地域の暮らしを体験してもらう事業であり、観光業を中心とした市内の労働力不足の解消や関係人口の創出、将来的な移住促進を図ることを目的としております。次に、人口対策会議の開催状況につきましては、現在は第2期小樽市総合戦略を推進する組織として、国が例示する構成員により設置し、年1回の会議を開催しております。直近では本年2月16日に開催し、毎年のKPIの達成状況や進捗状況の確認、人口動態の情報共有のほか、広く各界の立場から本市が進めている人口減少対策への意見をいただいているところであります。次に、人口対策会議の機能につきましては、第2期小樽市総合戦略の効果検証を行うに当たり、広く各界の方々から御意見をいただき、必要な対策を検討することを目的に設置していることから、政策の意思決定や政策立案の機能はありません。次に、まちなか居住と市街地の規模につきましては、移住・定住の促進により、人口減少の抑制を図る一方で、将来の人口規模に適用した規模で居住を誘導・集約し、市民の安心・快適な暮らしと持続可能な行政サービスを確保していく必要があるものと考えております。こうした考えの下、現在、小樽市立地適正化計画を策定中であり、市街化区域内に居住や都市機能を誘導する区域を設定し、将来の人口減少下においても持続可能で効率的なまちの形成を目指し、作業を進めているところであります。次に、次年度以降の少子化対策につきましては、若い世代の方々が自らの主体的な選択により結婚し、子供を産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれのライフステージに社会全体で寄り添い、支えていくことが今、必要になってきているものと考えております。このため、若い世代の個々人の価値観や多様性を十分に尊重し、その声に耳を傾けながら、パートナーとの出会いや結婚、子育てのほか、仕事や住まいのことなども含め、それぞれが希望するライフプランの実現に向けてどのような支援が求められているのか研究し、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。次に、人口減少に立ち向かう協働の姿として、民間企業や市民の方々に呼びかけたいことにつきましては、人口減少の進行は、まさに本市にとって危機であり、市全体でその危機に立ち向かう必要性を共有していかなければならないと考えております。本市が一丸となって人口減少対策を進めることにより、先人から引き継いできた歴史ある財産と活力に満ちた若い力が結びつき、まちづくりにおける行政の取組と市民の皆さんの思いが結びつく、こうした結びつきが新たな可能性を生み出し、人や企業、投資を集め、本市の魅力をより一層高める好循環につながっていくものと考えております。次に、人口減対策のKPIや目標設定につきましては、第7次小樽市総合計画の指標として、転出超過数及び移住相談窓口を利用した移住人数を設定しておりますが、いずれの指標も既に目標値を達成していることから、基本計画の中間見直し作業において目標値の引上げを検討してまいります。社会減の抑制をはじめとする人口減少対策は、市が実施する事業全体の取組による効果の現れと考えられるため、個別の施策ごとの数値設定は行っておりません。次に、地域の未来予測を活用し、本市の今後を可視化することにつきましては、地域の未来予測に限らず、本市の特徴や課題、将来像などを何らかの形で可視化することは重要でありますが、一方で公表の仕方によっては経済や投資を萎縮させてしまう可能性もあることから、慎重な検討が必要であると考えております。