みんなの議会

新冠町議会 令和2年第2回定例会 2020年6月26日

バイオガス発電による家畜排せつ物の有効利用の取り組み

2020年6月26日、新冠町議会の一般質問で、竹中進一議員が「バイオガス発電による家畜排せつ物の有効利用の取り組み」について質問し、町長 鳴海修司が答弁しました。

質問者
竹中進一 議員
答弁者
町長 鳴海修司

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 6番 竹中進一

6番、竹中です。議長より発言の許可得ましたので、通告に従い一般質問をいたします。質問に先立ちまして、このたびの新型コロナウイルス禍により、罹患されました方々にお見舞い申し上げますとともに、町民一丸となって対策に取り組んでこられましたことに敬意を表しますとともに、関係者の方々のご尽力に感謝を申し上げさせていただきます。近年、新冠町における農業は一部において集約化が進みつつあり、畜産部門においても大規模な頭数を飼育するケースがふえてきております。その傾向は今後とも進んでいくと推察されますし、それに伴い家畜の排せつ物も相当な量となり、今はそのほとんどが堆肥として土に還元されているわけですが、完熟させるために切りかえしや移動をさせて堆積するなど、管理や利用し得るために相当の労力と時間を必要としております。各農家のほとんどがぎりぎりまで経営規模を拡大し、飼養頭数をふやす傾向にあり、農作業も目いっぱいの状況の中で家畜排せつ物の完熟堆肥への利用のため、適切な管理調整が行われている状況を拝見いたしておりますが、一部農繁期などが重なり作業が追いついていない場合や飼養頭数の増加で排せつ物が急激にふえ、施設や設備、労力が追いつかないケースもあるのではないかということも考えられます。結果的には完熟までに至らないまま堆積いたすか、中途の状態で田畑への頒布を余儀なくされる場合もあるのではないでしょうか。その結果、糞尿の悪臭や川や海までにも悪影響を及ぼしたり、温室効果ガスや水への環境に4対する影響も懸念されることはないでしょうか。そこで、十勝管内や根釧地区で積極的に取り組まれております。既に、稼働しているバイオガス発電設備を計画いたす考えはないでしょうか。このバイオガス発電の設備に取り組むためには、相当な労力と多額のイニシャルコストが必要となりますが、新冠の役場が取り組むこととなれば補助制度を受けるための複雑な手続きなどのほか、優良起債なども活用できるのではないかということが考えられます。これらをもし各農家が取り組むとしても、現状では労力的にも目いっぱいの状況であることや複雑な地域の調整、調査、設計、申請、運営などまでほとんど手が回らないのが現状で、新冠町が主体的となって進めなければなかなか取りまとめるまでに困難を来すと思いますので、ぜひとも町が中心となって取り組む方向で協議、検討はできないでしょうか。このバイオガス発電設備は、先般同僚議員が一般質問をされておりました、生ごみの処理や下水の汚泥処理にも有効です。排せつ物の処理により生み出した電力は、太陽光や風力による売電価格より大幅に高く、フィット制度により 39 円程度で売電できます。発酵後の副産物の固形分は乾燥させている敷材として利用でき、液体については消化液として田畑へ有効な液肥として活用することができます。今までの堆肥散布に比してその利点をあげてみますと、まず田畑への散布後悪臭が相当軽減されること。長年さんざん悩まされてきた雑草の種子が処理過程で死滅し、雑草の混入の心配がなくなること。有害細菌が死滅し、家畜の病気の心配が軽減されることなどのほか、有用菌が増加し、土壌の団粒化が促進されるなどの各種効果が期待できます。これらにより、毎年多額の投資をしてきた化学肥料の減量化が図られ、より地力の増強と経費節約と安定した収穫につなげることができます。また、この設備は売電のみだけではなく、最近の研究ではエタノールやギ酸を生成させることもでき、そのメタノールは内燃機関などのエネルギーとしても有効で、さらに水素製造への技術を進められており、水素は将来的には燃料電池としての利用が見込まれ、不安定な電力供給とされている風力や太陽光発電の再生可能エネルギーが拡大されつつある中で、安定化を補うための燃料電池などへの活用も考えられており、その果たすべき将来はますます広がることが期待できます。これまで述べてきたバイオガス発電装置は、発電施設は木質等を原料としたバイオマス発電設備などとともに、多くが既に稼働、または計画されており、全国組織のバイオガス事業推進協議会が既に組織され、北海道5自治体、沖縄の自治体を含む 14 自治体が加盟して調査研究等を推進しております。このバイオガス発電設備を含め、再生可能エネルギー施設は新聞紙上にも掲載されていた大規模なえりも町の風力発電をはじめ、現在、既に計画がされている箇所がかなりあるようで、今後も条件が整えば設置を希望いたす組織が相当あるのではないかと思いますが、今まで送電網許容量に余裕がなく、売電先への送電ができないため不可能とをあきらめておりましたけれども、近年世界的な脱原発、CO2削減の地球温暖化防止を推し進める機運の高まりによる、再生エネルギーを含めた送電網の見直しのためではないかと思われる、電源接続案件豪州プロセスが令和元年 10 月4日に開始されました。しかし、このプロセスは締め切り期日が示されておりません。今後、新冠町内において再生エネルギーである5バイオガス発電をはじめ、各種の売電事業が個人、または企業が町内で取り組むこととなれば、希望によっては相応の固定資産税収入が見込めるわけで、将来の再生エネルギー構想を想定し、計画を樹立して早期に取りまとめなければならない大事な時期ではないかと思います。この機を逃しますと、いざ再生エネルギーに取り組もうとしても、なかなか厳しい状況が考えられますので、これに間に合うように取り組む考えはないでしょうか。ここまで申し上げましたバイオガス発電設備に取り組むことができますと、今まで多くの労力を費やしてきた農家の省力化にもつながり、さらなる飼養頭数の増加など、規模の拡大を進めることができますし、多忙や労働力不足による管理の遅れで家畜排せつ物が少なからず環境への負荷もあったとしたら相当削減することができ、田畑に散布する際には完熟化された状態での活用ができます。これまで空気中に放出されていた窒素は、一酸化2窒素となれば温室効果がCO2の約 300 倍であるとも言われていることや、同じく 25 倍のメタンの削減、さらには悪臭のもとであるアンモニアガスの削減にも効果があります。種々の難しい問題山積ではありますが、今後ますます新冠の農業も大規模化が推し進めてくる可能性が大きいわけですから、現状の規模だけで諮るのではなく、近い将来を見越し、先に申し上げました電源接続案件募集プロセスへの応募に間に合うよう、今から検討を進めるべきではないかと考えますが、町長のご見解を伺います。

答弁 町長 鳴海修司(町長は2025年3月まで)

竹中進一議員からご質問のバイオガス発電による家畜排せつ物の有効利用への取り組みについてお答えいたします。バイオガス発電は、家畜排せつ物や食品廃棄物、木材チップ、汚泥等を発酵させることでバイオガスを生成し、ガスの中に含まれるメタンを利用して発電させる仕組みで、太陽光や風力、地熱などと同様に、温室効果ガスの削減効果が期待できる再生可能エネルギーの一つとして関心が高まり、道内では釧根地方やオホーツク地方、十勝地方の酪農主産地で積極的に取り入れられております。バイオガス発電は、24 時間 365 日稼働させることができ、太陽光や風力発電のように自然条件に左右されずに発電することが可能なほか、議員からもご提案のありましたように、多くのメリットがあることは認識しておりますが、酪農主産地ではない当町が事業に取り組むには数多くの課題がございます。まず、家畜排せつ物を原料とするバイオガス発電のうち、道内での導入事例はほぼ酪農部門になります。当町は、酪農主産地に比べますと乳牛の飼養規模が非常に小規模であり、生産戸数及び飼養規模とも減少傾向にあります。将来にわたり安定した飼養頭数が確保できなければ原料となるふん尿が不足し、施設運営に大きな支障を来すことになります。また、バイオガスプラントの施設整備には多額の投資が必要となります。町内で酪農業を営む生産者の一戸当りの成牛飼育規模は平均 40 頭です。一般的に個別型バイオガスプラント事業で経済性を得られるのは、飼養規模 200 頭以上と言われておりますので、当町で整備を想定するのは複数戸による集約型バイオガスプラント事業となりますが、酪農主産地で約 600 頭規模6の施設整備を行った近年の先進事例では、全体事業費が約9億円、このうち国庫補助金は3億円で、残り6億円は起債と一般財源と聞いております。有利な財源を活用できる見込みとは言え、慎重な判断が必要と考えます。同様に、ランニングコストの問題もございます。当該事例では施設整備は市町村が行い、発電事業は酪農家で構成する法人が担っております。同様の方法、規模での実施を想定した場合、当町では 15 戸程度の生産者に参画をいただき、原料の提供と運営費用を負担していただくことになりますが、生産者は町内に広く点在しておりますので、運営コストは高上がりになることが必定です。また、固定価格買取制度で売電が約束される期間は 20 年間となっており、期間満了後の収入減は免れず、運営法人の負担が大きくなりますので確実な収入確保対策が課題となります。加えて、ご指摘のとおり送電網の容量不足も大きな課題であり、現在道内では電気事業者との売電契約が結べないため、計画策定から数年が経過しても施設整備に着手できない状況が続いているようでございます。議員からご提言がありました電源接続案件募集プロセスは、この打開策として送電線の増強費用を電気事業者や、新たに発電を計画している事業者で負担し合う制度で、令和元年 10 月4日に開始されたところではありますが、いまだに募集要領は検討中とされ、具体的な工程や内容等は示されておりません。施設整備や運営費に多額の費用を要し、さらに負担となる増強費用がどの程度必要となるかは大変大きな問題でございます。早期決断をということでございますが、以上のような課題のほかにも整理しなければならない事項は多々あろうかと存じますし、適正な計画を立て酪農家の皆さまや生産者団体のコンセンサスを得るには相当の期間を要します。当町には老人ホームや診療所、小・中学校など、老朽化した公共施設の整備や防災対策など、優先して取り組まなければならない課題が山積している中で、バイオガス発電事業の取り組みを直ちに決断し、実施することは困難でございますので、ご理解を賜りたいと存じます。

再質問 6番 竹中進一

ただいま町長からの答弁の中で、乳牛の飼養頭数のことの関係で、これだけの規模のバイオガス発電施設は難しいのではないかというご答弁でございましたけれども、太陽の町政懇談会の際に、あの周辺にあります大規模な乳牛施設が町の肝いりで建設されております。そこの規模というのは目標が 400 頭で、現在の飼養頭数が 400 頭にちょっと満たない程度となっております。そういう点を考えますと、あの周辺はほかにも酪農家がございますので、規模的には興部町の施設クラスであれば十分稼働していけるのではないかというふうに考えております。そこで、北海道内における新エネルギーの活用については、全国随一の可能性があるとされております。資源エネルギー庁の第5次エネルギー基本計画では、10 年後の 2030 年に向けて再生可能エネルギーを主力電源化していく方針が示されております。道内におけるバイオガス発電設備を数カ所見てまいりましたけれども、1メガワット以上のバイオガス発電設備も鹿追町と別海町で稼働いたしておりました。新冠町の希望では興部町の規模がちょうどマッチするのではないかと思われま7したので概要を申し上げますと、対象の牛の飼養頭数は 600 頭以下で、発電量平均は 150キロワット、年間売電額は約 5,000 万円とのことでした。また、最近になり牛以外の水分量の少ない家畜排せつ物を利用した乾式のバイオガス発電設備も十勝管内清水町にできているようなので、馬などの排せつ物には有効ではないかと興味がございますが、まだ詳しいことは調査できておりませんので、有効のようでしたら別の機会に一般質問等で提案いたしたいと思っております。送電網の受け入れ容量不足につきましては、ただいま町長から申されましたけれども、緊急時の対応に支障を来さないために、既設の送電網設備容量のうちの 50%以内で通常運営されなければならないこととなっているためにあき容量はないのではなく、50%を緊急時のためにあけておかなければならない仕組みとなっているため、運用されている 50%の中に余裕がでた場合のみ、新規電力を先着順で受け入れるということになっております。ここで 2017 年度はどうであったかっていうと、北海道のあき容量の平均は 50%のうち 7.9%となっておりますが、実際に利用されたのは再生可能エネルギー経済講座のコラムによりますと 14.5%でありました。この結果から推察すると稼働していない原発の容量分をあらかじめ供給量に組み込んでいるため、余裕がなくなっている可能性があり、実際には 14.5%しか利用されていないという結果となっております。相当の余裕が生まれている可能性があると思いますが、現在の受け入れ方法としては新たな空き容量が生じた場合に、あらかじめ申し込みのあった電力を先着順に受け入れるノンファーム型接続で受け入れることとなっていて、これにより発電した電力をすべて買い入れるのではなく、電力に不足が生じたときの分のみ買い入れる不安定な受け入れ方針となっております。そこで、先ほど来申し上げました新たな電源設置案件プロセスが募集を行っているわけですが、新冠町以東の日高管内は道東エリアに属しております。ここでは応募の案件も含めた近隣の対策を立案し、それを共用する多数の系統連携希望者で対策工事費等を共同負担することで、設置希望者の工事負担金の低減を図るとなっております。問い合わせや申し込みがあった場合、説明会やホームページで詳細が公表されることとなっております。難しい問題が目白押しではありますが、新冠町の将来の畜産振興と幾ばくかの固定資産税の財源確保、働く場の確保にもつながると思いますので、まずは調査を始めていただくお考えはないか、再度お伺いいたします。

答弁 町長 鳴海修司(町長は2025年3月まで)

竹中議員の再質問にお答えいたします。議員の家畜排せつ物の有効利用と環境への配慮については十分理解しますが、先の答弁でも申し上げたとおり、当町の産業形態からくる事業の継続性や受益者負担、あるいは議員ご指摘の現状での長期間にわたる調査期間を含めた送電網の問題と、多岐にわたって解決しなければならない課題と、議員からもいろいろご心配していただいた町財政を考えたとき、本件より先に解決しなければならない課題が山積している現状をご理解願いたいと存じます。

再々質問 6番 竹中進一

町長の財政的な問題につきましては私も理解しておりますし、そのことについては了解いたすところでございます。ただ、本日の北海道新聞の中に平取町が木質バイオマス施設を建設し、病院と公民館に熱と電気を供給すると掲載されておりましたけれども、地材地消の取り組みは浦河町でも取り組むこととなっておりますし、これらは主に燃料を海外から輸入した石油などに頼らず、かかる経費を町内で循環させることで支払ったお金を海外の支払いにまで及ぶことなく、町内での調達により雇用の場が確保されたり、かかわる産業の活性化につながる効果も期待しているのではないかと思います。バイオガス発電設備はまさにその狙いにもあっていると思いますし、またこの地材地消のバイオガス関係の発電や熱の利用については、今後近隣の自治体等でも相当広がっていくことも考えられますので、最初からだめだということで取り組まないのではなく、機会を見て、折を見て、そういったことの利用価値等について再度検討していただくような考えはないかについて、しつこいようで申しわけございませんが、質問いたします。

答弁 町長 鳴海修司(町長は2025年3月まで)

再々質問にお答えいたします。木質バイオマス施設は方向性は同じであっても、方法的は根本的に全く違うと考えてございますし、原材料の安定供給という面では共通課題と考えてございます。加えて、おかれている環境や状況は各町それぞれでございます。繰り返しとなりますが、本件より先に解決しなければならない課題が山積している現状をご理解願います。

出典:新冠町議会 令和2年第2回定例会 2020年6月26日 議事録 PDF(3ページ) 間違いを知らせる