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網走市議会 令和5年第2回定例会 2023年6月20日

いじめ予防対策について

2023年6月20日、網走市議会の一般質問で、澤谷淳子議員が「いじめ予防対策について」質問し、学校教育部長 北村幸彦が答弁しました。

質問者
澤谷淳子 議員
答弁者
学校教育部長 北村幸彦

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 澤谷淳子

それでは、次にいじめ予防対策についてです。2021年度の全国のいじめの認知件数は61万5,351件、調査が始まって初めて60万件を超え、自ら命を絶った児童生徒は514人、いずれも過去最多を更新しました。北海道でも旭川で起きた女子中学生のいじめ凍死事件はあまりにも悲惨で、亡くなった中学生の胸中を思うと胸が締めつけられる思いです。こうした思いがまだ覚めやらぬ中、当市で起きたこのたびの市内中学校でのいじめの事案は多くの市民、生徒の心に大きな衝撃を与えたのではないでしょうか。今定例会でもいじめ対策事業として946万5,000円の補正予算が計上され、本格的な調査がスタートするものと認識しております。その推移を見守りながら、一刻も早い実態の解明と誰もが納得のできる解決を望むところです。本日はこうしたいじめ事案が二度と起きないように、いじめ予防対策について質問させていただきます。世界では、いじめを予防するという考え方が広く浸透し、科学的にもその効果が裏づけられております。このことはNHKでも報道されたので、御覧になった方もいらっしゃると思います。まず、8年前にいじめの予防を導入し、検証と改善を続けてきたアメリカ・ペンシルベニア州にある中学校の取組を紹介したいと思います。その学校は、校舎に入るとすぐに「親切にすることはかっこいい」と書かれた壁画があり、廊下には「いじめに立ち向かう」の文字と、そのために大切な「尊重すること」「思いやること」「勇敢であること」「歓迎すること」との四つのポイント、そしてこれを守ると誓った生徒たちのサインで埋め尽くされています。この学校では、こうしたペイントやポスターが至るところに掲示されていて、いつでも生徒の目に入るようになっています。これは「ポジティブ行動支援」といって、科学的に効果が証明されているいじめ予防の方法の一つです。いじめをした生徒に罰を与え、「してはいけないこと」を教えるのではなく、問題が起きる前に子供たちに「何をしてほしいか」を促す応用行動分析学に基づくアプローチだそうです。この学校では、30年以上前にノルウェーで生まれた「いじめ予防プログラム」を取り入れ、学校全体の雰囲気や風土を変えようと取り組んでいます。プログラムの主な内容は、教師や保護者、生徒などから構成される「いじめ予防委員会」を組織する、いじめについて子供同士で話す機会を定期的に設ける、いじめについてのアンケートを実施する、子供に関わる全ての人がいじめへの介入方法を学ぶ、などです。こうした取組は、2年間の専門的な訓練を受けたトレーナーが、教師だけでなく保護者や用務員など生徒に関わる全ての人に指導することになっており、教師たちも指導を受けることで自信を持って生徒に対応でき、学校全体の雰囲気が改善され、いじめが起こりにくくなります。この「いじめ予防プログラム」はペンシルベニア州内の小中学校210校7万人以上の生徒を対象に、2年間の追跡調査が行われ、約2,000人の生徒がいじめから解放され、いじめをした生徒も2,000人減ったことがわかり、この効果が裏づけられました。また、身体的いじめ、性的いじめ、ネットいじめにも効果があることが実証されています。一方、いじめがもたらす広範かつ長期的な影響も研究で明らかになっております。例えば「いじめを受けた子供は虐待を受けた子供よりも大人になってから不安や鬱、自傷を抱える確率が高い」「いじめ被害者はそうでない者に比べて自殺念慮のリスクが2.4倍、自殺企図リスクが2.5倍高い」「いじめ被害にあった男子の26.7%、女子の40.5%が後にPTSDを発症する」など。また、「いじめに関与する子供は飲酒・喫煙・薬物などに関与する可能性が高い」「いじめを見ているだけの周りの子供の心身にも影響がある」ということもわかっているそうです。当市で起きたいじめ事案の被害児童も明るく振る舞っているようでも、保護者に聞くと、「手が何もしていなくても自然に震えてくるのだ」とおっしゃっていました。心には深い傷を負っているのだと思います。「いじめは通過儀礼のようなもので幼少期さえ乗り切れば問題ないという考えでは駄目だとわかり、予防プログラムに投資すれば少年犯罪や健康関連の影響など、その後に係る長期的で膨大なコストを抑えられ、いじめを予防できれば、より健康で長寿の大人が増え、よりよい市民が増えるのです」とペンシルベニア州教育省の担当官は言っています。日本ではどこか「いじめはなくせない」といった空気があり、いじめへの対応も先生の経験則や個人の能力に頼ってしまっている現状なのではないでしょうか。しかし、先生たちを指導し、サポートする体制が整えられ、自信を持って子供たちに向き合えるようになったら、教育現場は大きく変わるのではないでしょうか。日本の将来もよりよい方向に変わると思います。日本ではまだ専門の訓練を受ける施設もトレーナーもおりませんが、今回のいじめ事案を契機に、当市でも「いじめ予防委員会」を設置するなどして、いじめ予防プログラムを学び、できるところから取り組む努力が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

答弁 学校教育部長 北村幸彦(学校教育部長は2024年12月まで)

いじめ予防プログラムにつきましては、世界で調査研究が進む中で、学校環境に心理的安全性を育むための風土づくりのため、いじめを予防する授業の実践が効果あるとお聞きしております。ここで研究されている行動科学の理論においては、望ましくない行動を止める際、それに代わる別のよい行動を教えることとしており、いじめ問題についても代わりとなる正しい問題解決や感情コントロールの方法を教えることで、いじめをやめようと言わなくても自然といじめは減ると言われております。当市におきましては、議員お示しの教職員、保護者、児童生徒などで構成されるいじめ予防委員会のような組織はございませんが、学校や保護者、福祉、警察等関係者で構成する網走市いじめ問題等対策連絡協議会を定期的に開催しているほか、網走市子ども会議を開催し、児童生徒自らがいじめや学校教育について考え、互いに意見発表や様々な考えを聴く場を設けて、参加者が考えたスローガンをポスターにして啓発活動を行っているところでございます。このいじめ予防委員会につきましては、現在設置されている網走市いじめ問題調査委員会の御意見なども参考としながら、さらに研究してまいりたいと考えているところでございます。

質問 澤谷淳子

本当に感情をコントロールする訓練の場になるというか、そういう形もあると思いますね。それで、日本でも、この「いじめ予防プログラム」を日本流に変えて、子供たちに伝える特別授業を行う自治体があります。大阪の吹田市です。吹田市は市内小学校で起きた重大ないじめ事案をきっかけに、3年前から子供たちの命を守るための「いじめ予防授業」に取り組んでいます。対象は市内の公立小中学校54校、小学1年生から中学3年生まで9年間、三つのステップを繰り返し学び、いじめが起きにくい教室を目指しています。授業では毎回、先生たちが子供たちの前で劇を演じて、集団で1人を仲間外れにしている様子などを見せて、何がいじめにつながっていくのかを子供たちに考えてもらいます。そして、いじめの多くは「自分がやられたことはやり返してもいい」「ほかの人もやっているからやってもいい」といったシンキングエラー、つまり間違った考えや思い込みによって行われていること、自分の中のシンキングエラーに気づかせることに重点を置いています。また、タブレット端末を通じて、子供たちと先生が毎朝やり取りをします。専用のアプリに、緑が穏やか、赤はちょっといらいらなど、今の自分の気持ちを子供たちが入力し、先生に相談したいことも誰にも知られずに伝えられます。さらに、いじめにつながりかねない事案があると、担任だけでなく校長を含め、必ず4人以上の先生で対応に当たり、全教員でも情報を共有して、子供にも先生にも一人で問題を抱え込まないようにしています。吹田市がなぜここまで取り組めるのか。それは市内小学校に通う女児が、1年半、同級生の男児からいじめを受け、校内アンケートでいじめを訴えたにもかかわらず担任が放置、この間いじめはエスカレートし、女児は左足を骨折、ストレスで視力が低下し、PTSDと診断されたケースや、被害児童の保護者が被害を訴えた後も学校が加害児童5人に聞き取りを行わず、その結果、別の児童12名による新たないじめに発展し、さらに校長の虚偽の説明で事実に反する情報が流され、市教委は第三者による調査を検討せず、対応が大幅に遅れたことで被害児童と保護者が二重三重に傷つくなど、深刻ないじめの問題が続出したためでした。このたびの当市のいじめ事案に対しては、このようなことのないように、くれぐれも適切な対応をお願いしたいと思います。そして、今回の事案を契機に、吹田市のようにいじめ予防対策に真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、市の御所見をお伺いいたします。

答弁 学校教育部長 北村幸彦(学校教育部長は2024年12月まで)

大阪府吹田市の取組については、市教委としても関心を持っているところでございます。特に、授業プログラムで特徴的なのが、子供たち自らシンキングエラーに気づくことであり、既に子供たちにも浸透し始め、そのことで子供たちの行動に変化が見られるようになったとお聞きしております。このほか、文部科学省と吹田市とが連携した事業で、いじめのシンキングエラーや正しい行動をわかりやすく伝える動画教材である「ともだちづくり・かかわりづくりプログラム」を制作しておりますので、これらの教材を市内校へ情報提供するとともに、その取組について積極的に奨励してまいりたいと考えております。

質問 澤谷淳子

それでは続きまして、日本には昔から「いじめる側も悪いが、いじめられる側にも問題がある」という考えの人が多いように思われます。時には学校の先生にもそういう考えの先生がいるようです。「いじめられるのはお前に意気地がないからだ」と自分のほうが悪いように責められたり、「いじめられるのは弱いからだ、強くなればいいんだ」「いじめられたらいじめ返せ」という親もいて、この考え方がいじめがなかなかなくならない大きな原因なのではないでしょうか。それでは、いじめている人間が強い人間なのか、そんなことはないと思います。人を苦しめている人間のどこが強い人間なのでしょうか。むしろ、いじめている側が、家庭の中に問題を抱えていたり、自分の中のもやもやした気持ちをぶつけているだけで、原因はいじめている側の心の中にあるのではないでしょうか。いじめる側の人間こそ、心のケアが必要なのかもしれません。勉強ができても、できなくてもいじめられる。太っていても、痩せていてもいじめられる。暗いからといっていじめられ、反対に目立つからといっていじめられる。だから、いじめられる側の責任ではなく、いじめる側が100%悪い。どんな理由があっても、それがいじめていいという理由にはならない。いじめは暴力であるということをいま一度、再確認することが必要だと思いますがいかがでしょうか。

答弁 学校教育部長 北村幸彦(学校教育部長は2024年12月まで)

現在、網走市内全ての小中学校では、いじめ防止基本方針を策定しております。それを基に、年度始めの職員会議や校内研修等において、全教職員がいじめの定義について共通理解を図る中では、どんな形であれ、いじめの被害者は尊厳を持ち、一人のかけがえのない人として扱われない行為を受けるということからも、いじめは人権侵害行為である、いかなる理由があろうともいじめた側が100%悪いとした上で対応していくことと確認しております。

質問 澤谷淳子

本当にいじめる側が100%悪いというのは、本当に肝に銘じていきたいと思います。それでは最後に、熊本市ではある市議会議員が、校長先生が小中学校の入学式で必ず「いじめはいじめられる側には問題はない。いじめる側が100%悪い。我が校ではいじめは絶対に許さない」と決意を込めて宣言するようにしたらいかがでしょうかと提案したところ、教育長が様々な機会を捉えて校長の思いを込めて話すように伝えてくれて、小中学校のみならず市立高校も含め熊本市の入学式のよき伝統になっているそうです。当市もぜひこうした取組を進めていただきたいと思います。さらに、「ポジティブ行動支援」を取り入れて「我が校は、思いやりや親切な言葉と行動を学校の目標にします」との宣言も加えていただければと思いますがいかがでしょうか。

答弁 学校教育部長 北村幸彦(学校教育部長は2024年12月まで)

4月3日に開催しました臨時の校長会において、今回のいじめ案件について情報を共有した後、学校のいじめ問題への対応について確認をしております。その中では、今回のことを通し、改めて学校はいじめを絶対許さないという強い信念の下、正しい認識を持った集団形成の構築を目指した取組を進めていくという強い覚悟を保護者や地域に示すこととしております。その後、各校では、始業式やPTA総会などにおいて、学校いじめ防止基本方針の内容を含め校長などから説明されている状況でございます。

質問 澤谷淳子

ありがとうございました。以上で質問を終わります。

出典:網走市議会 令和5年第2回定例会 2023年6月20日 議事録 PDF(35ページ) 間違いを知らせる