みんなの議会

新得町議会 令和8年第2回定例会 2026年6月17日

今後の地熱発電に対する取り組みについて

2026年6月17日、新得町議会の一般質問で、福原智幸議員が「今後の地熱発電に対する取り組みについて」質問し、町長 湯浅真希が答弁しました。

質問者
福原智幸 議員
答弁者
町長 湯浅真希

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

件名は町のサイトの一般質問の一覧の表記です。

質問 福原智幸

再生可能エネルギーの優等生といわれております地熱発電に対する今後の取り組みについて質問をさせていただきます。1.今後の地熱発電に対する取り組みについて連日の報道にあるとおり、石油製品の不足や物価高は産業活用や日常生活に影響を及ぼしております。日本のようにエネルギー資源の乏しい国では、石油の備蓄が確保されているのにもかかわらず、流通が停滞するだけで経済活動に大きな支障を来します。その影響は、私たちの身近な業種にも既に現れており、運送や大型機械を動かすための軽油、施設内で使われる給湯用燃料となる灯油をはじめ、石油由来資材の流通停滞と価格高騰は、産業界だけではなく、物価高という形で町民生活をも脅かしております。生命の源である食糧に関しまして、十勝地方のカロリーベース食料自給率は1,200パーセントともいわれておりますが、仮に備蓄燃料が枯渇するような事態に陥れば、肉牛や乳牛の飼育、作物の管理全般に支障を来すことになります。このことはさまざまな分野でエネルギー確保の重要性についてあらためて再認識をする機会となっております。コロナ禍を脱し、経済活動の活発化に伴って、町の貴重な財源である町税や交付金などがようやく上向きかけている昨今ではありますが、今後の町の財政力については依然として懸念される状況にあります。以前より取り進められていた地熱資源の有効利用に向け、トムラウシ地区での初期調査の一環である地表調査が終了いたしました。この計画は資源エネルギー庁やエネルギー・金属鉱物資源機構などが連携をし調査を進めてきたものであります。対象地が国立公園内ではありますが、十勝岳を中心にし、有効なエネルギー資源の活用地として隣接町村に比べ、新得町が立地的に一番適しているという優位性があります。今後も掘削調査に向けて、さまざまな見地から調査研究が進められていくことが予想されております。6カ所のダムと7カ所の発電所を有しているエネルギー資源の水力発電先進地としてのこれまでの財政や経済性に対する評価と、風水力や太陽光などさまざまなエネルギー資源がある中、地熱発電の有用性に対する考えをお聞きいたします。

答弁 町長 湯浅真希

福原議員のご質問にお答えいたします。まず、本日、これから3つ、地熱発電について質問がありますので、本町の現状をお答えいたします。地熱発電は、天候に左右されず、季節、時間を問わず安定供給が可能なベースロード電源であり、二酸化炭素を排出しない純国産の再生可能エネルギーとして極めて重要な位置づけにあります。一方で、開発には膨大な初期コストや、掘削してみなければ判断できない高い地下リスクを伴うという課題も存在しております。こうした状況の中、十勝岳登録周辺は、国から有望地域として位置づけられ、令和3年度から6年度にかけて国が所管をしておりますJOGMEC、エネルギー・金属鉱物資源機構による初期段階の地表調査が実施されました。その結果、本地域の地下には、発電の動力源となる地熱貯留層が存在する可能性が極めて高いという有望なデータが得られております。これを受け、次のステップである掘削調査へと移行する局面を迎えております。これは実際に深部まで細い井戸を掘削し、蒸気の量や温度を測定する調査を数年かけて行うものであります。なお、現時点では、開発が決定したわけではなく、事業として成り立つかを確かめる国による調査段階であります。また、対象地域は、大雪山国立公園の自然公園内に位置しているため、環境調査や自然公園法をはじめとする厳しい環境規制のクリアが不可欠になります。何より、地域の皆さまや事業者の皆さまとの丁寧な合意形成、そして、広く一般町民の皆さまへの認知と理解を深めていくことが現時点における重要課題であると町は認識しております。その上で、福原議員のご質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、昨今の石油製品の不足や物価の高騰は、町民生活はもちろんのこと、本町の基幹産業である農業や、それに付随する産業活動に大きな影響を及ぼしております。十勝が誇る高い食料自給率も、それを支えるエネルギーの安定供給があってこそ成り立つものであり、エネルギー資源の確保が国家レベルのみならず、地域にとっても極めて重要な課題であると私自身も強く認識しているところであります。1点目の本町に所在する水力発電施設に対するこれまでの財政や経済に対する評価についてでありますが、本町には6つのダムと7つの水力発電所が立地しており、古くから電源地域として重要な役割を担ってまいりました。これらの施設は、長年にわたり固定資産税などの形で本町の貴重な財源となり、公共施設の整備や住民サービスの向上など、町の発展と財政基盤の安定に大きく貢献をしてきたものと高く評価しております。また、水力発電施設から生み出される電力は町内の消費量をはるかに超えており、本町は食だけではなく、クリーンエネルギーの供給地としても広く社会に貢献しているものと自負しております。2点目の地熱発電の有用性に対する考えでありますが、地熱発電は、数ある再生可能エネルギーの中でも極めて高い有用性を持っており、加えて、地球温暖化対策である二酸化炭素排出量削減の観点からも、二酸化炭素を排出しない環境に優しい電力であると認識しております。また、地域の経済対策としても大きな可能性を秘めており、将来的に発電施設が稼働した場合、水力発電と同様に固定資産税や電源立地地域対策交付金など、本町の自立的な行政運営を支える貴重な財源の確保につながります。町といたしましては、クリーンエネルギーの有効活用や財政基盤の観点から地熱発電の可能性におおいに期待を寄せつつも、今後の掘削調査等の推移を注視し、国や関係機関、さらには町民の皆さまと情報共有を図りながら、環境との調和を見極めてまいりたいと考えております。以上です。[湯浅真希町長 降壇]

質問 福原智幸

これまで水力発電施設が町の財政や地元経済に対して大きく寄与してきたこと、それから、地熱発電が他の再生可能エネルギーと比較しても高い有用性を持っているという共通認識について理解をいたしました。地熱発電の取り組みに対する考え方は、エネルギー資源に対する価値観や、自身を取り巻く環境によってさまざまな考えがあるのは承知をしております。発電設備の設置に関する専門技術的なもの、確定をしていない事業規模など、町の判断が及ばない話題については今回の質問では除かせていただきます。3月以降、町民に対する説明会が公民館、トムラウシ地区などで行われてまいりました。耳慣れない専門用語や、新得町内とはいえ対象地は60キロメートル以上離れており、実感が湧かない方も多いと思われます。説明者の方は予定時間を超過しても、町民の疑問に1つ1つ説明をしており、公的機関の説明会として丁寧な対応をしていただきました。先日、町に対して、十勝自然保護協会から寄せられた質問に対しての回答がなされたようではありますが、当事者である地元町民の関心のある項目は大きく分けると2つほど考えられると思っております。1つ目は、熱源を利用する性質上、火山の隣接地である大雪山国立公園という自然公園内での事業となることであります。トムラウシ地区は、戦後の開拓により豊富な森林資源として林業が繁栄をし、屈足地区とともに好景気をもたらしました。残念ながら、樹木の伐採の後、森林植生の再生条件が整わず笹原が生い茂り、森林の再生が進んでいない箇所が多く存在をしております。当該地もそのような場所に位置しており、森林の伐採行為を伴う開発は最小限にとどまると考えておりますが、自然公園内で環境省などから厳しい制限を受けた開発行為になります。自然景観や環境負荷と開発の整合性を取りながら事業を進めることが可能か、多くの人が関心を寄せております。2つ目は、経済との結びつきです。今後、調査が進むにつれ、人や物の動きが活発化することが予想されております。現在の国による資源量調査が進み、大前提となる自然環境への影響や安全性を確保しながら、段階的に事業が進められていきます。その間、あるいは今後も長い期間、建設や物流はもちろん、東大雪荘や山の交流館をはじめとする宿泊施設や飲食など、幅広い経済への好影響を与えると考えられます。豊かな自然の保護と地元経済の継続的な発展は両立し得るものと考えますが、今後の町への経済性の利点についてどのようなことが考えられるか、考えをお聞きいたします。

答弁 町長 湯浅真希

まず、1点目の大雪山国立公園内における自然景観や環境負荷への懸念についてであります。トムラウシ地区はかつての開拓の歴史を持ちながら、現在も手つかずの豊かな自然環境を有する本町の貴重な財産であるということは言うまでもありません。地熱発電の調査および開発というものは、国立公園という極めて厳格な規制が設けられたエリアでの事業となります。国が定める環境保全のルールや基準を順守することはもちろん、自然環境や景観への影響がないことを科学的に1つ1つ確認しながら、慎重に進めることが絶対的な大前提であると認識をしております。そして、2点目の地元経済との結びつきについてであります。地熱発電のプロジェクトというものは、初期調査から本格的な掘削、発電所の建設、そして数十年にわたる運営と非常に息の長い事業となります。議員ご指摘のとおり、この長期間にわたる事業を通して、作業関係者の往来による宿泊事業をはじめとして、飲食や物流、地元産業へ直接、間接的な経済波及効果が断続的にもたらされることというのは、町としても期待をしているところであります。本町の財産の1つである大雪山系の雄大な自然環境を次世代にしっかりと引き継ぎながらも、その地球の恵みである地熱資源を地元経済の持続的な発展に結びつけていく、この両立を図ることこそが、これからの新得町のまちづくりの重要な鍵になると考えております。引き続き国や関係機関と連携を図りながら、環境との調和というものを最優先に前向きかつ慎重に進めてまいりたいと考えております。

質問 福原智幸

自然の景観ですとか環境負荷と開発の整合性を図ることが、一番重要なポイントになるかなと思ってお聞きをしておりました。冒頭で申し上げましたとおり、命の源である食糧に対しましては、圧倒的な生産量を誇る十勝農業ではありますが、エネルギーの供給が途絶えると、弱体化するどころか、ある日突然、食糧の生産が停止するところまで追い込まれることが起こり得る状況になっております。これらの生活安全保障の観点からも、季節や天候、昼夜を問わず、年間を通じて一定量の電力を安定的に供給をし続ける。なおかつ、ほかの再生可能エネルギーと比較をしても、環境負荷の少ないベースロード電源として、地熱発電の有用性に注目が集まるのが自然な流れだと言えます。候補地に挙げられているトムラウシ地区には、大正初期に大手製紙会社による馬車軌道での国有林造材搬出に始まり、民間鉄道会社での大量輸送が可能になるに伴って、戦後、未開地へと開拓が進められました。昭和37年、住民の避難指示を伴うほどの十勝岳噴火による降灰被害によって、五十数戸いた入植者が減少に転じました。その後、昭和48年に着工された十勝ダムの建設工事により、キナウシ地区の7戸が地域外へと移転をしております。昭和59年に竣工(しゅんこう)され、昭和60年にこのダムを利用した十勝発電所の完成とともに、時代のひと区切りとなりました。この開拓に伴う100年の間、この地区に住み続けて、開拓の苦労を知っている方は数軒になってしまったと思われます。私たち農業従事者は特に気象の変化に対しては敏感であります。山間部の厳しい気象条件や地域産業を支えながらも、時代の変化によって生活そのものが変わる体験をした方々の思いは、簡単に推し量ることはできません。しかしながら、苦労して切り開いてきた方々の思いを引き継ぐことは可能だと考えます。トムラウシ地区に限らず、少子高齢化が進み、人口や産業労働人口の減少が進んでいくことは避けられない状況にあります。今後も生活と生産は両立をしていかなければ、国立社会保障・人口問題研究所の指摘どおり、急速な衰退へとつながってまいります。重要インフラの1つである屈足地区とトムラウシ地区を結ぶ道路は、道道忠別清水線が使用されております。平成28年の台風被害により、屈足等を結ぶトノカリ林道が崩壊によっていまだに通行止めが続いております。シカなどの有害鳥獣駆除業務を行う上で支障を来しているほか、道中にある高低差30メートルを誇る観光名所秘奥の滝へも残念ながら車両で行き着くことはできません。併用林道である町道オソウシ線も、この春から落石などによって通行止めが続いており、バイパス機能を果たす併用林道の復旧見通しが立たない状況になっております。再整備には多額の費用が見込まれており、昨年議会として直接、農水省に対し行った復旧要望では、単独での整備復旧は困難だが、複合的な整備では対応が可能になるとの回答を得られました。今後の限られた予算の中で、インフラ機能を維持させるために、地熱発電による関連事業として結びつけることも可能となります。保護あるいは開発の対立に向かうのではなく、北海道重心の町のシンボルとして、トムラウシ山、秘奥の滝、東大雪荘など恵まれた観光資源を守りながら、立地的に恵まれている有望な再生可能エネルギーとの調和を図りつつ、有効利用につなげることが重要と考えます。経済、産業が持続的に発展し続けることによって、町の財政力の維持につながり、住民サービスの低下を防ぎ、町の活性化が維持されると思われます。そのためにも、引き続きこれらの調和を図りながら、1つ1つ事業を推し進めるべきと考えますが、最後に今後の方針についてお聞きをいたします。

答弁 町長 湯浅真希

まず、議員からお話しがありましたトムラウシ地区の歴史につきまして、大正初期から開拓の歴史、そして十勝岳噴火による降灰被害、そして十勝ダム建設に伴う移転など、幾多の苦難を乗り越えてその地域の生活と産業を守り抜いてこられた先人たち、そして現在も、この地に根を下ろして地域を支えておられる方々のご苦労と強い思いに対して、私自身も深く敬意を表する次第であります。そして、その思いをしっかりと受け継いで引き継いでいかなければならないという議員のお考えに、私も全く同感でございます。その上で、ご指摘のインフラ維持の課題についてであります。トノカリ林道の崩壊による通行止めがもたらす有害鳥獣駆除への支障、貴重な観光資源である秘奥の滝へのアクセスの遮断、また、併用林道である町道オソウシ線の復旧など、これら広大なエリアのインフラを限られた予算の中でいかに持続させていくかということは、非常に重くかつ喫緊の課題であると認識をしております。地熱発電の開発運営には、資機材の搬入や維持管理のため、道路網が不可欠となります。事業が進展していく過程におきましては、国や事業者との協議を通じ、事業用のインフラ整備を地域の生活道路や観光アクセス復旧、維持、すなわち地域振興策へと結びつけられるよう、町としても強く働きかけていくことが可能になると捉えております。本町の誇るべき豊かな自然や恵まれた観光資源を守ること、そして地熱という有望な再生可能エネルギーのポテンシャルを生かすこと、これらは議員おっしゃるとおり、対立するものではないというふうに考えております。どちらかを選ばなければならないとか、二者択一ということでもないですし、そうあってはならないというふうに思っています。両立させることこそが本町の目指すべき姿であるというふうに私自身は考えております。今後の方針といたしましては、議員ご指摘のとおり、この環境の保全と資源の活用の調和というものを大前提として、地域インフラの維持と経済の持続的な発展につなげることで、本町の財政基盤強化と住民サービスの維持向上を図ってまいります。繰り返しになりますけれども、国や関係機関、そして町民の皆さまとともに1つ1つ着実に、そして丁寧にこの事業を前進させていく考えであります。以上です。[福原智幸議員 降壇]

出典:新得町議会 令和8年第2回定例会 2026年6月17日 議事録 PDF(40ページ) 間違いを知らせる