標茶町議会 令和7年第4回定例会 2025年12月2日
標茶町育成牧場は事業の選択と集中が必要だ
2025年12月2日、標茶町議会の一般質問で、類瀨光信議員が「標茶町育成牧場は事業の選択と集中が必要だ」について質問し、町長 佐藤𠮷彦、育成牧場長 山崎浩樹、副町長 牛﨑康人が答弁しました。
- 質問者
- 類瀨光信 議員
- 答弁者
- 町長 佐藤𠮷彦、育成牧場長 山崎浩樹、副町長 牛﨑康人
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 11番 類瀨光信
次に、標茶町育成牧場は事業の選択と集中が必要ではないかということです。標茶町育成牧場は、基幹産業を支え続けて半世紀を過ぎております。時代の要請に応える形で綿羊生産や哺育事業を追加して現在の経営形態となって、既に20年が経過しております。潤沢な放牧地と採草地を有し、公共牧場としては珍しく黒字の体質を持つ牧場ですけれども、令和6年度決算は過去最大の収支不足となったと思います。多角化した事業の選択と集中を行い、収支の改善を図ることで、本来業務を延命していくべきと考えます。そこでまず、綿羊生産は、放牧地の残草処理、すなわち肥培管理の一環として、導入されたものです。同時に、多和平展望台の整備に合わせて周辺に牧歌的風景を醸し出す観光資源の役割を期待され、そして果たしてきました。その羊肉、羊の肉は、旧憩いの家の目玉商品としてラム肉食の普及に貢献しましたけれども、経営という点で言うと黒字になったことはありません。現在も増頭するほどに赤字を増やしていく状況であると思いますが、これは綿羊の、もと綿羊生産の宿命であって、標茶町だけの問題ではありません。ここを打開していくためには、もと羊の生産だけでなくて、加工・販売、そういったものもセットにしなければいけないし、羊そのもののことで言うと、季節外繁殖に取り組んで、1頭当たりの産子数を上げなければならないと思います。現状ではそういったことに取り組む余地がないのではないかと思い、黒字化は困難であると思います。そういうことで、事業の民間譲渡あるいはしかるべき経営体に管理を委託するなど、公共牧場から切り離すべきではないかと思います。次に、哺育事業は、町内初の哺育センターとして、酪農経営の拡大に伴う分業化と労働力不足に悩む酪農家を支えてきました。多頭飼育におけるワクチンプログラムをはじめとする哺育の「標茶スタイル」というものを確立し、町内外に大きな影響を与えてきました。こういったところで腕を磨いた職員などが町内では2か所の民間哺育センター稼働にかかわっており、それぞれが地域の哺育・育成に貢献していることから、公共牧場としての哺育事業は、その役割を終えたのではないかと考えます。哺育事業を生産者あるいは民間に任せ、標茶町育成牧場の本来業務である育成事業に専念すべきではないかと思いますが、いかがですか。
答弁 町長 佐藤𠮷彦
11番、類瀨議員の標茶町育成牧場は事業の選択と集中が必要だとのお尋ねにお答えします。ご質問冒頭の公共牧場としては珍しく黒字体質を持つ牧場だとのことでありますが、育成牧場が仮に公営企業会計だったとすると、現状計上していない投資的経費における減価償却費が加わり、人件費や物件費が上昇している中で、必要経費に見合った利用料金をいただく仕組みでない限り、黒字体質とまで言い切れるものではないと考えるところであります。その上で、1点目の綿羊生産は公共牧場から切り離すべきではないかの点につきましては、令和6年度の実績では羊肉68頭、羊毛2.5キロ、生体3頭の出荷となっており、出荷頭数の増加に向け、引き続き取り組みを進めてまいるところであります。綿羊牧場を黒字化するためには、ご質問のあった季節外繁殖を含めた様々な方法による繁殖雌1頭当たりの生産頭数の増のほか、羊毛、皮、内臓を利用していくことや、それぞれの付加価値を高めることで収益を増やす必要があります。これまでの歴史についても議員が触れられましたが、町内事業者の努力によりまして、羊の形をした町として広く周知されてきたのも事実です。近年においては、ふるさと納税返礼品として支持を拡大してきているところでもあり、可能性を秘めた分野の1つであると考えております。黒字化は現状では困難との指摘をいただきましたが、飼養管理をより徹底し、生産性を高めるための手法として、直営以外の手法についても検討すべきタイミングを迎えていると考えているところであります。2点目の哺育事業を生産者あるいは民間に任せ、育成事業に専念すべきではないかとの点につきましては、令和6年度の実績では町内の利用戸数37戸のうち、哺育から利用は22戸となっており、およそ半分の利用者については、哺育から妊娠まで一貫した飼養を希望していると考えております。また、現在、稼働している2か所の民間哺育センターに問い合わせたところ、構成員以外の受入れについての可能性があるが、現状で受け入れられる頭数はさほど多くはなく、出荷する範囲についても地域内に限るということであります。したがいまして、それ以外の地域も含めた多くの哺育牛を受け入れている育成牧場が哺育事業を終了することは、利用農家の経営に多大な影響を与えると考えられますが、経営改善の視点で、今後の可能性としては、適正料金の在り方を関係する皆様と相談しなければならないと考えているところです。また、民間事業者などによる代替性があるのであれば、存続を検討する必要もあると考えております。直営以外の運営方法も検討していきたいと考えております。いずれにいたしましても、これから本町基幹産業を支える育成牧場の位置づけを十分に議論しながら、あるべき姿を追求してまいります。
質問 11番 類瀨光信
それぞれの事業の在り方をこれから考えていくと最後締めておられますが、そんな悠長なことを言っている状況ではないですよね。去年のこの議会で町立病院、育成牧場、やすらぎ園が標茶町の財政ひっ迫の理由の一翼となっているということを町長、自らおっしゃっているわけです。そこで、実際に町営牧場がどんな状況なのかということを少し数字でお伺いした上で議論したいと思うのですが、まず令和6年度の標茶町育成牧場の収支状況について、人件費も含めて、それから公債費も含めて、差引きでどのぐらいの不足なのかということ。それから以前お話もしていたので多分計算されていると思いますけれども、その中で哺育にかかっている経費、収入、差引きについて、牧場のほうとの共通経費を案分したものも含めて、正確なところをお知らせください。それと、綿羊についても同様です。地域おこし協力隊にかかっている経費も含めて、収支はどうなっているのか、まずそこをお聞きします。
答弁 育成牧場長 山崎浩樹
お答えいたします。令和6年度の決算状況からということでございますのでまず、牧場全体で言いますと、主要な施策の成果の中の数字でお伝えしたいと思います。牧場全体ということでは、決算額が5億8,059万円で、利用料等の収入が4億2,741万9,000円でございますので、差引きの1億5,317万1,000円が一般財源からの持ち出しということになってございます。それから、その中で綿羊事業と、それから哺育事業にかかわる金額は幾らであるのかということでございました。まず、綿羊でございますが、令和6年の決算額から申しますと、収入が380万810円、それから支出におきましては、支出から地域おこし協力隊に係る分と、それから綿羊の導入に係る部分を差し引きまして、純然たる綿羊生産に係る経費といたしましては、1,138万4,676円でございますので、差引き758万3,864円の収支不足となってございます。それから、哺育事業の収支でございます。これも令和6年度決算額からのあくまでも計算値ということでございますが、収入が約 9,486万円、支出が1億2,293万円で、差引き2,807万円の収支不足となってございます。
質問 11番 類瀨光信
部分的にもう一度お伺いしますけれども、牧場全体の収支ですけれども、これには要するに職員費から支出されている給料、それから福利厚生費等も入っているかどうか。それと、国営道営、そういった事業の負担金、これは牧場で払っていないと思うのですけれども、それが含まれているかどうかだけ追加で教えてください。
答弁 育成牧場長 山崎浩樹
お答えいたします。最初に申し上げました決算額でございますが、人件費、福利厚生を含めましてということでございますが、こちらについては含まれております。それから、道営事業の部分に関しましては、こちらには含まれてございません。以上です。
質問 11番 類瀨光信
すみません、もう1点。綿羊事業に係る経費の中で、地域おこし協力隊員に係る経費を差し引く理由はないので、それを足すと幾らになるか教えてください。
答弁 育成牧場長 山崎浩樹
すみません。地域おこし協力隊に関しましては、今後どういう道を進んでいくかということにかかっているという認識でございますので、差引きさせていただきましたが、こちらに係る経費につきましては504万4,050円ということでございます。
質問 11番 類瀨光信
そういうことで、道営事業の分、負担金や何かが入っていないにしても、例えば1億6,000万円、7,000万円の収支不足のうち、綿羊に関する分が800万円を超える、それから哺育事業に関しては2,800万円不足になるということなのですけれども、近隣の公共牧場について、まず山寄りのほうの公共牧場、これは夏期放牧を中心に冬期舎飼いというのが600頭台、1,000頭に満たない、そういう牧場ですが、町営牧場を生産者団体に指定管理してもらっています。ここは年間の町の持ち出しというのは5,000万円です。要するに、町としては5,000万円しか負担していないということです。実際にその牧場としては、5,000万円ではややお釣りが出るということをおっしゃっています。それから、海寄りのほうに町直営でやっている公共牧場がやっぱりあるのですけれども、そちらも夏期放牧の頭数がもしかすると標茶より多いかというぐらいのところで、冬期舎飼いが少し少なめになるのですが、そちらは町の実質の持ち出しというのが9,000万円、これは両方とも令和5年度ベースです。多少の規模の違い、いろいろ、それから預託の内容の違いはあるのですれども、この2つの牧場との決定的な違いというのは、綿羊を持っている、持っていない、それから哺育を直営でやっている、やっていないというその2点が大きいです。そして、そういうことを頭の隅に置いて考えていただきたいのですけれども、これらの牧場を民間でやるとどうなるか。預託頭数1,700頭、1,800頭のところ、これは民間でやっていますが、黒字です。施設整備、投資や何かもどんどんしているけれども、それを返しながら黒字化している。もちろん赤字のところは淘汰されていくわけですけれども、実際に町内の民間では黒字化して事業として成立しているのです。こういったところと、2つ公共牧場を挙げましたけれども、それと1,700頭、1,800頭ですから哺育の牛を除けば標茶町と同じぐらいの民間の預託牧場との、そこの収支の違いというのは、一体どういうところにあると考えますか。
答弁 育成牧場長 山崎浩樹
お答えいたしたいと思います。議員からもありましたけれども、個々の牧場に関しましては、環境、それから飼養方法、全く違います。投資もお話があった中ではそうですし、放牧している、していないももちろんあるでしょうし、それから、いただいている料金体系についてもそれぞれ違うので、単純比較というのはなかなかできないとは認識してございます。そんな中で、哺育部門に関しまして赤字の相当部分を担っているかということで申しますと、先ほど申しましたとおりの金額でございますので、決して哺育事業ばかりが赤字をきたしているわけではないという認識でございます。1点言えるのは、昨年も答弁させていただいておりますけれども、生産抑制等がある中で哺育の入牧頭数がなかなか伸びないという状況がございました。現在におきましては、ほぼ元の状態に戻っておりますけれども、そんな中でなかなか収入が伸びなかったということは、令和6年度決算においてはあったのではないかと認識しております。以上です。
質問 11番 類瀨光信
誤解のないように言っておきますけれども、私は公共牧場が黒字でなければならないなんてことは全く思っていないのです。ただ、常に費用対効果は考えていかなければいけないし、例えば標茶町育成牧場の哺育で言うと、地域に哺育をやるところがなくて、どうしてもということで公共で始めて、そして、そこできちんとした結果を出してスタイルを確立して、その結果として民間の哺育事業者、生産者を中心にそこができてきて、そちらも順調に回っているということで、先駆者としての町の役割というのが終わったのではないかということで、哺育事業をやめればいいとか、赤字がけしからんなんていうことは言っているのではないのです。町内の2か所の哺育センターを見ていただければわかるのですけれども、利用者そのものが、自分たちが必要とする牛はどういうものかということに基づいて、それでおっしゃられるように必要な経費を料金としていただくというスタイルでやっています。それを公共牧場でやるのだったら、それは民間に任せればいいのです。黒字にする必要がないのですから。かかった経費全部をもらうのだったら、それは民間の人がやるべきことであって、公共としてそこのところに苦しむ必要は私はないと思います。ですから、やめるという発想ではないのです。利用者の方に自分の必要な牛を自分たちの責任において育ててもらう。要は、私道の整備や何かのことでたまたま出てきますけれども、乳牛を育てる、子牛を育てるというのはそれぞれの経営の中の基本になる部分です。ただ、高度経済成長のときに、規模がどんどん拡大していく標茶町として、酪農を基幹産業に育てていく。標茶町だけではない。道内のあちこちでそのためのサテライトとして草地資源を利用して公共牧場というのはつくられてきているわけですから、その使命を考えると、綿羊も哺育も一定の役割を果たしたら、そこは民間の方にやってもらうべきではないですかということを言っているのであって、やめなさいとは言っていないのです。その件に関してどうですか。
答弁 育成牧場長 山崎浩樹
お答えいたします。民間で賄い切れない部分を公共で行う、そういう理由、目的があって始めた。一定の状況になったときには、公共の手を放す、町の手を放すというところは、議員と意を同じくするところであります。そんな中で、町長の答弁にもございましたとおり、それぞれについて、羊については検討するタイミングが来ているということでございますし、哺育については現状すぐということにはなりませんけれども、先ほどもあったように、個々の経営の中で、自分のところで哺育を賄うのだとか、そういうことであれば、もちろん私どもそれを無理強いして牛を預けてくださいというつもりは毛頭ございませんし、そういう中で町の哺育事業の役割が終わったのだという認識に立ったときには、改めて検討してまいりたいと思いますので、ご理解願いたいと思います。
質問 11番 類瀨光信
これまで、預託牛、頭数が伸びないことについて、哺育事業においてサルモネラ症が発症したことを繰り返し理由として挙げられてきているのです。そのことが駄目なわけではなくて、そういうふうに哺育の事業というのは、大きなリスクを抱えているのです。だから、道路1本挟んだところで家畜伝染病予防法に引っかからないように意識してやっているわけで、ただ、何か1つ歯車が狂えば、育成事業本体に非常に大きい影響を与えるということをこの先考えていかなければいけないし、現状ではやっぱり収支を考えたときによくないわけですから、本体のこの乳牛育成事業というのは、これは守れなければいけないと思うのです。そして、黒字の体質とまでは言い切れないというのですけれども、実際には黒字の体質です。これは、民間の人がやったら確実にもうかる、そういう牧場です。でも、公共だからそうもならないし、民間でやるよりももっと高い精度でいろんなことをやるという、そういう使命もあると思うので、ここの部分は守っていかなければいけないと私は思うのです。ただ、哺育に関しては、もう20年が経過して、随分技術も確立されて、実際には標茶町育成牧場からよその哺育センターの責任者になったりとか、そういうふうにして町内に影響を与えているのです。だから、今、利用されている方、標茶の北部に集中していますけれども、そういった方々が今後自分たちでそういうこと、自分たちの必要とする牛を自分たちの考えで育てられるようなことをゆっくり検討するのではなくて、大急ぎで検討しないと牧場自体がなくなるかもしれないという、そういうひっ迫感というのは必要ではないかと思います。スピード感というのですか、悠長なことは言っていられないですよという、そういうことを利用者の方ともきちんとお話をして、それから、よそではほぼ哺育センターは生産者団体がやっていますから、そういったところと必要な話をきちんと町の財政事情も含めてお話をして、そのことを続けていくことによって育成牧場がなくなってもいいのかという、そのぐらいの話として交渉をというか、話をしていっていただきたいなと思います。それと、綿羊に関しては、現在のように寒い時期に出産する体制では頭数は増えないですよね。だから、この何年間か見てきているけれども、投資の割に全く頭数は増えていない。そして、自分たちで哺育しているわけでもない。これは増えるわけがないのです。幾らいい羊を買ってきても、死んでしまえばその産子数というのは、だから標茶の場合、1.3頭に満たない、非常に低迷していると言わざるを得ない。やはり牧場全体の作業とかとの関連も含めて、もっと暖かい時期に例えば繁殖をさせる。それから、加えて、季節外繁殖をきちんと行う。今は牛のシダープログラムを縮小した形でできますから、そういったこともきちんとやらないで、検討します、検討しますで赤字を垂れ流してはいけないし、ふるさと納税ですごく期待されているのに、いつまでたっても頭数が出てきていないです。そこら辺、民間の方がいないのかどうか、そういうことを含めて、急いで検討してほしい。綿羊自体は、「なぜ羊飼育はうまくいかないのか」というレポートが出ていたりするのですけれども、計算上、雌綿羊40頭から始めて販売しながら減価償却できるまで7年かかります。枝肉キロ4,500円、2,500円から7,500円の間で中間を取って4,500円で売っても7年かかるのです。そういう事業なのです。だから、町が肉もとを育てて黒字になるということは100%ないですから。だから、皆さん太陽光発電と組み合わせたり、レストランと組み合わせたり、肉屋さんと組み合わせたりというふうにしているので、そこを民間の方にも声をかけながら、なるべく早くに事業の方向性というのを打ち出してほしいと思います。でないと、これは元も子もなくなってしまいます。
答弁 副町長 牛﨑康人
基本的には、冒頭の町長の答弁に集約されていると思います。これから検討するというふうには言っておりませんで、これからの本町基幹産業を支える育成牧場の位置づけを十分に議論しながら、あるべき姿を追求するという答弁でありますが、行財政改革の作業も進めている中で、当然、育成牧場の在り方についても既に議論が進んでいるところでありますし、肝心なのは、例えば委託するのであれば引受手があるのかどうかとか、どんな形でやっていくのか、そういうところについては、この先、詰めの作業がありますけれども、それも時間的余裕がある中でやっているという意識はもちろん持っておりません。急いでやるべきと考えておりますので、議員の意見も参考にしながら進めてまいりたいというふうに思います。(「終わります」の声あり)