標茶町議会 令和7年第4回定例会 2025年12月2日
シカ柵設置で標茶町の経済を活性化させよう
2025年12月2日、標茶町議会の一般質問で、類瀨光信議員が「シカ柵設置で標茶町の経済を活性化させよう」について質問し、町長 佐藤𠮷彦、農林課長 村山尚が答弁しました。
- 質問者
- 類瀨光信 議員
- 答弁者
- 町長 佐藤𠮷彦、農林課長 村山尚
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 11番 類瀨光信
通告に従いまして、2点質問いたします。まず1点目ですが、シカ柵設置で標茶町の経済を活性化させようでございます。北海道の有害獣による2023年度の農業被害額は、ヒグマ3億円、エゾシカ51億円でありました。総額では前年度よりも4億7,900円増加して、59億800万円であったと報じられています。2023年 度 の 標 茶 町 に お け る エ ゾ シ カ 被 害 は 、 牧 草 が 1,091ヘ ク タ ー ル 、 2 億 8,637万1,000円、デントコーンが485.9ヘクタールで637万6,000円でありました。一方、シカ柵を設置している大根については、被害が皆無でありました。営農経費全般が高止まりして苦境が続く酪農にとって、シカ柵を設置することで3億円を超える農業被害をなくすことができれば、その経済効果は絶大であると思います。シカ柵の材料として間伐材を中心に町有林を充てれば、林産業の域内循環が活性化すると思います。フェンスも町内業者に限定して調達したい、そのように思います。現状、設置に関しては、町内施工業者の不足からやむなく町外業者に依頼するケースも散見されます。この点については、くい打ちのように機動力を必要とする部分と、フェンス張りのように人力が必要な作業を分離することで、土木建設業とシルバー人材に仕事を行き渡らせることができるのではないでしょうか。仮に、標茶町の全ての牧草地とデントコーン畑にシカ柵を設置するとすれば、更新も含めて超長期的に続く事業となると思います。公共事業が減る中、オール標茶で完結できる事業として進めるために、独自の補助あるいは町有林財産の提供を考えてもよいのではないでしょうか。
答弁 町長 佐藤𠮷彦
11番、類瀨議員のシカ柵設置で標茶町の経済を活性化させようとのお尋ねにお答えします。7番、黒沼議員のシカ柵設置事業についてのお尋ねでもお答えしましたが、町内では深刻化するエゾシカの農業被害を受け、国の交付金事業を活用したエゾシカ侵入防止柵整備が盛んに行われているところでございます。議員ご案内のとおり、野菜生産現場においては、おおむね侵入防止柵の整備が進んでいますが、侵入防止柵の整備後はエゾシカによる農業被害がほとんど発生していないと聞き及んでおり、適切な維持管理をしていることが前提とはなりますが、侵入防止柵の被害防止効果は非常に高いものであると認識をしております。交付金事業を活用し、侵入防止柵を自力施工により設置する場合は、木製支柱や金網などの資材力、資材費は定額で助成されるため、農家の自己負担は少額で済みます。一方、設置を土木業者等に外注した場合は、補助率は資材費を含む全体事業費の2分の1となり、農家の自己負担額は自力施工に比べて増えてしまうため、町内の農家の全てが自力施工により侵入防止柵整備を行っております。また、交付金事業の実施主体であります各農家からの要望を取りまとめるJAしべちゃでは、当該年度に必要な木製支柱や金網などの資材については、競争入札により納入業者を決定し、一括購入し、農家の負担を極力抑える努力をしていると伺っております。また、ロールラップ置場やバンカーサイロ、スタックサイロなど、土場を侵入防止柵や電子柵で囲う場合は、交付金事業の対象とはなりませんが、町内農家の中には全額自己負担で侵入防止柵や電気柵を設置している方もおられます。圃場を柵で囲う場合に比べ面積も小さい費用に抑えられますし、何よりも柵の設置後の被害が皆無となると考えますと、全額自己負担をしてでも整備する価値があると農家が判断されたものと推察しております。議員、ご提案の町内全ての圃場を侵入防止柵で囲うことを事業化すれば、農家の生産性向上と土木建設事業などの仕事創出につながるのではないかということについては、本町の有する2万8,900ヘクタールという広大な農地を侵入防止柵で囲うことは、地理的条件を考慮しても設置が可能なのか、あるいは生物多様性の影響や景観上の問題等の影響を考慮し、慎重な判断が必要ではないかと考えています。また、エゾシカの生息数等は、近年、増加傾向にあり、個体数削減に向けた取り組みとあわせて、侵入防止柵をはじめとする被害防止対策も同時並行して進めることが重要であることは、私も同じ考えではございます。幸いにも、交付金事業の取りまとめに際し、国の予算の都合で農家の要望をお断りしているという実態はないとJAしべちゃからは伺っておりますが、国におきましては、道事業の継続的な実施と必要な予算の確保について引き続き要望してまいるとともに、施工を外注した場合の農家負担の軽減と町内土木建設業者の仕事の確保という点からも、資材費の定額補助と施工費の補助を事業上、分離することなどについても、あわせて要望してまいりたいと考えております。また、公共事業が減る中、オール標茶で完結できる事業として進めるために、独自の補助を考えてもよいのではないかというご提案につきましては、議員ご案内のとおり、町内においては、限られた財源の中、収支に見合った財源規模へ脱却すべく、今年6月に策定した標茶町行財政改革推進計画の実現に向けた取り組みも、現在、進めているさなかであります。新たな事業に限らず、既存事業も含め、町民ニーズや社会情勢、さらには費用に対する効果などの多角的な観点から事業の効果について検証した上で、拡大・推進すべきと判断した事業につきましては積極的に実施してまいりたいと考えておりますので、ご理解を願います。
質問 11番 類瀨光信
まず、本町の実態と、それから現行制度については理解いたしました。今回この質問をするに当たって、直接のきっかけというものがあります。その1つは、メガファームの経営者の方とのお話であります。これまでスケールメリットを出して、それによって何とか利益を上げていこうということで、どんどん拡大の傾向で進んできたのだけれども、近年の生産資材費の高止まり、それから生産調整も含めて酪農の先行きの不安などもあって、搾乳牛を減らしたというふうに聞きました。それまでは借地も含めてとにかく粗飼料をかき集めて多頭数を搾乳してきたわけだけれども、そのことで、どこかでつまずいたときに非常にリスクを感じるということで、搾乳牛を減らし、自分の土地の中で自給飼料を調達できる範囲で搾乳するという、そういう経営方針に転換したのだということを聞きました。ただ、そこでネックになるのが、単収が上がらないということです。地域的な問題もあるのだと思うのですけれども、要はシカによる食害によって、限られた面積でやろうと思ったのだけれども、結局、草の量が足りなくなる、あるいは新芽を繰り返し食べられて、栄養価が下がった牧草を牛に与えるようになる。そこのところでシカ柵の設置に取り組むのだけれども、いま一つ自己負担も含めて使いにくいと。効果は絶大だけれども、使いにくいのだと。スピードも上がらないと。それは質問した中で言ったように、施工する業者、例えば単独で施工するにしても、町内の施工業者の順番を待っているといつになるかわからないということで、町外の業者に委託をしているという、そういう実態があるということを聞いたことがまず1点です。それと、皆さんご承知のとおり、標茶町、大型の公共投資というか、事業は続いてきましたけれども、この先、今やっている保育園の建て替え以降、そういった公共事業というのは、ほぼ期待できないのではないかなということを、私だけでなくて業界の方もみんなそのように思っていて、その結果として、高齢者の生きがい対策として行われているニッチな仕事、草刈りですとか、そういったところに町内の土木建設業者さんの目が向いてしまって、年間たかだか4,000万円の仕事に対して、これは町内の土木建設業に回すべきではないかみたいな意見も出てきているわけです。すごく同じ町内で仕事が減っていっているからといって、そういったところで、そういう福祉の性格を持った事業に羨望のまなざしを向けるとか、そういう分断につながるようなことが起きるというのは、非常に切ないなということも今回の質問の根底にあります。その2点からこの質問をしているわけです。そこで伺いますが、以前、OSO18の被害について、町は災害に匹敵するとして対策を講じてきました。酪農家や町民の不安が非常に大きい事件でありましたが、町として適切な対応がなされ、このことに対しては高く評価するところです。ただ、OSO18の被害金額という点で申し上げますと、恐らく数千万円、5,000万円に満たない額であったと思います。その点の比較で申し上げますと、毎年2億円あるいは3億円の農業被害を出しているエゾシカの食害というのは、大規模災害に匹敵すると言えないでしょうか。とすれば、今よりももっと適切な対応というのが必要ではないでしょうか。財政難の中ではありますけれども、原材料として間伐材を提供する、あるいは若齢の町有木を提供する。そういった現金を使わない、そういう対応があってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
答弁 農林課長 村山尚
お答えいたします。まず、1点目のOSO18を引き合いに、エゾシカの被害も甚大であると、大規模災害レベルであるので、そこに対してきちんと対処すべきではないかというようなご趣旨のご質問だったかと思いますが、そこの部分については私も同じ認識を持っております。対症療法的な手法として、今現在はなかなかエゾシカの個体数削減が計画どおり進んでいないところというところを考慮しますと、やはり侵入防止柵整備でまずはその被害を防ぐというところにもう少し力を入れて頑張っていかなければならないという状況は、担当としても議員と同じ考えでおります。ただ、おっしゃるとおり、当然エゾシカ侵入防止柵整備も重要ではあるのですけれども、まず根本的な部分で、やはり個体数削減をこの先どうやって、町のほうでというよりは、もっと広域な視点で進めていくかというところが一番重要かと思います。クマ対策については、北海道、国も直接的な捕獲について検討し始めているようなのですけれども、エゾシカ、過去にも同じような議論はあったのですが、今、町村だけではそこの対応が、個体数削減に向けた取り組みがし切れていないという状況を考えますと、やっぱり新たな対策といいますか、例えば季節移動した大規模捕獲だとか、あと、例えば捕獲しても、捕獲物の残滓を適正に処理しなければならないとか、そういったところもハンターさんの負担になっているというところもありますので、そういったところの法的整備を進めるだとか、やっぱり個体数削減に向けた具体的な取り組みについて国や道に対してもっと要請していかなければならないと思いますし、町としても効果的な個体数削減に向けた、例えば雌シカを優先して捕獲するですとか、当然、捕獲担い手の確保ですとか、そういったところをもう少し積極的に取り組んで、根本的なところ、個体数削減に向けて取り組んでいかなければならないのではないかなと考えております。それから、間伐材の無償提供についてというところのお話ですけれども、町有林の間伐材を無償で供給することについては、森林整備にこれまでかけてきた費用や町有林とはいえ町民の財産であるということを考えると、やはり適正な価格で買っていただくというのが大原則ですが、議員おっしゃるとおり、適正頭数に向けたエゾシカ駆除が追いついていない現状を考えますと、短期中期的には、やっぱりこの先も侵入防止柵整備というのをしばらく続けていかなければならない認識は持っておりますので、例えば農家さんの負担増にならないで、かつ安定的な需要があり、事業として成り立つということは前提になってくると思うのですけれども、例えば木製支柱を町内で製造するための体制整備や価格を抑えるための間接的な支援を町が行うことが実現可能かどうかについて、業界関係者との議論を交えた上で研究していきたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
質問 11番 類瀨光信
個体数の管理というか、削減、そこが根本的なところで大切だということは、それはそのとおりだと思いますが、今ここまで増えたエゾシカが急激に減るということは、伝染病でもはやらない限りないわけです。だから、そういったところには期待できない。そして、最初の答弁の中に景観のことであるとか、それから生物の多様性についても慎重に考えなければいけないという話もあったのですけれども、そこら辺が実際に営農されている方との温度差が少しあるのではないかなと思うのです。というのは、牧草畑というのは、畑なのです。草原ではないのです。これ、大根畑とかビート畑にどんどんシカが自由に入ってきて、主要作物、販売する作物が食い放題でいいなんていうことはないですよね。確かに、標茶町の牧草畑、圃場というのは膨大な面積がありますけれども、常識で考えて、そこが一気に閉鎖されるなんてことはないわけではないですか。そうすると、こつこつと被害の大きいところから本人の希望、営農している方の希望はありますけれども、そういうことを整備していって、そして高齢者の仕事も確保できて、土木建設業の方に例えばくいを打ち込んでもらうとか、いろんなそういう分業でお金を回していくと。今まで幾ら大きい事業をやっても、ほとんどのお金が町外に流出していて、もう漏れバケツの経済の最たるものだったのです。ほぼ町内には何も残っていない。何もとは言わない。ほぼ残っていない。だけれども、町が間伐材を例えば材料として提供することによって、そこがスイッチになって、小さいかもしれないけれども、ぐるぐるとお金は回っていくのです。そして、農業生産、上がっていくのです。そういう点で、お金がないということは重々承知していますから、では木を出したらどうですかという話なのですけれども、いかがですか。
答弁 農林課長 村山尚
お答えいたします。まず、町有林の間伐材につきましては、基本的には町内の製材工場あるいはおが粉工場に売り払っており、パルプ材につきましては、議員ご案内のとおり、おが粉に加工されます。3メートル65センチのいわゆる用材につきましては、主に柱材などに加工されておりますが、仮に末口直径20センチ以下の3メートル65センチの用材を木製支柱に加工しようとする場合、町の年間間伐計画量30ヘクタールでどのくらい供給できるのかなということをシミュレーションしてみたのですが、推定供給可能本数は1,700本程度となり、これを令和7年度要望量の2万9,716メートルの柵を回すのに必要なくいの本数5,950本で割り返しますと、要望量の30%程度しか賄えない計算になりますので、町有林の間伐材だけではなく、私有林や国有林の間伐材を買入れし、必要量を確保しなければならないというようなまずは現状がございます。また、加工、防腐剤加圧注入を町外の業者に依頼する場合、そのコストも上乗せされるので、やはり先ほど言ったような、そこの部分を例えば町が施設整備にかかわる補助事業も活用しながら、そこの足りない部分をまたさらに町が助成するなど、そういったことを検討していくことによって、必ずしも町有林の間伐材を使うことが不可能だという話ではないと私自身も考えておりますので、そういったところも含めて、いかにすれば町の材を町のほうで、域内活用といいますけれども、地域内で活用できるかというところを研究していきたいと思いますし、現にまた違う場所、具体的に申しますと、今現在策定中の森林ビジョン策定委員会の中でも地域材をいかにして地域で使うか、当然、資本を経済で循環させることによって、先ほど議員のほうからも漏れバケツの経済理論のお話をされていましたけれども、今、主伐材のほとんどが域外に流出しているという現状を改善すべく、その手法について検討、協議を行っているところでございますので、ご理解をお願いいたします。
質問 11番 類瀨光信
本当に間伐材に限らず、主伐したものも含めて、結局、計画の見直しが二転三転して四国の大きな製材会社が釧路に進出してくる。その影響というのも、この先はっきりと出てくるかもしれないのですけれども、高く買ってくれるところにそれを出して、町が何千万円かの歳入を残すよりも、ちょっと若いけれども、間伐材以外のそういう主伐材も町内に回して、防腐のための加圧加工が必要かどうかは抜きにして、全部そういう加工まで町内でやるということの効果というのは本当に計り知れないと思いますので、そういった大きなところに材料を売ることにこだわらずに、町内に回すということで今後も研究、検討を進めていただきたいと思います。