小樽市議会 令和3年第1回定例会 2021年3月3日
(1)障害者優先調達推進法について/(2)EBPMについて
2021年3月3日、小樽市議会の一般質問で、髙橋龍議員が「障害者優先調達推進法について」「EBPMについて」について質問し、市長 迫俊哉が答弁しました。
- 質問者
- 髙橋龍 議員
- 答弁者
- 市長 迫俊哉
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 6番 髙橋龍
一般質問いたします。障害者優先調達推進法について伺います。この法律は、障害者の自立に向けた生活基盤の確立を目指して定められ、国や地方公共団体等が物品やサービスを調達する際に、障害者就労施設等から優先的に購入をすることを推進するという趣旨のものです。厚生労働省のホームページには「その仕事、障害者就労施設に発注できませんか?」という非常に分かりやすいキャッチコピーが用いられています。障害者の経済的自立に向けては多くのハードルが存在します。障害者イコール低賃金という従前からの仕組みをいかに転換していくか、多面的な角度で支援を図っていかなければならないことは、昨今一定の理解は広まってきているものと考えます。しかしながら、理想論先行で実情が伴わないケースは往々にしてあり、当事者が望む経済的自立には遠く及ばない現実も残念ながら存在します。そもそも障害者福祉政策と障害者の雇用・就業政策とは別のものでありますが、二つの政策間で連携を図り、具体的な成果を出していく方針であるこの法律は、非常に前向きなものであると認識をしています。ここから、質問の本題へと入りますが、まず、この法律に基づいて行われる物品及びサービス等の商品納入までにどういう手順を踏むものなのか、一般的な流れについて御説明をお願いします。続いて、調達する物や役務、つまりサービスについてお示しいただきたいと思います。物品やサービスと申し上げましたが、取扱いの具体の品目について伺うものです。自治体間によって差もあるかもしれませんが、本市ではどのような物が対象となっているのでしょうか。㸫155-次に、実績について伺います。本市において、この法に基づく調達実績はどのようになっているのか、お示しいただけますか。加えて、その答えを踏まえ、この制度の活用に対して課題をどのように認識されていますか。次に、物品の例を示して伺いますが、避難所向けの備蓄食品等でも市内の作業所で作られていると認識をしております。こうしたものの導入についての見解を求めます。長野県では「障がい者優先調達NEWS」というものをつくっていたり、制度を広く周知するとともに制度活用が当たり前になっていくことに努めています。年間の調達目標金額を設定していたりと、ポジティブな姿勢がうかがえます。本市においても市役所庁内における周知も進めなければ推進につなげることも難しいと思いますが、優先調達の物品及び役務の幅を広げていくための方策はどのようなことが考えられますか。現状、本市の作業所でつくられていないものであっても、ニーズが生まれれば生産が可能ということもあり得る話です。一般の事業者よりも納期を長く設定するなどにより、ペースを行政の側が合わせることが可能であると国の推進事例の中で示されていました。市内の障害者就労施設等とそのようなすり合わせもしていただきたいとお願いをするところです。障害とは個人の能力の優劣ではなく、多くは社会の側に存在しています。四肢の機能的なハンディキャップを義手や義足のような器具で補うのと同様に、経済的な意味合いでの日常生活については社会のシステムとして補う必要があるということを訴え、この項の質問を終わります。次に移します。EBPMについてです。EBPMとは、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、エビデンスに基づく政策立案という意味で、加えて申し上げると、エビデンスとは科学的データに基づいた根拠、論拠といった意味合いであります。前回の定例会において、迫市長がおっしゃっていた中で印象的だったのは、しっかり数字を意識して事業の効果測定をしていくという旨の言葉でした。そのためにもこのEBPMという考え方が必要であるという趣旨で質問をさせていただきます。政策の効果を最大限に発揮するためには、エビデンスとなるデータ、分析が重要になってくるわけです。もちろん大前提としてEBPMに向く向かないは分野により違いがあることも承知しておりますが、まず親和性が高い事例について御紹介いたします。兵庫県淡路市では、介護予防の事業でEBPMを実践し、データ収集と分析を行われたそうです。出席・欠席の情報、医療や介護に係る費用の相関を分析してみると、1人当たり年間最大30万円の費用抑制効果が見られたということです。これまで定性的な評価であった効果が定量的なものとして可視化されることで、事業内容の見直しや適正な予算配分にもつなげることができ、効率的な行財政運営と住民ニーズの向上、どちらにも寄与するものであります。ここで、まず本市のEBPMの認識について伺います。EBPMの推進ということについては、どのように感じておいでですか。また、国では経済産業省や、教育のICT化で文部科学省が、医療や介護分野で厚生労働省、公共工事の政策評価等で国土交通省など、それぞれ向き合う姿勢は異なりつつ、いずれの省庁も本格的にEBPMに取り組むこととなっています。これを市でいうと、教育委員会、福祉部や医療保険部、保健所、建設部などに置き換えられると認識しております。例えばエビデンスを意識した政策立案を本市で行おうとする場合、各部・課においての取組となるのでしょうか。次に、観光を例にしてみます。佐賀県では、グーグル社との協業で誘客のための動画作成を行いました。予算の中に動画公開後の分析費用も組み込み、マーケティング理論とも組み合わせて戦略を立てること-156-で、企画から撮影、編集、公開後の分析までが一連の流れとなっています。ここが重要なポイントで、逆に言うと多額の費用をかけて動画を作り、幾ら再生数が伸びたとしても後に因果関係を示すことができなくては、何が効果的だったのか検証のしようもないということです。分析ツールはあくまで手段であり、何を達成したいのか事前に明確化、つまりアウトカムの数値設定をしておかなくてはなりません。また、横須賀市では、観光の経済波及効果を調べるために職員が産業連関表を作成して効果を調査し、日帰り客と宿泊客で消費額には7倍もの差があることが見え、それを基に事業費を算出したとのこと。日帰り客と宿泊客で消費金額に大きく差が出るのは当たり前ですが、調査と分析を行わなければ、どれだけの開きがあるのかは推量するしかないということです。幾ら論理を構築しても論拠が正確でないと、あくまで推量の域を超えません。本市に話を戻すと、観光の経済効果のデータを用いた事業実施など、これまでもEBPMの種のようなものはあったと思います。直接的に理念を基にしているということではなく、図らずもEBPM的であったということを含めて、本市におけるEBPM的な実践事例について、あれば御紹介願います。政策は課題解決のために立案し実行するものでありますが、課題抽出、政策立案、実施、成果、課題解決というプロセスを経ていくわけです。そこにデータ分析、ロジックモデルの活用、データに基づく効果の検証という流れを組み込むことにより、事業の質を上げていくことが必要です。望むか否かにかかわらずEBPMの考えを取り入れていくことは、国も含めた大きな流れとして避けられないとも思います。教育であればICT化の効果測定に習熟度を1人ずつ図れるアプリを活用すること。先ほどの例のような観光分野で人流データを用いて分析を図ること。除排雪においても過去の気象データと事故などの危険箇所の相関。税の徴収率を上げるため行動経済学を用いたナッジ理論によるテキスト作成など、広い範囲でEBPMを踏まえた事業展開が可能と考えます。今回の話は大枠にとどめ、分野ごとの提言は今後、行ってまいりますが、最後に体制についてお聞きします。EBPMに関する数々の論文、講演において指摘されているのが、自治体レベルでの担当の配置に関する課題です。専門分野の人員確保や育成についてなどです。最も望ましいのは企画を担当する部署への人員配置であると考えます。これら政策立案の根拠を担保していくために国でいう政策立案総括審議官に当たる役割を据える必要もあると考えますが、その点はいかがでしょうか。今すぐは難しい面もあることは承知をしておりますが、民間登用事例も増えてきていると聞きますし、近隣自治体と共同で人材を配置するというケースもあるということですので、御検討いただきたく存じます。質問の結びに、自治体の政策立案について京都大学の研究論文から引用し、一言申し上げます。「地方自治体の政策立案現場において、従来の「勘や経験、思い込み(KKO)」に依存した政策議論から、データやエビデンスを重視した議論へと進展するものと考えられる。しかしその一方、行政と対峙すべき議会においてはEBPMには程遠い現状が存在している。とりわけ「地方議会」の現場では、議員の主観や不明確な根拠に基づく質疑が多数を占めているように思われる。行政と議会との間には情報の非対称性が存在するため、このような状況に陥りがちである」つまり行政側は情報を多く持っているが、議員の側はそれらを自由に扱うことはできないことから、主観的な質疑の方向性になってしまうと理解しますが、私としても身につまされる思いでもあります。その要素を踏まえて、根拠立てた質問ができるよう努めてまいりますので、ぜひ市長をはじめとする説明員、職員の皆様におかれましても、市の政策立案能力を向上させていただきますよう、お願い申し上げます。再質問を利用し、質問を終わります。(拍手)-157-
答弁 市長 迫俊哉
髙橋龍議員の御質問にお答えをいたします。初めに、障害者優先調達推進法について御質問がありました。まず、同法に基づく物品納入等の流れにつきましては、本市では毎年度策定している小樽市における障害者就労施設等からの物品等の調達方針に基づき、市内の障害者就労施設等から提供可能な物品等に関する情報収集を行い、その内容を庁内の各部署で共有をしております。また、物品等の納入につきましては、金額により発注を必要とする部署、または契約管財課が小樽市契約規則に基づき発注を行い、納入される流れとなっております。次に、本市において調達可能な物品やサービスの具体的な品目等につきましては、まず物品では災害備蓄用食品や木工製品、小物雑貨、パンなどがあり、役務ではクリーニングや草取りなどの軽作業のほか、チラシ制作やデータ入力などがあります。また、物品や役務を提供できる事業所につきましては、現在市内では16の事業所となっております。次に、本市における最近の調達実績につきましては、過去2年で申し上げますと、物品の調達ではありませんが、クリーニング等の役務では平成30年度で120件、約4,350万円、令和元年度で115件、約4,690万円の実績がありました。次に、本市におけるこの制度の活用の課題につきましては、調達実績がクリーニング等の役務など一部の事業所に限られていることが挙げられます。これは職員の法に対する理解不足や、障害者就労施設等で調達できる物品や役務の内容が十分に認知されていないためであると考えられ、さらなる制度の周知が必要であると認識をしております。次に、市内作業所で製造の避難所向けの備蓄食品等の導入につきましては、市内の障害者就労施設等で災害用の備蓄食糧を製造している施設があることは承知をいたしておりますが、特定原材料等に関するアレルギー対応などの品質、物品購入等指名競争入札参加資格者名簿への登録、食料の単価などの課題があるものと認識をしております。今後におきましては、現在備蓄している食料を更新する際に、これらの食料の導入について検討を行ってまいりたいと考えております。次に、優先調達の物品及び役務の幅を広げていくための方策につきましては、本市としてこれまで以上に積極的に優先調達を進め、これら事業所の受注機会の拡大を図るほか、本市で必要としている物品や他都市での取組事例などの情報を事業所に提供し、新たに調達できる品目の提案をしていくことも方策の一つではないかと考えているところでございます。次に、EBPMについて御質問がありました。まず、EBPMにつきましては、限られた資源を有効に活用し、政策の効果を高めていくため、慣例や感覚ではなく、統計データの分析など客観的な根拠に基づき効果的・効率的な政策立案を行う手法として承知をしているところであり、政策効果を高める上で重要な視点であると考えております。次に、政策立案を行う所管につきましては、国の府省において所管する分野の政策立案にEBPMを採用しているのと同様に、本市においても担当部局で取り組むことが効率的であると考えられます。次に、EBPM的な実践事例につきましては、平成29年度に行いました小樽商科大学との人口減少についての共同研究において、市民アンケートなどから移住・定住に関して子育て環境が影響していることが示されましたので、子育て世代包括支援センターを設置したほか、子どもの医療費の助成を拡充してきております。また、教育分野において全国学力・学習状況調査の結果を分析し、教育施策の改善を図ってお-158-ります。このほか観光分野においては、本市や観光庁などの調査結果に基づき、観光消費額が大きく滞在日数が長い欧米豪の地域を新たな誘客ターゲットとする観光施策に取り組んでおります。次に、政策立案に関わる専門職の配置につきましては、現時点では職員を配置することは考えておりません。しかしながら、先ほど御答弁したとおり、EBPMは政策効果を高める上で重要な視点であると認識をしておりますので、本市といたしましては、まず職員研修の機会などを通じまして職員に対してその意識づけを図る必要があると考えております。(「議長、6番」と呼ぶ者あり)
再質問 6番 髙橋龍
それでは、再質問をさせていただきます。まず、障害者優先調達推進法については、詳しくは委員会等でやらせていただきます。前向きな御答弁をいただいたというふうに理解をしております。続きまして、EBPMに関してですが、これも重要性は御認識をいただいたというふうに受け止めました。EBPMに近しい事例ということで、本市の取組もお示しいただきましたけれども、実際にこれらの事業の振り返りとして、今この場でとは申し上げませんが、EBPMの考えに当てはめて何が不足していたかなどを検証するということもお考えに入れていただきたいと思います。つまり、どうしたらもっと政策の狙いと効果の比較というのができたのか、そこを分析することで次の取組に向けてエビデンスができて、根拠に基づく政策にブラッシュアップされるというサイクルができていくと感じるのです。ですので、そうした観点での事業検証というのも視野に入れていただきたいので、これに関しての御見解をお願いします。続いて2点目なのですが、取り組むとすれば担当部署の中で行っていくということで、つまり政策推進総括審議官的な職員は難しいとして、原課が取り組んでいってくれるということです。職員研修というお話もありましたけれども、具体的にどのようなことができるのかみたいなものが、もし今想像ができればお示しいただきたいと思います。例えばですけれども、自治体のデータ活用を進めるために、業務委託ではなくて職員のみで実施することで、効果検証の意識が浸透するということも有識者から指摘をされていたりですとか、職員の側のデータの活用策、データリテラシーと呼ばれますが、これを向上させていかなくてはいけないというふうな趣旨で質問をさせていただきました。すみません、冗長になってしまいましたけれども、職員研修の内容という部分に関しても少し具体にお答えいただければと思います。以上、事業の振り返りについてと研修の点、2点で再答弁を求めます。
答弁 市長 迫俊哉
髙橋龍議員の再質問にお答えをいたします。2点再質問がございましたけれども、1点はデータの振り返りといいますか、事業の振り返りということだと思うのですが、これからやはり行政のICT化が進んでいく上で、このEBPMに対する考え方というのは我々としてもしっかり持っていかなければいけないというふうに思っております。エビデンスといいましても、我々エビデンスという言葉は使っておりませんけれども、証拠だとか裏づけだとかということは絶えず言っていますので、職員も意識はしていなくても絶えずそういった裏づけに基づいた政策立案などは行っているとは思いますが、やはりデータの取り方を誤ったり、どのデータを使うかということによって、また結果も違ってくるわけですから。ただ、エビデンスを使う際には絶えずその振り返りも行-159-いながら、たくさんのデータの中でどれを使うのかということも大切なことだと思いますので、そういった視点を養う上でも、当面はいろいろな振り返りを行っていかなければいけないだろうなというふうに思っておりますけれども、行政の政策を立案していく上での合理性ですとか客観性というものは当然、求められてまいりますので、これについては前向きに取り組んでいきたいなというふうに思っております。それから、研修についてお話がありましたけれども、具体的にはまだまだこれからいろいろなことを考えていかなければいけないと思うのですが、委託をして専門家を呼ぶというのも将来的には一つあると思うのですけれども、庁内でもこのデータを使ってうまくいっている事例みたいなものも多分あると思うのですね。そういったものがあれば、いい事例を基に職員間で情報共有するというのも一つありだと思いますので、まずはそのようなところから手をつけていきたいと思っておりますし、将来的にはまだもう少しいい形での研修にもっていけるかもしれませんけれども、当面そういう形でスタートさせたいというふうに思っているところでございます。