小樽市議会 平成27年第3回定例会 2015年9月8日
官製ワーキングプアについて
2015年9月8日、小樽市議会の一般質問で、佐々木秩議員が「官製ワーキングプアについて」質問し、市長 森井秀明が答弁しました。
- 質問者
- 佐々木秩 議員
- 答弁者
- 市長 森井秀明
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 18番 佐々木秩
官製ワーキングプアについて伺います。官製ワーキングプアとは、自治体によってつくり出されるワーキングプア問題のことです。地方自治体は、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と地方自治法第1条の2にあります。よって、自治体の施策によって、そこに住む人々やそこで働く人々を困難に陥らせているということは、あってはならないはずです。国や自治体が提供するさまざまな公共サービスで、業務委託、指定管理者制度等の手法により、業務の一部又は全部をアウトソーシングする動きが広まっています。国や地方自治体が直営する場合でも、正規公務員から臨時・非常勤職員に置きかえる動きも加速しています。この置きかえの理由は、財政逼迫に伴うコスト削減が主な理由です。その結果、公共工事や委託業務に従事する労働者や自治体採用の臨時・非常勤職員の労働条件を低水準に押しとどめることになってしまいます。働き続けても独立して生活を設計することができない水準の賃金や報酬しか支払われない人が、自治体が発注する業務を担い、あるいは自治体に直接採用されて、住民の福祉の増進につながる公共サービスを提供している、つまり住民の福祉が満たされない人の手により住民の福祉の増進が図られようとしているという皮肉で悲惨な現実があるのです。本市においても例外ではありません。多くの悲痛な声をお聞きしているところです。まずは、このような官製ワーキングプアという問題についての市長の基本的認識をお示しください。さきに述べたように、この問題は大きく二つに分けて捉えられます。一つは、市で働く臨時・非常勤職員、非正規公務員という問題です。非正規とはいえ、公務員なのだから、民間から比べると賃金も待遇も恵まれているのでしょうという声がありますが、実際には民間の非正規社員と比べても、非正規公務員は不利で厳しい状況にあるというのが事実です。自治体の側に圧倒的な裁量があるからです。そのため、どれほど長期で働き続けていても、雇いどめに抗することができません。非正規公務員は、正規の公務員でもない、民間の非正規社員もないという法のはざまの存在なのです。職員定数削減の圧力が増し、財政が逼迫する一方で、行政サービスに対するニーズは増大、多様化するという状況を背景に、自治体では正職員が減らされ、かわりに臨時・非常勤職員が増大しています。短期間・短時間勤務者を除いた2013年発表の総務省調査でも、その数は全国で約60万人とされています。それでは、非正規雇用の何が問題かというと、一つは雇用の不安定です。仕事が恒常的に存在するのに、再度任用の回数や年数が制限されたり、再度任用に際して、任用と任用の間に一定の空白期間が設けられたり、任用期間を区切って雇うなど、有期雇用の乱用が自治体によって行われ、結果として非正規公務員はいつまで働けるのかとか、再就職などへの不安を常に抱えているのが実態です。もう一つは、賃金が低いという問題です。ある自治体で調査をしたところ、非正規公務員の報酬は、ワーキングプアのボーダーラインとされる年収200万円未満で9割を占めていたという報告があります。また、嘱託員は専門性がより高い仕事に配置されているにもかかわらず賃金水準が低い、正規職員とほぼ同じ仕事をしているのに賃金の差が大きすぎる、働く時間が短いので収入が少ない等の不満の声が上がっています。さらに、賃金、諸手当、通勤費ばかりでなく、休暇や教育訓練、福利厚生においても、正規職員との均等・均衡待遇になっていないことが挙げられています。そこで、本市の非正規職員についてお聞きします。本市の場合、主な非正規職員は臨時職員、非常勤嘱託員となっていますが、それぞれ任用の規定、任用期間、職務内容、勤務時間等、概要について説明をしてください。休暇・休業制度や教育訓練、福利厚生など、処遇についての概要もお示しください。10年前、5年前と比べて、職員数の変化とその変化の主な理由を示してください。現在の年齢構成、男女別の割合についてお示しください。臨時嘱託員を任用する主な理由は何ですか。それぞれお答えください。それぞれ契約の空白期間は存在するのですか。結果として、いつやめさせられるのかわからないという雇用の不安定は生じていないのでしょうか。賃金について伺います。それぞれ一般的な例として、時給、1年間働いたとしての年収を示してください。賃金の基本額の設定の考え方は、どのような点を考慮していますか。本市においても、公共サービス、市民サービスのかなりの部分が、実質、非正規職員の職業上の倫理観や専門的知見、ノウハウの蓄積によって支えられている現状があります。それを正当に評価し直す必要があるのではないでしょうか。本市での非正規職員の現在の状況について、市としてどのような認識をお持ちか伺います。非正規職員の中にも、いろいろなお考えの下、現職につかれていることは承知しています。子育てその他の理由があって、フルタイムで働くのではなく、それ以外の時間を確保するために、その雇用形態を望んで選んでいる人もいます。しかし、そういう人であっても、処遇や賃金について、正規職員との格差を認めているわけではありません。任期の定めのない短時間勤務職員制度があれば、そのほうがよいと思われている方もいます。一方、本人が主な家計支持者の場合もあり、低い収入で苦労しており、正規職員になることを強く望んでいる方もいます。そういう思いや要望、不満、実態をきちんと把握して、官製ワーキングプア対策に反映させる必要があります。実態把握のための調査、アンケート実施を望みますが、いかがでしょうか。第2に、自治体は、地方自治法で言う最少の経費で最大の効果を上げるという原則に沿って、公共事業、委託事業、指定管理者など、さまざまな仕事を発注なり委託なりしています。その委託先で、人件費削減のために働いている人の低賃金はじめ労働環境が悪化し、結果、全国的には住民サービスの低下や事故、トラブルが多発しています。これについては、自治体にも発注者責任があり、その解決のために公契約条例を制定する必要性については、第2回定例会において林下議員が主張されたとおりですので、ここでは繰り返しません。ただ、本市における清掃や警備等の民間業務委託をしている事業において、入札時に労働者等の賃金等については明らかになっていますか。また、契約後、労働環境、労働者の人数や賃金についての調査、確認作業はしていますか。請負先が決まったらそれでおしまい、働く人については知りません、コストさえ削減できれば後のことは知りませんというのは、発注者としての責任を果たしていないのではないかと思いますが、その点についてのお考えを伺います。第2回定例会で、林下議員がこの公契約条例について質問をした際、市長は、しっかり勉強、研究してまいりたいとのことでした。そのためにまずすべきことは、実態把握、働く環境としての現状を本市において調査することです。課題は、非正規公務員と公共サービスに従事する民間労働者の処遇の改善と雇用の安定です。そのためには、まず、今、どういう問題があるのかを目に見えるようにすることが重要です。これまで述べてきたような本市職員や関係企業等の協力を仰ぎ、データ収集、分析の取組をお願いいたします。
答弁 市長 森井秀明(市長は2018年7月まで)
ただいま、官製ワーキングプアについて御質問がありました。初めに、非正規公務員についてですが、まず、官製ワーキングプアに対する基本的認識につきましては、ワーキングプアとは、働く貧困層と言われておりますとおり、一般的にフルタイムで働いても生活保護基準に満たないような収入しか得られない方を指す言葉として用いられているものと承知をしております。そして、官製ワーキングプアとは、一般論で申し上げますと、国や自治体で働く非正規職員がこのワーキングプアに該当しているという考えから生まれてきた言葉であると認識しております。次に、臨時職員と嘱託員の任用の規定等につきましては、まず、臨時職員について申し上げますと、任用根拠は地方公務員法第22条第5項で、同項の規定によりますと、任用期間は6か月を超えない期間で更新は1回のみ、任用期間の最大は1年となります。基本的には、職員に欠員が生じた場合の補充として又は一時的に業務が多忙となる場合に任用され、職員が行う業務の補助に当たることとなります。職員の代替としての配置となりますことから、勤務時間は職員と同一となります。また、嘱託員については、任用根拠は地方公務員法第3条第3項第3号であり、任用期間は1年を超えない範囲内で、年度ごとに任用が更新される取扱いとなっております。職務内容につきましては、福祉の就業指導員などの専門性を有するもののほか、職員の業務を補完するものとなりますが、本来、職員を配置すべきところ、その業務量が1人工に満たないと判断される職について、短時間勤務職員である嘱託員を配置するというのが基本的な考え方となります。勤務時間につきましては、1週29時間の範囲内となっており、週5日勤務であれば、通例1日5時間48分の短時間勤務となっております。次に、休暇制度等につきましては、まず、臨時職員の年次有給休暇について申し上げますと、労働基準法で定める最低基準では、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、初めて付与されることになりますが、本市では5か月を超える任用者に対しては、その任用日から5日を付与する取扱いとしております。嘱託員については、任用期間に応じ、任用の日から所定の年次有給休暇が付与されるほか、有給の特別休暇としては、7日以内の服喪休暇を付与することとしております。また、無給とはなりますが、公民権行使休暇等を特別休暇として認める取扱いとしております。教育訓練として市で実施する研修においては、業務に直接的に関係があると認められる科目で、本人からの希望がある場合には、正規職員同様、臨時職員、嘱託員いずれも受講は可能としております。福利厚生については、両者ともに北海道都市職員共済組合の組合員とはなりませんので、短期の任用の場合などを除き、全国健康保険協会北海道支部の健康保険などの社会保険が適用となります。なお、公務災害に対する補償については、労災保険が適用される場合と、職場に応じ、小樽市議会議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例が適用となる場合があります。次に、職員数の推移につきましては、10年前、5年前、本年について、臨時職員、嘱託員の順に、それぞれ5月1日現在の人数で申し上げますと、平成17年、164人、612人、22年、134人、598人、27年、106人、636人となっております。この増減の主な理由ですが、臨時職員については、基本的には正規職員の欠員補充として任用されますので、組織の見直し等による必要職員数の減少に伴って、欠員数も減少しているものと考えられます。また、嘱託員については、減少要因としましては、組織の見直し等に伴う減が考えられますが、正規職員の嘱託化のほか、特に本年については、放課後児童クラブの設置基準の見直しによる指導員の増などがあり、トータルでは増加をしているものと考えられます。次に、臨時職員、嘱託員の年齢構成及び男女別の割合につきましては、本年8月1日現在でお答えをいたしますと、臨時職員については、40代が最も多く27.2パーセント、次いで60歳以上で21.9パーセント、次いで50代で20.2パーセントとなっており、男女別では男性が44.7パーセントで、女性が55.3パーセントとなっております。嘱託員については、50代が最も多く30.5パーセント、次いで40代で28.9パーセント、次いで60歳以上で21.0パーセントとなっており、男女別では男性が8.0パーセント、女性が92.0パーセントとなっております。次に、臨時職員、嘱託員を任用する主な理由につきましては、先ほど申し上げましたとおり、臨時職員については、職員に欠員が生じた場合の補充や一時的な業務多忙がその理由となります。嘱託員については、専門性を有する職員の配置や業務の見直しに伴う短時間勤務職員への振替などがその任用の理由として挙げられます。次に、臨時職員、嘱託員の任用の空白期間につきましては、まず、臨時職員については、地方公務員法の規定により、6か月以内の任用期間で1回のみ更新可能、トータル1年以内という縛りがございます。このため、本市におきましては、業務上資格が必要な職種や人員の確保が難しい職種においては、おおむね10日程度の空白期間を設けた上で、再度、任用するという取扱いとしていたところですが、空白期間における無保険、無年金の期間が生じないよう、本年2月1日から、この空白期間を原則1日に改め、臨時職員の処遇の改善を図ったところです。また、嘱託員については、基本的に年度ごとの更新となりますので、空白期間は生じておりません。なお、いずれも任用の際の辞令に、任用期間は明示をしているところです。次に、臨時職員、嘱託員の時給と年収の一般的な例につきましては、それぞれ事務補助でお答えいたしますと、臨時職員については、日額単価が6,360円となっておりますので、これを1日の勤務時間である7時間45分で割りますと、時給は約821円となります。年収については、臨時職員は欠員補充や業務多忙の際の任用ということになりますので、育児休業の代替等の場合を除き、基本的には1年間フルに勤務するということは想定されないところではありますが、フルに勤務したと仮定して、日額単価に年間勤務日数を乗じて試算いたしますと155万円程度となります。嘱託員については、日額単価が6,150円、これを1日の勤務時間5時間48分で割りますと、時給は約1,060円となり、年収は156万円程度となります。次に、臨時職員の賃金、嘱託員の報酬の単価の設定の基本的な考え方につきましては、制度創設当初の設定の考え方については、かなり以前ということもあり、確認することはできませんが、以後、その当初設定額に最低賃金のアップ率を勘案し、単価の改定を行ってきたという経緯はございます。また、新たな職種の単価の設定に当たりましては、資格のありなし等を含め、業務内容が類似する職種の単価を参考にしております。次に、本市における非正規職員の現状についての認識につきましては、まず、臨時職員については、地方公務員法に基づく任用期間の制限があり、あくまでも一時的な雇用ということになります。このことからしますと、臨時職員の主な業務は正規職員の補助とならざるを得ないこととなりますので、民間の賃金水準も考慮し、その職責に見合った制度設計とする必要があるものと考えております。(「参与、参与」と呼ぶ者あり)また、嘱託員については、フルタイムではなく、パートタイムであり、本来的には嘱託員自身がその勤務形態を希望して任用されているものです。確かに嘱託員が蓄積したノウハウ等に支えられていることも事実としてありますが、その報酬単価が民間の賃金水準との比較で決して低くはないということ、また、パートタイムであるということもあわせて考えますと、フルタイムで賃金水準が低いという官製ワーキングプアには該当しないものと考えられます。このようなことから、いずれの職につきましても、現段階では見直すという状況には至っていないものと考えております。次に、実態把握のための調査、アンケートの実施につきましては、臨時職員、嘱託員の勤務条件については、臨時職員には任用期間、嘱託員には勤務時間の縛りがあり、さらには正規職員となるための条件としては、競争試験を経ることなどが必須など、法制度上の壁があり、現状では見直しをする余地は少ないものと考えております。また、先ほど申し上げましたとおり、現段階では現制度を見直すという状況には至っていないものと考えておりますことから、現時点では御提案のありました調査についての考えは持ってございません。次に、公共サービスに従事する民間労働者のワーキングプア問題についてですが、まず、本市における清掃、警備等の業務委託における入札時の労働者の賃金等につきましては、入札金額はその業務を遂行するに当たり、効率かつ適正な金額であるかを主眼としておりますので、従事する労働者の個々の賃金等までは把握をしておりません。また、契約後につきましても、契約内容は業務の成果を求めることを目的としたものであり、現時点では個々の賃金等について、特に調査、確認作業は行っておりません。次に、発注者としての責任につきましては、賃金等の労働条件については、個々の労使当事者間で取り決められることが基本と考えておりますが、市としましても、適正な賃金の確保及び労働環境の整備は必要であると考えており、契約書においても、関係法令の遵守はもとより妥当な労働条件及び賃金の確保に努めることを規定しているところであります。