小樽市議会 平成26年第2回定例会 2014年6月16日
カジノ賭博誘致について
2014年6月16日、小樽市議会の一般質問で、川畑正美議員が「カジノ賭博誘致について」質問し、市長 中松義治、教育長 上林猛が答弁しました。
- 質問者
- 川畑正美 議員
- 答弁者
- 市長 中松義治、教育長 上林猛
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 8番 川畑正美
2項目めの質問に入ります。2項目めは、カジノ賭博誘致についてです。今、国会では、カジノ賭博を中心にした統合型リゾート施設の整備を後押しする特定複合観光施設区域整備推進法案が日本共産党と社民党を除く超党派の国際観光産業振興議員連盟がまとめ、自民党、日本維新の会、生活の党が法案を提出し、今国会で成立を目指そうとしていましたが、6月9日の段階で今国会成立を見送り、秋の臨時国会成立を目指しています。しかし、日本は賭博であるカジノを長く刑法で厳密に禁じています。中松市長は日本の刑法がなぜ賭博を禁じていると考えているのですか。市長の見解をお伺いします。2013年9月12日の予算特別委員会で、市長は、カジノはプラスになるほうが圧倒的に多いだろうと思っている。私は市長になる前は4か国のカジノを見ているが、いろいろと心配されている向きはあろうかと思いますけれども、そういう心配というのは全く感じていない。むしろ地域振興、観光振興、雇用の問題などプラスになることがたくさんあるとの見解でした。毎日新聞の記事によれば、静岡大学の鳥畑与一教授は人口五百数十万人で日本より観光客が多く、日本はシンガポールを成功例としている。しかし、シンガポールでカジノが原因と見られる国民の自己破産申請件数が2010年の約2200件から2012年には約3000件と悪化し、11万人がギャンブル依存症と扱われる事態になっていると報告されています。また、35か所のカジノを抱えるマカオの研究者は、雇用拡大など一定の効果はあるが、依存症が2003年の4.3パーセントから2007年には6パーセントと悪化、犯罪件数も2008年は1万4,000件と2002年よりも5,000件増え、高校中退率も上がり、真面目に勉強する若者が減るなど、カジノ経済効果よりもデメリットのほうが大きいと結論づけていると報道しています。経済効果などプラス面を強調する中松市長は、このような報道をどのように受け止めていますか、お知らせください。市長は3月の記者会見で、韓国訪問の狙いについて「韓国は17か所ものカジノがあるのですが、そのうち二、三か所を視察し、プラスの面、マイナスの面を両面から見ていきたい」「通常国会の中で推進法が議論され、成立した際には、決定した状況の中で小樽市としてカジノ誘致を推進するべきなのか、撤退するべきなのかということも含めて市民の皆さんに説明していきたいと考えています」と語り、韓国の旅客船沈没事故で訪問を見送った高橋知事を除いた道の担当者や苫小牧市長とともに4月23日から韓国を訪問しています。カジノ賭博を中心にしたIR法案が国会を通っていない中で市長は韓国へ視察に行くべきではなかったのではないですか。実際には韓国を訪問視察されていますが、カジノ賭博の実態をどのように受け止めたのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。糸数慶子参議院議員が韓国・カンウォンランドのカジノを視察した「カジノの町はいま09’」という動画があります。この動画の内容は、17か所のカジノがあるうち、この1か所だけが韓国人が入所でき、1日8,000人から1万人が詰めかけ、売上げは665億円に達し、外国人だけが入所できる16か所の合計を上回っている。このカジノには中毒ケアセンターが設置され、7人の相談員がおり、依存症患者は西洋人が2から3パーセントに対し、中国人、日本人は6から7パーセント、韓国人は8パーセントと高く、依存症の患者は自覚がないために歯止めがきかず、完治する人はほとんどない。施設内での自殺者は年間5から6人あり、地域に戻って自殺している人などは把握されていない。カジノを誘致した市民団体の代表は、カジノ開設によって浮浪者は2,000から3,000人増え、10年前に比べ人口が半減した。カジノ誘致による副作用について全く考えていなかったと言っています。まちの通りでのインタビューでも、「浮浪者が増え、治安も悪く子供を学校に通わせるのも心配」「友人の母親がカジノにはまって自殺し、その後、家族は引っ越してしまった」などの実態です。視察された実態と大きな違いはないと思いますけれども、市長の見解をお聞かせください。パチンコ業の実態とギャンブル依存症の実態について伺います。日本共産党の大門実紀史参議院議員は、4月28日の参議院決算委員会で、日本は世界でも最悪のギャンブル依存症大国となっている。他国ではおおむね1パーセントにとどまる有病者が日本では成人男性の9.6パーセント、女性でも1.6パーセントに上り、人口から推計すれば、患者は約560万人というショッキングな数字になる。国はこの対策を行っているのかとただしています。これに対し、厚生労働省の障害保健福祉部長は、現状は適切な治療が受けられる状況にないと答弁しています。北海道が行った調査報告書、カジノを含む統合型観光リゾート(IR)による経済・社会影響調査では、賭博に対する社会コスト、依存症に対するリスクなど、諸外国の調査が報告されていますが、道内での実態調査報告はありません。5月26、27日、我が党の道内地方議員が道庁関係機関との交渉で、道内の実態調査の実施状況をただしましたが、道からは実施していないとの答弁でした。GTAというオーストラリアの賭博機メーカー団体の2011年の報告によると、日本全国にパチンコ店が1万2,323店舗、パチンコ機台数は約458万3,000台あり、全世界で営業活動しているギャンブル機が約701万1,000台ありますが、その約65パーセントを占めています。この小樽市には中央通をはじめ、市内の各所にパチンコ店が存在していますが、小樽市におけるパチンコ店の数、遊技台数、そしてパチンコ遊技者数とギャンブル依存症の実態を把握されていますか、お答えください。日本共産党は、昨年11月に市民アンケートを全戸を対象に実施し、小樽市の人口の1パーセントに当たる1,280通の回答を得ました。カジノ賭博誘致に「賛成」はわずか8.8パーセント、「反対」が54.8パーセント、「市民とよく討論すべき」が21.6パーセントとなっており、小樽市民はカジノ賭博誘致に拒絶反応を示しています。また、5月11日には「カジノ誘致に反対する小樽市民の会」が設立され、その設立総会には200人が参加し、カジノ賭博誘致は小樽市と市民の将来に重大な悪影響をもたらすため、反対の1点で市民の協働を広げようという呼びかけに応えていました。5月23、24、26日、小樽市議会の第3回市民と語る会が開催され、その中でも参加市民から、カジノ賭博誘致に対し、「賭博で経済活性化をさせるなどとはとんでもない」「市長はカジノを率先して導入しようとしているが、韓国では依存症や自殺者が出ている。小樽市にそんな市民をつくっていいのか。他人を不幸にするようなカジノ賭博誘致はやめるべき」など、怒りの声が出されています。市長は、これらの市民の声をどう受け止めていますか。所見をお聞かせください。市長は、2013年第3回定例会の予算特別委員会で我が党の新谷議員の質問に対し、カジノ誘致について市民合意が得られなければ取り下げると答えています。市民合意とはどういう意味なのでしょうか。市民対象をどこに置いて、どのような方法をもって合意を図ろうとしているのでしょうか。例えば、カジノ推進協議会の合意を指しているのですか。市民アンケートなどで圧倒的多数の市民の意思を確認した上での合意ということなのでしょうか。見解をお知らせください。2014年4月1日、小樽市自治基本条例を施行しました。条例には、市民、議会及び市は協働によるまちづくりを推進するため、情報を共有することを基本原則に情報の提供、情報の公開などが規定されています。カジノ誘致問題で市民に広く議論していただくための情報提供をどのようにしようとしているのか、お知らせください。また、小樽観光都市宣言では次のような内容を発表しています。前段は割愛しますが、「市民一人一人が観光まちづくりの主役となり、人情味あふれる「小樽気質」でお客様をお迎えし、ふれあいを通じ感動と安らぎを感じていただくこととともに、ゆっくりと時間をかけて「小樽」を楽しんでいただくことです。それが、我がまち「小樽」にとって、何物にもかえがたい喜びなのです。今こそ…「小樽」は、多くの人に愛されるまち、より質の高い時間消費型観光のまちを目指し、ここに「観光都市・小樽」を宣言します。」とあります。韓国では、賭博依存症、多重債務、青少年への影響など法律で規制しているにもかかわらず起きていると北海道の調査報告書にありました。このような懸念を持つカジノ賭博誘致は、小樽観光都市宣言の趣旨からも大きく外れています。直ちにカジノ賭博誘致を断念すべきです。市長の決断を求めます。次に、教育長に伺います。教育長は、2013年第3回定例会の予算特別委員会で、「子供たちの健全育成を担う教育長の立場では、さまざまな心配なことがありますけれども、しかしそれは一つ一つ丁寧に学校教育の中で教育をしながら、一つ一つ対策を講じていくことで乗り越えていけることも考えられます」と答弁しています。この答弁からは中松市長のカジノ誘致推進に全面的に迎合したものと受け止めざるを得ません。北海道の調査報告書には、「青少年の中に一定のギャンブル依存症が存在することが指摘されている」また「カジノ産業が高等教育を必要としない高賃金な職を提供することによる進学率の低下がある」と記載されています。また、カンウォンランドでは、賭博施設を持つ実態から地域における自殺者や犯罪率が増加し、例えば子供の親が賭博依存症になり、多重債務で自殺に追い込まれた子供への対策など、青少年への悪影響が報告されています。これらを考えると、教育長答弁の学校教育で乗り越えられるという対策に不安と疑問が解消されません。教育委員会は、教育の自主性を守り、国や首長から独立した行政組織であることからも、そもそもカジノ賭博の誘致を阻止し、子供たちの健全育成を担う立場を堅持すべきであります。教育長の見解をお聞かせください。以上で、2項目めの質問を終わります。
答弁 市長 中松義治(市長は2015年3月まで)
ただいま、カジノ誘致について御質問がありました。初めに、韓国カジノ視察についてですが、まず賭博が刑法で禁じられていることについての見解につきましては、昭和25年の最高裁判決において賭博罪の保護法益は「公序良俗、すなわち健全な経済活動及び勤労と、副次的犯罪を防止することである」とされていることは承知しております。しかし、IR推進法が成立すると、刑法の賭博罪の違法性を阻却する特別法の位置づけとなりますので、現在、法律により認められている競馬や競輪などと同様の取扱いとなり、賭博行為と同列ではなくなるものと理解しております。次に、カジノのデメリットに関する新聞報道の受止めにつきましては、カジノの合法化によるIRの導入にはデメリットがあるとの報道は承知しております。しかしながら、地域振興や雇用の創出、新たな税財源の確保などのプラスの効果が大きいと考えておりますので、法制化によりプラス面を最大限に引き出しながら、マイナス面を最小化していくことが重要なことと考えております。次に、今回の韓国IR視察につきましては、北海道から参加依頼があり、実際にカジノ施設を視察することは今後のIR誘致の取組に向けて重要であると判断したものであります。また、韓国IRの実態につきましては、外国人専用の済州島の施設はセキュリティレベルが高いことや外国人観光客の誘致に重要な役割を果たしていること、唯一韓国国民が入場できるカンウォンランドは市街地から離れた廃鉱跡地にありながら、規模が大きく平日でも多くの来場者で賑わっていたこと、中毒ケアセンターでは依存症の予防、相談システムが充実していることなどが印象に残っております。次に、糸数参議院議員のカンウォンランド視察動画の内容につきましては、私が現地を視察した際にはそのような実態は確認できませんでした。次に、市内のパチンコ店とギャンブル依存症の実態についてですが、現在、パチンコ店は11店舗ありますが、遊技機設置台数、遊技者数につきましては、把握しておりません。また、ギャンブル依存症の実態につきましても、把握しておりません。次に、カジノに対する市民の反応等についてですが、まずIR誘致に対する市民の声につきましては、これまでも市長への手紙やご意見、お問い合わせメールなどでIRに関してさまざまな御意見をいただいており、反対の声もあることは承知しております。一方で、市議会第3回市民と語る会では、賛成意見が出されたと聞いているほか、直接私にも賛成の意見が寄せられているところであります。今後とも市民の皆さんからの御意見につきましては、耳を傾けてまいりたいと考えております。次に、IR誘致における市民合意につきましては、市民の代表で構成される市議会の御意見を伺うことはもちろんのこと、賛成の方、反対の方を含めて、さまざまな御意見を真摯に受け止め、IR法案の成立後、市民合意を図っていかなければならないと考えております。次に、IR誘致に関しての市民への情報提供につきましては、今後とも北海道と連携を図りながら、IRに関する各種情報を収集するとともに、IR推進法が成立した後には、市民の皆さんに対する説明会の開催や市ホームページによる情報提供を考えております。次に、IR誘致は小樽観光都市宣言の趣旨から外れており、断念すべきとのことにつきましては、法制化されたIRはシンガポールなど世界各国の例を見ましても、第1級のリゾート施設となっており、また現在、国が2019年に訪日外国人旅行者数2,500万人を目指している中、本市の国際観光推進にも大きな役割を果たすものと考えております。これらのことからも、小樽観光都市宣言の趣旨からは外れていないものであると考えております。したがいまして、今後とも北海道や関係機関と連携し、IR誘致に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。(「議長」と呼ぶ者あり)
答弁 教育長 上林猛(教育長は2015年12月まで)
川畑議員の御質問にお答えいたします。カジノ誘致に対する教育の影響についての御質問がありました。まず、私の見解についてでございますが、まちづくりや観光といった業務は市長部局の専掌の事務であり、このたびのカジノを含むIR誘致に関しましては、この一環として市長のお考えを述べたものであり、教育長として意見を申し上げる立場にはないものと承知しております。今後、IR推進法が法制化され、この件が具体的に進められる段階では、さまざまな会議を通じて教育委員会としての意見を申し上げる機会が得られるものと考えております。