みんなの議会

幕別町議会 令和6年第2回定例会 2024年6月19日

アイヌ文化拠点施設の充実を

2024年6月19日、幕別町議会の一般質問で、野原惠子議員が「アイヌ文化拠点施設の充実を」について質問し、教育長 笹原敏文、生涯学習課長 石田晋一、町長 飯田晴義が答弁しました。

質問者
野原惠子 議員
答弁者
教育長 笹原敏文、生涯学習課長 石田晋一、町長 飯田晴義

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 9番 野原惠子

通告に従いまして、次の質問を行います。1、アイヌ文化拠点施設の充実を。アイヌ文化拠点施設は、実施設計の概要が示され本年度から本格的に工事が行われます。設計段階から各団体と協議し進められ、2026 年度から展示館棟と宝物堂が公開開始となり、併せて生活館棟でも情報発信や来館者へのガイダンスの役割を担っていくことになっています。施設の基本理念では、「先住民族であるアイヌの人々の誇りを尊重し、その文化を伝承するための活動を推進するとともに、訪れた方がアイヌ文化及び歴史に触れ、学ぶことでアイヌ民族に対する理解を深め、交流を促進することを目指す」としています。アイヌ民族に対する理解を深めていくには、江戸時代から明治政府に至るアイヌ民族の位置づけ、特に明治政府になってから同化政策として、アイヌが培ってきた言葉も文化も奪い、アイヌを「旧土人」として蔑視してきたことへの認識が必要です。また、アイヌの人々が先住民族として法的な地位と権利を求め続け、2019 年5月に「アイヌ新法」が施行され、法律として初めて先住民族として明記されたことなどを学ぶことができる施設になることが重要と考えます。以下、次の点について伺います。(1)常設展示・企画展示について。①アイヌの人々が意思決定に参画していくことは。②同化政策の歴史について理解を深めていく手だては。(2)学校教育、社会教育でアイヌ民族の自然への考え方などを学び、町民とともに文化施設として充実させていくことは。2、ふるさと館の今後の方向性は。ふるさと館は 1979 年(昭和 54 年)に町の歴史資料を保存、展示する施設として開設されました。展示物は町民から開拓時代に使われた道具などが寄贈され、生活実態がリアルに再現されるなど、開拓時代の先人たちの生活の厳しさが如実に伝わってきます。ふるさと館の事業としては、郷土史研究会、ジュニアスクールなどの運営を行っていますが、施設は老朽化しており対応が必要と考えます。以下、次の点について伺います。(1)ふるさと館の施設、事業内容の評価は。(2)老朽化している施設の今後の方向性を検討すべきでは。以上です。

答弁 教育長 笹原敏文

野原議員のご質問にお答えいたします。「アイヌ文化拠点施設の充実を」についてであります。令和元年5月、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律、いわゆる「アイヌ施策推進法」が施行され、市町村は政府が定めるアイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本方針に基づいたアイヌ施策推進地域計画を作成することにより、アイヌ政策推進交付金の交付を受けることが可能となったものであります。本町では、令和4年3月に幕別町アイヌ施策推進地域計画を策定し、4年度から8年度までの5か年の計画で、アイヌ政策推進交付金を活用した各種事業に取り組んでいるところであり、アイヌ文化の伝承・情報発信と交流の拠点として、アイヌ文化拠点施設の整備を進めているところであります。ご質問の1点目、「常設展示・企画展示について」であります。展示館棟については、常設展示室、企画展示室、収蔵庫を配置しますが、このうち、これまで蝦夷文化考古館で展示保存してきた、吉田菊太郎氏寄贈の資料と、ふるさと館に展示している安東ウメ子氏寄贈の資料のうち、特に貴重な資料については、常設展示室での展示とし、道内外の博物館等との連携協力による特別展示などの開催は、企画展示室の活用を予定しているところであります。一つ目の「アイヌの人々が意思決定に参画していくことは」についてであります。展示館棟の常設展示の内容については、幕別アイヌ協会やマクンベツアイヌ文化伝承保存会をはじめ、公益社団法人北海道アイヌ協会の方々などが参画する展示シナリオ会議を令和4年度に3回開催し、常設展示の内容や展示構成などのほか、展示に係る衣服、民具資料の複製方法等についてご意見をいただいたところであり、それらを参考に、令和5年3月、「幕別町アイヌ文化拠点空間整備展示基本計画」を策定したところであります。いただいたご意見の中では、特に、幕別アイヌ協会とマクンベツアイヌ文化伝承保存会の会員の方から、常設展示はアイヌ文化のすばらしさ、美しさ、楽しさなど、親しみやすいイメージから始まる内容にしてほしいとの要望があったことから、基本計画における展示室の構成を、幕別に受け継がれてきたアイヌ民族の歴史・伝統文化をはじめ、現在の伝承活動の様子などについて紹介する内容から始まる構成としたところであります。本年度は、この基本計画に基づき展示館棟の実施設計を行いますが、設計に当たっては、引き続き、アイヌ関係者の皆さんからご意見をいただきながら進めるとともに、特別展示の内容につきましても、アイヌ関係者の皆さんと十分に協議をした上で進めてまいりたいと考えております。二つ目の「同化政策の歴史について理解を深めていく手だては」についてであります。「幕別町アイヌ文化拠点空間整備展示基本計画」では、「アイヌ民族の歴史、伝統文化、伝承への取組」を展示テーマとし、常設展示室を「ようこそ幕別アイヌの世界へ」「身近に存在するアイヌの文化」「アイヌ民族の歴史」「アイヌ民族の伝統文化」「チロットライブラリー」の五つのゾーンに分類しております。既存の他の博物館や資料館では、展示の多くがアイヌの伝統文化を中心に扱っておりますが、常設展示室の「アイヌ民族の歴史」ゾーンにおいて、アイヌ民族が歩んできた歴史を展示し、「アイヌ民族の伝統文化」ゾーンでは、アイヌ民族のすばらしさ、現代につながるアイヌ伝統文化の継承に焦点を当てた内容とし、多くの方々にアイヌ民族の歴史や伝統文化などについて学ぶ機会を提供していまいります。ご質問の2点目「学校教育、社会教育でアイヌ民族の自然への考え方などを学び、町民とともに文化施設として充実させていくことは」についてであります。はじめに、学校教育では、平成 29 年の学習指導要領の改訂により、小中学校共に、社会科において、先住民族であるアイヌの人々の独自性を有する伝統や文化に触れるよう記載されており、アイヌに関する教育の充実が図られたところであります。また、同じく学習指導要領において、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の一つとして、地域の博物館等の積極的な活用が示されており、これまでも小学校では蝦夷文化考古館やふるさと館を見学し、アイヌ民族の歴史や文化に触れてきましたが、アイヌ文化拠点施設の完成後においては、アイヌ語講座や刺しゅう、木彫り等の体験のほか、アイヌの人々から直接、先住民族としての歴史や文化を学ぶなど、多文化共生社会の理解に向けた教育活動の場として活用してまいりたいと考えております。次に、社会教育では、アイヌ文化拠点施設を活用し、保存食や儀式の際に出すアイヌ料理の材料となるオオウバユリやヒシの実などの採取体験講座や採取した材料を使ったアイヌの伝統料理講座のほか、周りにある自然の中から材料を調達して製作するチセの復元体験講座などを開催し、大自然と共生したアイヌの知恵を学ぶことができる取組に努めてまいりたいと考えております。このほか、事業の推進に当たっては、アイヌの方々が講師となる事業を企画し、さまざまな世代がアイヌの方々と直接交流することで、伝統や文化をより深く理解しつつ、お互いを尊重し認め合える機会となるような空間となることを目指してまいります。次に、「ふるさと館の今後の方向性は」についてであります。ふるさと館は、「自然とそこに生きる人間の関わり合いを明確にする」をテーマに、開拓時代から伝わる貴重な品々をはじめ、私たちの町の歴史を長く残すことを目的に、昭和 54 年 10 月にオープンした施設であります。ご質問の1点目、「ふるさと館の施設、事業内容の評価は」についてであります。ふるさと館は、本町が自然とどう関わって発展してきたのかを見詰め直そうとの町民の願いが発端となり整備された施設であり、現在、十勝開拓のため入植した依田勉三が率いる「晩成社」の小作人住居である「きまり小屋」の実物大復元家屋や、農作業が機械化される前の脱穀機や直播機、さらには電気を使わない冷蔵庫、縄編機など、町の歴史を知ることができる約 1,200 点の貴重な資料を展示しております。また、資料の単なる展示だけではなく、展示場を「目でみる幕別町のあゆみ」や「幕別の自然に学ぼう」など七つのゾーンに区分し、幕別町・十勝川・歴史・自然・人間、それぞれがどう関わってきたかを基本に、町の歴史について学習することができる施設であり、郷土の歴史資料を保存・展示する施設としては、北海道の中でも比較的早くに開館しており、長年にわたり社会教育施設として大きな役割を果たしているものと認識しているところであります。ふるさと館の事業としては、毎年、町民を対象に十勝管内の「史跡巡り」を行っているほか、小学5、6年生を対象にした「ふるさと館ジュニアスクール」では、集団生活の中から協力や助け合いの心を育むとともに、ふるさとや先人の苦労と知恵を理解することを目的に、サケの稚魚放流や砂金掘り、化石発掘などを実施しており、子ども大人に限らず、ふだんの生活や学校では体験することができない、自然や歴史についての学びの場としての役割を果たしているものと評価するところであります。ご質問の2点目、「老朽化している施設の今後の方向性を検討すべきでは」についてであります。ふるさと館の整備については、平成 27 年3月に策定した「(仮称)幕別町郷土文化資料館整備等基本構想(案)」で、新たな郷土文化資料館として、蝦夷文化考古館とふるさと館の機能を併せた施設を蝦夷文化考古館敷地に新築、または蝦夷文化考古館を敷地内で新築するとともに、ふるさと館についても別の場所に新築することを併せて検討することとしていたものであります。施設の整備につきましては、基本構想(案)を踏まえて検討を行ってまいりましたが、有力な財源のめどが立たない中で、令和元年5月にアイヌ施策推進法が制定され、アイヌ政策推進交付金が創設されましたことから、当該交付金を活用し蝦夷文化考古館と千住生活館の機能を併せ持つアイヌ文化拠点施設を整備することとし、ふるさと館については、改めて検討するとしたところであります。ふるさと館の今後の方向性につきましては、建設から 54 年が経過しておりますが、多額の費用を費やしての大規模な改修等だけでなく、既存の学校教育施設や社会教育施設などを活用することを含め、検討を進めてまいりたいと考えております。以上で、野原議員のご質問への答弁とさせていただきます。

再質問 9番 野原惠子

再質問をいたします。まず1点目、常設展示・企画展示につきましてですが、①の「アイヌの人々が意思決定に参画すること」、ここでは、答弁では「アイヌ関係の団体の方、それから他の団体の方からの意見も反映させて展示内容を考えている」ということでした。これは、町サイドだけではなくて、アイヌの方々の意見をしっかりと聞いて進めているということではあるかと思いますけれども、私は、まだもっと多くの方の意見を取り入れることも大事ではないかと思っております。千歳市では、2019 年に幕別町に先駆けて、千歳市のアイヌ施策推進計画が進められております。その中では、和人、和民族も含めまして保存会の会員ですとか、小学生を含む家族を対象といたしまして、意見交換、それを数回実施しまして、多くの意見、要望を推進法に取り入れて活動の取組を行っているということでした。ここではやはり幅広く町民の要望を取り入れることによりまして、多くの意見を酌み上げて、それを展示ですとかそういうところに反映させていくことができると思うのです。そのことによりまして、アイヌの方々だけでなくて町民に広くこの施設を周知することになると思います。そのことがやはり、この幕別町にこういう貴重な資料があって、そして新しい施設ができる、そしてみんなでこの文化施設を大事にしていこうということが、スタートから町民に周知する一つの大きな手だてになると思うのですね。まだまだこの 38 号線に、古い考古館ですけれども、あるということを知らない町民も中にはいたということもあります。古くからあるのですけれども、やはりまだ周知されていないという現実もありましたので、そういう点でもスタート時点から町民と協力してつくり上げていく、これが大事ではないかと思うのですが、これからの計画の中に、そういう手だても取っていくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

答弁 生涯学習課長 石田晋一(生涯学習課長は2024年6月まで)

今いただきました質問でありますが、展示の基本計画が終わってきておりますが、その段階におきましては、幕別のアイヌ協会ですとか、マクンベツアイヌ文化伝承保存会、そこにアイヌの方々ばかりではございませんで、一般の方々もいらっしゃいます。さらに、北海道アイヌ協会の役員の方とかいろんな方から意見を聞いてまいりました。この後、展示の実施設計を進めていくのですけれども、そこではいろいろな方々の意見を取り入れながら進めているのですが、基本としてはアイヌの方々の思いをその展示に反映させていただきたいなというところで今進めているところであります。事業の周知につきましては、その展示の実施設計とは別に、いろんな機会で皆さんに周知できるようにしていきたいと考えています。以上です。

再質問 9番 野原惠子

町民に広く愛される文化施設、ここもやっぱり重視していく必要があると思うのです。今、前段で質問された方もおりますけれども、50 年、100 年、この施設がきちっと生かされていく、そういう点でも、住民が本当に大切な施設だという思いもしっかりと広げていく、これが私、大事かなと思うのですよね。ずっと私たちも早く新しい施設をと求めてきました。学芸員も配置されております。そこが、町の姿勢も伝わるところかなと思って、大変うれしく思っているわけです。ですから、それをしっかりと町民と共有していく、スタートに時点からそういう視点で行くということで、ぜひ小学生ですとか、中学生ですとか、高校生ですとか、そういう方たちも含めて計画の中にきちっと意見を組み入れていく姿勢を持っていただきたいと思います。答弁いただきます。

答弁 生涯学習課長 石田晋一(生涯学習課長は2024年6月まで)

今、現段階におきましては、施設の建設はまだ始まっておりませんが、この計画が認定されて、令和4年度から5か年の計画を立てたところであります。その中では、広く住民の方にこの建物ですとか、アイヌの方の考え方を知っていただきたいなということで、年間3回ほど講演会を開催してきました。こちらはかなり好評で、幕別の図書館であったり、札内の百年記念ホールであったり、忠類の福寿の施設を使ったりして講演会を開催してきましたが、定員を超えるぐらい多くの方に参加していただきました。小学生、子どもたちに向けては、4年度からアイヌの方々の伝統的な木の皮から糸を紡いでアットゥㇱという着物を作るということの座学を行いながら、その糸を紡ぐのに必要な木の植樹も行いながら、理解と内容について広く周知してきたところであります。2か年におきまして、各学校のほうを回りました、実際に植樹に至らなかった学校もありますけれども、大半の学校では座学と植樹を行ってきているところであります。今後におきましても、こういった事業は継続していきたいと考えているところであります。以上です。

再質問 9番 野原惠子

次に移ります。②の「同化政策の歴史について理解を深めていく手だて」についてなのですが、この点につきましては、1899 年に北海道旧土人保護法がつくられました。この旧土人保護法は、言うまでもなく、アイヌの人々を日本の国民に同化させる目的で、土地を与えまして農業を奨励するですとか、医療、生活扶助、教育など、保護対策を行い、アイヌの人たちの暮らしを変えていってしまう、そういう制度でありました。それで、アイヌの協会の方々が、この保護法を廃止したい、廃止してほしい、アイヌの人たちの生活をしっかりと守ってほしいということで1984 年に運動を起こしまして、1997 年、13 年かかりまして、この旧土人保護法が廃止されまして、アイヌの文化振興法の制定に至りました。ここでは、伝統的な文化だけに焦点を絞り込んだ、そういう案でありました。その後、2007 年に先住民族の権利を求める国連宣言が採択されました。そして翌年、日本でも衆参両院でアイヌの方々を「先住民族」、初めて認めて決議をいたしましたけれども、先住権は認めておりません。それで、2019 年にアイヌ新法がつくられました。ここでは、初めて先住民族として認められたということなのですね。この先住民族ということに対しまして、北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原教授は、先住民族とは、単なる先住を意味するものではなく、近代国家によって一方的に統合されて権利を剥奪された民族を指す用語であり、アイヌはまさにそうである、このようにおっしゃっています。そして、歴史的な不正義の結果がずっとこのまま継続していくことを繰り返し強調されている。ちょっと飛んでしまうのですけれども、こういう法律の中で、先住民族は近代国家によって統合されて、権利を剥奪され、その結果、差別も生まれてきたということでありまして、この北原教授の、続きなんですけれども、こういう歴史的な不正義の結果がずっと継続していることが繰り返し強調されないと、いつまで昔のことを文句を言っているのだという反発になってしまうという、こういう発言もあるのです。ここは、後で私ちょっと質問の中に入れたいと思うのですが、まずは先住民族ということなのですけれども、答弁の中で、先住民族であることをきちっと教育の中でも入れていきたいっていう答弁があったのですけれども、この先住民族の理解をきちっと認識して、教育の中でも、この施設の展示の中でも、明らかにした展示にしていかないと、言葉だけ先住民族というのは、なかなか理解できないと思うのです。ですから、その辺の理解を十分に周知できるような展示になるのかどうか。この展示は、アイヌ民族の歴史ゾーンの中では入れられていくのかなと私は理解したのですが、その関連はどのように捉えているでしょうか。

答弁 生涯学習課長 石田晋一(生涯学習課長は2024年6月まで)

今、お話しいただきました、アイヌの方々の歴史ですよね。一言では語れないぐらいいろんなことがあったと認識しているところであります。そういった全ての歴史を展示する中で、学ぶ場を提供していきたいなというのと、アイヌ民族の歴史に関しては、すばらしい文化伝承されてきているものも多々ありますので、同化政策というか、負の歴史ばかりを取り上げるのではなくて、そういったことも歴史は歴史として学びながら、今すばらしい文化を持って、北海道で生活してきたというところも展示のほうで行っていきたいなと考えています。

再質問 9番 野原惠子

私は、この差別の問題ですとか、先住民族のことですとか、そこを強調してほしいと言っているのではないのです。アイヌ文化はすばらしいですよ。それは重々承知の上で、そういうところも皆さんに見ていただきたい、文化を継承していきたい、それは当然のことです。それだけでは、アイヌの人たちが歩んできた歴史をきちっと認識して、そして答弁の中で、尊重し合いながら暮らしていける、そういう社会を目指していくと答弁されておりますけれども、そこを抜きにしてお互いに尊重し合いながら生活していくとはならないのではないかと、私は思うわけです。ですから、そこを強調するということではなくて、展示の中にそういうところもきちっと組み入れて理解をしてもらう、そういう展示にしていくべきではないかという、そういう思いでお話をしているのです。だから、そのためには、先住民族ということをしっかり理解していく。その中には、やはり近代政府によりまして、アイヌの人たちが本当に大変な暮らしをされ、そして差別もされてきたという事実があるわけですから、そこを強調するということではなくて、しっかりそういう部分も知ってもらって、アイヌの人たちの文化もしっかり広めていく。文化をそこに展示するだけでは、そういうものを解消することはできないと私は思うものですから、そういう視点できちっと展示の中に組み入れていくということが必要ではないかという質問ですが、いかがですか。

答弁 教育長 笹原敏文

今、野原議員のお話にもありましたように、確かにこの北海道の開拓の歴史の裏側で大変苦労された生活を強いられて、苦しみと悲しみの歴史があったというのが事実だと思います。そうした事実を伝えるという大切さがあるということは、十分認識をしております。そういった一方で、苦しい生活を強いられてきた中でも、伝統的な儀式ですとか独自の文化、そうしたものを現代までつないできたという、非常にすばらしい民族であるというのも間違いないと思っております。これまでのアイヌ関係者の方のお話の中で印象的だったのが、アイヌ文化は自然との共生であると、争いを好まない寛容の精神を持っていると、こうした先進的な文化をつないでいってほしいというお話が印象的でありました。アイヌのためですとか和人のためとかではなくて、広く住民のためになる施設として整備してほしいのだというお話もありましたので、そうしたアイヌの方々の思いを、十分表現できるような施設として整備するべきであろうと考えております。

再質問 9番 野原惠子

私も本当にそうだと思うのです。そういう文化が今まで何というのですか、後継に追いやられていて、それをなかなか日の目に当たらなかったという、それがやはり歴史の中で旧土人法がつくられてから今 120 年たっているのですけれども、その中でアイヌの人たちが、こういうことでは本当にアイヌの人たちが自立してしっかりと生きていかれないということで、運動の中でどんどん変わってきました。そして、世界的にも先住民族がおりまして、国連の中でそういう人たちの声も挙がってここまで来たのですね。日本の場合には、先住民族と認められたけれども、まだ先住権をその人たちが生きてきたなりわい、それを認められておりません。ですから、これからまたアイヌの人たちも、そういう運動をこれから進めていくと思うのですね。そうすると、こういう文化施設の中身も展示の中も変わってくる可能性もあります。ウポポイはまだそこまで行っていませんから、私はこの答弁を見て、アイヌ民族の歴史、ここもきちっと位置づけていくという答弁はありましたので、これは前進しているなと思っております。ですから、ここのところの民族の歴史、そこのところに光を当てる、ほかの施設とはちょっと違う視点で展示もしていくのだなという光が見えてきました。ですから、私、そこを強調するのではなくて、全体を見た中でこの部分は避けて通れない部分だなというふうに思うのですね。そのことで、地域の人たちの差別ということが解消されていく方向に向かっていくということが、この施設の大きな一つの役割でもあると私は思っていますので、そういう視点で展示をしていくことが大事ではないかと思います。それで、この同化政策の中で、アイヌの人たちがアイヌ語ですとか、土地の所有権などが制限されて、アイヌは劣っていると近代国家が進めてきた結果、差別というのが行われたわけですから、その前はなかったのですよ。ですから、その 120 年間の中でつくられたこの差別を解消していく手だてというのは、和民族のほうが人数が多いわけですから、そういう人たちの認識を変えていかなかったら、私は解決しないと思います。それで、先ほど紹介いたしました北海道大学の北原教授は、この差別というのをなくすには、暴力とか暴言など目に見える差別だけではなくて、民族の違いによる劣等感、要するに、アイヌの人たちは土地の管理ができないですとか、そういうふうなことを押しつけられてきたことですとか、それから日本語の義務化だとか、土地の所有の制限だとかありましたけれども、そういうところを解消していくことによって、繰り返しそういう中で差別が起こってきたのだということを私たちが認識していくことによって、その差別というのが解消されていくのだと。長い時間がかかると思うのですけれども、そういう一つの手段として、このアイヌ民族の歴史のコーナーに全てをどんどん入れていきなという意味ではなくて、一つ一つ解消していく手だての展示が必要ではないか、そういう意味での質問ですが、いかがですか。

答弁 町長 飯田晴義

これは町部局との施策とも関わりますので、そういう観点から私からお答えさせていただきたいと思います。野原議員がおっしゃることは、まさしくそのとおりだと思います。ただ、限られたスペースの中で、どこまでその事実、たどってきた歴史をうたえるかということは、私は限界があると思います。ただ、そういった、現に今アイヌ新法ができていますけれども、それが5年たって、今まさに見直しの時期に来ているわけです。アイヌ関係団体も、6点ほど問題点を挙げてこれ要求しているわけで、実際に動いているわけです。私は、やっぱりアイヌ新法の中で、先住民族たるアイヌの人たちの権利が全く認められていないということが、一つ問題はあると思いますし、あと、差別禁止をうたっていながら罰則規定は何もないということは問題の一つであると思っていますし、その同化政策に対する反省の言葉も全くないという、そういった問題点が主にあるのかなと思っています。これは今後、アイヌ新法の見直しは法律で5年たったらやるとなっているわけですから、その中でまずやっていくことが大事であろうと。それが変わらないと、幾ら我々が頑張ってもそこは及ばないわけで、頑張らないと言っていませんよ、それは歴史をきちっとうたっていくことは必要である。ただ、やはり今、国会においてその議論がなされようとしているわけですから、ここはしっかり私は期待したいなと思っているところです。ですから、そういう中でそこが変われば、世間的に全く差別であるとか、同化政策に対する反省であるとか、そこは全く見る目が変わってくるだろうと思いますので、そこをまずしっかりやってもらって、我々は我々のできる範囲の中で、限られた中で展示をしていくということに努めたいということであります。

再質問 9番 野原惠子

町長の答弁、私、本当にそうだと。法律的には、アイヌ新法の見直しにきておりますので、そこに期待をします。それには、黙っていては変わらない。ですから今、アイヌに関わる人たちが、アイヌ新法のところに先住権を入れてほしい、そういう運動が今非常に後援会ですとか、研究ですとか、そういうものも今進められております。それは重々承知の上です。ただ、今回、新しく施設ができるという中で、そういうものを全て私入れてくださいと言っていません。少しずつでもその中に、展示の中に少しずつでも入れていく、そういうことが地域から、国に声を挙げていくという、そういうことにもなると思うのです。ウポポイでは、そこがちょっと弱い。それであったら、新しくできたこの幕別町から、吉田菊太郎さんがああいうすばらしい展示を残してくれました。ウポポイでは、幕別にこういう資料がある、国宝級だといってケースに入れられて展示されているのです。ですから、そういうものが幕別町にあるわけですから、でしたらその施設の中にも、先住民族という位置づけをしっかり示していく。大々的にだったら反発があるかもしれませんけれども、少しずつそういうことを周知していく手だてが必要ではないかという質問ですが、いかがですか。

答弁 町長 飯田晴義

これはアイヌの方々と和人との関わり合いの歴史があって、そこの歴史の事実というものはしっかり伝えていかなきゃならない。それが結果的に差別であったりしているわけですから、私はそれは正確に伝える必要があるというふうに思っています。ただ、どこまで表現できるかということは、こういう限られたスペースの中で、そのことばかりということはおっしゃっているとおりでありますから、そこは最善の努力をしなきゃならないなというふうに思っています。

再質問 9番 野原惠子

限られたスペースの中でしっかり研究していただきまして、やはりそこは地域の方、幕別の町民の方、それから幕別のこの考古館、貴重な施設だということで、本州からも見学に来られるかたもいらっしゃるわけですから、そういう点では本当に大切な文化施設。文化施設というのは、人の心を豊かにします。だから、そういうことが町民の中に伝わって、子どもたちをしっかり先住民族の歴史も知ってもらう。こういう一つの拠点になると思うのです。だから、私は本当にずっと質問してきましたけれども、新しくなるということに大変うれしく思っているわけですから、そこはいろんな方の意見を聞いて、研究をして、充実した文化施設にしてほしい、こういう思いで質問しているわけです。

答弁 町長 飯田晴義

そこの考え方、別に私は異なっていると思っておりません。やはり、これまで町においても、常設展示シナリオ会議というものをアイヌの人たちの協力をいただいて、どういう形がいいのだろうということも、重々これはアイヌの人たちが一番訴えたいところを、そこにエキスとして取り込んでいかなければならないわけでありますから、そこの気持ちも取り入れながら常設展示をやっていくということ。それともう一つは、新しくなればいいという、もちろん喜ばしいのですが、私は今の蝦夷文化考古館、これに非常に価値を見出しておりまして、アイヌ民族の方が建てた資料館というのは、道内に三つしかないのですね。旭川と平取と吉田菊太郎さんが建てた考古館しかありませんので、ここも中にある収蔵物もさることながら、私財をなげうって建てたのでということも一つの歴史として表現する、そのために耐震改修をして保存をするということも、一つの我々の気持ちとしてアイヌ文化に対する、あるいはアイヌの人たちに対する尊敬の念を表したということでありますので、ご理解をいただきたいなと思います。

再質問 9番 野原惠子

次に移ります。次に、学校教育、社会教育の中でということでしたけれども、今、学校の中でアイヌ文化や何かもきちっと位置づけているということでした。これまでもこのように進められているということでしたので、またここで先住民族を出すとまた議論がちょっと時間がかかりますので、次に移ります。今までどおりしっかりと学校教育の中で進めていっていただきたいと思います。やっぱり言葉って大事だと思うのですよね。ですから、そのことによってきちっと交流も深まっていくのではないかと思います。次に、ふるさと館について質問をいたします。今、いろんな事業計画されているということでしたけれども、史跡巡り、それから今ここに答弁の中にありました、事業の参加者、それと回数、分かりましたら教えていただきたいと思います。

答弁 生涯学習課長 石田晋一(生涯学習課長は2024年6月まで)

ふるさと館のほうで行っています史跡巡りでありますが、ここ5年ほどの実施した内容をちょっとお話しさせていただければと思います。幕別町内にとどまらず、管内のいろんな史跡を学びたいということから行っております。令和元年度につきましては、音更町に行きまして、郷土資料館ですとか、松浦武四郎の歌碑ですとか、いろんなところを見まして、これは参加者 19 名おりました。令和2年度におきましては、池田町で千代田えん堤、池田町発祥の地、利別市街ですとか青山団体、そういったところに行って見学してきたのですけれども、ここのときの参加者は 18 名でありました。令和3年度につきましては、芽室町を予定していたのですけれども、コロナの関係でこのときは事業を中止しまして、引き続き令和4年度におきまして、芽室町への史跡巡りを行いました。西士狩神社ですとか、ふるさと歴史館とか、今の工場なんかも、明治乳業の十勝工場なんかも見てきまして、このときで 17 名の参加がありました。令和5年度、昨年度におきましては、清水町のほうに史跡巡りを行いまして、参加者 15 名いたところでありまして、参加者からは、毎年楽しみにしておりますだとか、ほかの町の歴史や文化なんかを学べる機会が非常によかったというふうな評価をいただいているところであります。以上です。

再質問 9番 野原惠子

時間があったら全部の事業の参加者などお聞きしたかったのですけれども、ちょっと時間がないようですので。一つですが、幕別町内に史跡がありますよね。その史跡の掲示板がだんだん字が薄くて読みづらくなっていますので、新しく取り替えるか、それから改修するかで、分かるようにきちっとしていただきたいと思います。それと、この施設なのですけれども、54 年経過して老朽化しておりまして、私も時々ふるさと館行くのですけれども、中が暗くて、せっかくの資料があまり心に響かないのですよね。一つ一つ見ていくと、本当にいい資料だなと思うのですけれども、やはりそういうものも大事にしていくということでは、早く改修なり何らかの手だてが必要だと思うのですよね。あそこにグランヴィリオがありまして、さまざまなところから観光客なども来られると思うのです。その方があそこに行って幕別町のさまざまな歴史を見るとなったときに、本当に先人たちの苦労が伝わるだとか、そういうことになるのかな、かえって引いてしまうのではないかなと私思ってしまったものですから、その施設のこれからの方向性をどのように進めていくのか。ここに答弁はあったのですけれども、もっと具体的に前倒しにしていくということが必要ではないかと思うのですが、いかがですか。

答弁 生涯学習課長 石田晋一(生涯学習課長は2024年6月まで)

ふるさと館の今後のあり方なのですけれども、現段階におきましては、考古館ですとか、今、千住生活館を国の交付金を使って改修しておりますが、ふるさと館につきましては、大きな費用を費やしてあそこを改修するという考えと併せて、ほかの学校教育施設ですとか、社会教育施設を活用してあり方を検討して、先ほども本当に答弁あったとおりなのですけれども、考えていかなければいけないなというところで。具体的な考えは今持ってはいないのですけれども、そういうことを考えていく時期かなとは、前から思っているところではあります。

再質問 9番 野原惠子

考え方を、今、具体的に持っていないということでしたけれども、新しい施設に、安東ウメ子さんの寄贈されたものがあちらに移りますよね。そのほかにさまざまな数千点の資料があるということですけれども、それをそのままに、計画を持たないでこのままにしておいてしまうと、本当にそれが生かされなくなるのではないかと思うのです。これはやはり先人たちのそういう苦労が生かされていかない、そういうことになってしまうのではないかと思うのですよね。ですから、早めに計画を持つことが必要ではないかと思うのですけれども、その点、教育長、町長のほうになるのでしょうか。その辺の計画もやはりしっかり持っていかないと、資料としての歴史がつながっていかない。その点いかがでしょうか。

答弁 教育長 笹原敏文

ふるさと館だけではなくて、この蝦夷文化考古館のあり方についても、過去を遡れば、相当前から議会の中でも議論がされて、どうあるべきなのかということは、その都度指摘をされてきたのかなと思っています。ようやく蝦夷文化考古館については、このアイヌ政策推進交付金を活用した形で、新たな施設の中で保存・展示ですとか、そこでのさまざまな活動をしていくということが実現できそうな段階になりましたけれども、次の段階にあっては、このふるさと館のあり方を検討していかなければならないと考えております。財源的なこともありますので、複数の事業を同時にやることができれば、それにこしたことはないのですけれども、その時々に応じた事業の選択を、財源のことも含めて検討していかなければならないと考えておりますので、答弁の中にもありましたように、今の施設のようなものをもともとの考えの中にありました新築をするのか、既存の施設の活用を図っていくのかということについては、今後検討してまいりたいと考えています。

再質問 9番 野原惠子

私も、道内研修でこのふるさと館のような施設を何点か視察したことがあります。そういうところでは、学校施設の利用なども結構されているのですよね。そうすると、教室っていっぱいありますから、そういうところで各用具や何かもきちっと整理して展示してあります。そういう中では、その町のそのほかの自然なども取り入れまして、そういう資料館にしているところもあります。ですから、まだまだ研究の段階だとおっしゃっておりますけれども、これは待てない施設、先延ばしできない施設になってきているのではないかと思うのですよね。先住民族のアイヌの資料館ができて、そしてそれ以降の新しい町民の苦労、開拓してきたそういう歴史をきちっと保存していく施設、こういう流れの中でも一つの文化施設になると思うのです。そういう意味でも、しっかりと対策を取っていく必要があるのではないでしょうか。そういう中で、ぜひそういうことも検討していただきまして、早急に手だてを取っていく必要があると私は思いますので、そういう点をしっかりと早急に検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

答弁 教育長 笹原敏文

答弁の中にもありましたけれども、約 1,200 点の資料があるということで、具体的にどういったものがあるのかというのをリスト化して、重複しているものがあるのかどうかですとか、そういうような今整理をしております。そういうような資料の内容の整理がされれば、施設の規模ですとかというのも改めて具体的な検討に入れるのかなと考えておりますので、加えて、先ほども申し上げましたとおり、今回のアイヌ文化拠点施設のような有力な財源があれば、また施設の整備についても前進するのかなと思っていますので、そうした財源のことも含めて施設のあり方について今後検討していきたいと考えています。

再質問 9番 野原惠子

私は、もう施設の資料の整理というのは既にされているのかなと思って、考古館つくるときにそういうのもきちっと整理していきますということを何か答弁もされてきたと思うのですよね。そこがちゃんとされていないということであれば、ますますこれちょっと課題が大きいかなと思いますので、この整理もまずしっかりして保存していくという、そういうことも考えていかなかったら駄目ですよね。あそこにある古い教科書や何かもきちっと整理されていなかった、私、最近ちょっとあれなのですけれども、そういう古い紙媒体や何かもきちっと整理して保存していく、そういう点も急がれますよね。そこのとこもぜひ早急に検討していくことが必要ではないかと思います。その点についてもお答えください。

答弁 教育長 笹原敏文

先ほど申し上げましたとおり、作業については並行してこれまでも進めておりますので、そうした中で、重要度ですとかというような分類をしながらしっかりと整理してまいりたいと考えています。

再質問 9番 野原惠子

終わります。

出典:幕別町議会 令和6年第2回定例会 2024年6月19日 議事録 PDF(72ページ) 間違いを知らせる