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幕別町議会 平成18年第3回定例会 2006年9月13日

教育基本法の改定について

2006年9月13日、幕別町議会の一般質問で、豊島善江議員が「教育基本法の改定について」質問し、教育長 高橋平明が答弁しました。

質問者
豊島善江 議員
答弁者
教育長 高橋平明

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 10番 豊島善江

通告に従い質問をいたします。教育基本法の改定についてです。教育基本法の改定が、国会で継続審議となっています。教育基本法は、すべての教育関係の法律のおおもとにある基本法であり、教育の憲法と呼ばれ、憲法に准ずる重みを持った法律です。今回の政府の改定案は、一部手直しではなく、全面改定案となっています。政府の改定案の問題点は、新たに第2条として、教育の目標をつくり、そこに国を愛する態度など20 に及ぶ徳目を列挙し、その目標の達成を国民全体に義務付けていることです。特に学校と教職員、子供たちに対しては、改定案の第6条、学校教育などで、教育の目標が達成されるよう体系的な教育が組織的に行われなければならないと義務付けが明記されています。徳目自体は当たり前のように見られるものもありますが、しかし、あれこれの徳目を法律に目標として書き込み、達成が義務付けられれば、時の政府の意思によって特定の価値観を子供たちに事実上強制することになります。道徳は法律によって義務付けられ強制されるものではなく、また、国家が上から押し付けるのではなく、国民的な討論を合意によって形成されていくべきもので、一人一人の子供たちの人格の完成を目指す教育の自由で自主的な営みを通じて培われるものです。次に、第2の問題点は、政府の改定案は国家権力が教育内容と方法に無制限に介入できるものとなっていることです。現行、教育基本法は、第1条で教育の目的を人格の完成とし、この目的を実現する保障となる条項が、教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負って行われるべきものであるとしている第 10 条になります。教育勅語を中心にした戦前の教育が、国家権力の支配におかれ、軍国主義一色に染め上げられていった歴史の反省にたって、教育に対する国家権力による不当な支配は許さないことを明記したもので、この不当な支配を排除する保障となっているのが、国民全体に対し直接に責任を負って、という規定です。教育は、子供の内面的な価値に深くかかわる営みだけに、教育者は政府や行政機関を通じて、国民に間接的に責任を負うのではなくて、子供の学習する権利に答えて、子供、父母、国民に直接に責任を負って教育に携わる者の、良心と自主性に基づいて、教育を行わなければならないということで、ここにも戦前の教育に対する反省があります。ところが、政府の改定案は、10 条を改変、国民全体に対し直接に責任を負って、を削除し、さらに、政府が教育振興基本計画をつくり、教育内容について詳細に決め実施することができるとし、政府が教育内容と方法に対して、無制限に介入できるものにしています。教育基本法を変えて、どういう教育を強制しようとしているのか。ここにも大きな問題があります。改定案が子供たちに強制しようとしているものは、国を愛する態度などの徳目とともに、競争主義の教育をもっとひどくすることです。文部科学省に置かれた重要教育審議会は、基本法を変えて、一番やりたいこととして教育振興計画に、全国一斉学力テストを盛り込んで制度化することを挙げています。かつて 1961 年から 64 年にかけて行われた全国一斉学力テストは、子供たちを競争に追い立て、学校を荒らし、国民的な批判を浴びて中止に追い込まれました。これをまた全国一斉に復活させようというものです。今回の改定は、憲法を変え、海外で戦争をする国をつくろうとする動きとも一体のものとして進められてきました。また、政府、財界は教育の世界を一層競争本位にして、子供たちを早い時期から負け組み、勝ち組みに分け、弱肉強食の経済社会に順応する人間をつくることをねらっています。海外で戦争をする国、弱肉強食の経済社会づくりという二つの国策に従う人間をつくるための教育基本法の改定は、幕別町の教育にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。「教育の風は幕別から」と、子供たち一人一人を大事にし、きめ細やかな教育を実施してきた幕別町として、教育基本法の堅持をあらゆる場で求めるべきであり、教育長のお考えを伺います。

答弁 教育長 高橋平明(教育長は2007年3月まで)

豊島議員のご質問にお答えをいたします。教育基本法について、現行法を堅持すべきとのご質問でありますが、教育基本法は、戦後、日本国憲法や学校教育法とともに制定され、義務教育の年数、男女共学、学校教育、社会教育などについて規定したものであります。制定から半世紀を経過し、教育の現状と課題を 21 世紀の教育目標を踏まえ改善するため、現行の教育基本法を貫く理念を大切にしながら、21 世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指す観点で教育理念や原則を明確にするため、改正が必要であるとして、本年度、改革案が閣議決定され、国会に提出されております。今回の改正に関しましては、改正を強く求める意見がある一方で、「内心の自由を侵害する懸念がある」などとして、反対の声があることも承知をしております。教育基本法は日本の教育の根幹となる教育理念や義務教育、あるいは教育の機会均等について定められるものであり、学校教育法や社会教育法など教育関係法規の根本法となるものでありますことから、改正に当たっては十分な議論を踏まえた中で、その方向性が決められていくべきものと考えております。地方教育行政の立場で求めていくべきことは、子どもたちの未来を保障する、あるいは見守る制度を築いていくことに対してであり、その点についてはあらゆる機会を通じて意見を述べるべきであると考えます。制度上、法律を制定するあるいは改正するという作業は、こうした地方の現場からの声や多くの国民の声を反映してなされるものであり、こういった経過を経た現段階においては、私は意見を述べる立場ではないものと理解をしております。国会で審議されている事項については、国政の場でしっかりと審議がなされるものであり、その結果を注目したいと思います。以上で、豊島議員のご質問に対する答弁と致いたます。

再質問 10番 豊島善江

再質問をさせていただきます。教育長から、今、ご答弁を頂きました。この中で、結論としては意見を言う立場ではないということでした。それで、地域教育行政の立場で求めていくべきことは、ということで、子供たちの未来を保障すること。あるいは見守る制度を築いていくことに対しては、意見を述べていくということで、ご答弁でありました。しかし、私は今回の教育基本法の改正の中で、教育長が意見を述べていきたいといわれているこの地方教育行政の立場、これすらも私は教育基本法が改正されると非常に危ぶまれてくるのでないかというふうに思っているわけです。子供たちの未来を保障する。それから、きちんと見守っていく。これは、私は今の基本法、これの精神ではないかなというふうに思っているのですね。子供たちに対する教育というのは、本当に未来を育てていく。これが教育だと思うのです。ところが、今回の政府から出されている改定案というのは、これまでの教育基本法の柱を 180 度変えてしまって、そのときの政治によって、いわゆる強制を行っていく。そいうふうに 180 度変えていくという中身になっていることに、非常に問題があるわけですから、そういう点では教育長が思われていることが、教育基本法が変えられてしまうと。それさえ通じなくなるというふうに思うのですが、その辺のことはいかがでしょうか。

答弁 教育長 高橋平明(教育長は2007年3月まで)

私の立場で申し上げるべきことは、やはり地方教育行政をいかにして進めるかということだというふうに思っております。いろんな意味で、いろんな課題、地方教育行政が抱えております。そういった課題を解決するためには、地方だけでやれることもありますし、あるいは、これは国政の場に求めてもいかなければならないということもあるといふうに思っております。国政の場に求めるべきことは、しっかりそういった立場で求めるという思いはありますけれども、現にこの教育基本法につきましては、既に改正案が国会に提出された段階であります。それぞれのいろんな地方ですとか、いろんな国民の方の意見を聞きながら、国会に提示された法案について、今現状、この段階において、ここで私がどうのこうのという意見を述べる立場ではないというふうに理解をしております。

再質問 10番 豊島善江

それでは、ちょっと違う観点からお聞きしていきたいのですが、ここの答弁の最後の方で、今もお答えになりましたけども、本来ならそういうふうに法律を変えたり、制度を変えたりというときは、本当に下からの声、その現場からの声、そういう携わっている人たちの声で、それが集約されて変えられていくというのが、それが私は道筋だと思っています。それは教育長のおっしゃるとおりだと思うのですね。ところが、今回のこの教育基本法の改正の問題は、それでは教育長にお聞きしますが、現場の教職員、実際に教育に携わっている方たちの意見がどれだけ反映されているか。それから、そういう現場の教員と一番近いはずである幕別の教育委員会、こういうところに、それではこういう教育基本法についての意見を求められたことはあるのかどうか。そのことをちょっとお聞きしたいと思います。

答弁 教育長 高橋平明(教育長は2007年3月まで)

これらの法案が改正、あるいは制定される作業というものは、例えば、でありますけども、教育基本法をこういうふうに改正したいからどうだという、そういう問いかけというのは、これはあり得ないことだと思っております。いろんな分野の方、いろんな立場の方からのご意見を、それを国が吸い上げて、こういった形の法案が提出されたものだというふうに私は思っております。それは教育現場の方からの意見ももちろんでしょうし、それ以外の方からのご意見も含まれた形が今回の改正案であったのでないかというふうに、私は思っております。しかも、この法案については、審議するのはあくまでも国政の場であります。私どもとしては、この国政の場でしっかりと論議をして、制定するかしないかはそこで決めていただくしか、私としては見守るしかないというふうに思っております。

再質問 10番 豊島善江

審議するのはもちろん国政の場です。しかし、実際に教育を行っていく、実際に幕別の子供たちに責任を負っていくのは、私はやはりここだと思うのですよね。幕別町であり、幕別町の教育委員会であり、教育長である。そこのところは、私は避けてはならないことだと思うのですね。今朝、ちょっと読んだ新聞に出ていたのですが、今、教育基本法を変えないでほしいという運動が、地域でさまざま起こっていますが、そういう中で、教育長を訪問をして様々な意見を聞いているという、そういう記事が載っていたのですね。その記事の中には、現場の声は一つも国には届いていない。政府には届いていないと答えていらっしゃる教育長さんがほとんどだったという、そういうような記事が載っていました。私は、本当に直接子供に責任を負うという立場からいきますと、やはり国の国会での論議はもちろん大事ですけども、そこに影響を与えるというのですか、その審議するための材料というのですか、地元の子供はこうなのだよ、子供たちはこういう今状況なのだとか、親はこういうものを求めているのだということは、私はもっともっと上の方にあげていく必要があるのではないかなと思うのですね。それで、この間の、今、継続審議になっておりますけども、これまでの教育基本法の審議の中で、非常に大きな問題となったのが、国を愛する心、いわゆる愛国心というものが、現実に通知表で評価をされてきている。これが国会の審議の中で大きな問題になりました。これは、日本の中のたくさんの学校で、もう指導要領に書かれたものですから、それで、通知表で評価をしなければならないということで、これが実際に愛国心通知表というのが使われているということがわかりました。このときに、質問の中で、小泉首相は、これは愛国心というのは評価をすべきではない。評価はできないのだという、こういう答弁をしたところなのですね。このことによって、実際にこの通知表を使っていた学校が使うことを取りやめる。こういう、今、実態が全国で起きてきています。こういうふうに評価できないものを評価をしているという現状が、これは今生まれてきたのですね。それで、これは指導要領に書かれただけで、こういう実態になったわけですから、これが教育基本法を変えて、その目的の中に、国を愛する心だとか盛り込めば、これはますますそういう状況になってくるのではないでしょうか。それは、小泉首相が答えたこととも非常に矛盾しますし、そういう矛盾するような内容を、私は内容にやはり変えるべきではないと思いますし、こういうものが仮に教育基本法が変えられて、この国を愛する心を目標にして、それを評価をしてというふうになったときに、この幕別町の教育委員会としては、一体どうしようというふうに思われていますか。やはりこれは、教育基本法が変えられたのだから、それに基づいて粛々と進めるというお立場なのでしょうか。それとも、そういうふうにならないために、やはり、今ここで声を出していくという、そういう私は立場が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

答弁 教育長 高橋平明(教育長は2007年3月まで)

前段から申し上げているとおり、法の条文について、私は現段階においてはコメントする立場ではないというふうに理解をしております。愛国心云々につきましても、それは私がどうのこうのという立場ではないというふうに思っております。ただ、あえて私が思っておりますのは、当然、そういう愛国心という言葉を盛り込むのであれば、国が愛される国をつくっていくのだなという思いはあります。私としては、幕別の子供たちに対する教育方針というのは、今までも申し上げていますけども、私たちは子供たちを大きく育てたい。そういう願いがあります。幕別の教育の方針が、国の法律改正によってどう変わるかということでありますけれども、基本的には私は変わらないというふうに思っております。学習指導要領ですとか、そういったものが変更されれば、それに伴った改正は当然あろうとは思っておりますけども、基本的に幕別の教育方針は、これは決して国に逆らうという意味ではありません。法令を遵守しながら、その中に則りながらも、それぞれの色合い、特色を出していきたいというふうには思っております。

再質問 10番 豊島善江

幕別の教育方針は変わらない。これまでも、先ほどもちょっと質問の中で述べさせていただきましたけども、幕別の一人一人の子供、非常に大事にして、例えば、指導助手の制度をつくったり、また、評議員制度や何かでは、子供のきちんと発表の場を与えるだとか、そういう意味では私は非常に丁寧なきめ細やかな、そういう教育を私は幕別としてはやってきたのではないかというふうに思っているのですよね。だから、そういう基本方針を絶対に変えてほしくはないですし、しかし、現実には、この教育基本法が、私は自分の押さえとしては 180 度変わってしまうのかなという押さえはあるのですよね。そこのところの教育長との一致がちょっとわからないのですけども、戦前の様々ないろんな反省の中から出てきたこの教育基本法ですから、今でもテレビの朝のドラマなんかでは、あのころの時代のドラマやっていますけども、絵を描くことや歌を歌うこと、ピアノを弾くことや本当に自由に何もできない。そういう時代の反省。そういうものをつくりだしてきたことは、そういう時代に入っていったその大きな背景には、私は教育があったのではないかなと思うのですよね。ものを言えぬ子を、人をつくりだしていったという。そういう反省からできたのが、今の教育基本法ですから、私はこの教育基本法が、今、180 度変えられて、そのときの政府のいろんな考えによって、その基本の目的までコロコロ変えられてしまう。そういうことは非常に危険な状況だと思っているのです。現実には、そういう状況が尐しずつ、今、やはり出てきているのではないかなと思うのです。例えば、東京都のように、全国一斉学力テストですか、東京都の中で学力テストをやって、順位だとかランクを全部発表して、新学期に一人も入学制が来ない学校があっただとか、それから、子供たちがそれによって試験当日、学校を休まなくてはいけないことになっただとか、様々な問題が出ていますよね。そういうようなことが、私は教育基本法が変えられることによって、現実の問題として私は出てくる、そういう危機感を非常に大きく感じているわけです。それで、一人一人の子供たちを大事にして取り組んできた幕別町としては、そういうやはり実態にならないように、私は尐なくとも、ここに教育基本法を変えるなということが難しいということであるならば、私は、今のこういう子供たちの、先ほどもここに書いて、教育長答弁にありましたけども、本当に子供たちの未来を保障する民主主義が徹底されている教育を続けてほしいという、そういうことをきちんと私は国に言うべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

答弁 教育長 高橋平明(教育長は2007年3月まで)

豊島議員のおっしゃる立場というのがよくわかってはおりますけども、私の立場では、改正に関して良い悪いという答弁は当然できない立場だというふうに思っております。ただ、法律でありますから、法律そのものが制定されれば、運用するのはあくまでも人であるというふうに私は思っております。私はその人というものは、人という存在を信頼をしておりますし、大変大切な条件だなというふうに思っております。

出典:幕別町議会 平成18年第3回定例会 2006年9月13日 議事録 PDF(39ページ) 間違いを知らせる