上士幌町議会 平成25年第3回定例会 2013年5月24日
(1)近年の農地の流動化について/(2)ナイタイ高原牧場の飼料確保と上士幌農用地等取得基金条例について
2013年5月24日、上士幌町議会の一般質問で、山本弘一議員が「近年の農地の流動化について」「ナイタイ高原牧場の飼料確保と上士幌農用地等取得基金条例について」について質問し、農業委員会会長 兼子義雄、町長 竹中貢が答弁しました。
- 質問者
- 山本弘一 議員
- 答弁者
- 農業委員会会長 兼子義雄、町長 竹中貢
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
議員が最初の質問で述べた件名は 2 件あります。1回の登壇で続けて質問しており、議事録の中に件名ごとの区切りが無いため、1件の中に並べています。件名は議員の発言から取ったものです。
質問 3番 山本弘一
私は、近年の農地の流動化について、農業委員会長、ナイタイ高原牧場の飼料確保と上士幌農用地等取得基金条例について、町長に質問をいたします。まず、交換分合も一巡し、町内の農地も流動化が大きく移動してはいないと思うが、過去5年間の移動面積(所有権、賃借権)、農家戸数の減少と今後10年以内にはどのような流動化対策が必要とされるか、答弁をお願いします。ナイタイ高原牧場の飼料確保と上士幌農用地取得基金条例について、第4期町政を担う町長に伺います。町長は、執行方針の中で、第1次産業は地域経済を支える基幹産業であり、農業の持続的な発展のため、関係機関・団体と連携しながら今後施策を講じることが肝要であると述べています。農業の生産基盤は農地であります。24年度の面積は、畑作3,277ヘクタール、酪農、デントコーン、牧草で4,966ヘクタール、合計8,243ヘクタールで、生産額(24年当初見込み)152億以上に達したと聞いています。特に酪農家では規模拡大の傾向にあり、個々によっては飼料不足と聞いています。24年乳牛数は1万7,331頭になり、夏季にはナイタイ高原牧場に預託をしています。今年度から、ナイタイ高原牧場は指定管理者制度により、JA上士幌町が運営することになりました。特に冬季の乾草不足は深刻で、町外からの購入で補ってきましたが、できる限り町内の飼料が望ましいとのことです。不足の飼料を面積換算すると200ヘクタールぐらい必要であるといわれています。畑作、酪農の耕畜連携により、輪作体系の確立、飼料確保を含め考える必要があります。そこで、上士幌農用地等基金条例の見直しが必要と考えますが、第5条では、ナイタイ高原牧場で利用する農地、林地を取得する費用とありますが、その中に賃貸を加えることにより、牧場を含めた農用地流動化と耕畜連携が将来スムーズに進むと思いますが、答弁を求めます。
答弁 農業委員会会長 兼子義雄(農業委員会会長は2014年6月まで)
近年の農地流動化について、山本弘一議員の質問にお答えをいたします。農地流動化を効率的に推進するため、平成8年度から開始しました交換分合事業は、参加者の理解のもとで町内を一回りし、平成22年度に完了いたしましたが、全体で2,000ヘクタール以上の農地の流動化が進み、農地の自作地化の進行や分散農地の集団化に伴う通作コストの削減が図られるなど、一定の成果があらわれているところであります。農業委員会が取り扱いました農用地利用集積計画によります過去5年間の農地の移動状況につきましては、あっせんによります所有権の移動は527ヘクタール、小作契約によります賃借権の設定は1,637ヘクタールとなっております。農林業センサスの結果から本町の動きを見ますと、1980年(昭和55年)の総農家数が333戸であったのに対し、2010年(平成22年)には173戸と、30年の間で約半数の農家戸数に減少しております。これに伴いまして、既存農家の1戸当たりの経営耕地面積の拡大が進んでいます。30年前には1戸当たり24.5ヘクタールの平均経営耕作地面積は、2010年には46.3ヘクタールと約2倍の面積となっております。十勝管内では、更別村に次いで2番目に大きな規模となっております。現在の家族労働で対応できる経営面積としては限界に近づいている中で、農地の流動化を円滑に推進するためには、労働力の確保対策はもちろんのこと、新規就農対策や農業生産法人の育成等、意欲と能力があって経営感覚にすぐれた担い手の育成、確保に努める必要があるものと認識しております。平成24年度に町が独自に作成した内部資料から、現在55歳以上で10年後後継者のない農家は28戸で、作付面積が861ヘクタールと予想しております。また、平成23年度に町が実施しました農用地利用状況意向調査の結果では、今後10年で規模縮小を希望する農家が4戸あったのに対しまして、規模拡大を希望する農家は58戸で、面積にして1,616ヘクタールの拡大意向がありました。その中には、100ヘクタール以上の拡大意向のある酪農家が4戸あるなど、酪農家の拡大志向は、離農跡地の受け皿として期待できるところであります。しかし、畑作地帯での農地の受け手対策が課題とされており、これまで町内には設立されていない畑作農家複数戸によります法人設立も、離農跡地の受け皿となり得ることから、関係機関と連携をしながら、農業生産法人設立も含めた担い手の育成に努めることが喫緊の課題であると認識しております。このような中、離農者等からの農地の流動化を進めるには、譲渡所得税にかかわる特別控除額の拡大が求められているところであり、このほどのフード特区の取り組みの中でも、農地保有合理化事業の特別控除額を1,500万から5,000万円に上限を拡大するよう要望されているところです。今後においても、上部組織等を通じて、全国一律でない北海道方式として特別控除額を拡大するよう要望してまいります。生産性の維持や向上を図るためには、その経営基盤である農地を有効に利活用し、円滑に引き継いでいくことが必要でありますので、農地流動化を進めるに当たって、他市町村への流出を防ぐことはもちろんのこと、農地保有合理化事業等の制度を最大限活用しながら、流動化における課題解決に向けて、町や農協等の関係機関との一体となった取り組みに努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたしまして、答弁とさせていただきます。
答弁 町長 竹中貢
引き続き、ナイタイ高原牧場の飼料確保と上士幌町農用地等取得基金条例について、山本弘一議員の質問にお答えいたします。ご質問のナイタイ高原牧場の飼料確保と輪作体系の確立のために、上士幌町農用地等取得基金条例第5条を改正し、その中に賃貸を加えることが、将来の農地流動化対策と耕畜連携がスムーズに進むのではないかとのご提案でありますが、まずナイタイ高原牧場の飼料確保状況につきましては、今日までの平均飼養頭数は約2,500頭であり、年間の必要粗飼料(グラスサイレージ)としましては約2万トンほどであります。これを必要な採草地面積に置きかえますと630ヘクタールほどになります。現在、町所有は395ヘクタールで、そのうち草地整備等で使用できない面積は約45ヘクタールほどとなっており、使用できる面積は350ヘクタールほど、その他借地により90ヘクタールほどを活用しており、合計で430ヘクタールほどとなります。議員おっしゃるとおり、全量を自賄いするためには200ヘクタールほどが不足している計算であります。量として6,400トンほどに換算されます。この不足分は、町内外農家や飼料会社から購入で対応しているのが現状であります。ご提案の条例第5条を改正して、賃貸を加えるべきとのことについてですが、賃貸によるコストや安定的な飼料確保等を勘案した上、必要な採草地について、既に賃貸契約を結んでナイタイ高原牧場の粗飼料を確保してきております。ナイタイ高原牧場については、ことしからJAが指定管理者制度のもとで経営をしております。指定管理を受委託するに当たり、牧場は後継牛の育成という公共性を持った施設であり、一定の条件を付して契約を結んでいますが、経営方針・計画等については、極力受託者の主体性を尊重することが望ましいと考えております。したがって、粗飼料の確保についても、完全自給飼料を目指すのか、コストやリスク分散の観点から多様な方法を選択するかなどについては、受託者に委ねることが望ましいと考えております。議員ご指摘の耕畜連携、輪作体系、粗飼料の確保、賃貸を含め農地の流動化、農地の確保などは、本町農業の振興上も重要な課題と理解をしております。これらは、本町農業全体(ナイタイ高原牧場を含む)の課題と受けとめ、JA上士幌町や農業委員会とも連携をとりながら、その対策を講じる必要があると認識しております。上士幌町農用地等取得基金条例については、民間経営色が強い指定管理者制度に移行したこともあり、基金条例そのもののあり方について検討すべき時期と考えております。一方では、将来を見据えて耕作放棄地に対する対策などについても検討すべきと考えております。以上、答弁とさせていただきます。
質問 3番 山本弘一
これは農業委員会会長にお願いしたいことなんですけれども、先ほど答弁の中で、農地保有合理化事業ということで、特別控除額が1,500万から5,000万を特別区として拡大要請をしておるということでありますが、この件につきましても、十勝農業委員会連合会、北海道農業会議、全国にまたがって十勝は土地利用型第1種専業農家でありますから、このことは強く上のほうに早急に求めていただくことのほうがよろしいかと思いますけれども、それだけの答弁をお願いします。
答弁 農業委員会会長 兼子義雄(農業委員会会長は2014年6月まで)
今のご質問ですが、昨年十勝農業委員会連合会のほうで、譲渡によります税金の関係、それについていろいろ要望がありまして、とりあえず一般公募によります800万控除、それから農地保有合理化事業です。今1,500万ですが、1戸の農家が丸々事情によりまして農業をやめたときに、今の1,500万では対応できないということで、5,000万円に上げて要望しているところであります。各町村ともそういった中で、一般公募と農地保有合理化事業をあわせた中での農地の流動化に向けて進んでいる状況でございます。
質問 3番 山本弘一
それでは、町長のほうに伺いたいと思いますけれども、先ほど答弁の中で、このナイタイ高原牧場の飼料不足は、数字に換算するとおおむね200ヘクタールぐらいになるんだと。このことについても購入ですとか、農家の灌木草の購入、配合飼料の購入を含めて対応しているということでありますが、もう一つこのナイタイだけではなくて、酪農家においてはTMRという餌の供給をしている組織があります。ここに聞いてみても、非常に乾草を含めた中で足りない。要は言ってみれば、牛の数がかなり急激にふえて、耕作面積よりも、もともと足りなくなってしまったという現況があるわけです。私が言っているのは、個々で売買、賃貸ということは通常の場合はそれで農業委員会のあっせんで済むわけですけれども、しかし、ところと場所によっては買い手のない農地、もしくは先ほど町長が答弁されたように、耕作放棄地になってしまうような状況のところでは、やはり基盤整備を含めて、ナイタイで一時取得してもらった中で、そのことを今度は畑作と交換耕作により8,200町ぐらいの利活用を図ると。要はこの土地面積を維持していってほしいという、こういう意味が私はあるわけです。ですから、餌が間に合っているからいいんだという問題ではなくて、TMRあたり、各JAの部長あたりに聞くと、やっぱり良質なものが欲しいと、上士幌のものはやはり良質な牧草があるんだということは言われていますので、その辺は町長はJAを含めた中で関係機関と十分協議して進める気はありますか、どうですか。
答弁 町長 竹中貢
議員のナイタイの質問でありますけれども、もっと大きな視点での質問というふうに受けとめさせていただいております。いわゆる8,200ある農地を、それは1ヘクタールとも放棄地にしてはだめだと、生産のための手段であると、これは大事にしなくてはならないと。全く同様の認識でおります。農業委員会のほうの回答にもありましたけれども、多分そのときそのときによって農地に対する需給関係というのは、随分変わってきているんだろうなというふうに思いますが、この件については山本議員が農業委員会の会長を長くされておりましたから、相当苦労されてきたという経過も聞いておりますし、それから農用地のこの条例についても、多分議員が会長のころに当時の農業事情を背景にして基金条例をつくったものと、そのように思っております。一方、この調査、農業委員会の回答にありますけれども、いわゆる将来の農家の見通しでありますけれども、後継者がいないというところの戸数と、それから将来的に規模拡大をして生産をやっていきたいという。そういった意味では、今の関係でここだけで見ると需給関係でいうと、かなり需要が大きいと。いわゆる土地を求めているケースのほうが割合としては、かなり大きいということですから、通常のいわゆる、できの状況であればうまく移動だとか、そのことが可能なのかわかりませんけれども、多分もっと厳しいところをどうするのかということも含めての話だろうというふうに思います。今前段、TMRセンターも含めて牧草が足りないということでありますから、そういった意味で、受け皿の一つになれるこのいわゆる経営上も場所も含めてちょうど受け地になるところの可能性としては、そういう法人が一つ可能性としてはあるだろうなと、そんなふうに思います。それから、ナイタイはナイタイとして将来的に自分の牧草地をどれぐらい確保するのか、それは距離の問題だとかあるいは出来高の問題だとか、いろんな経営上のことを考えて、ナイタイとして判断をしていくことになるだろうというふうに思っています。今までは、より行政がナイタイに直接関与しておりましたから、公的な意味合いも含めて、厳しいところの土地の購入だとかあるいは賃貸だとか、そんなようなこともやってきておりますけれども、これから牧場そのものがJAに指定管理でいくとすれば、そういった経営的なことも含めて委ねることが望ましいんだろうなと、そういうふうに思います。その上で耕作放棄地、いわゆる離農した後に買い手がいないといったときに、一時保有だとか、それから欲しいんだけれども、すぐにお金の用意ができないだとか、こういったケースも出てくるだろうというふうに思いますけれども、今、国のほうも北海道のほうも多分そういった意味では、規模の拡大だとか、あるいはそれらに向けた放棄地をなくするという方針になってきておりますし、そういう制度を受けながらやるということもあるだろうというふうに思います。ただ、それで全部それじゃ満たされるのかということがあって、手を挙げて、それに乗りたいけれども、いろんな制約があって乗れないだとか、それから減免措置だとか税金の減免なんかもありますけれども、そういいながらも結構な費用がかかるだとか、そういったケースが多分これから出てくるだろうと思います。そういった地域特有の課題に対して、町と農協がどうしてもやっぱりこれは連携をとっていかなければならない話だと。町だけで土地を所有するだとか、それは本来やっぱり農業の経営、農業者全体を把握している農協と十分連携をとって、そして放棄地を出さないように、さらには離農する人方、それからそれを求めたい人方が、うまくお互いにウインウインの関係でいくような、そういう関係をつくっていかなければならないと思います。農業委員会の力も必要だろうと思います。そういう意味では、新たなそういう仕組みづくりがこれから必要になってくると。そのことによって、今議員が懸念されているようなことをなくする、まずは放棄地をつくってはだめだと、それから今多分だんだんと自由化されていく流れというのは、きっと将来的にあるだろうと思いますけれども、よそにその農地が使われて、そして生産物がよそのほうに出荷されていって、本町のいわゆる生産額につながってこないと、これもまた残念なことでありますから、そのようなことを防ぐことも含めて新たな仕組みなりを、北海道の公社のほうもありますけれども、それらを見ながら足りない部分のところをどう体制を組むかというのは、これから考えていく必要のある時期でないだろうかと、このように思っております。
質問 3番 山本弘一
まさしく今、町長の答弁で、私はたまたま基金条例の中にこの農用地等取得基金条例というものがあったから、それにこだわったわけでありまして、今年度からTPP問題を含めてどういう時代の流れになっていくかというのは、ちょっと今の状況では難しいかと。ですから、農地だけじゃなくてあらゆるものに対応できるような形の中で、農地は基盤でありますけれども、このことが町農林課を含めて、農業委員会、JAを含めた中で、どのような形が望ましい、どのような支援が望ましいかと。やはり8,200町の農地をできる限り守っていくという観点に立ったときに、一方経済団体のJA、それから実際的にあっせんを行っている農業委員会、そして町の行政を含めた中で、この辺の連携プレーがちょっと今まで私から見たら足りなかったんじゃないのかと。やっぱり連携した中で本当に必要なものは何があるのかと。当然後継者がいなくて、担い手不足で離農せざるを得ない、もしくは縮小、賃貸、売買という形になってくると。それが時と場合によっては一等地、それでなかったら、また奥のほうでなかなか買い手がないというバランス的に崩れたような形も出てくるおそれがありますので、ぜひその辺も先を見据えた中で、町長も第4期目に入ります。そういう意味を含めた中で、今後関係機関とより一層スクラムを組んでやっていただきたい、それが私の本音です。
答弁 町長 竹中貢
全く同様な考え方でございます。多分本町農業の流れとしては、規模拡大というのが、大きな流れとして一つはあるだろうというふうに思います。それから、後継者が今までも余り全てが跡地に入ってくるということもなかなか難しいとすれば、畑作における今その準備をしているというふうに伺っておりますけれども、その法人化の問題です。この法人化の問題というのは、法人化というのは、上士幌町が多分他町村に比べて相当進んでいる地域だというふうに思います。そのことによって、今まで農地が放棄地にならなくて済んできたという、そういうこともあったかというふうに思いますが、ただ大型ばかりが全て本町農業ということではなくて、多分もっと手間暇かけた、そういう付加価値をつくる農家もあるだろうと思いますけれども、いずれにしても時代に対応するように、特にもっとも大事な生産の基盤である農地です。今までも多分どの農地も明渠だとか暗渠だとか、いろんなことで相当の公費も使ってきた貴重な財産でもあるわけでありますから、民間、個人のものであるといいながらも、非常に大きな、町あるいは国レベルの財産でありますので、それを無駄なことのないようにしなければならないというのは、僕らも強い思いでおります。それを実現するためには、先ほども申し上げましたけれども、あるいは指摘されましたけれども、JAと、それから農業委員会のこの連携というのはどうしても必要なことになりますので、これからまた十分その辺についてはお話し合いをさせていただきたいなと、そんなふうに思っております。よろしくお願いします。