みんなの議会

網走市議会 令和3年第2回定例会 2021年6月23日

新型コロナウイルス感染症の感染者に対する人権侵害の未然防止について

2021年6月23日、網走市議会の一般質問で、近藤憲治議員が「新型コロナウイルス感染症の感染者に対する人権侵害の未然防止について」質問し、健康福祉部長 桶屋盛樹、市長 水谷洋一が答弁しました。

質問者
近藤憲治 議員
答弁者
健康福祉部長 桶屋盛樹、市長 水谷洋一

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 近藤憲治

-登壇- それでは、私からも通告に従いまして2項目質問をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、当市でも飲食店での集団感染事例でありますとか、小学校また高校等での感染事例が発生をいたしました。感染症はどのように予防を徹底しても感染する可能性をゼロにすることはできないからこそ感染症と呼ばれているわけでございまして、市として様々な施策で予防に努められている点につきましては感謝を申し上げたいというふうに思います。また、ワクチン接種も希望者の任意接種であるという前提を大切にしながらも居住区域別の接種券の送付による予約電話の平準化ですとか、市役所やコミセンへの予約窓口の開設、さらには老人クラブや高齢者ふれあいの家といった日常の集いの場を活用した予約取りまとめなど、様々な知恵を出しながらの取組で、当市においてはワクチン接種は混乱なくスムーズに進んできているものと受け止めております。医療従事者の皆さん、また市の職員の皆さんに改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。それでは、1項目め、新型コロナウイルス感染症の感染者に対する人権侵害の未然防止について質問させていただきますが、ベテランの先輩議員からコロナの特別委員会が設置されているのに、一般質問でもコロナのことをやるというのはどういうことだという御指摘を頂きまして、私は確かにそのとおりだなというふうに思う反面、今から質問させていただく案件については、市の様々な施策の根底に関わってくる。また、理念的な大枠を市長にもお伺いをしたいということも含めて、この一般質問の場で行わせていただきますので御了承を賜りたいというふうに思っております。今日は、新型コロナウイルス感染症がもたらしました社会問題のもう一つの側面、差別や偏見、誹謗中傷のといったデマを含めた他者を傷つける、いわゆる人権侵害に地域としてどう向き合っていくかという視点で質問をしたいと思います。冒頭述べました集団感染事例や高校、小学校での感染事例は報道等で広く知らされるため、市民の間でその報道やうわさ話を起点として想像や憶測をもとにした差別や偏見、誹謗中傷に似た反応も起きてしまったことに心を痛めているところであります。例えば、「感染したのは誰々さんらしい」「誰々さんはどこどこに行って感染したらしい」「誰々さんの家族にもうつったらしいよ」「どこどこの施設で集団感染が出たっていうけど本当かい」などなど、そんな声を実際に聞きましたし、その声に対して「感染したのは実は誰々さんらしいよ」「どこどこで遊んできて感染したらしい」と答えている声もございました。そもそもその話が事実かどうかは誰もわかりません。しかし、事実のようにまことしやかに話がされていました。また、インターネット上にもSNSや匿名の掲示板で、「感染したの誰」「感染ルートは」というような感染者や感染ルートを特定しようとする書き込みも散見され、私たちのような立場にはそのうわさが真実かどうかの問合せも寄せられてしまいます。実際の会話でも、またインターネット上でも、こういったやり取りがさらに過激化した場合には「ウイルスを網走に持ち込みやがって」ですとか、「あいつのせいでクラスターが起きた」などなど、感染することが悪のようなニュアンスの言葉まで出てきてしまいます。これらの会話やインターネット上の書き込み、いずれも他者を傷つける人権侵害であります。言われる側の気持ちに立って考えてみれば、それはすぐわかることでありまして、感染症は誰がどのように警戒していても感染する可能性があるものですから、感染したら「お大事に」といたわり、回復を祈るのが本来の心の在りようだと思います。しかし、不安が増幅した人たちは自らの言葉が感染者やその家族等を傷つけていることに気づいていません。また、不安が増幅した人たちは自らも感染者になる可能性を想定していません。あることないこと周りに勝手に話される、自分がそんなふうに言われたらどう思うか、その気持ちに立って考えてみていただきたいと思います。感染者に対する誹謗中傷、差別、日常の会話の中にすらデマを生み、人権侵害の要素となるものが含まれているわけですが、原課の肌感覚としてで結構ですので、そういった事例についての認識と基本的な対応を伺います。

答弁 健康福祉部長 桶屋盛樹(健康福祉部長は2023年3月まで)

感染症に係る人権侵害の認識と基本的な対応についてでありますが、北海道における感染者公表の基本的な考え方につきましては、個人等の特定により患者やその家族、また医療従事者などが不当な扱いを受け、精神的に追い込まれる事例や転居を余儀なくされる事例が発生していることを踏まえた内容となっております。また、国の有識者会議、偏見差別とプライバシーに関するワーキンググループにおきましても、実態を踏まえた議論がなされるなど感染者に対する差別、偏見、誹謗中傷につきましては、全国的な問題であるというふうに認識をしているところであります。市といたしましては、ホームページにおける法務省人権擁護局へのリンクの張りつけや動画、ラジオ、チラシを通じた市長メッセージの発信などに取り組んでいるところでございます。

質問 近藤憲治

今、御答弁にありましたけれども、感染症、いわゆる公衆衛生の各種施策において一義的に責任を負っている北海道庁もホームページにおいて、鈴木直道知事のメッセージを掲載しております。その内容は、「新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中で、感染された方々やその御家族、そして医療、介護従事者の皆さんをはじめ私たちの生活を支えてくださっている関係者の皆さんが、いわれのない偏見や差別、心ない誹謗中傷やいじめなどにより心を痛め、傷つき、悲しんでおられます。このような差別やいじめなど心ない行為は決してあってはならず許されるものではありません」と書かれております。しかし、現実は当人の自覚がないまま、他者を傷つけるというような状況が残念ながらあるように受け止めております。また、この1年あまりを振り返ってみて憂慮するのは、特定のカテゴリー、特定の集団を名指ししての人権侵害というケースであります。例えば、道外からの入学者が多い大学を具体的に名指しして、ウイルスを持ち込む存在かのように扱う言動も一時期大変多くございました。全国からその大学を目指して入学をする学生や送り出した家族は、そういった地域の反応をどう感じるでしょうか。大変心が痛んだ記憶がございます。また、全国的には医療従事者や介護職員にも感染リスクがある存在かのように誹謗中傷が向けられたケースがございます。こういった状況についての認識、また基本的な対応も併せて伺います。

答弁 健康福祉部長 桶屋盛樹(健康福祉部長は2023年3月まで)

大学、医療従事者や介護職員への誹謗中傷の状況についての認識と対応についてでございますが、誤った認識に基づき特定の学校や学生、さらには関係する全ての方々に対し生活や行動を制限するような言動はあってはならないというふうに考えてございます。また、医療機関や福祉施設の従事者につきましては、日々懸命に新型コロナウイルス感染症に立ち向かっておりますけれども、残念なことにそうした方々に対する誹謗中傷、暴言、苦情、嫌がらせは全国的に発生しているものと認識をしております。先ほどの答弁と重複しますけれども、市といたしましては、こういった状況を踏まえまして、これまでもホームページにおける法務省人権擁護局へのリンク、さらには動画、ラジオ、チラシを通じた市長メッセージの発信などに努めているところでございます。

質問 近藤憲治

さらにもう一つ、人権侵害につながるおそれのある事例についてお伺いをいたします。それは、PCR検査や抗原定量検査を受けたことについての情報であります。一つは、保健所による積極的疫学調査で濃厚接触者と判断されて検査を受けるケース。もう一つは、市がこの間行いました不安解消のための抗原定量検査の大規模実施を自主的に受けたケースであります。検査を受けたことというのも、うわさを介すると「誰々さんが検査を受けた」が、人の言葉で伝わる中で「誰々さんが感染した」「誰々さんには会わないほうがいい」となったり、さらにエスカレートし「誰々さんはこういう理由で感染した」という憶測による差別や偏見、誹謗中傷につながりかねません。検査を受けたという情報は非常にナイーブなものであります。ところが、SNS上で自分は検査を受けたということでありますとか、濃厚接触者になったことを喜々として書き込んだり、実際に多くの人に話すようなケースも散見されます。その本人は気にしないのかもしれませんが、一方で、検査を受けたことを明らかにしたくない人もいます。それはさきに説明をした過激なうわさ話を恐れてであります。特定の個人が検査を受けたこと自体極めてセンシティブな情報であります。検査を受けた人も気軽に話すことが、本当は言いたくないと思っている検査を受けた周りの人を傷つけたり、困らせたりしていることにも想像力を働かせていただきたいものです。そういった点で、学校での感染事例の発生時に児童生徒、保護者、関係者の不安解消のための大規模抗原定量検査の実施に際して、場所は検査を受ける人のみに伝えて実施した判断は評価をしたいと思います。検査を受けた人の気持ちの尊重、またその情報はセンシティブな個人情報であるという点について市の認識を伺います。

答弁 健康福祉部長 桶屋盛樹(健康福祉部長は2023年3月まで)

検査を受ける方の気持ちの尊重についてでございますが、検査につきましては保健所の積極的疫学調査に基づく行政検査に加えまして、当市におきましては感染症指定医療機関に導入した抗原定量検査機器を活用し、ワクチン接種により感染状況が安定するまでの間、福祉施設や企業等が取り組むクラスターの発生防止、また、身近なところで感染が発生し自身の接触歴や行動歴に不安がある場合で、行政検査の対象とならない事例等に対する市民の不安解消を図ることを目的とした新型コロナウイルス感染症検査事業がございます。議員御指摘のとおり、検査に至った理由や検査を受けたことを知られたくない方がいることも事実であるというふうに認識しております。検査を受けるイコール感染者ではありませんので、情報は慎重に取り扱うべきであり、検査を受けた行為をもとに流布した誤った情報の拡散が人を傷つけるだけでなく、そのことが差別や偏見、誹謗中傷につながっていくおそれがあるというふうに認識をしてございます。

質問 近藤憲治

認識が共にできているということを確認させていただきました。感染症法の前文には、「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である」との記載がございます。しかし、ここまでお話ししたとおり、当市も含めて新型コロナウイルス感染症の拡大により地域で起きている反応は、残念ながら差別や偏見があると言わざるを得ません。結果として、全国各地で新型コロナウイルス感染症による差別や偏見、誹謗中傷、人権侵害を未然に防ぐための条例制定が広がってきております。令和3年4月26日現在、全国58の自治体で制定されておりまして、その内訳は、都道府県14、市町村が44となっております。道東では、今年2月根室市議会が議員提案で根室市新型コロナウイルス感染症関係者の人権擁護に関する条例を成立させ、啓発のためのPRチラシを作成し、市民に対して安易な憶測やうわさ話が差別、偏見、デマ、人権侵害につながることを議員一人一人が発信しておられます。PRの中で特に印象的なのは、「この感染症は3つの顔を持っています」という記述であります。この3つの顔が、「負のスパイラルとしてつながることで、さらなる感染の拡大につながっています」として、第1の感染症は「病気そのもの」、第2の感染症は「不安と恐れ」。「このウイルスは見えません。わからないことも多いため、私たちは強い不安や恐れを感じ振り回されてしまうことがあります」という説明があります。そして、第3の感染症として「嫌悪、偏見、差別」を挙げ、「不安や恐れは人間の生き延びようとする本能を刺激します。ウイルス感染に関わる人や対象を日常生活から遠ざけたり差別するなど、人と人との信頼関係や社会とのつながりが壊されてしまいます」という説明があります。これは大変重要な視点であると思います。また、感染者に関する情報の公開、これは北海道が一義的に責任を負う分野でありますが、個人が特定できるような安易な手法は不安の解消ではなく結局は差別や偏見、さらなるうわさ話を助長するだけになってしまいますので、情報を公開するべきだというのと同時に、感染者の特定を試みる言動や根拠のないうわさ話、憶測は、差別、偏見、デマ、人権侵害となり人を傷つけ地域社会を壊してしまうということを市民の共通認識とする取組が不可欠であります。そこで話戻りますけれども、根室市の新型コロナウイルス感染症関係者の人権擁護に関する条例の条文中では、市、市議会、市民、事業者の4つの対象に対して、それぞれ「感染症に関する正しい知識を持つこと」「感染拡大防止に努めること」「感染症関係者に偏見等の行為をしないよう努めること」を求めています。そこで伺いますが、新型コロナウイルス感染症感染者に対する人権侵害を未然に防いでいくため、今般の経験も踏まえて、市としてはどのような責務を負っているとお考えか認識を伺います。

答弁 健康福祉部長 桶屋盛樹(健康福祉部長は2023年3月まで)

感染者に対する人権侵害を未然に防ぐ市の責務といったことでございますが、令和3年2月13日に新型インフルエンザ等対策特別措置法を一部改正する法律が施行され、感染者やその家族、医療従事者等の人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることがないよう偏見や差別を防止するための規定が設けられたところであります。この改正により、国や地方公共団体は新型コロナウイルス感染症に関する差別的取扱いなどの実態把握等を行うこととされ、内容といたしましては、差別的取扱い等の実態把握、感染症患者に関する相談支援並びに情報の収集、整理、分析及び提供並びに啓発活動を行うとあります。市が取り組むに当たりましては、北海道との連携及び役割分担した対応が必要となりますが、加えて感染者等の情報につきまして、感染症法に基づく北海道の取扱いを踏まえた上で、感染者などの人権を侵害することがないよう十分配慮しなければならない責務も有しているのだろうというふうに考えてございます。

質問 近藤憲治

ただいま責務についても御答弁いただきました。啓発という言葉がございましたので、次に教育と啓発の必要性についての認識、伺ってまいりたいと思います。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に立ち向かう中で、感染の封じ込め、さらには官民一丸となった感染予防で一つの成功例として挙げられている台湾に関して、過去、危機管理医学研究会におきまして台湾医師会及び台湾の疾病予防管理センターの幹部のお話をオンラインで伺う機会がございました。その際に両組織の幹部の話で共通していたのは、17年前のサーズ流行の経験を経て、平時から感染症予防、公衆衛生のリテラシーを一部の専門家だけではなくて、官民問わず多くの人々が共有してきたことが生きたという点であります。正しいリテラシーがあったからこそ、エンパワーが働いたという説明を受けました。エンパワーというのはトラブルやハプニングに直面した際、即座に反応して状況をよりよく変えていこうとする力を意味します。誰かから強制されなくても、自ら考えて動き、困っている人に積極的に手を差し伸べる。感染症は万全の注意を払っても感染する可能性はゼロにはできない。だからこそ感染者にはいたわりの気持ちを持って支援する。そういった感染症に対しての基本的な考え方が官民に定着していたことが、一つの鍵であったということを知りました。私たちは今経験していることから何を学び、後世に何を伝えていくか。平時からの感染症及び公衆衛生に関するリテラシーを学校教育、社会教育の分野を問わず、広く市民向けの教育、啓発の取組が必要だと考えますが認識を伺います。

答弁 健康福祉部長 桶屋盛樹(健康福祉部長は2023年3月まで)

感染症及び公衆衛生に関するリテラシー教育と啓発の取組についてでございますが、議員御指摘のとおり感染リスクをゼロにすることはできないため、何よりも感染症を正しく理解することが重要であり、そのことが不安解消につながり、結果、偏見や差別が抑制され感染拡大防止が図られるものというふうに考えてございます。また、学校教育におきましては、新型コロナウイルス感染症を正しく理解し、差別や偏見のない適切な行動ができるよう児童生徒に対する指導を行うとともに、保護者に対しましてはパンフレットの配布を行っているとのことでございます。さらに、老人クラブや寿大学などの場を活用いたしまして、保健師による講話も行っているところであります。今後におきましても、市民に対する周知や教育現場における指導を継続するとともに、特措法の改正に伴う内容を踏まえながら感染症に伴う差別的な言動が生じないよう啓発活動に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

質問 近藤憲治

それでは、この項目の最後に、市長に伺わせていただきたいと思います。市長もこの間頻繁に紙媒体、ウェブサイト、動画等を通じて市民の皆さんにメッセージを送られています。刻々と変化する状況を伝え、感染予防を呼びかけるとともに、「不確かな情報に惑わされ差別やいじめなど人権侵害につながるような行動を取ることのないよう、正しい情報の下理解を深め、冷静に思いやりのある行動をしていただくよう改めてお願いいたします」などのメッセージを発されておりました。しかし、この質問でここまでお話ししたように、地域で見られる反応というのが、差別やいじめなどの人権侵害につながる行動という自覚がないままの振る舞いが結果的に他者を傷つけるような言動につながってしまっているという状況であります。重ねて申し上げますが、感染症と公衆衛生に関する基礎的な理解を促す、また、どのような状況が他者を傷つけるのかを自覚がない当事者にもわかるように具体的事例を伝えるという視点、市民に発信する際の伝え方の工夫として留意をしていただきたいと思います。また、感染症に関わる人権侵害を未然に防ぐという理念を市民の間に共有していく取組を望みたいと思います。この1年あまりの経過を振り返って、市長の見解、さらに今後に向けての意識をお伺いいたします。

答弁 市長 水谷洋一

-登壇- 御質問いただきました。インプロバイズな御質問いただきまして。今、感染症の歴史は差別と偏見の歴史だというふうに私は認識をしております。だからこそ、感染症の前文に今議員がお話がありましたように、ハンセン病、後天性免疫不全症候群の患者に対して、いわれなき差別と偏見が存在したことを重く受け止め、これを教訓として今後に生かしていくのだということが前文にあって、それをもとに感染症の条文が成り立っている、このように認識をしているところでございます。感染症は今申し上げましたように、差別と偏見の歴史でありまして、まさにハンセン病、後天性免疫不全症候群はその典型だというふうに思っておりますけれども、ハンセン病についてはちょっと記憶が定かではありませんが、昭和28年だったと思いますけれども、戦後だと思いますが、ライ予防法が成立をされた。その時点では実は、ライいわゆるハンセン病の特効薬はできていたわけであります。しかし、国民は隔離をしなければならないという根強い偏見と差別があって隔離政策を法律として通してしまった。特効薬があっても差別と偏見というものは解消されないということがあった。だから、2019年の最高裁判決では違憲判決が出て、今その賠償が行われているわけで、国家賠償が行われているはずであります。これは幾ら違法判決が出たとしても、その人の人生、歴史、家族を取り戻すことができないわけでありまして、ハンセン病について差別のつらさというのは本人は当然でありますけれども、家族は直接的に差別にさらされるつらさ、苦しみがあると思います。もう一つは、差別されるつらさを病気だった肉親のせいであったりということを思い込まされること。それから、差別から身を守るために事実を隠して周りからだましているような罪悪感にとらわれること。こうしたことというのが差別、偏見の苦しみなのだろうと思います。この感染症全体に言えることだと思いますが、差別というのは時間がたてばなくなるとか、世代が変われば自然に解消されるという問題ではないことはハンセン病を見ればわかるのではないかと思います。ハンセン病特効薬ができたとしても、正しい知識を普及させたとしても差別偏見はなくならないわけでありまして、こうしたいわゆる社会構造、何か難しいことを申しますが、要するに私たち一人一人が社会をつくっているわけでありますから、そこの私たちがそうした差別の加害者にならないような、そうした自分自身の生き方の問題としてこの感染症というものを捉えていくことこそが人権問題、人権擁護の私は肝ではないかと、こう思います。ですから、メッセージで発しておりますように、他者の気持ちをおもんぱかって、きちんとわかってあげて、日頃の言動をしていただきたいというようなメッセージを発させていただいておりますが、人権についてはまさに差別と偏見の歴史に向けて自分自身の問題としてどう関わっていくかということが問われていると思いますので、私は市民の皆様にもそうした自らの問いかけの中で、この感染病、新型コロナウイルスの感染に関して思っていただきたいと、このように思うところであります。ちょっと漫談的になりましたけれども、そんな思いでおります。

出典:網走市議会 令和3年第2回定例会 2021年6月23日 議事録 PDF(82ページ) 間違いを知らせる