網走市議会 令和2年第2回定例会 2020年6月24日
種苗法について
2020年6月24日、網走市議会の一般質問で、松浦敏司議員が「種苗法について」質問し、農林水産部長 川合正人が答弁しました。
- 質問者
- 松浦敏司 議員
- 答弁者
- 農林水産部長 川合正人
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 松浦敏司
次に移ります。2項目め、種苗法についてであります。種苗法は2018年4月に廃止された種子法と一文字違いではありますが、全く異なる法律であります。そのため、種子法の復活を望む声もございます。安倍政権が今国会に提出した種苗法改正案には、農業者、市民からも異論が相次いでおります。それは、改正案には農と食の在り方を大きく変質させる危険があるためであります。そもそも安倍政権はどのような理由から種子法を廃止し、種苗法に変えてしまったのかを明らかにしていきたいというふうに思いますが、今国会では改正については見送ったようであります。今後も提出する構えであることから、この問題をあえて質問するものであります。まず最初に、種子法と種苗法の違いについてです。先ほど言いましたが、2018年4月に廃止になった種子法、これは1952年5月に制定されました。種子法は正式名称主要農産物種子法といい、米、麦、大豆などの主要農産物の種子の安定的生産と普及を促進するための法律であります。第二次世界大戦のさなか、日本は食料不足に見舞われ、農家は強制的に米を供出させられておりました。種子も政府の統制下となり、良質な種子を農家が手にすることができなかった。戦後人々の暮らしが落ち着き始めると種子用として認められた米、麦については統制から除外されました。国の補助金を投入して安定して農家に供給できるようにしようと種子法が誕生したと、このような歴史を持った法律であるというふうに認識しております。一方、種苗法は、植物の新品種開発者(育成権者)といいますが、知的所有権を保護する法律であります、と聞いております。そこで、種子法と種苗法の違いについてわかりやすく説明を求めます。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
種子法と種苗法の違いについてでありますが、種子法、正式には主要農作物種子法となりますが、こちらは昭和27年に制定をされたものでありまして、主要農作物を安定的に生産するための種子生産及び普及の促進を図ることから、優良な品種の決定、種子生産に必要な検収及び原原種の生産、種子生産圃場の指定、種子生産圃場と種子の審査を全国一律に義務づけた法律でありまして、その対象となる品目は稲、大麦、小麦、裸麦、大豆となっておりましたが、御案内のとおり廃止となったところであります。一方、種苗法につきましては、昭和22年に制定をされた法律でありますが、植物の新品種の保護に関する国際条約というのを踏まえまして、平成10年に全部改正をしたものでございまして、新たに開発された品種、こちら登録品種というふうに言われておりますが、その知的財産を守るため、品種の育成者の権利保護に力点が置かれた法律でありまして、全ての植物が対象となっているところであります。
質問 松浦敏司
いわゆる種苗法は、農業者を守るためのものではなく、種苗の権利を持つといいますか、育成権者を守るためだということであるというふうに理解しました。それほど大きな違いがあるということです。次に移りますが、種子の生産を実際に行うのは都道府県であると。日本の国土は南北に長く、土壌や気候など地域性も考慮に入れなければならないため、生産する品種の認定は各都道府県に委ねられておりました。北海道でも農業試験場などの研究で米、麦、豆類などの品種改良がなされ、今日の農業を支えてきたというふうに思います。戦後、営々と続けてきた種子法が安倍政権によって2016年の規制改革推進会議、農業ワーキンググループと未来投資会議の合同会議の席上で話し合われ、種子法廃止が提案されました。その理由は、民間の品種開発意欲を阻害しているというもので、わずか半年程度の間に、この種子法が廃止になったわけです。このようなことから、種子法廃止の目的は何かは明らかではないかと思いますが、見解を伺います。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
種子法につきましては、昭和27年の制定から60年以上経過しまして、種子の生産者の技術の向上などによりまして、種子の品質の安定化が図られたというところでございます。農業の戦略物資である種子につきましては、公的機関の開発品種が大層を占めていたということから、多様なニーズに対応するため、民間ノウハウも活用して品種開発を進める必要があるとして都道府県による種子開発、供給体制を生かしつつ、民間企業と連携により種子を開発、供給することが必要であるという理由から、平成30年4月に廃止されたものと認識をしております。
質問 松浦敏司
確かに事実はそういうことでありますが、裏にはこういった財界を中心とする、そういった中での規制改革推進会議というのが大きな力を果たしていたというふうに私は考えています。ですから、このことによって農業を守るためのものではないというふうに考えております。次に移ります。種苗法の改正についてです。種苗法とは、先ほども言っておりますけれども、新品種の保護のための品種登録に関する制度で、新品種を開発、育成した人の権利を守るための法律であります。特許や著作権などと同じように、開発者の許可なく品種を増殖させたり、販売することを禁じています。そこで、種子法が廃止になった直後に農業競争力強化支援法ができましたが、この法律はどのような内容の法律なのか伺います。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
農業競争力強化支援法についてでございますが、この法律は平成29年に制定されたものでありまして、農業が将来にわたり持続的に発展していくためには、農業の構造改革と併せて良質かつ低廉な農業資材の供給、及び農作物流通等の合理化が必要であり、農業資材事業や農作物流通、加工事業の事業再編等を促進するための措置を講ずることによりまして、農業者による農業の競争力の強化の取組を支援し、農業や農業生産関連事業の健全な発展に寄与することを目的として制定されたものと認識をしております。
質問 松浦敏司
そういうふうにしか多分答弁できないだろうというふうには思います。次に移りますが、つまり国や都道府県が持つ種の私権というのは外国企業を含む民間企業に渡さないという法律で、種を共有財産として守る規定はないのであります。さらに私たちが納めた税金で作った優良な種が、もうけ優先の企業に渡り、品種登録されてしまうと、農家は自家増殖ができずに、毎年種や苗を高価で購入しなければならない。ゲノム編集作物を開発する企業が種を独占すればどうなるか。農家は表示義務がないゲノム編集された種を知らずに買わされ、その作物が私たちの食卓に乗るおそれがある。政府の研究会は最終的に全ての農家増殖を禁止すると言っております。異常気象で農作物が被害を受けていますけれども、水害や暑さに強いなど、種の多様性が私たちの食料を守っております。アレルギーの人が食べられる米があるのも多様性があるからです。多様な種を育てる農家を守らなければならないと私は強く思うものであります。次に移ります。農業をどう守るかは全国民の課題であるというふうに思います。生命に特許を認めることに反対する動きは世界中にあります。1922年、国連環境計画(UNEP)の委員会で、各国が自国の天然資源の主権的権利を持つことを確認した条約を採択し、翌年発効しました。2001年には、国連食糧農業機関(FAO)が、食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約を採択。多様な種を守ってきた農家の権利とその権利を守る政府の義務を定め、さらに、種子に関する政策に農家は参加する権利があり、政府はそれを保障しなければならないとしております。日本政府も2013年に批准していますが、種子法廃止のとき、当事者である農家からは意見を一切聞きませんでした。日本では農民の権利が守られず、多国籍企業の力が強まっています。食は命の源泉です。食の安全供給と多様性を懸命に守るのかは、全国民の課題と据える必要があると思いますが、見解を伺います。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
食の安全供給に対する今後の展開についてでございますが、網走市を含め北海道は広大な耕地面積を生かして、稲や麦、豆類などの作物により輪作体系を構築しながら、大規模で生産性の高い農業を展開し、我が国最大の食料供給地域として、その役割を果たしているというふうに思っております。種子法の廃止後、道としては主要農作物等の種子育成の重要性を考え、農作物の将来にわたっての安定的な供給、消費者ニーズに対応した優れた品種の育成、優良な種子の安定的な生産が不可欠であり、基幹産業である農業を持続的に発展させることができるよう、平成31年4月に北海道主要農作物等の種子の生産に関する協定を制定したところであります。この条例の制定によりまして、道内においては北海道品種育成者、種子生産者及び関係機関が相互に連携をして、主要農作物等の生産、そして農作物の安定供給、品質の確保が図られているというふうに認識をしております。
質問 松浦敏司
そういう意味で、北海道の果たす役割も非常に重要だと思います。さらに、今回は自民党がこの種苗法の改正を取りあえずは断念しましたけれども、その動きは全く諦めていないわけですから、その意味でも北海道の頑張りが必要だと。ただ、鈴木知事は相当安倍政権に近い人ですから、一抹の不安を私自身は持っているところです。次に移ります。食料自給率についてです。改定食料・農業・農村基本法に基づく政府の食料・農業・農村基本計画は、情勢の変化などを踏まえ、5年に一度改定されることとなっております。今年はその改定の年に当たり、政府は3月31日、新たな基本計画を閣議決定しました。計画の焦点は、37%と過去最低を記録した食料自給率をどのように設定するか。今回、10年後の2030年に45%が目標に設定されました。5年前の基本計画でも、食料自給率の目標は45%でした。しかし、実効性がある農業政策がなされなかったため、自給率は下がり続け、ついに2018年には37%にまでなってしまった。今回の目標値は、自給率低下の原因究明や政策の検証が全くないままに設定されました。そのため、食料自給率低下の原因として指摘されているメガ食料輸入自由化を是正するどころか、新たな国際環境の下でメガ食料輸入自由化を前提とした基本計画となっています。さらに政府は、農地面積は現在の439.7万ヘクタールから10年後には414万ヘクタールに減少、農業就業者は現在の208万人から10年後には140万人と、3割減少する見通しを立てております。日本農業を支える農地と農業就農者の縮小を食い止める施策を打ち出しておりません。このように政府は、農地面積も農業就業者も減少目標を設定しているのに、どうやってこの食料自給率を上げるのか、目標を立てるのかと、ここが私は理解ができないところです。安倍政権はなぜ45%という目標を立てられたのか。一つには、主要品目の生産努力目標では、食糧用米、小麦、大豆など、一様に大幅な増産を計画しているようであります。メガ輸入自由化の下で、このような増産目標の設定は全く現実的ではないと言われています。まさに絵に描いた餅として言いようがないというふうに思いますが、政府の自給率45%目標設定についての原課としての見解を伺います。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
政府の食料自給率の目標設定についての見解というところでございますが、国は食料自給率の設定に当たりまして、新たな食料・農業・農村基本計画策定時におきまして、食料自給率向上に向け、重点的に取り組むべき事項といたしまして、消費者と食と農のつながりの深化、食品産業との連携を図るため、食育や国産農産物の消費拡大、地産地消、食品ロスの削減、国内外の需要の変化に対応した計画的な生産と供給、需要に応じた生産のための生産基盤の強化が必要であるというふうにしております。こうした事項に重点的に取り組むことによりまして、食料消費の見通しを考慮して、食料自給率の目標を2030年にカロリーベースで45%、生産額ベースで75%に設定をしたというふうに認識をしております。
質問 松浦敏司
それはそれとして、まず安倍政権の食料自給率の45%の目標というのは、やはり具体性に乏しいというふうに思います。この北海道においては、これから幾ら増産の目標を立てたとしても、自給率45%を引上げるための大幅な生産増というのはなかなか見通せないというふうに、私は素人ですけれども、そんなふうな印象を持っています。やはり自給率が下がってきたというのは、本州で相当休耕地があります。視察など行ってもわかりますけれども、とりわけ、中山間地の休耕というのは大変な面積になっているというふうに思います。この部分を放置した状態のままで、幾ら口で45%というふうに言っても、安倍さんのまた口だけかというふうに私はついつい思ってしまうと。次に移ります。新型コロナウイルスが世界中を襲い、世界中に感染者が出て死亡者も多数おります。日本国内においても、いまだに収束したとは言い切れない。これから第2波、3波が来るだろう、いつ来るかはわからない状況にある。新型コロナによって人類の身勝手な暮らし方、資本主義社会の下で、とりわけ新自由主義という市場原理主義の考え方で、弱いものは負けて強いものが勝つ、もうかればいい、勝ち組という考え方で地球全体のことを考えずに進んできた。その結果、自然破壊が急速に進み、異常気象と言われる災害が地球規模で毎年発生しています。感染症もサーズ、マーズ、新型インフルエンザといった病気の発生と、このたびの新型コロナウイルスが世界を襲っています。今、日本で何が起きているか。建設関係では、コロナの影響で建設資材が手元に届かないため、家が建たないなどをはじめ、あらゆる分野で経済が回らない状況が網走でも起きているというふうにも考えています。新型コロナで、これまでと同じ暮らし方は通じなくなっているし、世界の各国がこれまでのような暮らし方では国が成り立たないことに気づいているのではないかと思います。自分の国で生産できるものは自分の国でという考えで、農業は55年前は自給率が70%近い状況であったことからも、日本には自給率向上の可能性は十分あるというふうに私は考えます。国が本気になって取組をしないで、種苗法のさらなる改定をすれば日本の農業に未来はないというふうに言わなければなりません。網走市は農業、漁港と観光が主要産業として位置づけられていることから、現在の状況を正面から受け止めて、努力する必要があると考えますが、見解を伺います。
答弁 農林水産部長 川合正人(農林水産部長は2023年12月まで)
今回の新型コロナウイルス禍によりまして、様々な課題が見えてきたというふうに思っております。国内での供給に影響はなかったものの、一部の国での農作物の輸出制限の報道もありまして、食料の安全保障上からも食料自給率への関心が高まり、その大切さが再認識されたのではないかというふうにも考えております。政府では今回の新型コロナウイルスを契機に、現時点で穀物などの自給には影響はないが、どのような状況下においても国民に食料を安定供給することが国の責務であり、コロナの発生を契機に輸入農畜産物から国産への切替えや不足時にも対応できる生産、供給余力の向上などにもしっかりと取り組んでいくというふうに考え方を示しております。当市といたしましては、これまでも国の補助事業を活用するなどしまして、競争力強化とコスト削減に取り組み、麦類をはじめとした農業生産振興など、一次産業の振興に力を入れてきたところであります。今後も引き続き、食料自給率の向上はもとより、市の基幹産業であります一次産業の振興をさらに進めていきたいというふうに考えております。
質問 松浦敏司
いずれにしても、私は今回のコロナの関係で世界の人々が危機感を持っているということで、今現在37%しか自給率がないという中で、このコロナウイルス第2波、第3波が世界中で起きたらどうなるかというと、このままで行くと、食料は日本に入ってこない。つまり、自分の国の国民を食べさせるためには輸出どころではない、こういう国があちこちで生まれる可能性は十分あると、そんなことが起きたときに、今の日本の国内のこの37%の生産で国民が食っていけるかなどというと、全く食えない。道民は何とかなります。しかし、本州などでは食べ物がなくなって、生きていくことができなくなるということが、もう実は今目の前の課題となっているということに、しっかりと私たちは気づくべきだというふうに思います。その意味で、ぜひ網走市としても国に対して、やはり食料自給率45%を目指すのであれば、それにふさわしい国としての取組をしっかり求めていくという必要があるというふうに、その辺は原課としても取り組んでいってほしいというふうに思います。次に移りますが……。