浦幌町議会 平成25年第2回定例会 2013年6月14日
アイヌモシリの歴史と現状について
2013年6月14日、浦幌町議会の一般質問で、差間正樹議員が「アイヌモシリの歴史と現状について」質問し、町長 水澤、保健福祉課長 熊谷、まちづくり政策課長 菅原、教育次長 山本が答弁しました。
- 質問者
- 差間正樹 議員
- 答弁者
- 町長 水澤、保健福祉課長 熊谷、まちづくり政策課長 菅原、教育次長 山本
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 差間正樹
それでは、通告に従い、質問いたします。アイヌモシリの歴史と現状について。この北海道は、明治時代まではアイヌモシリ、人間の静かな大地と呼ばれていました。明治以降極めて急激的に、しかも一方的な移民政策がこのアイヌモシリに対して行われ、その間日本政府はただの一度もアイヌウタリと領土の賃貸、売買などの契約を結んではおりません。そのことを称してアイヌウタリ初の参議院議員は生前、我々はこのアイヌモシリを貸した覚えも売った覚えもないと言っておりました。世界では、2007年に先住民族の権利に関する国際連合宣言が国連総会で採択され、日本では2008年に衆参両院で全会一致でアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が採択され、このことを受けて政府も内閣官房を通じてアイヌを先住民族と認めております。この国連宣言の意味するもの、それに基づく土地、資源、文化、自決権等々に対するアイヌウタリの権利を今各地のアイヌ同胞が声を出しております。私も地元に住むアイヌとして、常々アイヌ協会浦幌支部の総会や先住民族の権利を考える各地の集会などで発信しております。こういったアイヌモシリの歴史的な経過、現在私たちアイヌウタリの置かれた状況に対して浦幌町も地域内に先住民族たるアイヌウタリを抱えた自治体として、広報紙などを通じて地域住民に説明していくことが必要と思いますが、このことについて町長はどのように考えておりますか。
答弁 町長 水澤(町長は2023年3月まで)
差間議員の1項目めのご質問にお答えします。アイヌモシリの歴史と現状についてでありますが、本町には約8,000年前から人間が住んでいたと言われております。アイヌの人たちの文化がいつごろから始まったのかははっきりわかっておりませんが、13世紀ころではないかと言われております。アイヌの人たちは、和人が入る以前から自然を大切にし、自然とともに生活してきました。今は北海道と言われるこの島をアイヌの人々はアイヌモシリ、人間が静かに住む大地と呼んでおりましたが、北海道に和人が渡ってきたのは約700年前と言われており、その当時和人は北海道を蝦夷地と呼んでおりました。明治時代以降になると、アイヌの人たちの生活は大きく変わっていくことになりますが、1997年7月にアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律が制定され、また2008年6月にはアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が衆参両院本会議で全員一致で採択され、これを受け、政府は内閣官房長官談話としてアイヌ民族を先住民族とすることを表明し、我が国が近代化する過程において法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について政府として改めてこれを厳粛に受けとめ、先住民族の権利に関する国際連合宣言における関連条項を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む所存であるとの表現にとどまっており、アイヌウタリの権利等につきましては地方自治体としては内閣官房長官談話にある政府見解以上の判断を示すことができないため、質問にあります広報紙等で地域住民に説明することはできないものと考えているところであります。以上、差間議員の1項目めの答弁といたします。
質問 差間正樹
さすがに国が動き出す前に国連先住民の権利宣言の内容に踏み込んで土地の権利、資源に対する権利、ほかの諸権利を認めてほしいと言っているわけではありません。私は、アイヌモシリ、そしてアイヌウタリに対してこの歴史的経過、現状に対して町自身がもう少し積極的に発信するつもりがないか、こういったことについて重ねて質問いたします。
答弁 保健福祉課長 熊谷(保健福祉課長は2018年3月まで)
ただいま差間議員の質問でございますけれども、権利の問題ではないというような、歴史的な問題にもうちょっと踏み込んでいただきたいというような質問だったかと思います。アイヌの人々におかれましては、北海道の先住民ということで国が認識していると。浦幌町におかれましてもアイヌの文化が過去から根づいているというような状態でございます。私たちは、このアイヌモシリという長い歴史の中で培ってきたアイヌというような文化、それから伝統、そのようなものにつきましては、町民の方々に情報発信できるというような形で考えております。
質問 差間正樹
大変ありがとうございます。視点を変えてもう一度質問いたします。去年の7月にまちづくり町民アンケート調査が実施され、町の広報紙において同じく11月号から調査結果を報告しております。調査対象は、町内18歳以上の男女2,000名、無作為抽出ということで行われ、有効回収数644人、有効回収率32.2%とのことです。この中で、アイヌ住民福祉対策に関してですが、今後の取り組みの重要度、この項目の中で重視している、やや重視している、こういった答えが合わせて14.1%、重視しているが4.3%、やや重視しているが9.8%、こうなっております。そうすると、これは曲解、曲げて解釈しているのかもしれませんが、そうではない、この項目に踏まれていない、実際にアンケートの中身を見ているとどちらともいえない、余り重視していない、重視していない、無回答、この方たちを含めると85.9%の方が重視しているとは言えない、こういう様子がうかがわれてきますが、この点についてはどうでしょうか。私の理解は間違っているのかどうかお答えいただきたいと思います。
答弁 保健福祉課長 熊谷(保健福祉課長は2018年3月まで)
ただいま住民アンケート中で、アイヌ住民福祉対策についてのいわゆる満足度というのが十分ではないというようなご質問だったかと思います。福祉対策といたしましては、浦幌町はアイヌ相談員を現在置いておりまして、アイヌの人々に関する相談の窓口対応をしていただいているというような形でのアイヌ相談員の設置、それから厚内の生活福祉館の設置、それから住宅貸付金、また学資の奨学金というような形の支援を行っておるところでございます。今住民のアンケートの結果、満足度がなかったというようなものでございますので、さらにどのような施策が今後必要かというところを調査研究して、このアイヌ福祉対策に対応していきたいと考えております。
質問 差間正樹
大変申しわけありません。私が言ったのは、取り組みの重要度について言及いたしました。ですから、このアンケート調査の中の満足度調査については、私は一切言及しておりません。今後の政策の重要度について質問いたしました。わかりますでしょうか。もう一度お願いいたします。
答弁 保健福祉課長 熊谷(保健福祉課長は2018年3月まで)
ただいま重要度というような内容ですね。アンケートの中身の重要度ということでございましょうか。
質問 差間正樹
これは、アンケートの中身で今後の取り組みの重要度、実はこのアンケート調査というのは現状の満足度調査と今後の取り組みの重要度、この2点について調査しております。私が言及したのは、満足度については質問いたしておりません。今後の取り組みの重要度ということに対して、まちづくり政策課でこれやっていただいていると思いますので、どうでしょうか。
答弁 まちづくり政策課長 菅原(まちづくり政策課長は2015年3月まで)
ただいま差間議員のご質問でございますけれども、町で実施しておりますまちづくり計画の町民アンケート調査で、確かに満足度調査の中にアイヌ住民福祉対策という項目がございまして、ただいま議員がおっしゃったとおり重要視している、やや重要視しているという数値が14.1%、残りがそしたら逆を返せば余り興味を持っていないのか、必要ないと言っているのか、その辺は明確にはなっておりませんけれども、重要視しているという視点で見ますと15%弱ぐらいと数字的には少なく感じます。ただ、そのアンケート調査の結果の数字でございますので、必ずしもそれで重要視していないから事業等を少なく見たりとか、差別をして見ているということはないと思いますので、その辺につきましてもどちらかというとわからないという方のほうが多いのではないかなというふうに私は感じております。
質問 差間正樹
大変ありがとうございます。まさしくそのとおりです。私が言いたいのは、このアンケートの結果に出てくるものは、私たちのことはわからない、こういった方が多いのではないか、このことを私は今この場で伝えたいのです。今後のアイヌ住民福祉対策について余り重要視していない、言いかえれば余りわからない、アイヌが地域に住んでいることに対してもしかしたらよくわからないと、こういった感情が町民の中にあるのではないか、この思いからこの質問を私はいたしました。まさに今の課長の指摘が言い得て妙であります。そのとおりであると私は思います。やはりこの問題については、私の口から啓発、こんな言葉を申し上げましたら偉そうな響きがありますが、私たちの歴史的経過、現状、こういったことについて私たちアイヌウタリも、私たちからも積極的に発信していきたい、この思いでいっぱいでございます。もう一点、こういった住民の中に理解を求める、こういったことに対して教育の面から質問いたします。以前この場でも質問いたしましたが、「アイヌ民族:歴史と現在」、こういった副読本が出ております。この歴史と現在についての理解については、いろいろな観点からいろいろな意見が出されております。それでもあえて北海道教育委員会、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、我々アイヌ協会、積極的な議論の中でやはり「アイヌ民族:歴史と現在」、この副読本を使っていこう、使ってもらっていこう、そうやって現在に至っております。この問題に関しては、興味ある人にしかわからない面も多々あります。それをあえて私がこの場で申し上げますのは、この副読本、この活用法についてアイヌ協会浦幌支部、つまり私たちですけれども、こちらのほうから何かサジェスチョン、私たちの浦幌町内に行われている教育に対して何か申し上げることができれば、そういった思いがあります。そこで、この副読本の全道に渡っている、関係機関には全国にも回っているのですけれども、この回っているということはもちろん私も押さえております。その点については、こちらでも答弁いただいております。今申し上げるのは、私たちからこの活用について何か協力できるそういったことはないか、またはこの活用について教育の中でどういったふうに活用していくつもりなのか、この点について質問いたします。
答弁 教育次長 山本(教育次長は2015年3月まで)
ただいまのご質問ですけれども、先般の議会の中でもこういったご質問受けまして、現状についてご説明させていただいております。この文化振興会から出ております副読本につきましては、小学校の4年生と、それから中学校の2年生に配付されまして、先般もご説明申し上げましたけれども、町がつくっております副読本、これらは3年生、4年生に配付しておりますけれども、これらの副読本とあわせまして、それぞれの学校の中で歴史とか文化、それから社会科の授業の中で活用させていただいているところでございます。以上でございます。
質問 差間正樹
くどくどは申しません。私たちは、私たちのことをもっと知ってほしい。私たちがどういう歴史でここにいるのか、私たちが何を考えてここにいるのか、これはもう子どものときからの教育が大きく左右してくると思います。ですから、そのことに関して我々と連絡をとりながら、この副読本の活用について今後ともやっていってほしい、この要望をいたしましてこの部分については終わらせていただきます。次に、私たちは、今までこの地域に住みながら、刺しゅう、木彫り、私たちの先祖がどんな食事をしていたか、それについて確認する、この町内でいろいろ活動してきました。また、北海道大学、札幌医大などに収蔵されているアイヌ人骨の慰霊、北海道各地で行われているカムイノミ、イチャルパへの参加、各地のアイヌウタリとも交流を深めております。この十勝においては、イオル、伝統的生活空間の再生事業にも十勝全体でかかわってきております。自治体としては、帯広市、上士幌町など各自治体の協力を得ながら進めようとしております。浦幌支部としてもこのように浦幌町内の十勝南東部、十勝川下流域に住んでいたアイヌとして、今後ともいろいろな活動をしてまいります。浦幌町に申し上げたいのは、私たちアイヌウタリはこの地に住んできて、先住民族として今後も各種活動をしていくとき、町の協力、町民の理解が絶対に必要ということです。そのために町にこの点に関して何とか協力いただけないか、町の協力と町民の理解ということに対して町長はどう考えるか、この点をお伺いいたします。
答弁 町長 水澤(町長は2023年3月まで)
議員が言われるように今アイヌの民族の皆さんの歴史の保存、また諸活動についていろいろ行われているということに対しては、本当に敬意を申し上げたいというふうに思っているところであります。町民の皆さんがどういうふうに認識しているかということについては、先ほどの町民アンケートの中で認識が足りないというご指摘もあったわけでありますけれども、やはりこれは町民の皆様の意見上のそれをそのままあらわしている数字だろうというふうに思います。そういう面では、アイヌの皆さんがみずからの歴史について活動を強めていくということについては、大変重要なことだろうなというふうに思っています。ただ、そこで町としてどのように協力していくのかという問題でありますけれども、私どもとしてはアイヌ協会の皆さんとも連絡をとりながら今現在進めている諸活動と補助的なものについては、これからも継続して行ってまいりたいというふうに考えておりますし、今後アイヌ協会の皆さんがどのような町に対する協力要請があるのかということはこれから受けとめてまいりたいというふうに思っております。ただ、いずれにしましてもそれぞれの皆さんの活動の中で、これはアイヌの皆さんだけではなく、町が補助するというのは限定がされるというふうに考えておりますので、この辺については今後の経緯を見ながら考えてまいりたいというふうに思っているところであります。いずれにしましても、皆さんがそれぞれの立場でそれぞれの町民の皆さんへ啓蒙するというか、啓発するというか、そのことについては自主的な活動として今後も続けていただければいいなというふうに思っているところであります。
質問 差間正樹
1項目めについての質問を終わります。