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新得町議会 令和8年第2回定例会 2026年6月17日

トムラウシ地区の地熱開発について

2026年6月17日、新得町議会の一般質問で、中村雄太議員が「トムラウシ地区の地熱開発について」質問し、町長 湯浅真希が答弁しました。

質問者
中村雄太 議員
答弁者
町長 湯浅真希

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

件名は町のサイトの一般質問の一覧の表記です。

質問 中村雄太

通告に従いまして、一般質問させていただきます。地熱の件です。先ほどの答弁でもありましたが、重複するところが多々ありますが、あらためて質問させていただきます。1.トムラウシ地区の地熱開発について近年、わが国ではエネルギー安全保障の観点から、国産エネルギーの確保が重要な政策課題となっております。化石燃料の多くを海外に依存する日本において、再生可能エネルギーの導入拡大は不可欠であり、さらにAI技術の普及やデータセンター需要の増加により、今後も電力需要の拡大が見込まれております。こうした中、新得町においてもトムラウシ地区の国立公園内を対象とした地熱開発が国主導で検討されております。既に地表調査が終了し、今後は掘削調査が予定されていると承知しております。地熱発電は天候に左右されにくく、安定したベースロード電源として北海道全体の電力を供給する可能性があります。また、開発が実現した場合には雇用創出や関連事業の発展、固定資産税などの財政面においても効果も期待されるところです。一方で、開発予定地はわが国を代表する自然環境を有する国立公園内に位置しており、その価値は経済的利益のみで測れるものではありません。希少な自然環境や景観への影響、生態系への負荷、さらには新得町が長年培ってきた自然豊かなまちづくりの理念との整合性についても慎重な議論が必要であると考えております。また、この問題は開発予定地周辺であるトムラウシ地区の住民だけの問題ではなく、新得町の将来像や町のブランド価値に関わる重要な課題であり、町民全体で考えるべきテーマでもあります。しかし、現状では、この問題はトムラウシ地区の課題として受け止められている側面が強く、町民全体で議論されているとは言い難い状況であります。一部地域の問題として扱うのではなく、町民全体で共有し議論すべきテーマであると、私は考えております。そこで、町長にお伺いいたします。第1に、町として考える地熱開発推進のメリットについて、地熱開発によって期待される地域経済への効果、財政面への影響、エネルギー政策上の意義について、町はどのように評価しているのか。第2に、トムラウシ地区の国立公園内で開発を進めることによるデメリットについて、自然環境や景観への影響、観光資源としての価値、さらには住民感情への影響について、町はどのような課題を認識しているのか、お伺いいたします。最後に、これらのメリットとデメリットを総合的に踏まえた上で、トムラウシ地区における地熱開発に対する町の今後のスタンスについて、町長の見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

答弁 町長 湯浅真希

中村議員のご質問にお答えいたします。本町における地熱発電開発への取り組みは、一部の地域や事業者だけの問題ではなく、本町の将来の在り方を見据え、町民全体で共有し議論すべき極めて重要なテーマであると、私も全く同感でございます。第1に、地熱開発推進に期待されるメリットについてであります。本町の豊かな自然資本を生かした地熱開発は、国のカーボンニュートラルへの貢献にとどまらず、本町が目指す持続可能で環境に配慮したゼロカーボンシティの実現に直結します。そのため、エネルギー政策上の意義は大きいと考えておりますが、調査段階の現時点において、町のエネルギー施策の中で具体的位置づけを行っているものではございません。また、地域経済への効果、財政面への影響は先ほどの福原議員へお答えしたとおりであります。第2に、トムラウシ地区の国立公園内で開発を進めることによるデメリットと課題についてです。対象となる周辺地域は、大雪山国立公園の自然公園内であり、かけがえのない財産であるため、慎重に評価すべきデメリットや超えるべき課題があると認識しております。自然環境や景観、地域独自の観光資源としての価値を毀損(きそん)するものではないかという懸念は重く受け止めるべき点でございます。さらに地域の生活環境への懸念、不安など、切実な課題が提示されていると認識しております。最後に、これらを踏まえた地熱開発に対する町の今後のスタンスでありますが、先ほどの福原議員への答弁でも申し上げましたとおり、本事業は現在、開発が決定したわけではなく、事業として成り立つかを確かめる調査段階にあります。したがって、現在、町としての今後のスタンスは、メリットの追求とデメリットの排除をてんびんにかけ、対話と科学的データに基づいて見極めていくというものでございます。国立公園内という環境規制のもと、今後の調査で得られる客観的なデータや、環境影響評価の結果を注視してまいります。そして何より、一部の議論にとどめることなく、事業者の皆さま、トムラウシ地区の皆さま、さらには幅広い一般町民の皆さまに対し、情報公開を徹底してまいります。メリットを鑑み、おおいに期待を寄せつつも、デメリットの双方を共有しながら、国や関係機関の皆さまと連携を密にし、町の将来にとって最善の選択となるよう、丁寧な合意形成を図りつつ、誠実に向き合ってまいりたいと考えております。以上です。[湯浅真希町長 降壇]

質問 中村雄太

ありがとうございます。私は、本件については自然保護と住民合意形成の観点から、極めて慎重に対応すべき課題であると考えております。まず、自然保護の観点ですが、地熱発電は再生可能エネルギーとして期待されて、非常にエネルギー自給率の向上や脱酸素への貢献など、一定の意義があることは理解しております。その一方で、開発予定地が国立公園内であるという事実の重みを私たちは十分に認識していかなければならないと思っております。経済効果に関しては、数年単位で成果を検証することができます。しかし、自然環境への影響は、そういった短い単位ではありません。生態系や景観への影響は数十年、場合によっては数百年という長い年月をかけて現れることがあります。また、自然環境は、気候や植生、動物の関係性、水循環など多くの要素が複雑に関係して成り立っているため、人間活動との因果関係を明確に証明することが難しいという特徴があります。不可逆性のリスク、つまり一度壊れたものはもう同じ形には戻らないといったことも考えなければなりません。地熱開発には微妙な温度変化による影響など、明確に見えるまで長い時間を要する場合があるということを認識しておく必要があると思います。だからこそ国立公園は日本を代表する自然環境を守るために設けられた制度であり、人間活動が自然へ介入する際の1つの境界線であると私は考えております。また、今回の問題は単に発電事業の是非だけではありません。新得町が国立公園内での開発を認めるという判断をした場合、それは今後の国立公園行政や自然保護に対する1つの前例となり得ます。新得町だけの問題ではなく、全国の自然公園の在り方にも関わる重要な判断だと私は考えております。次に合意形成でありますが、トムラウシ地域では今回が初めて地熱開発の議論が行われているわけではありません。過去にも地熱開発が検討された経緯がありましたが、地域住民の理解や合意形成が十分に得られないなど、結果としては事業には至りませんでした。私はこの事実を重く受け止めるべきだと考えております。地域住民の皆さんは、単なる利害関係者ではなく、その地域で暮らし、自然の環境と共に生活してきた当事者です。住民は日々の仕事や生活の中で説明会へ参加し、資料を読み、自分たちの意思の表明をし続けなければなりません。過去に理解が得られなかった案件が繰り返し持ち上がるのであれば、住民は長期間にわたり不安や負担を抱え続けることになります。そこで、お伺いいたします。町は過去に地域の理解、合意形成が十分に得られず事業に至らなかった経緯について、現在はどのように認識されているのでしょうか。また、その際に住民から示された不安や懸念については、現在においても尊重されるべきものと考えられているのでしょうか。また、町としては何をもって、今後、合意形成が図られたと判断するのか、その考え方についてもお聞かせください。

答弁 町長 湯浅真希

まず、過去に地域の理解や合意形成が十分に得られずに事業化に至らなかった経緯についてでありますけれども、町としては、その経緯というものは重く受け止めております。議員ご質問の前提について、1点整理させていただきたいんですけれども、過去、2014年なんですけれども、トムラウシ地域で議論された地熱開発の計画と、今回、調査が進められている計画とでは、開発予定地そのものが異なるものでございます。今回の調査地点は、原生自然環境保全地域から相応の距離を置いた場所であり、また、十勝自然保護協会等が森林再生プロジェクトとして植林を行っている区域とも重なっていないということが確認されております。加えて、事業の主体や進め方にも違いがございます。過去の計画は民間事業者が開発を計画したものでございましたけれども、今回は国が主導し、調査段階から進めているものでございます。国立公園内であるということに変わりはございませんけれども、環境省は国立公園内における地熱開発について、自然環境への影響を抑えた優良事例であれば、開発を認める方針を示しており、全国でもそういった事例が重ねられてきていると伺っております。このように、立地条件、事業主体、進め方のいずれにおいても、過去の計画と今回の計画というものを同列に扱うというのは難しいのかなというふうに考えております。ただ一方で、こうした違いが住民の皆さまに十分に伝わっておらず、過去のイメージのまま、不安や懸念を抱かれている面があることも認識しております。これは地熱発電という技術自体について、最新の知見や全国の先進地における取り組み事例というものがまだ広く共有されていないことも一因であろうというふうに考えております。したがって、町といたしましては、過去に住民から示された不安や懸念を尊重しつつも、これを今回の計画に単純に当てはめるのではなくて、まずは過去の計画との違いというものを丁寧に説明して、地熱発電に関する最新の知識や、全国の先進事例というものを、町民の皆さまと広く共有しながら検討を進めていくことが何より重要であるというふうに考えております。また、2014年にこのトムラウシの町内会の皆さまからも、中止を求める署名という趣旨のものを受け止めております。こういったところに書かれているものというものも、私自身、目を通しましたし、たいへん重く受け止めております。合意形成の判断基準でございますけれども、こうした正確な情報共有というものを前提とした上で、説明会や意見交換の場を重ねて、町民の皆さまの理解の深まりや意見の動向を踏まえながら総合的に判断してまいりたいと考えております。一方的な期限であったり、形式をもって合意形成と判断するのではなく、丁寧な対話の積み重ねというものを重視してまいりたいと考えております。以上です。

質問 中村雄太

ありがとうございます。ぜひとも、そういったデータ、皆さまに提示していただければと思います。最後の質問でございます。合意形成のタイミングについてです。地熱開発は調査から事業までの判断、環境影響評価、さらには発電所建設に至るまで長期にわたる事業です。これは住民にとっては最終的な判断の時期や基準が見えずに、不安が長期化することになりかねません。前回の事業者が変わった、そういったものも引き続き、ずっと不安や大きな懸念を抱いたままとなっております。町としては、今後どのような段階によって、事業の是非について最終的な判断を行う考えでしょうか。また、その判断を行う前に、どの時点で住民の合意形成の確認を行いますか。また、住民から賛否両論が示された場合、町は何をもって合意形成が図られたと判断するのでしょうか。それは説明会の回数だったり、その回答またはパブリックコメントの結果、または住民の総意といったものに基づくものなのか、その基準というのをお聞かせください。併せて、町議会の関与についてもお伺いしたいんですけれども、本件は新得町の将来像や自然環境に関わる極めて重要な政策判断であります。町議会は町民の代表機関でありますので、今後の意思決定過程において、議会はどのような段階で関与し、どのような形で意思決定を表明できるのか。単に説明報告を受けるだけにとどまるのか、それとも最終的に議会の意思を確認する機会を設けていただけるのか、そういった考え、町長の見解をお伺いいたしたいと思います。

答弁 町長 湯浅真希

合意形成、確かに難しい問題ではあるなというふうに思っております。この地熱発電について私自身もかなり悩みましたし、今も悩んでいるところであります。でも、そもそも、なぜこの地熱発電が日本において推進されているのかという原点ですよね。これはいろんな理由があるんですけれども、一番重要なのは地球温暖化、この速度を緩めていく、この対策をするために二酸化炭素を減らそうということではないのかなというふうに思います。地球温暖化というものが早まった場合、人間だけではなく、いろんなところに多大な影響が出るわけです。それを少しでも減らそうというところで、二酸化炭素の抑制というところが進められているというふうに認識しております。何もせずにこの地球温暖化というものが早まった場合に、大雪山国立公園は今と同じ姿であるんでしょうか。生態系に全く影響がないんでしょうか。そういったところも、私は検討しなければならないのかなというふうに考えています。反対というところのお考えというものも、十分によく分かっております。ただ、それぞれの考えというものはあって当然だというふうに思っております。お互いの立場というものをやはりリスペクトをした上で、意見は違っても、新得を思う気持ちというものは同じであるというふうに私は信じていますので、その原点というものを大切にしながら、先ほども申し上げましたけれども、自然を守りながら新得の未来を守っていく、そういった道というものを探していきたいなというふうに思っております。そのためには合意形成というところなんですけれども、やはり町としては、対話と国からいただける情報の透明性というものを重視してまいりたい。そして丁寧に説明を重ねながら、そして対話を重ねながら、理解を深めていくというところになると思います。ほかの事例では、協議会の人数の何人以上が賛成したら合意形成というような形もあったようですけれども、本町としても、その辺はそういった形を取るのではなくて、どういう合意形成が皆さまにとって納得のいくものになるのか、そういったところも含めて、国などとも一緒にまた検討してまいりたいなというふうに考えております。最後、議会のことをおっしゃっていたかと思うんですが、これは町側から言うべきものではなくて、ぜひ議会の中で議論していただいて、議会のほうからご提案いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。[中村雄太議員 降壇]

出典:新得町議会 令和8年第2回定例会 2026年6月17日 議事録 PDF(45ページ) 間違いを知らせる