新得町議会 平成25年第3回定例会 2013年9月13日
トムラウシ地区における地熱資源調査に慎重な対応を
2013年9月13日、新得町議会の一般質問で、青柳茂行議員が「トムラウシ地区における地熱資源調査に慎重な対応を」について質問し、町長 浜田正利が答弁しました。
- 質問者
- 青柳茂行 議員
- 答弁者
- 町長 浜田正利
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は会議録の目次の表記です。
質問 青柳茂行
まずはじめに、このたびの町長選挙で浜田町長が当選されたことに対しまして、おめでとうございますと申し上げさせていただきます。その上で、3期目の活躍を期待しまして、選挙後第1回目の質問をさせていただきます。トムラウシ地区における地熱資源調査に慎重な対応をと題して、質問させていただきます。1.トムラウシ地区における地熱資源調査に慎重な対応を2011年3月11日の福島第一原発事故以来、再生エネルギーの問題が大きく取り上げられるようになってきました。特に地熱開発においては、平成24年3月に環境省自然環境局長通知で一部規制緩和が行われたことにより、国立・国定公園内における第2種特別地域および第3種特別地域の地熱開発については、条件つきで開発の可能性が出てきました。こうした条件を背景に、全国的に地熱開発が進められているということですが、ここにきて電源開発株式会社が、トムラウシ地区における地熱開発資源調査の初期調査を進めようとしています。調査の項目は、トムラウシ地域の地熱資源の存在の確認となっておりますが、地熱資源量(発電出力規模)、生産(地熱貯留槽から生産)、還元(熱水を地下深部まで戻す)の関係、周辺地域への影響の有無の推測、課題・問題の抽出とその対策の検討となっています。地熱発電とは、火力発電と原理的に同様の仕組みとなっており、地中から噴出する天然の蒸気を利用し、電気をつくるということですが、温室効果 CO 2 をほとんど排出しない、地球温暖化対策として有効な再生可能エネルギーとも言われています。しかし、設置場所によっては、温泉が枯渇するのではという懸念から、地元から反対の声が上がっているところもあります。トムラウシ温泉は十勝の秘湯として、新得町の観光の目玉として欠かせない存在であります。万一、温泉が枯渇あるいは泉温低下という事態になれば、経済的にも本町にとってたいへんな損失となるのは明らかであります。初期調査の段階とはいえ、各地のデータ、情報収集を行うなど、慎重に事を運ぶ必要があるのではと考えますが、町長の所見を伺います。
答弁 町長 浜田正利(町長は2025年6月まで)
青柳議員のご質問にお答えいたします。日本における地熱開発は、昭和47年3月の環境庁自然保護・通商産業省公益事業局長連名の通知により開発が規制されていましたが、近年のエネルギー政策の中での地熱に対する期待の高まり、東日本大震災を契機とした再生可能エネルギーの導入促進の動きや電力の固定価格買い取り制度の創設など、地熱を取り巻く環境の変化とともに、平成24年3月に出されました環境省自然環境局長通知で、国立・国定公園内における地熱開発の一部規制緩和が行われ、地熱エネルギーの活用に向けた動きが出てきているところであります。こうした背景をもとに、全国各地で地熱調査等の計画が進められているところでありますが、本町のトムラウシ地区においては、昭和62年から平成元年に行われた地表調査で、北海道の中でも地熱資源の有望地域として位置づけられており、本年5月31日に電源開発株式会社から資源量の初期調査を行いたい旨の申し入れを受けたところであります。町としても、再生可能エネルギーの活用の可能性を探るための初期段階の調査であり、最大限の協力をしていきたいと考えております。なお、初期調査は、地下にある高温・貯留槽の存在の確認を目的に行われますが、議員が懸念される、温泉の枯渇や泉温低下の関係についても温泉モニタリングを行い、それらのデータを収集することとされております。いずれにいたしましても、調査を進めるにあたりましては、地域協議会を設置し合意を得ながら進めることとしており、事業所とも十分な意思疎通を図りながら、対応してまいりたいと考えております。以上であります。〔浜田正利町長 降壇〕
質問 青柳茂行
町長の答弁によりますと、今年の5月31日に電源開発株式会社から初期調査の申し入れを受けて、最大限協力するという態度を示されたわけでありますけれども。先だっての電源開発の説明会といいますか、私も十勝川源流部考える会の一員として、その説明会に参加したわけですけれども。そのときにいただいた資料を見ますと、地域はいわゆるトムラウシ温泉、東大雪荘を中心に考えれば、この辺は第3種特別地域ということになるわけですよね。それで、そのトムラウシ温泉から約北に南北合わせて、だいたい10キロメートルぐらいになるのかなというような範囲ですけれども、幅がだいたい5キロメートルぐらいかなと思うんですけれども。望岳台を通り過ぎて、登山道の入り口、それから私どもの源流部でつくっている森づくりですね。その付近ぐらいまで線が引いてあるのですけれども、だいたいこの地域がいわゆる調査の地域なのか。すぐ隣は、原生自然環境保全地域がありますよね。ですからその意味では、この国立公園の核心部中の核心部かなというふうに思うんですけれども。この地域で初期調査をやるということなんですが、もう1つ資料を見ますと、この地熱開発の初期調査の段階ですけれども、ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳまであるわけですね。最初は初期調査、それから資源が存在すると分かった段階で次のステップに移り、資源量の調査というのがあります。それからステージⅢでは環境影響調査、最後ステージⅣでは、建設・運転という段階になるのですが。この初期調査の内容を見ますと、1つは地表の探査ということになっています。重力探査、電磁法探査、弾性波探査、小口径調査、掘削調査。それで、この最初の重力探査というのは、重力計というのがありまして、地下を構成する岩盤の密度差を推定するということなんだけれども。原則として林道を利用し、約70地点で実施するというふうになっております。それからもう1つ、電磁波ですよね。これはもちろん電磁波を使ってやるわけですけれども、この範囲でだいたい80地点で実施するということですね。それからもう1つ、弾性波というのは、人工的に振動を発生させるということですから、恐らく火薬か何かを仕掛けるのかなと思うんですけれども。その反射波、波と時間を計って弾性等の位置を推定すると。これも林道を利用するということですね。最後は掘削ということで、掘削の地点はだいたい1,000平方メートルから1,500平方メートルということですね。この範囲で1か所に絞って掘削するというような調査内容が、1つは示されております。それで、さきほど町長の答弁にもあった、環境省その他の規制緩和がありまして、全国的にこういうことが今、進められようとしているのですけれども。これは実際に、地熱の発電というのは、かなり古くから昭和40年代から始められているのですけれども。1つは最近ですけれども、これは昨年の北海道新聞ですね、2012年4月6日付けの道新に載っているのですが。定山渓温泉なんですが「地熱発電に温泉街反発、湯量減少を懸念」ということで、札幌市の豊羽鉱山というところが、地熱の温泉のいわゆる掘削調査を始めようとしたのですけれども、定山渓温泉から約8キロメートル離れている地点だということです。この地点を調査しようとした段階で、これに異を唱えて定山渓温泉の3団体といいますか、定山渓温泉旅館組合、定山渓観光協会、定山渓温泉保護利用協会の3団体が異を唱えて反対の決議を出している、道にも出しているということですね。それからもう1つは、阿寒なんですけれども。阿寒地熱発電に反対ということで、これは開発は困難ということで、蝦名釧路市長が「阿寒の自然環境や地域資源をしっかり守っていくことが次世代への責任だ。無理なことは無理だ」ということで、こういう記事も昨年の4月7日、さっきは6日でしたけれども、2日連続で北海道の主要な温泉地が、反対の声を挙げているという状況もあります。現実に調査してみなければ、大半のことはたぶん分からない部分もあると思うんですけれども、さきほどの町長の答弁では大筋、協力していくということなんですけれども。実際、これがいらいろ調査が始まって、いろんなまずい状況が起きてきた場合に、正面切って本当に反対できる性格のものなのかどうなのかということを、私は懸念するわけですよね。つまり、東大雪荘は第3セクターで、社長は町長がやっているわけですよね。ですから、トムラウシ温泉の東大雪荘を守るのか、それとも地熱開発を進めていくのかという、2つに1つを選択しなくてはならないということが今、迫られているわけですね。ですからそういう意味で、厳しい選択が迫られているという状況だと思うんですけれども、町長の立場を考えれば大変なことではないかなというふうに思うんですが。要するところ、この判断といいますか、どういう判断になるか分かりませんけれども、判断の時期が迫られているのだろうと思うんですね。どの時点でどういう判断をするのかということが1つ、私が聞きたい点であります。それからもう1つは、もし開発が進んでいけば、2年や3年で枯渇するということはちょっと考えられないと思うんですけれども、しかし、温泉の営業ができないというような事態に、万が一なってしまうといった場合ですよね。これは例えば、電源開発に対して、損害賠償的なことが法的にできるかどうか、私は分かりませんけれども、そういうことができるのかどうなのか。もし、万が一のための約束事といいますか、そういうことを1つは交わす必要があるのではないかなというふうに思います。さきほど、地域の協議会を設置してうんぬんという話がありましたけれども、これがどういう役割を果たすか、これはつくって始めてみなくては分かりませんけれども。恐らく最終的に、町長の独断とは言いませんけれども、かなり重要なここの社長さんですからそういう点では。しかし、社長といえども新得町の財産ですから、単独で物事を決めるというわけにはたぶんいかないと思うんですね。ですからそういう意味で、私は慎重な判断をということを申し上げたのですが。いずれにしても、この2つをどういうふうに判断するのかということと、それから約束をどういうふうに交わしていくのかという点だけ、お聞きしたいと思います。
答弁 町長 浜田正利(町長は2025年6月まで)
お答えいたします。議員の中で、温泉だけが争点になっているのですけれども、最終的に私は、温泉だけの問題でないというふうに認識をしております。今までの環境と場合によっては、変わった環境ができるとしたら、そういった面も当然、議論がなされていくのかなというふうに思っております。その上で、今の初期調査という中においては、あくまでも温泉の1つの能力があるのかないのかという、その調査の範囲内という認識をしておりますので、その結果が次のステップに進むと。その次のステップの段階で、またいろんな判断をしていかなければならない違う材料が出てくるとすれば、それはそのときまた、当然私1人では決められるというそういう問題ではないという認識をしておりますので、その時点で関係する人たちとまた、相談をしていきたいなというふうに思っております。現状の初期調査では、問題ないというそういう認識ということで、考えていただければなというふうに思っております。その上で先の問題であります。温泉自体に影響があった場合の損害賠償、これは当然、視野に入れていかなければならない問題というふうに認識をしておりますので、どの時点でどういう議論がなされるかにもよりますけれども、今言われたことも含めて、頭に入れていきたいなというふうに思っております。以上であります。
質問 青柳茂行
まず、初期調査の段階ですから、今の時点で反対、賛成とか私も極端なことは言うつもりもありませんし、やってみなければ分からないこともありますので、これは町長の判断に任せるということになると思いますけれども。損害賠償の件については、そのように考えているということでありますから、安心したという点もあります。調査をしてみなければ分からないということはあるんですけれども、しかし現実に今、調査をしなくてもだいたい分かっている点もあるわけですよね。昭和40年代から地熱の発電というのが、全国で行われているわけですけれども。だいたい全国で約20個所ぐらいあるんですけれども、北海道は森町に1つあるんですよね。これは北海道電力がやっているところなんですが。そのうちの約半数近くが、九州の大分、鹿児島にあるわけですよね。しかし、相当長い年数がたっているにもかかわらず、全国で約20個所ぐらいしかありませんから、数が少ないと言えば少ないんですよね。だいたい温泉地というのは、国定公園・国立公園ですよね。むやみに開発ができないということもありまして、1つは重要な規制がかかっているということもあるし、発電所を造るというのは多額の費用がかかるということも、恐らくあったと思うんですけれども。いずれにしても、これまでは18個所から20個所ぐらいが、だいたい全国の状況なんですが、データが1つ出ているわけですよね。これは地熱発電所の特徴なんですが、蒸気が空中に出ているわけですから、発電所があるところは白い煙が立ち込めているというのが特徴なんですね。この蒸気というのが空中に出てしまいますから、採取されたものはほとんど地中に戻らないわけですよね。ところが熱水は、一応戻すんですけれども、しかし地中深くに戻るわけでもないということで、浅いところにとどまってしまうということですよね。ですから、長年使っていれば、当然熱量、温度ですね。それから、温泉量も操業年数がたてばたつほど、低下するというようなことにはなっています。それから、最近まで公表されていなかったことだというのですけれども。最近といっても、2011年に初めて明らかになったというのですけれども、つい一昨年ですよね。熱水還元時に、大量の硫酸を添加物として投入するんですね。これはもう事実なんです。それは何のためかというと、施設の設備、それから地熱の井戸の劣化防止のために、硫酸を一緒に流すということなんですね。硫酸というのはご存じのとおり劇薬ですから、触ればとんでもないことになってしまうという性格のものなんですけれども。こういうものを常時、地下に流すわけですから、薬剤を含んだ水が複雑な地層を伝わって、温泉の水とか飲料水を汚染するのではないかという不安が、全国的にまん延しているわけですよね、実際にやっているところは。そういうたいへん懸念しなければならない性格のものがあるということですよね。それからもう1つは、さきほどいろんな面で蒸気の量とか、熱水の量が減るということを話しましたけれども、北海道の森町の場合を言いますと、例えば2001年と2007年に環境省が調査した資料があります。これを見ますと蒸気量、毎時215トンだったのが、6年後に調査した段階では、150トンに減少ですね。それから熱水量、これは毎時1,337トンあったのが、768トンに減っていると。それから総流量、1,552トンあったのが、918トンまで減っているということで、いずれも半分までいきませんけれども、わずか5、6年の間で相当減っているというデータが出ているわけですね。全国的に見ても、だいたい蒸気量が85パーセント、熱水量が88パーセント、総流量が87.8パーセントということで、いずれにしても減少、下降の線をたどっているということがあります。ですから、長年使っているとそうなるのは当たり前だというふうに判断しても、たぶん間違いないんじゃないかなと思うわけですよね。そういう意味で、広い町民の声とか、いろんなかたの意見、あるいは専門家の意見とか、実際に現地の調査資料とかそういうのを取り寄せながら、調査任せではなくて独自の調査もたぶん必要でないのかなというふうに私も思います。それから、さきほど3期目の活躍に期待するということで、私も期待感を述べたのですけれども。1つは再生エネルギーの考え方なんですけれども、例えば太陽光とか、風力とか、いろんなものが最近、3.11以降かなり激しく伝わっておりますけれども。しかし、太陽光にすれば広大な土地が必要ということもありますし、天候にも左右されるということもあって、なかなか絵に描いたようにいかないということもあります。太陽光にしても風力にしても自然エネルギーですから、これをつくるのは構わないのですけれども、やはり最終的に判断しなければならない基本というのは、地元の企業が潤うとか、それから地域の経済が活性化するものでなければ駄目だと思うんですよね。ですから、大手の企業が来て勝手につくっていって、勝手にもうけていくというのは、地域のメリットには何にもならないということになりますので、これからの再生エネルギーの考え方というのは、やはり地産地消が基本になるのではないかなと。そして、地元の経済が活性化するということが、ひとつ基本に考える必要があるのではないかなと思います。それで、地熱の利用を押していくという点では、これは発電ではありませんけれども、一般的にかなり広く普及されているのが、地下2、30メートルの段階では、通年通じて温度が変わらないというんですよね。ですから、例えば夏の暑い時期は地表の温度は20度、30度になりますけれども、地下の温度は低いですから冷房に使えると。冬は地下よりも地上のほうが寒いわけですから、暖房に逆に使えるということで、冷暖房の装置が地下熱を利用して普及できるというようなことが今、どんどん開発されているという話もあります。実際にやっているというところもありますので、これもやはり研究する1つの材料になるのではないかなと思っています。ですから、私も昨年バイオマスの質問とか、それから水力発電の一般質問をやりましたけれども、基本はやはりこの地域経済の活性化を考えて、今後3期目の町長の政策の目玉とは言いませんけれども、ある程度中心に据えて考えていただきたいなということを申し上げたいと思います。
答弁 町長 浜田正利(町長は2025年6月まで)
お答えいたします。まず、トムラウシに限った地熱の問題については、さきほどお話ししたとおり、初期調査という範囲内での議論というふうには思っておりますので、次の段階に仮に進めば、その段階でさきほどお話ししたとおり、多くのかたと当然、相談もしていかなくてはならないかなというふうに思っております。また、独自の調査も必要というお話しでしたので、勉強させていただきたいなというふうに思っております。次に再生エネルギーに対する基本的な考え方を、議員のほうからお話しがありましたので、私もお話しをさせていただきますけれども。議員が言われたように地産地消、私もたいへん重要なことだというふうに思っておりまして、なおかつ地元を含めた地域のメリットというのは、私もたいへん必要というふうに思っております。その上で、私自身の持論なんですけれども、太陽光については私は否定しないのですけれども。例えばですけれども、土地を相当つぶして太陽光というふうになれば、私は新得の農業のためには、そういう土地があれば農地にすべきだというのが、私の持論でありまして、よほど農地になじまないところがあれば、それはそれで選択肢としては出てくるかもしれませんけれども、基本は土地の利用等を考えたら、私は農地かなというふうに思っております。次に風力については、野鳥の問題、低周波の問題、それから私自身やはり景観の問題もあって、あまり推進する側にはいないんじゃないかなというふうに思っております。逆を言えば新得の特性であります水力と、それから議員からあったバイオマスというものも、新得にとってのこれからの売りというふうに考えておりますので、地域の中での経済的な問題を念頭に置きつつ、再生エネルギーというものを推進していきたいなというふうに思っております。以上であります。[青柳茂行議員 降壇]