士別市議会 令和2年第2回定例会 2020年6月17日
市内小中高校の学校再開で露呈した、休校3か月の影響と課題について
2020年6月17日、士別市議会の一般質問で、山居忠彰議員が「市内小中高校の学校再開で露呈した、休校3か月の影響と課題について」質問し、教育長 中峰寿彰が答弁しました。
- 質問者
- 山居忠彰 議員
- 答弁者
- 教育長 中峰寿彰
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。
質問 15番 山居忠彰
最後の質問の大きなテーマは、市内小・中・高校の学校再開で露呈した休校3カ月の影響と課題についてであります。まずは、感染リスクをいかに低減し、学校の安全・安心・安定を図るかという点です。児童・生徒や親御さん、先生方はもちろん、地域住民の協力が必要です。新型コロナウイルス感染拡大防止のため一斉休校していた市内の小・中学校や士別東高校が再開されました。2月末から通算3カ月にわたり通常の学校活動が停止するというかつてない事態は、教育現場を一変させました。だが、何よりも感染防止が最優先の課題であります。そこでお尋ねいたしたいと存じます。文部科学省や北海道教育委員会の示すガイドラインやマニュアルとは一体どのようなもので、本市の教育委員会は各学校にどんな指導や指示をしているのでしょうか。子供たちの毎朝の検温や手洗いとせきエチケットに3密回避、給食の形と配膳、さらには免疫力を高めるための十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事を心がける指導など、基本行動については完全に行き届いているのでしょうか。また、日常的に医療的ケアが必要な子供や基礎疾患のある子供に対し、学校医や看護師、保健師、学校薬剤師たちの連携による保健管理体制は万全なのでしょうか。学校清掃などの環境衛生はどのように保っているのでしょうか。新型コロナの感染者に占める子供の割合は低く、感染しても重症化するケースは極めて少ないと言われています。しかしながら、さらに感染が広がれば、再び休校になるおそれもございます。第2波、第3波に備えて、教育委員会としてはどんなことを想定し、どんな対処法を考えているのでしょうか。次は、学習の遅れをどう取り戻すか。学校再開マニュアル、正常化プログラムの現場作成はという点です。休校に伴って、多い学校では約200時間分もの授業が失われたと見なされています。学習の遅れを取り戻すことは大きな課題であります。ただ、カリキュラムを詰め込み過ぎると、児童や生徒だけではなく、教師の負担も大きくなってしまいます。あくまでも子供本位の発想で学びのあり方を考えるべきではないでしょうか。決して追い立てられるような学校生活にしてはならないと思いますが、授業時間の確保についてはどのように考えておられるのでしょうか。また、学校行事、とりわけ卒業式、終業式や、入学式、始業式はどのように実施されたのでしょうか。そして、修学旅行や部活動など、子供たちにとって人生の鮮明な記憶として残る行事を全て中止とするのでしょうか。夏休み、冬休みの短縮以外に放課後や土日祝日の授業は考えているのでしょうか。加えて言えば、今回のコロナ休校は改めて学校の存在意義を考え直すきっかけになりました。そこで、学校の新しい生活様式と題した衛生管理のマニュアルとは別に、超多忙な先生方にとっては過酷なことかもしれませんが、学習面での指針となる学校再開ガイドライン、いわゆる正常化プログラムの全国や全道一律の画一的なものではないオリジナルマニュアルを現場の学校ごとに作成または作成の予定がなされているのかについてもお尋ねしておきたいと存じます。次は、親の経済力による教育格差や不登校など、子供たちの心身への目配りはという点です。教育格差とは、生まれ育った環境によって受けられる教育に格差が生まれることを指しますが、主な要因は経済格差や地域格差で、実際生活保護を受けている家庭、ひとり親の家庭、養護施設で暮らす子供など、格差の形はさまざまであります。これらの子供たちの中には、学校外での習い事を諦め、放課後の時間を一人で過ごすことが増えてしまうような子供も少なくありません。今回のような3カ月もの休校による負の影響を特に強く受けるのは、紛れもなく恵まれない家庭や遠隔地域の子供たちであります。学習経験量の圧倒的な差が誰の目にも明らかだからです。学校現場の教師たちは、今までこの現実にどう向き合ってきたのでしょうか。また、コロナ禍の中で今どう向き合うべきだとお考えになられておりますでしょうか。児童・生徒の不登校や自殺など、最も多くなる時期は夏休みなど長期の休み明けであります。今回のような3カ月もの長期休校の後は、体調を崩したり、大きなストレスを抱えたりした子供がいないかと特に心配になります。これらの対処法についての詳細をお伺いする予定でありましたが、昨日、渡辺議員との質疑で十分理解することができましたので、割愛させていただきたいと存じます次に、学校のICT化でオンライン授業を行える環境づくりはどこまで進んでいるのかという点です。新学習指導要領においては、情報活用能力が言語能力、問題発見・解決能力等と同様に学習の基盤となる資質能力と位置づけられ、2018年、平成30年から5カ年計画で各学校においてコンピュータや情報ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境整備と学習活動の充実が図られてまいりました。しかし、実際には学校現場のICT整備は思ったほど進んでおらず、たとえ機器が導入されていたとしても、活用が広がっていないという現実がございます。今回のコロナ休校で、スカイプを使ってのチャットを初め、スクールタクトとズームクラウドミーティングを使っての通常と遜色ない遠隔授業を実践した例が数多く報告されておりますが、士別でも可能だったのでしょうか。本市の小・中学校や高校において、ICT化の現状、進捗度や実態と課題をどのように把握しておられるのでしょうか。また、昨年暮れに文科省が打ち出したGIGAスクール構想。今年4月、萩生田文部科学大臣は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、早期実現に向け、積極的に推進すると表明いたしました。令和時代の学校教育のスタンダードとなる構想だけにお聞きしたい点が多々ございましたが、これも昨日の谷議員の質問にございましたので、割愛させていただきたいと存じます。最後になりましたが、歴史的教育改革、レガシーになるかと思われたことについてもお尋ねいたしたいと存じます。新型コロナウイルス対応の迷走で政府の求心力が低下し、世論の不信感増幅が指摘される中、9月入学の来年度導入が見送られることになりました。制度移行に伴う混乱を懸念する学校現場などの反発に配慮したためです。休校の長期化や国際化を踏まえて、急浮上した9月入学だったのですが、急速に機運がしぼんだ次第でございます。そこで、締めくくりに、中峰教育長に9月入学の是非について御所見をお伺いし、一般質問を終わりたいと存じます。 (降壇)
答弁 教育長 中峰寿彰(教育長は2023年3月まで)
ただいまの御質問にお答えいたします。初めに学校の安全・安心についてです。文部科学省が作成した学校における衛生管理マニュアル、学校の新しい生活様式では、児童・生徒や教職員の感染リスクを可能な限り低減するため、各学校が進める感染症対策の具体的取り組みが示されています。このマニュアルを基に、本市での対応について、東高校を含む市立学校長の会議で確認するとともに、北海道教育委員会から示された学校教育活動等の実施における学びの保障の方向性や臨時休業の実施に関するガイドラインなどの通知を整理した資料を教職員用として配付し、情報共有を図りながら対策の徹底を求めたところです。子供たちに対しては学校の新しい生活様式を踏まえた指導を進めていますが、現在のところ、日ごろから医療的ケアが必要な場合や基礎疾患がある場合でかかりつけの医師や学校医などに相談が必要な事例は生じていません。衛生面の保持に関わっては、通常の清掃に加え、特に多くの児童・生徒などが手を触れる箇所については、職員による消毒作業を最低1日1回実施しています。また、第3波、第4波として、今後、感染が拡大した場合には、衛生管理マニュアルや同じく文科省通知の臨時休業の実施に関するガイドラインに基づき対応することになりますが、まずは現時点で可能な対応を最大限に実施することに努めていく考えです。学校では、学習計画に基づき、家庭学習を課した上で、分散登校を行うなど、学校での授業と家庭学習を組み合わせて学びを保障してきました。今後においても、感染リスクを低減する生活の仕方や健康な体をつくるための生活習慣など、家庭での過ごし方も含めて、学習活動の進め方を家庭と共有しておく必要があります。なお、児童・生徒や学校教職員等に感染者が出た場合は、文科省及び道教委からの通知に基づき、速やかに関係機関と情報を共有し、必要な措置を講じてまいります。次に、学習の遅れの取り戻しについてです。長期にわたる臨時休業により学習の遅れが生じたことから、学校ごとに不足分の授業時数を把握し、長期休業期間のうち12日分を授業日として設定することにしましたが、学習内容については引き続き見直しを進め、単なる詰め込みにはならないよう配慮するとともに、学校行事も含めた教育活動の再編成を進めます。卒業式については、来賓を極力減らすとともに、式典内容も一部割愛し、時間短縮を図る中で執り行われました。さらに、中央市街地4校では、道教委からの通知要請により在校生は出席させられませんでしたが、保護者については、配席の工夫などにより、全ての学校で参列いただくことができました。また、終業式については、学年によって異なる日程で実施した学校もあったところです。入学式や始業式も同様に、時間短縮や人数制限を図るため、クラスごとの分散形式や校内テレビ放送の活用など、感染リスクを低減する措置を講じながらそれぞれ実施されました。修学旅行や部活動については、リスク対策の徹底の上での実施を基本としており、各種学校行事や授業時数の確保に対する考え方については、昨日、渡辺議員の御質問にお答えしたとおりです。学校が独自に新たなプログラムを作成するということはありませんが、教育課程を初め、各種の活動や行事など年間計画の見直しが求められている中で、それぞれの学校ならではの学びを子供たちに保障、提供できるよう、教職員が懸命に努力、検討を重ねています。次に、子供たちの心身のケアについてです。道教委の通知では、臨時休業中の児童・生徒の様子を少なくとも2週間に1回は確認するように求めていましたが、本市では1週間に2回連絡を取り、健康面や生活面、学習状況などの把握に努め、適切な指導・助言に当たってきました。さらに、必要に応じた家庭訪問など、格差を生じさせないことはもとより、一人一人に寄り添うべく、きめ細やかに対応してきたところです。今後も、児童・生徒と教師のつながりや学校と家庭とのつながりを大切に、子供たちが安全・安心に過ごすことのできる関係性の構築に努めてまいります。学校再開後の児童・生徒の心のケアについては、学校全体で健康観察を行うなど、一人一人の様子をきめ細かく把握するとともに、感染症についての正しい理解を図る学習や新しい生活様式への対応を含めた指導に努めます。また、保護者と情報共有をすることはもちろん、コミュニティ・スクールを活用するなど、地域と連携した形で子供たちを見守っていきたいと考えています。次に、学校のICT化についてです。これまで本市では、パソコン教室での授業を基本にデスクトップ型のパソコンを整備してきました。臨時休業の際には、士別中学校において、オンライン会議システムのズームを活用した学習サポートを試験的に実施したほか、朝日中学校では外国語指導助手も協力して英語の学習用動画を作成、自宅でインターネットを使えない家庭も考慮し、DVD化して生徒に配付するなど対処してきました。教育のICT化が飛躍的に進む中で、本市においてもその環境整備と活用は喫緊の課題でもあり、今後はGIGAスクール構想に基づく整備を進めるとともに、ICTの一層の活用を図ることにより、質の高い授業の実現や家庭での学びの機会の拡充も含めた対応に努めてまいります。最後に、学校の9月入学についてです。この件については、国の教育審議会などにおいて答申され、これまで長年にわたり検討事項とされてきましたが、グローバル化への対応や世界的な現状を見据えると、今回のことを契機とした以降も望まれることと考えます。しかしながら、教育、学校にとどまらず、会計年度を初めとする行政の仕組みや企業活動など含め、社会全体のシステムの変容と対応が不可欠であり、まずはその面での見通しをつけることが先決であり、必須であると考えています。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)