標茶町議会 令和5年第2回定例会 2023年6月6日
酪農、畜産業の危機を打開する政策を
2023年6月6日、標茶町議会の一般質問で、渡邊定之議員が「酪農、畜産業の危機を打開する政策を」について質問し、町長 佐藤𠮷彦、農林課長 村山尚が答弁しました。
- 質問者
- 渡邊定之 議員
- 答弁者
- 町長 佐藤𠮷彦、農林課長 村山尚
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 10番 渡邊定之
私は、本町の基幹産業である酪農、畜産業を含め、国内の食料生産現場の現状、今、最大の危機を迎えていると認識しています。以前にも同様の質問をいたしました。生産現場では、さらに深刻さが増しています。行政はもとより生産者、農協、関連産業、指導機関、消費者、議会も含め、本町の産業を守るための団体の連盟で国、道に要請文を送るとか、町内で様々な懇談会、特に消費者に酪農、畜産危機の現状を知ってもらう集会や懇談会などを持つなど行動を起こすべきと考えますが、町長の所見をお聞きいたします。本町酪農の今後の方向性を議論する必要性はありませんか。標茶町酪農・肉用牛生産近代化計画の内容では、今日の課題を解決し前に進むことができないと考えますが、いかがですか。このような情勢の下、新規就農者の現状はどうですか。また、生産抑制等、以前の対応とは異なり苦慮していると考えますが、基準の見直し等が行われているのかお伺いいたします。
答弁 町長 佐藤𠮷彦
10番、渡邊議員の酪農、畜産業の危機を打開する政策をとのお尋ねにお答えいたします。1点目の行政はもとより生産者、農協、関連産業、指導機関、消費者、議会も含め、本町の産業を守るため団体連盟の要請文を送るとか、町内での懇談会など、特に消費者に酪農・畜産危機の現状を知ってもらう集会や懇談会を持つなどの行動を行うべきとのお尋ねについてですが、酪農、畜産業の危機は本町だけの問題ではなく、管内、道内、ひいては国内全体の問題であることから、令和5年2月に北海道知事と道議会議長に、3月には国に対して、北海道町村会として酪農経営を継続するための緊急要望書を提出しております。この緊急要請を機に、市町村長、道副知事、国会議員、ホクレン、日本政策金融公庫、各省庁担当者などから成る北海道酪農に関する勉強会が2回開催され、主に金融対策として、牛乳、乳製品の輸出拡大についての意見交換が行われており、セーフティーネット資金の活用や返済猶予等の条件変更への速やかな対応などについて確認が行われているところです。また、北海道では、物価高騰の影響を受けている子育て世帯の負担軽減と道産品の消費拡大を図るために、対象児童がいる北海道内の世帯に商品券等を支給する「北海道お米・牛乳子育て応援事業」の申請受付が既に開始されておりますが、この取組に連携する形で生乳の消費が減る夏休みに牛乳券を配布し、消費拡大を図る取組を管内全体での町村で実施する計画を進めているところであり、こういった消費拡大の取組を行うことで、消費者に対し改めて酪農危機の現状を知ってもらえる機会になるものと考えております。2点目の酪農・肉用牛生産近代化計画(令和3年度~令和12年度)の内容では、今日の課題を解決し前に進むことができないと考えるがとのお尋ねについてですが、本町では酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づき、令和3年度から令和12年度を計画期間とした標茶町酪農・肉用牛生産近代化計画、いわゆる酪肉近を令和4年4月1日に定めています。酪肉近は、おおむね5年ごとに見直しを行い、10年後の目標を定めることとされていますが、令和3年度の見直しのタイミングで、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、災害等に強い酪農・畜産の確立を目指し、生産現場における営農活動の継続に向けた対策を促進し、需要が確保されるよう関係者における綿密な連携構築を推進することを酪肉近本文に明記しているところです。また、10年後の目標値としましては、令和12年度、生乳生産量18万4,520トン、乳用牛飼養頭数4万6,290頭など、令和3年度現在の実績数値を上回る目標を掲げております。昨今の情勢を踏まえますと、令和12年度にこの目標を達成するかどうかは不透明なところもあるかと存じます。しかし、令和8年度には次の10年に向けた酪肉近を策定しなければなりませんが、状況を踏まえながら計画内容を関係団体と協議し、策定してまいりたいと考えております。本町酪農の今後の方向性についてですが、自給飼料の確保、家畜疾病の蔓延防止、家畜排せつ物の適正処理、労働力の確保、放牧酪農など多様な経営スタイルの導入など多岐にわたっておりますが、当面は生乳需給の回復が一番の優先課題だと認識しております。1点目のお尋ねとも重なりますが、国や道への要請活動や関係機関との情報交換を図る中から効果的な政策を検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。3点目の新規就農者の状況はどうか、また、生産抑制等、以前とは異なり苦慮していると考えるが基準の見直し等が行われているのかについてですが、本町における令和4年度の新規就農の状況につきましては、2組が営農をスタートしております。生乳生産の配分については、総乳量500トンを上限として優先配分されておりますが、現在の酪農情勢、特に諸経費等高騰を踏まえますと、非常に厳しい船出であると認識しております。いずれにしましても、標茶町担い手育成協議会などの枠組みを活用しながら、営農アドバイスは無論のこと、新規就農者の困り事に対する相談等、きめ細かな対応を心がけておりますので、ご理解をお願いしたいと思います。
質問 10番 渡邊定之
第1点目の生産者、関連産業、その他町内会とか、消費者との懇談会、集会等という質問に対して、様々な、道とかそういうレベルでの会議の紹介がありましたけれども、やはり基幹産業である酪農・畜産を標茶の本業としているわけですから、そういう意味で地元の消費者の皆さん、関連産業の皆さんと、今の本当に抱えているこの危機的状況をしっかりと理解していただくためにも、やはりこういう地元でのそういう集会等が必要だという思いから質問したのですけれども、そういう意味では、今、町長の答弁がありましたけれども、先日、私も農協の懇談会に参加しました。幹部の方がそこでお答えになったのは、今のこの酪農情勢、生産抑制がそう遅くない時期に乗り越えられるという意味の答弁があったのですけれども、そういう意味では、町長の考えをちょっと確認したいのですけれども、お聞きしたいと思います。
答弁 町長 佐藤𠮷彦
農協での発言の趣旨については、私はその場にいませんので何ともコメントのしようがないのですが、ただ、現状としては依然として厳しい状況は続いています。ただ、国、道を含めてかなりの政策がいろんな形のパッケージとして、今年度も昨年と同じような経産牛の、他府県は1万円ですけれども、北海道は7,200円とか、そういったものも既に同じような形で国から実は提案されています。ですから、そういったものをうまく活用しながら、今の危機的状況を乗り越えていく。あとは乳価の問題とか、それからホクレン関係も、肥料関係が、今、値下がりを表明とかしていますので、昨年から見ると少し変化はしてきたのかな、そんなふうに思っていますので、決して来年からすぐ明るく、前と同じような状況に戻るとは一概には言えないですけれども、少しずつ国の対応も変わってきている。例えば、資金の調達したものについても、先送りとかそういったものも、国の政策金融公庫とかそういったところが、この前、町村会と国の省庁との話合いの中では、一件一件、各農協と個別のケース、ケースごとに話合いを進めていくということを聞いていますので、そういった意味では、いろんな相談の窓口とか、これまでにないような形は少しずつ整ってきたのかな、そんなふうには思っていますが、ただ、厳しい状況は続きますので、私どもはやはり牛乳をまず飲んでもらうことが一番だと思いますので、そういったことを北海道が、今、お米と一緒に牛乳のキャンペーンをやりますので、それと併せて管内町村も全て一斉にそういったキャンペーンをやりましょうということになっていますので、それについては今回の補正予算の中で予算も提案させていただいていますので、そういった中でまたご提案をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
質問 10番 渡邊定之
今の答弁、そういう意味では、今の状況を乗り越えられないことはないという具合に考えているのかなという僕の感じ取り方なのですけれども、しかし、農業専門の経済学者の皆さんなんかに言わせると、一年しのぎの対策に追われているうちにとんでもないことになりますよと指摘している先生方もいます。根本的に今の酪農の、日本の農業の在り方を考え直さないと、本当に牛乳も飲めない、お米も食べれらない、もう卵は自由に食べられなくなっていますから、そういうことが起こりますよということを指摘している部分があります。それで、先ほどセーフティーネット資金のことについて答弁がありましたけれども、昨年も、僕、質問していると思うのですけれども、このセーフティーネット資金、1戸平均にしたら約1,000万円ぐらいの借入れになったという具合に、僕、記憶しているのですけれども、今回、セーフティーネット資金を今後とも使わなければならない状況、営農計画の状況とかは情報として入っていますか。その辺、このセーフティーネット資金でどの程度の農家の人が今年の計画に寄与しているかということの情報がありましたら、教えていただきたいと思います。
答弁 農林課長 村山尚
お答えいたします。たしか3月の定例会でもセーフティーネット資金に関するご質問をいただいておりますが、その時は年度末で、セーフティーネット資金のうち特別枠、たしか当時で言うと、コロナ対応に関わる部分、それからロシアのウクライナ侵攻により影響を受けた方に対する部分、2つの特別枠があったのですけれども、こちらの特別枠につきましては、今年度、今年9月までの延長が決まっているというふうに伺っております。先ほど町長がお話ししましたけれども、農水のほうで北海道も含めて各ブロックごとに説明会を開いておりまして、その中でそういったお話を伺っているところでございます。セーフティーネットの資金の活用の状況なのですけれども、3月にもお話ししたとおり、かなりの方がやっぱり経営に苦労されているということで、借入れは過去にないくらい、ちょっと今具体的に資料は出てこないのですけれども、借入れをしている方がかなり多いというふうには聞いてございます。
質問 10番 渡邊定之
過去のそういう資金繰りのときには、次の年の生産を伸ばしながらその資金を償還していくという形で営農を続けてこられたのが現実だと思うのですけれども、今日に至っては、生産を拡大することができない、ましてや様々な分野で生産資材等々の値上がり等で、本当に経営の資金繰りというのに苦慮されている農家が圧倒的だと思うのですね。そういう意味では、先ほど質問の最初の頃に、この現実、現状を、やっぱり関連団体と項目を整理して、こういう現状だということで要請していただきたいということも含めて質問いたしました。次に、本町の酪農の今後の方向性を議論する必要性はないかということなのですけれども、酪農・肉用牛生産近代化の項目でもありますけれども、非常に文章の中には、草地酪農のことを、草地型畜産の推進、多様な担い手の育成、そういうものの確保に力を入れるという具合に書かれています。そういう中で、今現在、現状を考えますと、本当の意味での草地型酪農ということをもう少し検討、本来の意味での草地型酪農、輸入穀物に依存しない草地型酪農というのはどういう形なのかということをもう少し検討する、中身を深めるという検討に入ってほしいという具合に思うのと、放牧酪農で認証されている農家がありますと。この人たちの経営をしっかり、本当に典型的な草地型酪農の在り方だと思うのですね。こういう人たちの経営の在り方をもう少し分析して、本気で分析して、本当にこの草地型のいい面、今この時代においてこの酪農の在り方がどういうところでメリットがあるのかということを研究してほしいと思いますし、その結果をどこかでお知らせ願いたいなという具合に思うのですけれども、その辺はいかがですか。
質問 10番 渡邊定之
もう少し実際の経営の中身を協力していただいてひもとくというか、そういう形でのやっぱり経験というか、そういうことも実際にやっていただいて、その数値みたいなものを出していただければ、本当にこの草地型酪農の意味というのが理解されてくるのではないかと思うのですけれども、そういう意味での質問です。
答弁 農林課長 村山尚
お答えいたします。まず、酪肉近のほうから、計画策定に至る経過のほうをちょっとお話しさせていただきたいと思います。まず、この計画だったのですけれども、令和4年1月に、まさにコロナの真っただ中に策定した計画となります。町長の答弁でもあったように、数値目標については、昨今の情勢を考えると達成はちょっと難しい部分もひょっとしたらあるのかもしれません。ただ、ポストコロナを見据え、需要が回復した際には、安定的な供給が図れるよう生産基盤を強化するよという前向きな計画でございます。それで、平時と違い、現在も牛乳の消費は低迷している状況ではありますが、国や道においては生産コスト高騰に係る緊急対策、先ほど町長も申しましたけれども、行っておりますし、今後においてもJAをはじめとする関係機関と連携しながら、そのときに応じた対応をしていきたいなというふうに考えております。それから、草地型酪農、要は放牧酪農を中心とした草地型酪農の部分についてですが、その部分については、それぞれ経営の考え方というのは違うとは思います。既に規模拡大して、放牧を現在されていない方もおられます。例えば、フリーストール牛舎で200頭、300頭という搾乳をしている経営体もございます。そういった方々につきましては、それでより生産性を上げて営農するというスタイルだとは思います。また、放牧酪農をされている方につきましては、議員おっしゃられるとおり、良質な粗飼料を確保して、できるだけ配合飼料などに頼らない、輸入飼料などに頼らない形で営農されていると。それぞれの酪農スタイルの中で、それについては、今現在そのフリーストールで大型化を図っている農家さんがまた放牧中心の酪農に戻すということは難しいとは思いますが、できるところについては放牧、輸入飼料に頼らない、濃厚飼料に頼らない、より効率的な営農も可能だと思いますので、そうした放牧酪農のよさについてはJAも草地プロジェクト等ございますので、そういった関係機関とともに啓発というか、より効率・生産性の高い営農が目指せるような形を農家さんにお知らせできるように、そういったことができないかということについて検討していきたいなと思います。
質問 10番 渡邊定之
正直言って、今本当に困っているのは、大規模化した、様々な機械化をした、そういう人たちが本当に行き詰まっているというのが現状だと僕は思っているのです。そういう意味で、数は少ないけれども、そういうものに影響されない酪農の在り方というものを、やっぱり標茶、酪農の町ですから、土地も豊富なところですから、そういうこともやっぱりしっかりと目指せる環境づくりをしてほしいなという具合に思います。この今の放牧酪農との関わりからも、新規就農者の現状について町長から2組が就農を頑張られているという答えがありましたけれども、そういう意味では、今、新規就農者に対する基準とかそういうものについては、以前答弁していただいたのかと思うのですけれども、ちょっともう一度お答え願いたいと思います。
答弁 農林課長 村山尚
お答えいたします。今、議員のほうから、新規就農に関わる基準ということでどのようなものかというふうにご質問があったわけなのですが、具体的に新規就農者の方は、では牛の頭数で言ったら何頭、乳量で言ったら何トン搾らなければならない、そういった基準はありません。あくまでも、例えば青年等就農計画の中で、現状、就農時は60頭で乳量30トンなのだけれども、では5年後に65頭に増頭して500トンを目指しますというような計画を立てていただいて、それらを認定するような形になります。あくまでも、規模に関わる基準というのはございません。ただ、現状を申しますと、この2名とも当初から、例えば多頭飼養で乳量を目指すというような計画は立てておりません。お二方とも放牧を中心とした酪農を目指されて、無理のない営農を目指すというような計画となってございます。
質問 10番 渡邊定之
そういう意味では、こういう本当に酪農危機を迎えている中で、以前、新規就農した方の話だと、早くこの牛舎をいっぱいにし、50頭の入るところを51頭にして搾らなければならないのだと、牛を集めているのだという、そういう話を何件か聞いているわけで、そういう状況では今はないということですね。そういう意味では、いろんな放牧酪農の、先駆者と言ったら語弊あるかもしれませんけれど、隣の町の三友さんという方がちょっとした文章を書いているのですけれども、放牧酪農をやりたい人は、帯広畜産大学あたりに来る大学生の中で、率直に100人ぐらいはいるのではないかと。それはやはり20頭、30頭、本当に暮らしを大切にしながらやれる酪農を求めているということみたいですね。そして、学校で勉強しているうちに、そうではない酪農がこう植え付けられてくるといいますか、やっぱり何十頭搾乳の、将来は何百トン搾るということが、一つの就農するための条件であるというような情報が入ってきて、それが結果的には足かせになる、そういう状況があるのではないかと言っています。そういう意味では、全道には20頭、30頭で酪農をしっかり営んで生活もしっかり賄える、そういう酪農をやっている、これもまた放牧酪農だという実態がありますので、しつこいようですけれども、いま一度そういう研究をやっぱり真剣にやっていただきたいなという具合に思います。1つ目の質問は、これで終わります。