みんなの議会

標茶町議会 令和4年第1回定例会 2022年3月4日

「汚染水は安全」とのチラシを配布すべきではない

2022年3月4日、標茶町議会の一般質問で、深見迪議員が質問し、教育長 島田哲男、町長 佐藤彦が答弁しました。

質問者
深見迪 議員
答弁者
教育長 島田哲男、町長 佐藤彦

議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。

質問 8番 深見迪

それでは、質問いたします。1点目は、福島原発の汚染水を海に流す計画が着々と進められているわけですが、事もあろうに、これをめぐって現地の農漁民の人たち、住民の人たちが相当反対運動も起こしていますし、反対の声を上げているわけですが、これを文科省が直接、汚染水は安全だと、安全に海に流しますみたいなチラシを配ったということがわかったので、この点について質問したいと思います。小中学校のための「放射線副読本」が昨年10月に改訂されました。文部科学省は、昨年12月に、この副読本を教育委員会を通さず全国の小中学校に直接送ったようですが、このことについての経過を伺います。この「放射線副読本」は、学校でどのように扱われているのか伺います。また、この副読本を使用した授業は行われているのか。単なる参考として家庭に配られているのか、それともまだ使用されていないのか、実態について伺います。今回は、この副読本と一緒に福島第一原発の汚染水、私たちは汚染水と言っているのですが、「ALPS(アルプス)処理水は安全だ」ということを主張したチラシが送られてきましたが、「ALPS処理水は放射能汚染水だ」として、多くの首長をはじめ、漁業者、漁業協同組合などが、せっかく復興の第一歩を始めたところにこういう汚染水を流すのはやめてほしいという反対の声も多く聞いています。第一次産業を主な産業としている本町として、このチラシの内容は教育現場にふさわしいと考えているのか、所見を伺います。国際原子力機関(IAEA)というのがありますが、東電福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、調査団を派遣し調査を行っています。実施した調査内容を今年の4月中に報告書にまとめるとの報道もありました。国際的にも国内的にも調査し協議している、そういう段階で、このような偏った内容のチラシを学校現場に送りつけるということは、教育の中立性の観点から教育基本法にも抵触すると考えますが、いかがですか。今回のチラシは経済産業省・資源エネルギー庁と復興庁が作成したと聞いていますが、国内外の理解が得られていないこのようなチラシは、既に全国的に県、市町村、学校で疑義が出ていることから見ても、配布を中止すべきと考えますが、いかがですか。以上です。

答弁 教育長 島田哲男(教育長は2022年9月まで)

8番、深見議員の「汚染水は安全」とのチラシを配布すべきではないとのお尋ねにお答えします。1点目の改訂された「放射線副読本」が学校に送付された経過はどのようなものであったかとのお尋ねですが、まず、令和3年12月22日に、北海道教育庁学校教育局より放射線副読本の改訂及び配布に係る通知が教育委員会宛てに届いており、同日、各学校に通知いたしました。各学校には、冬休み中の1月中旬に冊子が送付されております。2点目の「放射線副読本」が学校でどのように扱われているかとのお尋ねですが、町内全ての学校が参考として児童生徒を通して配布済みですが、今後必要に応じて活用する場合もあると認識しております。3点目の「ALPS処理水は安全だ」と主張したチラシの内容は教育現場にふさわしいと考えているかとのお尋ねですが、チラシについては副読本と一緒に学校に送付されており、今なお根強く残る一次産業等への風評被害の背景に放射線に関する正しい知識の理解不足や認識不足があることから、児童生徒に対して正しい知識を身につけてもらうことを目的として配布されたものです。つきましては、児童生徒がALPS処理水や福島第一原子力発電所の廃炉作業について、より正しい知識を身につけ、学習指導要領に示している放射線に関する科学的な理解を深め、情報を多角的に捉え思考、判断するために、本チラシの内容はその資料の一つと認識しております。4点目のいまだ協議している段階で偏った内容のチラシを教育現場に送りつけるということは、教育の中立性の観点から教育基本法にも抵触すると考えるがどうかとのお尋ねですが、福島第一原子力発電所の廃炉作業に係る処理水の処分については、さまざまな立場から多様な考えがあると承知しております。学校現場は配布されたチラシの内容のみを指導することはなく、さまざまな情報を多角的に捉えて、広い視野から考察したり、さまざまな価値観について問題意識や批判的な目を持って考察することができる資質能力を育むよう、教育活動を行っています。このことから教育基本法に抵触するとは考えておりませんし、学習の教材の一つとして必要に応じて活用することが適切であると考えますので、ご理解を賜りたいと存じます。5点目のチラシの配布を中止すべきと考えるがどうかとのお尋ねですが、本チラシは、児童生徒がALPS処理水等への正しい知識と理解を促すという狙いを持って公的に作成されたものであることから、既に配布されたチラシを教育委員会として回収することは考えておりませんので、ご理解を賜りたいと存じます。

答弁 町長 佐藤彦

8番、深見議員の「汚染水は安全」とのチラシを配布すべきではないとのお尋ねにお答えしますが、3点目の第一次産業を主な産業とする町として、このチラシの内容は教育現場としてふさわしいと考えているかのお尋ねについて、教育長からの答弁のとおりでありますが、ご指摘のチラシについては、副読本の補足説明資料として、また、海洋放出による風評被害防止のため配布されたとされており、今なお根強く残る一次産業等への風評被害が現実としてあることや、東日本大震災の復興のために何が行われているのかなど、正しい知識をつけてもらうことが必要です。報道によれば、自治体、議会あるいは漁業関係者、関係団体から疑問あるいは懸念があると伺っております。これら原子力政策の諸問題については、国の責任において、より丁寧な説明と理解を求める努力、細心の配慮が必要であると認識しておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

質問 8番 深見迪

私、今の答弁を聞いて、ちょっとびっくりしました。これが私たちの町の問題であったら、一体どういう答え方をするのかなというふうに思います。これは小中学生、高校生の放射線副読本ですね。何回か改訂されています。私、読んでいるのですけれども、改訂のたびに何か中身が悪くなってきていると。全体として流れているのは、自然界にある放射能はたくさんありますよと。だから、放射線を恐れることはありませんよというような流れで書いてあるのですよ。例えば、スイセンの花からも放射能が出ていますよとか、レントゲン写真を撮っているでしょうとか。だけれども、福島第一原発のように事故を起こした、そういうところの放射能とは全く違うのですよ。もっとびっくりしたのは、今、東電でやっているでしょう、1キロメートル置きにパイプを通して、そこに汚染水を流すのだという。これについても世界的には、普通の汚染水ではないと、事故を起こした汚染水だということで非常に大きな反対の声も起きています。問題のチラシはこれなのですけれども、「復興のあと押しはまず知ることから」ということで、現地の農民や漁民、岩手、宮城、福島の人たちは猛烈に、協同組合、漁連も反対しているし、反対しているのですよ。それに対して、私びっくりしたのは、裏、これ初めてこういうチラシが副読本に挟まれてきた。ちょうど今、汚染水を外に流すよ、海洋に放出するよという時期に合わせてなのですが、「浄化処理した水を安全に処分していきます」と書いてあって、こういうふうに、よく見えないと思いますけれども、イラストがあって、あたかもその汚染水を使ってみそ汁を作って食事をしているとか、そういうようなイラストになっているのですよ。これ、こっちのほうのやつは多分中学・高校生向きだと思うのですが、これなんかもっとひどいです。汚染水を直接飲んでいると思わせるようなイラストなのですよ、これ。だから、そういう点では、さっきご答弁された正しい知識を身につけるなんていうものではないと私は思いますよ。これ、文科省のほうでは、正しい知識を身につけるために「復興のあと押しはまず知ることから」なんていう書き方で書いていますけれども、このチラシを配ったのは、ここでも書いてあるように、資源エネルギー庁でしょう。原発推進ですよ。それから、事もあろうに復興庁ですよ。福島を復興するためにつくられた復興庁が、これを後押ししているというような内容になっているのです。先ほど教育長が答えた正しい知識を身につけるなんていうことは、このチラシや副読本からはうかがい知れない。本当に正しい知識になっていない。私はそういうふうに思います。それから、全国的には例えば岩手県なんかは、12市町村のうち配布済みは1校だけですよ。あとは学校で保管するの対応。それから、保管を指示した教育委員会さえあるのですよ。それから、ほかの16市町で配られ……、宮城県なんかは、1回配布したチラシを回収までしているのですよ。そういう動きもあるのです。どこそこの校長とは言いませんが、ここの校長は、処理水が手放しに安全だと思わせる書きぶりだと。純真な子供をだますような行為だと。今、教育長が言ったことと真逆の認識なのですよ、これ。まだたくさんありますけれども、どうですか。こういう点で、正しい知識を身につけるような副読本やチラシになっていない。現地では、これは大変だということを知って、回収したり、意見を言ったりしていると。こういう現地の動きと私、ここは第一次産業で前の福島の事故のときもいろいろありました。佐藤町長のときではありませんでしたけれども、いろいろありました。こういう問題について、本当に教育長や町長がおっしゃったような認識や回答でいいのかと私は思います。どうですか。

答弁 教育長 島田哲男(教育長は2022年9月まで)

お答えをいたします。今回の副読本、そしてチラシの内容について、十分それが子供たちの放射線に対する資料になっていないのではないかという内容のご質問だと思いますけれども、副読本、実際放射線に関する科学的な理解を深めるとともに、福島の第一原発の事故、これを一人一人が人ごとにせず、災害を乗り越え、次代の社会形成のために何をすべきかということを考える部分の目的で作られたというふうに理解をしております。実際には、その内容については、文科省が編集に当たって、それぞれ主観的な部分を排除しながら、客観的なデータに基づいて記載しているというふうに私どもは理解しております。そういった部分では原子力発電の部分でどういう、考える資料ということでありますので、実際には学校現場で教科書が主体的な放射線についての教える部分でありますので、一つの部分の考えた資料ということで、それぞれ配布されたというふうに理解しておりますので、それぞれ学校現場で必要な部分があった場合については使いますけれども、その部分に深く掘り下げていかなかった部分ではそれぞれなかったことになっておりますので、その辺は教育委員会としては、その使い方については学校にそれぞれ委ねているところであります。

質問 8番 深見迪

これ、はっきり言って、無批判に中身も吟味しないで配ってしまったというのは間違いだと思いますよ。やっぱり水害、大津波に遭った。そして、福島は原発の事故に遭った。現地では、例えば福島の相馬市の教育委員会、ここでは、処理水というのはデリケートな問題だと、教育現場で指導することではないと言い切っているのですよ。それ、教育長のそういうさっきの発言とは真っ向から違う意見でしょう。少なくとも教育を行う立場にある人間であれば、これが教材として本当に妥当なのかどうなのかということを吟味すべきだと思うのですが、この放射性副読本とALPS処理水の特別なチラシ、これはもう最初は教育委員会には来ていないのですよね。配りますよという通知だけが来て、中身を吟味しないで学校任せにしているわけでしょう。これはおかしいと、間違いだと。私は、このALPS処理水の問題について、現地でまだまだもめていますよ。しょっちゅう新聞に出ています。処理水の問題について、やめてほしい。11年かかって、ようやく漁師の人たちが、あるいは農業の人たちが、自分たちの土地で採れたものが、あるいは自分たちの海で捕れたものが市場で受け入れてもらえるようになった矢先に、全国の小中学校に教育委員会を飛び越えてこういうのを送りつけるという、意図的ではないですか。これ、考えを変えて回収する考えはないですか。それと、現地の実際にそういう、処理水はデリケートな問題、教育現場で指導することではないという相馬市の教育委員会、例えばですよ。ほかにもあるのですけれども、そういうような観点では、もう少し注意深く送られてきた副読本を吟味して、これが妥当なものなのかどうなのか、そのぐらいの力を教育委員会やあるいは第一次産業が主な産業である町は考えてしかるべきではないかというふうに思うのですが、どうですか。

答弁 教育長 島田哲男(教育長は2022年9月まで)

お答えをいたします。それぞれ配布したものの部分では、議員ご指摘のとおり、直接各学校に送付されたものであります。私どもには、その通知のみが最初来ておりました。その回収をもっと吟味すべきではないかとのご質問でございますけれども、福島原発の廃炉作業、これに伴っての、先ほど来ALPS処理水の問題が討議されております。汚染されている環境生物等、私たちの健康に及ぶのではないかということもございます。そういった部分で、風評被害がこれからどんどん大きくなるということも懸念しているところであります。そういったことで、児童生徒に対して正確な情報、いろんな情報を必要に応じて与えるものでありますので、それに必要に応じて対応すべきものというふうに考えておりますので、回収までは今のところ考えておりません。

質問 8番 深見迪

今さら回収できないということなのだと思うのですけれども、それならば、このALPS処理水について、あるいは現地の動きについて、これも同時に問題提起を子供たちにするというのが本当の教育ではないですか。だって、これ、見たら、「トリチウムは身の回りにたくさんあります」から始まって、「トリチウムの健康への影響は心配ありません」。言い切っているのですよ。だけれども、現地の人たちの動きを見たら違うでしょう。県連の漁協連だって、農協連だって、みんな反対して何とかやめてくれと動いているわけですから、この主張と真っ向から違ったことを第一次産業の人たちはやっているわけです。しかも、こういうふうに、いかにも食卓にその水を使っているかのようなイラスト、ここでは飲んでいるようなイラスト、こんなのを載せて、そして教育現場に持ち込むと。配って授業しないからいいのだという話では私はないと思うのです。私、これ、今さら回収できませんという教育長の気持ちはわからなくはないけれども、立場上。わからなくはないですけれども、こういう国論を二分するような問題については、相当やっぱり注意深く扱って吟味してほしいと。今回びっくりしたのは、教育委員会に現物、大抵は副読本が教育委員会にあって、こういう副読本というのがあって、違うでしょう、今回はね。文科省から直接小中学校にダイレクトに送られて、そして、あとは小中学校にお任せですよね。こういうあり方は教育の現場にあってはならないというふうに思うのです。だから、そういう点では、今後そういう副読本が出たり、あるいはもうちょっと考えて、こういう二分するような意見が対立しているかのような副読本やチラシが教育現場に下ろされてきたときに、判断していただきたいなと。吟味していただきたいなと。さっき、繰り返しませんが、現地の農民や漁民の人たちは、あるいは教育委員会は、そういうことを吟味して配らなかったり回収したり、あるいは教育現場になじまないと言ったりする意見を持っているわけですから、ぜひそういう注意深い教育を行っていただきたいなというふうに思うのですが、最後にいかがですか。

答弁 教育長 島田哲男(教育長は2022年9月まで)

副読本の部分については、議員ご指摘のとおり、教育委員会の部分では、そのもの自体が送られてきていない状態でした。機会がありましたら、道教委を含めて、通知は道教委のほうから来たものですから、そういった分の副読本あるいは配布する部分で直接でなくて、教育委員会を通して内容部分を送付していただくような機会があったら発言をしていきたいというふうに思います。要望していきたいと思います。それから、本当に福島第一原発の事故に関わっては、いろんなデリケートな問題が大きくあると思います。それぞれ福島を中心とした原発事故で被災された方々の部分については、非常に苦しい分が多くあると思います。復興するためにどういった形が私たちにできるかという部分も大事なことだと思いますし、一人一人がこのことに向かい合っていかないとならないというふうに思っております。そういった部分では、これから次代を担う子供たちにどういった復興の部分で問題点あるいは復興でどういう形をするかという、いろんな部分での情報提供が必要というふうに考えております。そういった部分でいろんな考え方があるというか、捉え方というのがいろいろ出てくるかもしれませんけれども、実際に教育現場の中で、そういった現状の状況、それからそれぞれいじめとか差別の扱いにならないような、いろんな問題を抱えている中で、どう指導していくかというのは、各それぞれ教職員の方々に深く掘り下げた中で指導していただくことをこれから期待しているところでありますので、ご理解いただきたいと思います。

質問 8番 深見迪

今回の質問で、あえて私、町長の認識を伺ったのは、私たちの標茶町もやっぱり自分たちの身になってみれば、この放射能の恐ろしさというか、こういうことを全国のやっぱり第一次産業の人たちが自分のことのように考えていかなければならないのではないかなというふうに思ったから、認識を伺ったのです。副大臣が、副首相が「トリチウム水を飲んだって大丈夫なんだ、あんなもの」、そうしたら周りの人が「そうしたら飲んでみろよ、あんた」。そのまま沈黙してしまったということがありましたけれども、そういうものなのですよ。だから、ぜひ今教育長おっしゃったように、丁寧に教材を扱っていただきたいというふうに思います。

出典:標茶町議会 令和4年第1回定例会 2022年3月4日 議事録 PDF(46ページ) 間違いを知らせる