音更町議会 平成19年第1回定例会 2007年3月9日
教育基本法改正後、教育再生会議の第一次報告の具体化で、音更の教育への影響はどうなるかという問題
2007年3月9日、音更町議会の一般質問で、坂本武三議員が「教育基本法改正後、教育再生会議の第一次報告の具体化で、音更の教育への影響はどうなるかという問題」について質問し、教育長 高橋晃、教育部長 笹本悦夫が答弁しました。
- 質問者
- 坂本武三 議員
- 答弁者
- 教育長 高橋晃、教育部長 笹本悦夫
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は、議員が最初の質問で述べた言葉から取ったものです。
質問 9番 坂本武三
さきに通告しました二つの問題について、一問一答方式で質問をいたします。第1の問題は、教育基本法改正後、教育再生会議の第一次報告の具体化で、音更の教育への影響はどうなるかという問題であります。2006年、平成18年12月の臨時国会で、教育基本法の改正案が強行採決され、成立いたしました。教育現場の教職員を初め、教育研究者、広範な団体・個人の反対や慎重審議を求める世論を踏みにじって強行採決されたものであります。今回成立した改正教育基本法は、これから音更の教育にも大きな影響を与えるものであります。改正教育基本法の第2条で、国を愛する態度など、達成すべき徳目20余りを挙げております。内面的な価値を教育目標として法律に入れることは、憲法第19条で保障されている思想、良心の自由に違反するとの指摘があります。また、教育への権力的介入について、もともとの教育基本法第10条で、教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接責任を負うと厳しく禁じていましたが、改正基本法では、第16条で法律に基づいて行うとして、これは法律に基づけば、教育行政裁量で行う教育施策は何でも容認される、不当な支配に当たらないことになり、権力的介入を抑制する条文がなくなってしまったことが問題です。今後、改正された教育基本法に基づく具体化のため、学校教育法、地方教育行政法、教育免許法など多数の関連法規の改正案提出を今通常国会で進めるとともに、教育に関して事細かく定める教育振興基本計画を策定して、学習指導要領の改定を進めようとしています。これらの動きは、教育再生会議が司令塔の役割を果たし、既に第一次報告がなされました。この中で、ゆとり教育を見直して、授業時数の増加、全国学力調査の継続、習熟度別指導の拡充、学校選択制の導入を掲げております。当面、特に小学校6年生と中学3年生の全員を対象に全国一斉学力テストの実施が予定されています。この全国一斉学力テストが学校間競争を激化させ、学校選択制が導入されれば、学校の序列化につながり、教育の矛盾を深刻にすることが懸念されます。以上のことを踏まえて、次の質問をいたします。第1点は、教育再生会議の第一次報告で、ゆとり教育を見直し、学力の向上を図るとして、授業時間の10%増加、基礎基本の反復徹底を図ること、そのため、学習指導要領を改定することを働きかけるとしておりますが、一つ、事業時間の増加、二つ、習熟度別指導の拡充、三つ、学校選択制の導入について、現場の実態を踏まえてどのような見解か伺いたい。2点目は、2007年4月24日、全国一斉学力テストを実施することになっています。愛知県犬山市教育委員会は、これへの不参加という立場を明確にして、地方教育行政の自主性を示しています。一つ、町教育委員会として、全国一斉学力テストに参加する、しない、その点でどのような検討が行われたのか。二つ、実施する場合、学校名や個人名を書かないことも認めるべきである。三つ、学力テストの結果については、学校ごとの結果公表は行わない。四つ、学力テストについて、ある教職員組合は、非協力の態度を表明しておりますが、これにどのように対応するのか。以上についての見解を伺いたい。3点目は、教育委員会のあり方を抜本的に問い直すとして、各教育委員会、学校の役割分担と責任を明確にして、人事権を市町村教育委員会に移譲することを検討するとし、一方で、5万人以下の市町村教育委員会は広域に事務を処理できる統廃合を進めるとしています。音更町も対象になりますが、これについてどのように考えるか、見解を伺いたい。第2の問題は、放課後の子ども教室推進事業についてであります。小泉内閣のときに、文科省、厚労省が連携して創設された放課後子どもプランは、原則として、すべての小学校区に放課後の安全で健やかな活動場所を確保し、総合的な放課後対策とするとしたものが、その後、文科省の放課後子ども推進事業として、原則として、すべての小学校区で実施を視野に、平成19年度については1万小学校区、全国の約2分の1に相当しますが、その分の実施に必要な経費が予算計上されています。そこで、1点目、町教育委員会として、この事業についてどのように検討されているか。また、この事業についてどのように評価されているか、見解を伺いたい。以上の質問に対しての御答弁よろしくお願いいたします。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
1点目の教育再生会議第一次報告での本町の教育への影響についてお答えさせていただきます。「社会総がかりでの教育再生を~公教育再生の第一歩~」と題した第一次報告が、内閣に設置された教育再生会議からこのたび提出されました。第一次報告は、ゆとり教育を見直し学力を向上するなど七つからなる提言と、教員免許更新制の導入、教育委員会制度の抜本改革、暴力など反社会的行動の子供に対する指導のための法整備、そして、学習指導要領の改定など、四つの緊急対応についての報告がなされました。また、文部科学省の諮問機関であります中央教育審議会でも、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、教育職員免許法の教育関連3法の改正に向けた審議も現在進められているところでもあります。初めに、ゆとり教育を見直し、学力の向上についてどのような見解を持っているかについてでありますが、文部科学省では、現在、学習指導要領改定については、中央教育審議会の教育課程部会や教科分科会等で検討に着手しております。その答申を踏まえて、新指導要領を示したいとしております。これまでの審議会の議論で方向性が固まっているのは、授業時間数の増がありますが、教育再生が提言しました授業時間数の10%増や習熟度別指導の拡充につきましては、詰め込み教育ということではなく、基礎基本をしっかり教えることを最優先に、知識を生かす応用力と心豊かな児童生徒の育成を目指し、子供一人ひとりの能力を引き出すことが大切と考えており、今後、更に十分な議論を深めた中で改定に当たっていただきたいと考えています。また、学校選択制の導入につきましては、これまでの一般質問でもお答えさせていただいておりますが、選択制の持つ効果としましては、保護者の学校への関心が高まることにより、より開かれた学校づくりが期待でき、特色ある学校づくりにつながる。また、大きく期待されることは、教職員の意識改革につながることなどがあろうかと思っております。また、その一方では、学校間格差や学校の序列化が進むのではないか、あるいは、生徒移動に伴い、施設面も含め、安定した学校経営が難しくなるのではないか、更には、地域と一体となった取り組みや地域と学校との連携が希薄になりはしないか、学校に対する愛着心が薄れてしまうことがないかなどが懸念されているところであります。学校選択制の導入につきましては、大都市周辺では、私学とのかかわりの中である程度進んでいる実態にありますが、地方都市においてはいろいろな課題もあり、余り進んでいる状況とはなっておりませんが、専門家の意見を参考としながら動向を見きわめた中で慎重に考えていかなければならないことと思っております。次に、全国一斉学力学習状況調査の実施についてでありますが、文部科学省では、小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象に、全国学力学習状況調査を4月24日に実施することとしております。調査の目的は、児童生徒の学力、学習状況を把握、それを分析することにより、教育の結果を検証し改善を図る、更に、全国的な状況との関係において、自らの教育及び成果と課題を把握し、その改善に反映させるということから、本町においても教育委員会において決定し、参加することいたしました。調査結果の公表につきましては、国全体の状況、国立・公立・私立学校別状況、あるいは都道府県別の公立学校の状況などの範囲とし、個々の市町村名や学校名を明らかにした公表は行わないなど、学校間の序列化などにつながらないよう配慮された調査となっております。また、北海道教職員組合が組合員に非協力を指示しているとの新聞報道がされたところでありますが、本町におきましては、それぞれの先生方は調査の目的を十分理解していただき、実施していただけるものと考えております。次に、教育委員会の抜本的見直しについてどのように考えるかについてでありますが、第一次報告の提言において、教育再生のために教育委員会の再生が不可欠で、その存在意義を原点に立ち返り根本的に見直すとしています。その一つとして、文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校の役割と責任を明確にし、教育委員会の権限を見直す、小規模市町村の教育委員会に対しては、広域的に事務を処理できるよう、教育委員会の統廃合を進めるとしています。5万人以下の市町村教育委員会は統廃合となりますと、十勝は帯広市を除くと全ての町村が統合しなければならない状況となりますが、広い十勝にあってこのようなことが現実に可能なのかどうかは、これらの動向を慎重に見守っていかなければならないものと思っております。2点目の、放課後子ども教室推進事業についてお答えいたします。現在、国においては、少子化対策の一環として、平成19年度から放課後子ども教室推進事業、放課後子どもプランを実施することとしております。この事業は、原則として、全ての小学校区で放課後等の子どもの安全な居場所づくりを目的に、文部科学省の放課後子ども教室推進事業と厚生労働省の放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育所の両事業との整合性を図り、連携して実施しようとするものであります。放課後子ども教室推進事業は、大学生や退職教員、高齢者等、地域の方々のボランティアの協力のもとで、勉強やスポーツのほか、文化活動などを通して地域との交流を深める、あるいは、安全な子どもたちの居場所づくりにつなげようとするものであり、全国2万の小学校区のうち、19年度はその半分の約1万の小学校区のできるところから実施していくこととしており、国、道、市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担する仕組みになっております。この事業の具体的な内容等については、国の実施要綱や補助要綱をもとに、現在、北海道において一定の基準を検討されているということで、道では、6月の政策予算での提案予定と聞いております。管内の町村におきましても、大半の町村が具体的な要領が示されてから検討する状況にありますが、児童や保護者の意向、学童保育所とのかかわり、余裕教室のない学校での場所の確保、指導者の問題など、クリアしなければならないことも多くありますが、本町に合った放課後の子供対策を総合的にどう考えていくか、関係課とも十分連携の上、進めてまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと思います。
質問 9番 坂本武三
ただいま答弁をいただきましたので、それに基づいて一問一答方式で質問させていただきます。第1点目の教育再生会議で第一次報告が出されました。その主な要点は、答弁の中で示されたとおりでありますが、非常に膨大な一次報告でありますので、その中で、当面、音更の児童生徒にも大きな影響を与える問題と、もう一つは、教育委員会の統廃合を考える、見直すというような報告が出されているものですから、それに絞って私は今回質問するわけであります。そこで、この第一次報告の教育再生のための当面の取り組みとして、ゆとり教育を見直して学力向上を図る。そのために、授業時数の10%の増、基礎基本の反復徹底を図ることが強調されているわけです。そこで、これらについて、それぞれ教育長の答弁の中で、慎重な答弁だったと思うのです。一定の評価についてはデメリット、メリットを踏まえて御答弁しておりますので、私は、この問題について考える場合に、2002年から始まりました現行の学習指導要領、これが出るとすぐにゆとり教育が問題だと、そして、学力が低下するのではないかという不安と、また批判も出されてきたわけです。そういうことを踏まえて、今回の再生会議の報告になっていると理解しております。そういう点で、ちょっと質問、音更の現場を見た場合に、先生方、あるいは父母の皆さん、それから生徒の皆さんが、どんなふうに受けとめているのかなと、私はこのことを知りたかったのです。その点、最初にお答えください。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
今まで進めてきたゆとり教育が、世界的に見た学習調査で日本の子の教育力が落ちているという結果を踏まえて、いわゆる教科書の質と量も含めた見直しが必要ではないか、あるいは授業時間数をふやさなければならないということになってきていまして、今、これらのことが検討されていると思いますけれども、いずれにいたしましても、これから学習指導要領に反映される形になるかと思いますけれども、長期的な視野に立って、そしてしっかり先を見据えた中で、しっかりした道筋をつけてほしいというのが現場の本当の願いではないかと思います。ただ、我々は、学習指導要領に定められたものに従って現場では対応しなければならないことは御理解いただけると思いますけれども、こういう形がどのように反映されていくか慎重に受けとめていかなければなりませんけれども、そういう結果を受けとめて、音更町の教育現場で学習指導要領で決められた範囲の中でどういう特色を持った学習、あるいは学校教育を進めていくか、こういうことにしなければならないと思っております。いずれにしましても、まだ父兄やそういう人たちから意見を聞いているわけでもございませんし、どういう状況にあるか承知しておりませんけれども、いずれにしても、これらのことを慎重に学習指導要領に反映させて、そして、ぶれない、先を見た方針をしっかりと立ててもらうことが大事だなと考えているところでございます。
質問 9番 坂本武三
ゆとり教育の問題については、現行の学習指導要領が決められるときに、中央教育審議会でも慎重に審議をして、そして、それまでの学力の問題では、読み、書き、計算、そして詰め込み教育が少し強かったのではないかというような反省の上に立って改定されたと思うのですよ。ところが、これが出された直後に、今、教育長が触れられておりました、俗にPISAと呼ばれている国際学習到達度調査ですね。41カ国が参加しておりまして、ここで学力調査が行われました。これは2000年に第1回目、そして2003年が2回目なのです。ところが、2000年と比べますと日本の児童生徒の学力が低下したということで、これは大変なことだと問題提起がなされました。それに対して、当時の中山文部大臣がこのように述べているのです。日本の子供たちの学力が、前回調査したときよりも下がった。今の子供は勉強しない。基礎基本の徹底を図る必要がある。子供たちに社会に出たら厳しい競争の世界が待っていることを自覚させ、互いに切磋琢磨して学び合う環境をつくり、世界のトップレベルの学力の復活を目指さなければならない。詰め込むだけではなくて、たたき込むことが必要だ。こういう発言をなさいました。しかし、現場の先生方は、指導要領のゆとり教育とは言っても、現実的には決してゆとりのある教育だとは考えておりません。しかし、総合的な学習といったものについては、詰め込みではなくて、子供たちに問題を考えさせて、そしてそれを解決する能力を養う、そういう点で極めて重要だという認識は大体定着していると思うのです。ですから、これらを否定するような発言を当時の文部大臣はしているのです。これは問題だと思います。今、現場の先生がどう考えているかというのは、全国的にいろいろな研究会をやっておりまして、そういう中で実践を持ち寄って討議をしているのですよ。しかし、父母もそこに参加していますが、なかなか父母の考えを正確につかむことができないかもしれません。それから、生徒がどう考えるかということもなかなかつかみにくいのですけれども、この当時の文部大臣の発言に対して、現場では、これは問題だと認識しまして、東京のある中学校は、学年団で議論いたしまして、そして子供たちがどう受けとめているかをきちっとアンケートをとり議論している、こういう実践があるのです。これは貴重な実践だということで、全国の教研集会でも発表されたものです。ちょっとそれを紹介しますと、教育改革に対して生徒にあなたの意見を聞かせてください。土曜日が毎週休みになり、以前の教科書と比べれば薄くなり、総合学習なども入ってきました。この変化をどう思いますか。賛成、反対、どちらでもない、三つの設問に対して、この学年は120名の学年なのですが、そのうちの70%が賛成、そして、あとの30%は、反対15%、どちらでもない15%、こういう結果が出ております。そして、この変化で学力が低下したと言われていますが、このことについてどう思いますか。生徒がたくさん答えております。時間がありませんから二つだけ紹介しておきます。土曜日が休みになったり、総合学習が入ってきたことで、確かに授業数が減り、教えるペースが早いと思ったりすることはあります。でも、私はこの変化についてはよいと思います。総合などを通して、自分の将来について興味のあることを見つけたり、地域との交流も深まるからです。授業では教えてもらえないことや、人から教わるのではなく、自分で調べるということが一人ひとりを大きく伸ばしていくと思います。だから私は、この変化がすべて学力低下につながるとは考えておりません。こう言っています。それから、もう一人の生徒は、こういうことを言っています。クラスの人数を少なくすることで、授業のときにももっと一人ひとりに質問や話し合わせることが必要だと思います。中山大臣は、競わせることが必要と言っていますが、私はそれだけがすべてではないと思います。他人の人と競わせて勝ちたいから勉強するのではありません。一時的にはすぐ効果が上がって学力が上がるかもしれませんが、本当の意味で自分がどうして勉強するのかがわからない限り、また学力は低下します。こういう子供たちの声を踏まえて、ゆとり教育、特に総合的な学習といったものを引き続き大事にしていかなければいけないのではないかと私は考えております。授業時間の増加、それから習熟度別の指導の拡充、学校選択制の導入、これらについて後で私の考えを述べたいと思いますが、昨年の教育基本法の改正で、通常国会で随分議論されました。そして、秋の臨時国会で成立したわけですけれども、私はその通常国会の議論の中で、旧教育基本法というのは極めて重要だと、改正する必要がないという立場からの論議がいろいろありまして、その中で、フィンランドの教育と日本の教育を比較しながら、今の基本法を守らなければならないという論議があられました。特にフィンランドの教育について、いろいろな学者が紹介してくれているのです。その後、そんな文献も読みながら、フィンランドに日本の教育基本法の姿を見出すことができるという報告もあります。全く日本のそれまでの教育基本法の考え方や、それに基づく教育実践、教育行政、それが見事フィンランドで実現していることを知りました。これは大変有名になってきておりますので、その点で、教育長あたりが日本の教育とフィンランドの教育を比較して何か御存じであれば、ちょっと御見解を伺いたいと思います。これはちょっと通告外ですか。
質問 9番 坂本武三
国会で議論された内容をまとめますと、こんなふうになるのですよ。フィンランドは授業時数についていえば日本よりも少ないです。それで世界でトップの学力を示している。それから、習熟度別指導も最初やっていたのですけれども、1985年に廃止しております。それから、学校選択制なんていうのはもともととっておりません。それで、子供たちを競わせる指導の仕方はしておりません。ですから、1年生から中学3年生、15歳まで、一切テストは行わないのです。そして、学校と教師の自由、そして子供たちの自主性を最大限尊重する教育を行っているのです。こういう教育改革は、1970年初めに行われるのですが、それまではアメリカやイギリスやヨーロッパの教育制度を参考にやってきたのですが、いろいろ矛盾が出て、それで改革するわけですが、それに日本の教育基本法を参考にして改革をしたということです。その教育基本法の何を参考にしたかと申しますと、前文と、そして教育の目的、方針、特に3条ですね、ここには、すべての国民は等しくその能力に応ずる教育を受ける機会を与えなければならない、そして、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない、この3条をまともに受けとめて教育行政を実施してまいりました。ですから、もちろん高校卒業まで教育費は無料、給食費も無料であります。そして、フィンランドは泉と森林の国、そして山村が多いですから、例えば100キロ離れている子供が通学する、その100キロのタクシー券をちゃんと配付して、無料で毎日通わせている。こういう手厚い保障をしているのです。そして、テストをしないですから、どうやって学力を見るのかという問題がありますが、これは、グループ学習をやって、そして子供たち同士で学び合う。学び合うときにいろいろな問題を先生が問いかける。こういうことをやって、そして、1週間ごとに子供たちに自己評価をさせる。それを真剣に先生は見るのですね。何が問題か次の週にちゃんと明らかにして問題を提起していく。そのことを最初に紹介したのは、早稲田大学の中嶋先生です。それから、都留文科大学の福島先生は、1年半向こうへ行きまして、子供たちと一緒に学びながら、先生方や教育関係者と議論しながらそれをまとめております。そうしますと、とにかくスピードが遅い、日本の3分の1ぐらいだと。こんなことで学習になるのだろうかと最初は思ったそうですが、先生方の知識や教育力が非常に高くて成果を上げている。北海道の教職員は10%賃金を下げられました。しかし、最近、フィンランドでは、教職員の給与を10%上げました。先生方を保障しながら頑張ってもらう、こういうフィンランドの教育です。これと、今の日本の教育はどうなのかということですね。ですから、本当に学力を上げたい、そして世界のトップレベルの学力を身につけさせたいというのであれば、そういったフィンランドの教育なんかを参考にすべきだと考えるわけです。その点で、今度の教育再生会議では、しっかりいろいろな報告を受けながらも、まともに議論をしていない。これは公開されていないわけだから正確にはわからないのだが、私は日本教育新聞を読んでおりまして、再生会議の委員の皆さんがいろいろインタビューを受けているのですが、それを見るとまともな議論をしていないなと思うのです。そこで、私は、方向として、今言ったようなフィンランドの教育を参考にすべきだ。これは国会でも提起されているわけですし、それから、後で紹介しますが、教育再生会議の内容を見て、すぐに東大の本田助教授が教育雑誌に投稿しておりますけれども、これは大変なことだという指摘があります。そんなことで、今の日本の教育とフィンランドの教育、これを私は若干比較したわけですけれども、そういう方向が大事ではないかと考えるのですけれども、教育長、何かそれについての考えがありましたら答弁いただきたいと思います。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
私、具体的にフィンランドの教育のあり方というのは承知しておりませんので、お答えすることができないのですけれども、国際学力到達度調査を、議員がおっしゃられたように2000年と2003年にやっているのですね。2000年にやった時点では日本の教育はそれなりの位置にあったのですけれども、2003年には落ちている傾向にあるということで、フィンランドの教育はいずれもトップクラスのところにありますから、そういうことなのだろうと思います。そういう議論は教育再生会議とか国のほうで必要だとは思いますけれども、いずれにしても、我々は学習指導要領に基づいた範囲の中でやらなければならない立場にありますから、そんなことで十分フィンランドの教育については参考としなければならないことは多々あろうかと思いますけれども、我々は学習指導要領の範囲の中でやらなければならない立場にありますから、そんなことで、その範疇で音更のあるべき教育、あるいは音更らしい特徴ある教育を進めなければならないだろうと考えております。答えにならないと思いますけれども、そんなことでお許しをいただきたいと思います。
質問 9番 坂本武三
それでは、授業時数、習熟度別指導の拡充と学校選択制について、先ほど言いましたように、いろいろな研究者、学者がきちんと研究しておりますので、それらをしっかり踏まえて、これからいろいろ議論しなければならないのですよ。ですから、その参考にしていただきたいということで、教育社会学を専門にしている本田東京大学助教授は、授業時数の増大については、これで学力の向上につながるのかという指摘をしております。文科省の委託を受けた研究グループが学校の授業時数と国際学力調査を分析した結果、きちっと中教審に報告しているのです。その報告は何かといいますと、授業時数と国際学習到達度調査の成績の間には関連は認められない、こういう報告をしています。特に、この国際学力調査の成績の上位にある国々は、授業時数は決して多くない。フィンランドは日本の授業時数よりも少ないです。それでトップなのです。そういう事実をしっかり踏まえてほしいということを報告しています。学力向上のため、授業時数増加を持ち出す必然性はないと報告しております。それでは、今の子供たちの学力が以前と比べて低下しているのかという問題ですけれども、これもきっちり平成3年度に小中学校の教育課程実施状況調査報告というのもしているのです。それによると、低下していることはないという報告なのです。ただし、大事なことは、日本の児童生徒の間の学力の格差は広がっている。そして、その下のほうの児童生徒が底抜ける心配があるという報告もしている。例えば、アメリカで習熟度別学習をずっとやりました。そうしたら、家計が大変苦しい家庭、特に黒人の子供たちが学力の低いグループ入るのです。そうしたら、その学力は向上しない、固定されて動かないというのです。そういう経験からも、フィンランドではやめたのですけれども、そういう下のほうの学力の児童生徒がそのまま固定化される心配があるということです。だから、グループ別にしない、習熟度別にしないことが大事だということを本田先生は言っておりまして、問題は、量、時間をふやすことではなくて、質の問題だと指摘しておりますので、そういうのを参考にしていただきたいと思います。次、2点目、全国一斉学力テストですけれども、これは1961年から4年間、実は実施したのですよ。だけれども、それは廃止になりました。それをまた復活させる方向ですが、教育長にちょっと質問したいのですが、なぜ中止になったかについて何かとらえておられれば見解を教えてほしいと思います。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
以前に学力調査をして中止になった経過がございますけれども、いわゆる学校ごとの格差といいますか、そういうものが見られるとか、いろいろ何点かの要点があって中断されたと聞いております。詳しくは承知しておりませんけれども、そういう問題点があったということで中止されているというふうには記憶しております。
質問 9番 坂本武三
いろいろ問題があって中止になったのだと思いますで、基本は、当時の教職員や父母の皆さんの反対の意向が非常に強かったのです。そして、不正が行われたことが明らかになりました。それはどういうことかといいますと、成績の結果が公表されるものですから、試験を受けなくてもいいよ、いや、受けないほうがいいとか、いろいろな子供に対する圧力があったという事実が、その後、明らかになりました。それが大きな批判の的になったと私は理解しております。ですから、今回行う場合、そういう前回の学力テストの反省の上に立って実施するのであれば実施してほしいということです。そういう経験がありますから、一斉にある学年の児童生徒を対象にするのではなくて、これも教育学者は本当に学力を分析して、そしていろいろな指導の改善に当たるのであれば、5万人の児童生徒を抽出してやれば十分だと言っています。その根拠は、この国際学習調達度調査です。これは全国の学年一斉に調査したなんて聞いたことございませんでしょう、これは抽出ですから。それこそ5万人の母集団を大体基礎にして協力しているのです。それで十分調査の結果が国際的に信用されているわけです。それで十分ではないかと思うのですが、本町では参加すると決めたようですから、そこで、学校名や個人名は書かないことと、それから、結果については学校ごとに公表しないという点は確認してよろしゅうございますか。再度確認お願いします。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
議員がおっしゃられている文科省が行う全国学力学習調査、これは強制ではありませんで、各市町村教育委員会がやる、やらないを決定する形になっています。十勝管内では、教育長会議でも必要があるとして管内的には全部実施する、今聞くところによると、北海道では全部の教育委員会がやることになっているようでございまして、音更町の教育委員会がこの学力テストをやるという意思決定をしまして、実施するものでございます。そんなことで、この学力調査そのものは、普通の試験で100点満点で何点をとったという学力調査ではなくて、読解力があるかとか、あるいは、数学であれば応用力があるかとか、いわゆるマル、バツだとか、答えを引き出すものばかりでなくて、一定の基礎学力の部分はありますけれども、自分で判断して、例えば何字以内で自分の考え方を書きなさいとか、そういう学力調査で、何点、何点という一般的な学力調査とは違う、私も中身はまだ見ていませんし、見られる状況にありませんけれども、そういう調査だと言われています。そんなことで実施するわけでございますけれども、国レベルでの調査ですから、日本レベルでの日本の子供たちの学力がどういう程度にあるか、あるいは、どういう実態にあるかという調査でございますから、国レベルでの評価はもちろんしますし、地域ごとにと言っていますけれども、恐らく都道府県単位だと思います。そういう範囲の中での評点はされるのだろうと思っています。ただ、管内的に音更町はなんぼだとか、隣の町はなんぼだとかということはしませんし、音更町の中でも、学校ごとに個々の学校はどうだ、これもするつもりはございません。終わった後に評価されてきまして、学校ごとにどういう状況にあるかは教育委員会なり学校は押さえることができますから、それを回答といったらいいのかどうか、子供たちがこういう問題はこういうことが正しいのだよというようなことはやると思いますけれども、このクラスの中でどうこうという話をするものではありませんし、一人ひとりの学力を公表するものでもありません。国がやることですから、私ども、言われていることしか当然できませんけれども、いわゆる国レベル、あるいは地域ごと、その範疇では公表するということが言われていますので、恐らく都道府県別ぐらいでの公表はされるのだろうなと。管内別にはどうなのかな、恐らくされないのだろうなと思いますけれども、地域別というような言い方をしています。もちろん、公表については市町村に任されている部分もありますけれども、音更町としてはそれ以上の公表をするつもりはないと考えております。
質問 9番 坂本武三
今の答弁に関連しまして、前回の学力検査の反省の上にも立っているのかなと受けとめましたが、既に昨年12月に全国抽出して予備調査を行っております。そういう中で、個人情報とのかかわり合いも出てきているようですので、今、答弁があったのは、おそらく文科省からマニュアルが1月に出ておりますから、それらを踏まえておられるのだろうと思いますので、4月24日までの取り組みはどんなふうになるのか。そして、終わった後、今言った成績の結果なんかがいつごろ出るのかということ。それから、もう一つ、今、個人情報の問題です。実はこれは国会でも問題になりましたが、これは文科省が業者に委託するわけです。委託先はベネッセコーポレーションです。進研ゼミというのがありますが、北海道でも大変大手の受験にかかわる業者ですけれども、そこに委託する。それから、もう一つはNTTデータです。この2社に委託するそうですが、ここでいろいろな情報を得ることができる仕掛けになるわけで、そこに学校名だとか、それから個人名、それから、調査の中に学力とは別の調査項目も入っていると聞きますので、そこら辺を心配する問題もありまして、そこら辺は厳重に規制しないといけないということですが、その辺は本町の教育委員会ではどんなふうに受けとめておられるのですか。
答弁 教育長 高橋晃(教育長は2007年3月まで)
今回の学力調査は、読解力だとかそういうものをあれするということで、国語、算数、そして今おっしゃられました児童の質問調査というのがあります。児童の質問調査というのは、こんな中身のようでございます。1日に何時間ぐらいテレビを見ますかとか、どのぐらい本を読みますか、塾に通っていますか、朝御飯はちゃんと食べていますか、こういうようないわゆる生活態度というようなものも含めて実態をつかまえる調査、それが国語と算数のほかに児童の質問調査があるようになっています。それと、スケジュールでございますけれども、今、議員がおっしゃられたとおり、1月下旬に既にこの学力調査を実施するに当たっての方法などを記したマニュアルが届いていまして、これにつきましては学校に届いていまして、先生方も目を通されて、当日にちゃんとできるような状態になっております。それから、調査用紙につきましては、昨日は札幌でこの学力調査の担当者の説明会議がございました。学力調査用紙につきましては、4月24日が調査日でございますから、前日に文科相から学力調査を委託されているところから直接学校に届くようになっています。そして24日に調査して、25日には、いわゆるジュラルミンのこういう箱に各校ごとに入れて持っていく、届くのも返すのもそうなっていますけれども、また、委託業者が各学校に行ってそれを回収する。教育委員会は目を通さない、学校に直接届いて、直接持っていく仕組みになっていまして、4月25日には回答用紙が回収されていくということでございます。その後の調査結果の公表でございますけれども、おおむね9月ぐらいをめどに公表できるのではないかというようになっております。
質問 9番 坂本武三
具体的な実施の内容については理解できました。私が心配したのは、結果がいつ公表されるかという問題ですけれども、PISA、国際学力調査の場合は1年後なのです。そうしますと、例えば、6年生と中学3年生ですと、1年後に発表になりますと、もう既にその結果に基づいた指導はできなくなるものですから、本当に文科相は結果を分析して、それをどう現場に返していくかということが大事ですから、そういう点で、9月に発表になるということは、それなりに活用できるのかと思います。そこで、次に、二つ目の問題です。どういう検討をされているのか、そして、この事業をどのように評価するのかという点については、これからということです。いろいろ検討も含めまして、今年、知事選もある関係でちょっと遅れているのだろうと思いますので、その辺はやむを得ないかなと思います。それで、問題点も指摘されておりますので、その点を十分踏まえて検討していただきたいということです。この問題については、既に教育長の答弁の中にもあり、私も質問のときに触れましたけれども、小泉内閣の時代に文科相と厚労省が連携しながら子供たちの放課後の安全・安心、健やかな放課後の活動場所を確保するということで、国が全額を持って実施してきた事業です。そういう経過がありますので、全国的な放課後事業、子どもプランと呼んでおりましたが、この実態がいろいろなところから入ってきております。教職員組合というと日教組が有名ですが、それとは別に、大学の教職員、そして小、中、高の先生方の全日本教職員組合という組織があります。そこでこの問題について調査して集約しているのです。そうしますと、特徴的なのは、放課後でしょう。そうすると、あくまでも退職教員だとか、それから地域のボランティア、都会で言えば大学生などを活用しまして、いろいろ取り組んでもらった。だけれども、放課後、そういう人たちが協力してくれているのだけれども、先生方が、はい、全部お任せしますとはなりません。先生方の負担が非常に大きくなっているという報告がされているのです。これが一つです。それから、もう一つは、学童保育所をこれに肩がわりさせるところが出てきているのです。こちらのほうが安上がりだということで、切り替えるところが出てきているということであります。そうしますと、先生方の負担がふえるし、逆に学童保育所の今まで積み重ねてきた実績が失われていく問題があるということが報告されております。これを実際に実施する場合には、運営委員会というような組織を立ち上げて、そして、そこで責任を持つことになるのだろうと思いますが、今言ったような実態を踏まえて、そういうこともあると考えて検討していただきたいということです。その点について、最後、答弁をお願いします。
答弁 教育部長 笹本悦夫(教育部長は2007年3月まで)
基本的には国で考え出してやりましたのは、今、議員が言われたとおり、文科省と両方の事業を出してございまして、その中身がどうにかして一本化されるという考え方で今進められているようでございます。そういった意味では、文科省で考えている事業そのものは、学校のあき教室等を利用することが中心になっておりまして、その中で、基本的には学校現場には迷惑はかけないという言い方をしていますが、学校のあき教室を利用することになりますと、私どもとしては、そう単純にはいかないのではないかと思っております。体育館、あき教室、それから校庭、ここを利用して云々ということでございますから、低学年が仮にそういう制度に乗ってやるとした場合、その後、高学年は授業をやっていますから、当然、授業をやるということは体育館も校庭も使う絡み合いとか、いろいろなものが出てまいります。学校現場との協議はしていかなければならないだろうと思っておりまして、運営委員会の中で教育サイド、民生サイド両方入って、当然、学校現場も入ってもらわなければならないと思いますが、そういう中で差しさわりなくやっていけるよう、今言われた点の検討を十分進めてまいりたいと考えているところでございます。休憩(午後 2時31分)