浜中町議会 令和8年第2回定例会 2026年6月11日
1次産業と観光業の連携による地域経済の持続可能な発展について
2026年6月11日、浜中町議会の一般質問で、渡部貴士議員が「1次産業と観光業の連携による地域経済の持続可能な発展について」質問し、水産課長 東海林圭太、商工観光課長 赤石俊行が答弁しました。
- 質問者
- 渡部貴士 議員
- 答弁者
- 水産課長 東海林圭太、商工観光課長 赤石俊行
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 7番 渡部貴士
通告書に沿って質問させていただきます。1次産業と観光業の連携による地域経済の持続可能な発展についてお伺いさせていただきます。海水温の上昇による昆布資源の減少が深刻化しており、今年は棹前昆布漁の中止という事態に至りました。漁業従事者の多くが昆布漁である本町においては、漁業収入の不安定化、後継者不足、観光受皿不足という複合的な問題に対し、漁業と観光、加工、販売を組み合わせた複合経営モデルなど、抜本的な改革が必要であると思われます。1、昆布資源の減少への対応と漁業者の所得安定化、複合経営支援についてお伺いいたします。(1)ですが、海水温上昇による昆布資源の減少について、町の現状認識と道、漁協と連携した資源回復や養殖昆布などの検討状況についてお伺いいたします。
答弁 水産課長 東海林圭太
初めに、海水温上昇による昆布資源の減少について、町の現状認識をお答えいたします。昆布資源の減少についてですが、近年の地球温暖化などにより、海水温が上昇し、北海道をはじめとする沿岸で天然昆布を中心に生産量が激減しております。特に影響を受けたのが令和6年度の生産量で、北海道では前年度対比約30%の減、根室管内では57%の減、釧路管内では43%の減となり、道東においては全道平均を大きく上回る生産量の減少となりました。本町においても、令和6年度では前年度対比約37%減となり、過去に例がないほど生産量が落ち込みました。これは、浜中町の沿岸は冷たくて栄養豊富な親潮が太平洋を南下する海域で、夏でも本来であれば20度を超えることがありませんでしたが、近年の海水温の上昇、さらには、黒潮由来の暖水渦の北上によって親潮の勢力が弱まり、令和5年度は海水温が平均を大きく上回り、20度を超える日が数日間続きました。昆布は一般的に海水温が15度以下で生育され、高水温には非常に弱い性質と言われておりますが、この年の高水温により1年草の昆布が成長できず、枯れてしまったり、高水温によってより弱った昆布の根の保持力が弱まり、秋のしけ等で根こそぎ昆布が流されてしまったりした結果、翌年度の令和6年度の生産量に大きな影響を与えました。このことに加え、次の世代の種である遊走子と呼ばれる胞子が岩盤などに定着して芽吹くには10度前後の海水温が適温とされておりますが、秋になっても海が冷え切らなかったことにより、胞子の成長や岩盤への着生ができないという事態が起きました。その結果、町長の行政報告にもありましたが、今年度、両漁協が5月下旬に調査を行ったところ、昆布の生育状況が思わしくないことから、棹前昆布漁を中止することになりました。したがいまして、本町の資源は、年々、減少傾向でありましたが、特に近年の減少は海水温の上昇やそれによる環境変化によって予想もできないほどの事態であったと認識しております。次に、北海道、漁協と連携した資源回復の状況ですが、まずは現在実施している昆布資源や昆布漁場を回復、保全する事業を継続することとしております。一つ目は洗耕機による雑海藻駆除ですが、これは国の漁場生産力・水産多面的機能強化対策事業を活用し、実施団体としては、漁業者で構成する団体が行い、国、道、町がそれぞれ支援することとしております。二つ目ですが、昆布資源を枯渇させないということで、漁場を幾つかの区分に分け、禁漁区をつくることで漁獲制限を行うことのほか、棹前昆布漁を中止し、夏場の成昆布漁の資源を残すことで昆布資源の回復を図っているところです。次に、新たな取組としましては、北大と浜中・散布漁協の連携により、昆布胞子の保全への取組などを行っております。北大の室蘭臨海実験所では、何年もの間、昆布の胞子を無菌状態で保存する技術があることから、本町のナガコンブの胞子を採集し、保存することで本町の純粋な遺伝子を絶やさずに永久保存する取組のほか、高温耐性を有している胞子を選抜し、培養することなどを試験的に行っており、今後、その胞子の活用方法について協議、検討されていくものとなっております。また、釧路地区水産技術普及指導所と両漁協、さらには、町が加わりまして、昆布のほか、ホッキやアサリ、ホッカイシマエビ、エゾバフンウニなど、浜中町の沿岸で漁がある様々なものに対し、資源量調査や漁場環境調査を行い、助言や指導、支援をいただきながら資源保全・回復に努めているところであります。次に、養殖昆布などの検討状況ですが、令和4年度から浜中漁協の青壮年部がオニコンブの養殖試験を実施しております。これは、近年の海水温の上昇により、今後、昆布資源の減少が想定されており、それに対応すべく、釧路地区水産技術普及指導所と連携して実施しているもので、この活動については町の職員も参加させていただいております。この試験の養殖は、ロープに昆布の種苗を養成し、沖合と湾内の養殖施設で成長させるもので、令和7年度の収穫では、乾燥重量で沖施設で126.6キログラム、湾施設では32キログラムの収穫となり、年々、成果がよくなってきていることから、町としては、今後におきましてもしっかりと連携しながら支援してまいりたいと思っております。また、両漁協との養殖昆布の検討状況としましては、ナガコンブは、名前のごとく長いという特性から養殖に適さないということで、まだ養殖の事例がほとんどありません。このことについては、今後、研究機関により具現化が進んでいくものと思っておりますが、仮に現在の昆布漁を養殖昆布漁に移行するとした場合、まずは漁場調整という課題があります。浜中漁協では、浜中湾、琵琶瀬湾がありますが、他の業種で埋まっており、さらには、現在の昆布漁の生産量を補う養殖施設を設置する場合、湾内には到底収まらないことが想定されます。また、散布漁協には湾がないことから、両漁協とも沖合での養殖が想定されますが、養殖施設は波やしけなどに弱い性質もあり、沖合の養殖は適さないという知見もあります。さらには、昆布漁の手法も大幅に変わることから、漁業者の理解も不可欠であります。そのほかにも課題があることから、すぐに養殖を運用することには至っておりませんが、昆布の減少がさらに深刻さを増す可能性も視野に入れ、例えば、道南や日高などの養殖現場の視察などをし、研修すること、北海道や研究機関との連携により、養殖、さらには、天然昆布の資源保全について、新たな技術の導入なども視野に入れながら最悪の事態に備えていくこととしております。いずれにしましても、まずは昆布資源の回復、保全に全力を傾けながら新たな施策について協議、検討を重ね、各漁協を中心に関係機関と連携しながら今後も取り組んでまいりたいと思っております。
質問 7番 渡部貴士
ただいま、大変詳しく説明をいただきました。私は、数年前にUターンして漁業を継承しました。ちょうどその頃でしょうか、これからは気候変動や海水温の上昇によって昆布が消滅する時代が来るかもしれないと報道され、まさか、信じられないという思いでいたのですけれども、それから十数年がたち、実際にそういう状況を迎えつつあるのかなと大変心配な中、今シーズンを迎えたところでした。それで今回このような質問をさせていただいたのですけれども、両漁協で養殖業などの気候変動に対応する漁業の継続の仕方を考え、青壮年部も取組に参加して進められているということでした。私も漁業者でありながら把握していないこともありましたので、ただいまの説明が大変ためになりました。では、次の質問をさせていただきます。(2)ですが、漁業者の副業、兼業(遊漁船・観光船業など)を支援するお考えはございませんでしょうか。
答弁 水産課長 東海林圭太
遊漁船や観光船産業などの副業、兼業を支援することについてです。まず、現在の漁業者の副業、兼業の支援の状況についてです。一つ目には、副業ということで、例えば、建設会社や加工場の事業所に従業員として従事する、または、出稼ぎで町外に出て仕事をするなどに対しましては、ハローワークなどとの連携により、求人情報の提供などを実施しております。二つ目には、兼業ということで、例えば、商店や飲食店、水産加工販売など、漁業とは別の事業として行う場合は、既存の創業支援事業補助や地域経済活性化促進奨励補助により、起業や設備、さらには、特産品の開発やパッケージ作成を支援しております。以上が現在までの取組となりますが、ご質問の遊漁船や観光船業に対する支援の考えについては、結論から申しますと、積極的に支援していくことには慎重にならざるを得ないと思っております。これは、漁業者との利害関係によるものです。漁業者は、法律に基づき漁業権を設定しておりまして、自らの費用を投じて漁場の管理、資源管理を行っております。一方で、遊漁船や観光船業は漁獲制限が非常に難しく、増えれば増えるほど水産資源の減少を招くおそれもあり、さらには、漁場調整の困難さ、加えて、漁場環境の悪化にもつながる懸念があります。また、近年では遊漁船や観光船業の重大事故が発生しておりまして、社会問題化しており、水産庁、国交省においては、法律改正を行い、むしろ規制強化を図っているところであります。そのようなことから、遊漁船や観光船業においては、人命を預かる旅客ビジネスであり、徹底した安全設備の導入、事故の際の保険加入などの事柄は事業者が自ら全体の経営に鑑みながら自己責任の下で行うことで事業者の安全に対する緊張感が保たれるものと考えております。したがいまして、町としましては、産業としての拡大には慎重にならざるを得ないことから、漁業者だけではなく、全町民が、一部の業種だけではなく、全ての業種において新たな事業に取り組めるよう、現在の支援策を推進してまいりたいと考えております。また、遊漁船や観光船業に対する許可や届出の申請は国や北海道に行うこととなっておりますので、遊漁船や観光船業の希望があれば、そちらをご案内することのほか、安全性を担保する設備の導入には一般社団法人の補助などもございますので、その案内などの間接的な支援に努めてまいりたいと思っております。
質問 7番 渡部貴士
今回、このようなご質問をさせていただいたのは、今年に限って棹前昆布漁が中止になったのではなく、数年前にもあったからです。今後、資源の量が減るとなったとき、私自身もそうですが、漁業者としては6月の棹前漁がなくなったときに当初見込んでいた収入がなくなるわけですよね。それを補塡する何かを考えたとき、補助をくれではなく、浜中で不足しているもの、例えば、地域の課題である観光業に漁師が持っている漁船、操船技術、知識といった既存の資産を生かせる副業に参入しやすいのではないか、所得を多様化することに有効ではないかと思ったのです。多くの漁業者の方が既に漁業とは全く別の業種の仕事をされていたり、漁業者でありながら、ウニやホッキなど、昆布以外のほかの魚種も営まれたりして棹前漁業が中止になったことによる所得の損失はおのおので補えているのかもしれませんが、資源が減少してきたことが課題かなと思いまして、今回、このような質問をさせていただきました。大変詳しくご答弁をいただきましたので、承知しました。次の質問に移らせていただきます。2、観光受皿の整備と複合経営による担い手不足、制度化についてお伺いいたします。(1)ですが、空き家、空き部屋を活用した民泊の促進など、観光受皿整備に向け、町が許可取得支援、初期投資補助などをするお考えはございますか。
答弁 商工観光課長 赤石俊行
それでは、お答えいたします。空き家、空き部屋を活用した民泊の推進についてです。現在、空き家については、空き家バンクを通じて移住の促進や地域の活性化を推進しているところですけれども、ぜひ、こういったものも活用していただければなと思っておりますし、具体的な提案などがあれば協議できるかなと思っております。その取得支援や初期投資補助に対しても、物件を再利用して民泊や新たな事業を始めるということであれば、手続に関する助言のほか、新たな創業支援事業に対する補助として、その内容によっては補助支援ができることがあると思いますので、こういったお話があればこちらもぜひ活用していただければなと思っております。
質問 7番 渡部貴士
この質問は先ほどの質問と関連するのですけれども、補足をさせていただくと、棹前昆布漁がなくなって漁師の漁業所得が減り、それを副業で補うことができないか、先ほど申し上げた技術や知見などの資産を有効に使うという考えでさせていただきました。子どもが就職されて空き部屋のあるお宅が多いかと思うのです。地域の観光課題ということで申し上げると、宿泊施設が足りていないのかなと思います。地域おこし協力隊の発信により、キラーコンテンツのラッコを鑑賞しに来る観光客のお客様が今年はさらに増えています。私は観光客の方と触れ合う機会があるものですから、お伺いするのですが、地域の課題として、もう少し泊まるところあったほうがいい、今日、私たちはどこでご飯を食べたらいいのだろうか、お土産屋さんはないのかといった指摘を観光客の方から提案していただいています。課題があるということはチャンスだと思うのです。先ほどの話に戻りますが、漁師の知見や持っている資産を生かして副業に向かえないのかなということで今回このご質問をさせていただきました。投資への補助に関しては、町の創業支援などがありますので、そちらを有効に使ってくださいとご案内するということで承知しました。次に、(2)ですが、若い世代の担い手育成策として、漁業プラス観光、漁業プラス加工販売などの複合経営モデルを推進するお考えはございませんでしょうか。
答弁 水産課長 東海林圭太
先ほどの漁業者の兼業への回答とも重複する部分がありますが、例えば、観光業や加工場、さらには、小売店を起業する場合、現在の支援策である創業支援事業補助などで支援することとしておりますし、特産品の開発やパッケージ作成などは地域経済活性化促進奨励補助にて支援を行っております。この支援事業は、人口減少などにおける産業の弱体化を防ぐべく、まちの活性化を推進するものでありますので、漁業者だけではなく、全町民が新たな事業に取り組む場合の支援策であります。したがいまして、漁業者の兼業にも活用が可能な制度となっており、今までの実績としましても、漁業者が加工販売や飲食店などを起業する場合にこの制度を活用して新たな事業を行っておりますので、今後も同様に支援してまいりたいと考えております。
質問 7番 渡部貴士
質問の内容が先ほどのものと似ていますので、大体同じようなご答弁だったかと思います。ここに関しましても、同じ提案になってしまいますが、私自身、漁業者が持っている知見を地域の課題に向けて有効活用できないかと模索しています。個人ではなく、町なのか、観光協会のくくりになるのかは分かりません。ただ、先ほど先輩議員の一般質問の中でもありましたように、JR花咲線の存続に向けても観光業はとても重要なポイントであると思います。ましてや、私たちの浜中町は、今、ラッコがすんでくれたことによって観光客の方がこちらを向いてくれているタイミングであります。ですから、漁業に限らず、漁業に加え、もう一つ、一般的には6次化という言葉があると思いますが、それに1次産業の従事者が取り組みやすいような施策を提案していただけると個人もそちらに向きやすいということでご提案させていただきました。答弁としては承知しましたので、次の質問に移らせていただきます。