深川市議会 令和3年第2回定例会 2021年6月17日
家庭の社会経済的地位による教育格差
2021年6月17日、深川市議会の一般質問で、大前昭代議員が「家庭の社会経済的地位による教育格差」について質問し、教育部長 荒井幸治が答弁しました。
- 質問者
- 大前昭代 議員
- 答弁者
- 教育部長 荒井幸治
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 5番 大前昭代
次の質問に移らせていただきます。家庭の社会経済的地位による教育格差について伺います。令和元年第2回定例会でも私は教育格差について質問させていただきました。子供の学力は、本人の能力と努力に依存するものですが、親の年収によって学習環境や教育機会の不平等が生じている実態と支援策に対しての質問でした。当時は、まだ新型コロナウイルスも発生しておりませんでしたし、新型コロナウイルスの出現によって学校を一時的とはいえ休業する事態になるなど、全く想定していませんでした。そして、いまだにはびこるコロナ禍により、教育現場では様々な課題が指摘されることも出てきており、その中でも懸念されるのが、やはり教育格差です。この教育格差という言葉の定義について、教育格差を専門的に研究されている早稲田大学の松岡准教授が説明されているものがありましたので、少し紹介させていただきます。「教育格差は学習機会の有無や学力の高低のような結果の差ではなく、子供本人に変えることができない初期条件である「生まれ」と結果に関連があることを意味します。様々な「生まれ」がありますが、中でも出身家庭の社会経済的地位と出身地域は主要な初期条件です。この「生まれ」によって、教育成果、学力や学歴などに違いがあることを教育格差と呼びます。出身家庭の社会経済的地位は文化的・経済的・社会的な要素を統合した概念で、親の学歴・世帯収入・職業などで構成されていて、高いほど子供の教育にとって有利な条件と言えます。」と説明されていました。つまり、教育格差とは、みんなが同じ結果、点数や順位、学歴になればよいという意味ではなく、あくまでも出身家庭の社会経済的地位や出身地域といった「生まれ」によって結果に差があるということを示しているのです。2019年に延べ64の国、地域の小学4年生と中学2年生が参加し、4年に一度実施している国際数学・理科教育動向調査で、日本の順位は算数・理科で3位から5位で、前回と比べてあまり変わらなかった結果になっていました。松岡准教授はこの結果を、初回1995年実施の調査結果と比べて、「学力が有意義に上がったといっても大きく向上したわけではない。」、そして「厳密な比較はできないが、家庭の社会経済的地位による学力の差が縮んでいるようには見えない。追加で具体的な対策を打たなければ教育格差の放置を意味する。」とおっしゃっていました。また、福岡教育大学の川口准教授も「国際学力調査の前提には、家庭環境の違いによる学力格差がある。社会が生んだ格差の埋め合わせを学校だけに求めるのは無理がある。」とおっしゃっていました。日本全体を対象とした調査のデータを分析すると、「生まれ」と学歴の関連は、多少の強弱の変動はありますが、全ての世代・性別において確認できているようです。もちろん、恵まれない家庭や地方出身でも社会的な成功を収める人たちはいますし、都会と地方の差もあるでしょうが、日本全体を対象とする調査から浮かび上がる全体の傾向として、「生まれ」によって人生の可能性が制限されてきた実態が表れているのだと思います。そして、教育格差と深く関連し取り上げられるのが、子供の貧困問題です。厚生労働省がOECD、世界経済協力機構の基準に基づいた子供の貧困層を13.5%、約7人に1人としていますが、ユニセフの基準に基づけば18.8%、約5人に1人、貧困状態にある子供が日本には存在していることを表し、教育格差に苦しむ可能性のある子供が多くいると考えられます。いずれも2020年に発表になった調査結果ですが、出身家庭の社会経済的条件は子供の教育機会を左右しますし、貧困下の子供は教育において相対的に不利な立場に置かれ、日本でも教育格差に苦しむ可能性のある子供が多くいると考えられます。また、教育格差は、子供の教育成果だけではなく、大人になり社会人としての生活を左右すると考えられ、学生時代に限らず、人生の可能性を制限するリスクがあると思うのです。未来の社会を担っていく子供たちに対して、内閣府も、子供の貧困対策は未来への投資として重要視しています。教育格差の解決には、行政の政策制定に限らず、貧困下の子供への教育支援に取り組む自治体・NPO団体などの体制強化と、包括的なアプローチが必要とされています。教育格差の現状は見えづらいという特徴があり、松岡准教授も、教育格差の解決に向け、データで日本全体の実態を踏まえることが必要であり、教育格差の実態を可視化した上で、議論や教育施策を打つことは急務とおっしゃっています。そして、OECDは、教員へ投資することで、生徒のニーズを理解し、学習支援したり、生徒・親及び学級を巻き込み、学習環境を整えていくスキルを伸ばすことが必要と訴えかけています。文部科学省も国際数学・理科教育動向調査の今回の結果と過去との比較などを踏まえ、家庭環境や地域に左右されず、全ての子供に確かな学力を身につけさせることは重要だと認識しているとコメントしています。先ほどの福岡教育大学の川口准教授のお話にもあったように、学校だけに教育格差の是正を求めるのは難しいのだろうと思います。では、自分の地域で、個人で何ができるのか、どのような政策が行われているのか、子供たちのためにできることを全てやっているのか、特にこのコロナ禍の現状において制限がある中で、感染予防しながらの子供の学びの保障など、教育現場では様々な工夫や取組がされていると思いますが、学校側が教育格差を是正するための努力や行動、その試行錯誤しながらの過程そのものも応援しながら、未来を担う子供たちのために一緒に考えていきたいと思いました。そこで、深川市の現状について伺いたいと思います。1点目、現在、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下にあり、あらゆることにまだ制限がありますが、学習サポートプログラムの現状を伺います。2点目、コロナ禍に陥ってから、生活が苦しくなったなどの家庭が多くなったと思われますが、その中においての就学援助制度の利用状況を伺います。3点目、家庭環境の違いによる学力格差について、学校や生徒への調査や対策、支援などへの実績、または考えとこれからの展望について伺います。
答弁 教育部長 荒井幸治(教育部長は2023年3月まで)
家庭の社会経済的地位による教育格差について3点の質問をいただきましたので、順次お答えいたします。1点目の学習サポートプログラムの現状でありますが、学習サポートプログラムは、児童生徒の学力向上のため、一つ目といたしまして、小学生を対象に、夏休み及び冬休み中に前学期の復習をするチャレンジ深川、二つ目といたしまして、平日の放課後に退職教員や保護者などのボランティア講師が、授業の内容を復習する小学校放課後教室、三つ目といたしまして、学習塾の講師が中学3年生を対象に行う中学放課後教室、これら三つの事業を行っております。令和2年度の実施状況につきましては、小中学校の放課後教室はほぼ予定どおり実施できたところですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う臨時休業の影響によりまして、長期休業期間を短縮したため、チャレンジ深川は、夏休み、冬休みともに中止としたところであります。令和2年度の実績としましては、小学校の放課後教室には全生徒の半数以上の362人、51.5%の参加、中学校の放課後教室には60人、48.8%の参加があったところでありまして、本年度においても昨年度以上の参加を期待しているところでございます。また、昨年中止といたしましたチャレンジ深川につきましては、令和元年よりも開催日数を夏休み、冬休み各1日増やしまして、各4日間で開催する予定としており、この事業についても多くの参加を期待し、現在募集を行っているところであります。次に、2点目の就学援助制度の利用状況についてでありますが、令和元年度は、3月1日現在の数字ですが、児童生徒1,099人のうち、145人が認定を受けております。令和2年度につきましても3月1日現在の数字でございますが、児童生徒1,081人のうち、148人が認定となっております。令和3年度は、6月現在の数字でございますが、児童生徒1,075人のうち、127人が認定となっておりますが、例年、年度途中に若干の増加が見込まれますことから、この3年間の認定数はほぼ横ばいであると考えているところでございます。また、就学援助の認定に当たりましては、コロナ禍の影響で家計が急変した場合には、現在の収入状況で認定することとしておりまして、随時相談に応じることにつきましても周知しておりますが、これまで新型コロナウイルス感染症の影響による相談はないものでございます。最後に、3点目の家庭環境の違いによる学力格差についてお答えいたします。家庭環境と児童生徒の学力や教育環境などに関する調査は非常に困難でありますことから、実施しておりませんし、把握もしていないものでございます。質問にありました、家庭環境の違いに関する経済的な支援といたしましては、就学援助制度の周知及び運用を行っております。また、学力に関する支援といたしましては、各学校では、毎年作成する学校改善プランにおきまして、習熟度を上げるための授業改善を行っているほか、学習の状況に応じた補習を行うなど、学力の向上と定着を図っております。このほか、確かな学力の定着には家庭学習が大切でありますので、保護者と連携した家庭学習を推進するため、各学校では学年ごとの家庭学習の手引を作成し、全児童生徒に配付し、家庭学習習慣の定着を図っているところでございます。加えて、1点目でお答えいたしました学習サポートプログラム事業につきましても、保護者の負担がなく、誰もが参加できる事業でありまして、年々、児童生徒の参加率も上がっており、小学校放課後教室の参加者アンケートでは、42%の方から勉強が分かるようになった、また84%の方から来年も参加したい、と大変好評をいただいているところでございまして、今後も、家庭環境の違いにより学力に差が生じないよう、これらの取組を継続してまいりたいと考えております。