深川市議会 令和元年第2回定例会 2019年7月9日
市民の権利向上と啓発
2019年7月9日、深川市議会の一般質問で、辻本智議員が「市民の権利向上と啓発」について質問し、企画総務部長 吉村理明が答弁しました。
- 質問者
- 辻本智 議員
- 答弁者
- 企画総務部長 吉村理明
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
質問 9番 辻本智
最後の質問に移ります。市民権利の向上と啓発の取り組みに関してお聞きいたします。元号がかわり、平成とはどういう時代であったのかといった視点での特集記事、番組を見かけることがよくあります。私は、平成の30年という時代を俯瞰する中で、日本国憲法の理念体現と国民の権利向上において、多くの前進があったと捉えています。一例を挙げます。子どもの権利条約が国連で採択されたのが平成元年、日本が批准したのがその5年後です。また、平成11年には男女共同参画社会基本法が定められ、それより先には、女子差別撤廃条約について日本政府が締結しています。また、昭和45年に制定された障害者基本法は、平成16年と23年に大幅な見直しがされ、障がい者の自己決定権、権利の面で大きな前進が見られました。しかし、いまだに児童の虐待や権利の侵害が起きており、国にあっては、保護者の懲戒権をめぐる見直し議論も起きているところであります。また、平成28年には津久井やまゆり園で、重い障がいを持った入所者に対する大規模殺傷事件が起こされました。加害者が「障がい者は不幸である」といった一方的な思い込みから、多くの命が傷つけられております。ここでお聞きいたします。1点目、大きなくくりでの平成の時代における児童、あるいは障がいに関する世界の動きと国内法整備の概要、また女性の社会進出と男女共同参画に係る法整備状況についてお示しください。2点目です。これら世界と国の動きとかかわって、本市における条例整備とはどうであるのか、市民啓発の取り組みについてもお聞かせ願います。3点目です。深川市民5つの誓いについてお聞きいたします。深川市民5つの誓いは、昭和38年9月に議決されたものでありますが、毎年11月に行われる深川市功労者表彰等、市の公式行事などで参加者には朗誦を薦められております。この誓いはどういった経緯において制定されたものかお聞かせください。また、その位置づけ、行政としての取り扱いについてもお示しください。4点目、5つの誓いの趣旨文面、いわゆる内容を解説した表記について、果たして現状に合っているのか、ぜひとも精査すべきであると提案いたします。少し誤解があるといけませんので、改めて申し上げておきますが、私は5つの誓いそのものは大変シンプルでよくできており、市民もなれ親しんでいるところだと認識しております。ただ、趣旨文面の理念解説表現、表記の部分について、今回提案させていただきます。現在、この趣旨文書は、深川市のホームページからインターネットでも広く公開され、世界中どこからでも閲覧できる状況にあります。内容について、幾つか紹介させていただきますが、「一つ、互いに助け合いあたたかくしあわせなまちをつくりましょう」、これは常に朗誦されている部分であります。これの趣旨についてでありますが、「わたしたちは親子、兄弟、夫婦、いよいよむつみあい」との記載があります。ここでいうところの「むつみあい」の言葉でありますが、最近は使われることも少なくなっていると思います。辞書をひもときますと、仲よくするとの意味があり、この言葉は、単語としては成立していますが、今回この表記にあっては、その前に文法上でいうところの副詞「いよいよ」という表記が入っております。およそ国あるいは行政が、親子や兄弟、あるいはパートナー、この場合は現状ですと男女ということを固定してはいけないと思いますが、こういった家族のあり方のような個人の生活の中に立ち入り、あるべき姿を強く推奨する表現という点にまず違和感を覚えます。何よりも介護や子育ての場面において、家事労働全般が女性の側に重く委ねられているという現実がまずあります。共同参画の取り組みにおいても、男性の側の分担が強く求められており、ライフワークバランスといった社会全体での課題として提起されているところでありますが、今回の深川市の趣旨文面においては、社会全体の責任には一切触れられておりません。そうした中で「いよいよむつみあい」という言葉を行政が使うことは、現実の経済的な力関係において、性差による家事分担を女性の側だけに求める無言の圧力となる点について、行政はもう少し留意すべきであると私は考えます。もう1点、「幼い者、年老いた者、体の不自由な者などに対しては」、このような表記になっております。なぜこの3者が同列に並べられているのでしょうか。しかも、身体的、年齢的属性の表現の後は、「人」ではなく、「者(もの・しゃ)」と呼ばれております。さらに、この文節は、「隣人の不幸に対しては、思いやり、なぐさめちからづけあってゆくことができるとしたならば、そうしたひとたちは、どんなにか」、このようにこの文章は続いてまいります。高齢者と若い世代との年齢別人口比は、以前と比べ大きくさま変わりしております。高齢となられても、積極的な社会参加をされる方は多くおられますし、現状の町内会活動は、多くの経験豊かな市民の方によって維持されているのが実情であります。また、何をもって「隣人の不幸」と定めるのでありましょうか。文章からは、この地域の中に不幸な人とそうではない人が存在して、慰めるという一方方向の行為が社会のありようとして推奨されている、私は言葉をあえて誤解と言いますが、このような誤解を生ずる表現ではないかと指摘させていただきます。誓い制定当時、昭和38年の市民感覚としては、許容された表現であるとしても、その後に障がい者と児童の権利、高齢となられた方はもちろんでありますが、男女共同参画社会の実現を目指して、市内でも多くの団体、市民の皆さんがすばらしい実践を行っております。当然行政もそのことを後押ししているのが事実であります。それらを踏まえて、こういった文章をさらに豊かな内容に加筆すべきと提案いたします。折しも本年には、現庁舎建てかえの取り組みが始まりました。耐震強度やバリアフリー機能など、昭和41年建設当時の知見では備え切れなかったものに、私たちは新たに手を加えて整備しようとしております。こうした機会を捉え、行政としても必要な精査をすべきではないかと提案いたしますが、見解をお聞かせください。
答弁 企画総務部長 吉村理明(企画総務部長は2020年3月まで)
市民の権利向上と啓発についての質問にお答えさせていただきます。1点目と2点目につきましては、一括で答弁させていただきたいと存じます。初めに、児童に関するものでございますけれども、平成元年に国連で採択されました18歳未満の全ての人の保護と基本的人権の尊重を促進することを目的といたします児童の権利に関する条例、いわゆる子どもの権利条例につきましては、議員もおっしゃっておりましたけれども、日本は5年後の平成6年に批准しているところでございます。日本政府におきましては、身近に暮らす子供たちを初め、全ての子供たちの権利や福祉の向上のための法整備が進められておりまして、一例として、虐待やいじめなどの権利侵害に対する防止、救済を目的に、平成12年に児童虐待防止法を整備するなど、法整備が行われております。本市におきましては、そういった子供に対する条例はございませんが、平成13年に当時の深川市エンゼルプランの推進施策にあわせ、国の地域人権啓発活動活性化事業を活用して、子どもの権利条約に関する冊子を作成し、学校や関係機関などへ配付し、市民の理解に向けて、啓発、普及に取り組んでまいりました。その後、平成26年度に策定いたしました子ども・子育て支援事業計画におきまして、子どもの権利条約の四つの柱であります「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」や、子供の権利尊重に関する普及啓発を図り、また男女が協力して家庭を築くことの大切さや、子供を産み育てることの意義などの教育や啓発を行い、市民意識の改革に努めてきているところでございます。次に、障がいに関する動きといたしましては、平成18年に国連において、障害者の権利に関する条約が採択されております。この条約は、あらゆる障がい者の人権や基本的自由の享有を確保し、障がい者の固有の尊厳の尊重を促進するため、障がい者の権利を実現するための措置等を規定しているものでございます。国内では、平成23年8月に障害者基本法を改正、また24年6月に障害者総合支援法、25年6月には障害者差別解消法が成立、同年同月に障害者雇用促進法の改正を行い、障がい当事者の意見を聞きながら、国内法令の整備が進められてきたところでございます。そして、これらの法整備が整ったとして、平成26年に、先に申し上げました障害者の権利に関する条約を日本は批准しております。本市の取り組みといたしましては、障害者の権利に関する条例といったものはございませんが、障害者差別解消法や障害者虐待防止法等について、法令の内容や障がい者への対応等に関する事項を市のホームページなどに掲載し、市民啓発に取り組んでいるところでございます。次に、女性の社会進出と男女共同参画に係る法整備の状況につきましては、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念といたしました「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、通称「女子差別撤廃条約」が昭和54年に国連で採択され、日本は60年に批准しております。国内では、平成11年に男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにして、その方向を示し、将来に向かって、国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取り組みを総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会基本法が定められております。また、平成13年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者等に関する法律」、通称「DV防止法」、27年には女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図るとした「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、通称「女性活躍推進法」が定められております。本市では、男女共同参画社会基本法に基づきまして、平成16年に深川市男女共同参画計画を、そして24年にこれの第二次改訂版を策定しておりますが、本年3月には、先ほど申し上げました女性活躍推進法に基づく市町村推進計画とDV防止法に基づく市町村基本計画を包含したものとして、深川市男女共同参画計画の第二次計画見直し版を作成したところでございます。この計画や男女共同参画に関する事項につきましては、市のホームページに掲載し、市民啓発に取り組んでおりますし、男女平等参画推進協議会とも連携いたしまして、市民フォーラムの開催など、男女共同参画の施策の推進に努めているところでございます。ただ、男女共同参画の関係につきましても、他と同様に条例は制定していないところでございます。次に、3点目の深川市民5つの誓い制定の経緯についてお答え申し上げます。現在、制定に至るまでの詳しい資料が残っていない状況にございますが、残っている当時の広報ふかがわなどの紙面によりますと、昭和38年に深川、一已、納内、音江の4カ町村が合併し、深川市が誕生し、市制をしくことに当たり、深川市民であることの誇りと責任において、新しい都市を築くための道しるべとして作成されたとあります。作成に当たっては、まず起草の軸にするための文案を広く市民から募り、学識者7人の委員による審議会で応募された文案を検討し、先進都市の市民憲章なども参考にしながら、審議を尽くして、原案を作成した上で、昭和38年9月の深川市議会で満場一致で議決され、制定されたものとなっております。この5つの誓いは、昭和38年11月の市制施行記念式典において、市民総意による行動目標として、また市民生活のよりどころとして、深川市の市章の披露とともに掲げられており、以降、市の主要な行事の際には、功労者表彰、新年の仕事始め、新年交礼会等でございますけれども、その冒頭でこの5つの誓いを参加者全員で朗誦していただいているものでございます。次に、4点目の5つの誓いの趣旨文面における表記内容の精査についてお答え申し上げます。この5つの誓いは、柱となる五つの項目を市のホームページに載せておりますが、実際には5つの誓いそれぞれの推進内容と趣旨を含めて、それが一体となったものが深川市民5つの誓いでございまして、深川市の例規類集の第13類に各種宣言などと同列に登載しているものでございます。制定から55年が経過し、現状から見て、誤解を生ずる表現であるとの指摘でございますが、時代の移り変わりに伴い、現代の考え方がうまく反映されていない表現となっている部分が見受けられるところもございますが、前段申し上げましたとおり、市民からの公募と審議会の委員による精査、市議会での満場一致による議決という経緯を踏んでおりまして、また当時の市民の思いが込められているものでございますので、このことは尊重していかなければならないものと存じます。したがいまして、条例や規則、あるいは基本方針や計画といった時代に合ったものに変えていくといったものとは、一種違う扱いが必要との認識でございまして、現在の深川市民5つの誓いを見直すことは、今のところ考えていないものでございますが、今後、深川市として大きな転換期を迎える、あるいは大きな節目が到来するような場合には、その時勢に合わせ内容を見直す、あるいは新たな誓いを制定することもあろうかと存じます。
再質問 9番 辻本智
1点再質問させていただきます。今の説明の中で、4町が合併したときの市民総意で十分練られた文面である、だから大変重いものであるので、条例や基本計画とは違うんだというのは、話としては理解できました。ただ、もう一方で、答弁の中でも55年前のものであるということもありました。改めて私はお聞きしたいのですが、変える機会ですが、大きな節目、あるいは大きな転換期という、言葉はあれですけれども、大きな節目ということがあったけれども、今回はそれに該当しないという多分趣旨なのだろうと思っております。私は、答弁の中でありましたけれども、行動目標である、市民総意の行動目標であるというのであれば、その目標が時代にそぐわない表現があるとすれば、言葉として、必要な修正を加えるのは、少なくとも昭和38年に全市民が一致したものとは相入れないということにはならないと思っています。私は、「取りかえろ」とか、「消せ」とか、「修正しろ」という言葉でなくて、あえて言葉を選びまして、「豊かな表現にしてはいかがか」という言葉を使わせていただいたわけです。重たいから、変えられないのだと言って、そのまま取り組みと行動目標は違うという理解、整理の仕方で、市民に毎年呼びかける、職員に朗誦を呼びかけるというものとしては、必要な豊かな表現に加えるチャンスを私は改めて提案しますけれども、庁舎建てかえ、元号がかわったということは、それぞれの市民の皆さんの受けとめがありますから、それは合意できるかどうかわかりません。ただ、少なくとも古い庁舎を新しい理念のもとにつくりかえる作業とあわせて、器の作業とあわせて、その中身の考え方を豊かな表現にするということでの検討はできないのか、改めてお聞かせください。
答弁 企画総務部長 吉村理明(企画総務部長は2020年3月まで)
再質問にお答え申し上げます。大きな転換期ということで言わせていただきましたけれども、庁舎の新しい整備もその中に入るのかなという気はいたしますが、確かに前段の答弁でも申し上げましたが、言葉の使い方などについて、今ほぼ使われていない言葉、あるいは現代の考え方がうまく反映されていない表現といった部分も、一部に見られるところでございます。それらについて、現代の使い方、あるいは考え方ではこうだという注釈的なものを加えるといったことは、今後検討してみたいと考えております。