士別市議会 令和7年第4回定例会 2025年12月10日
性的少数者(セクシャルマイノリティ)への施策について
2025年12月10日、士別市議会の一般質問で、武井祐司議員が「性的少数者(セクシャルマイノリティ)への施策について」質問し、市長 渡辺英次が答弁しました。
- 質問者
- 武井祐司 議員
- 答弁者
- 市長 渡辺英次
議事録から機械で取り出したものです。正しくは会議録でお確かめください。
件名は市のサイトの一般質問の一覧の表記です。
質問 3番 武井祐司
令和7年第4回定例会に当たり、通告に従い一般質問をいたします。性的少数者(セクシャルマイノリティ)への施策について質問をいたします。質問に先立ち、性的少数者に対する施策について、令和5年第3回定例会で佐藤議員が、令和5年第4回定例会で加納議員が、令和4年第4回定例会及び令和7年第2回定例会で奥山議員が一般質問で取り上げていただいたことに、セクシュアルマイノリティ当事者として敬意を表し感謝申し上げます。過去の一般質問においての答弁を踏まえた上で、当事者の1人として質問をいたします。性的少数者には、なろうと思ってなれるものではなく、なりたくないと思っていてならないでいられるものではありません。地方か都市部か、また、どの自治体かにかかわらず、また、世代や年齢にもかかわらず、割合として存在します。ゼロ歳か80代、90代かにも関係ありません。異性との家庭を持ちお子さんがいらっしゃる方にも存在します。それぞれの立場、仕事やその業種、学生であるか否かにも関係ありません。昔に比べれば、LGBTという言葉をはじめとして存在を知っているとする人は増えています。しかし、認知、認めることや理解まで至らない現状も実態意見として感じています。差別への恐怖、自分の家庭や職場、コミュニティで居場所を失うかもしれないという恐怖におびえ、常に生きづらさを抱える当事者は多くいます。多数者の側から見ると、そこまで怖がらなくても大丈夫だよと思われる方は多いと思いますが、当事者としては、自分のアイデンティティーを表に出すハードルはいまだ高い状態です。そのような精神面の生きづらさとともに、同性間では婚姻制度を使用できないため、同性パートナーとの生活面で支障があることも生きづらさを感じる一つであります。主立ったところでは、異性間での婚姻関係では可能となっている公営住宅の申込みであるとか、入院や手術のときの対応が挙げられます。その生きづらさを軽減していく手法の一つが、パートナーシップ証明制度を設けることであります。パートナーシップ証明制度については、過去の一般質問でもあまり進展のない状態と認識しております。進まない理由の一つには、このまちで当事者がなかなか見えない点があると考えております。皆さん個人個人の周りでどれだけの当事者が見えているでしょうか。見えれば、当事者が思う困難や問題をじかに知ることができますし、訴えを聞くこともできます。しかし、見えるということは、つまり、ごく一部の人に対してでもカミングアウトしているということになりますが、現状として、親しい人や家族にさえカミングアウトができない。よって、周囲に見えないという堂々巡りの状態があります。見えないが、問題や困難を抱えている市民がいる。それを少しでも解決に導くためには、まず公に制度が存在し、認められているという事実が必要となります。また、多数者に対しては、少しずつ認知と理解が進む後押しとなります。参考までに、パートナーシップ証明制度、もしくは宣誓制度の条例であるか要綱であるかにかかわらず、導入自治体の数字を挙げますと、現在、北海道内では35市のうち19市、144町村のうち25町村が導入し、うち、上川総合振興局管内では4市のうち2市、19町村のうち12町村が制度を導入しています。上川総合振興局管内で分かりやすくいうと、塩狩峠より南の市町村全てが導入している状態であります。性的少数者にとって、このまちでの生きづらさをなくし、少数者、多数者問わず一人一人が誰もが生きやすい町でありたいと思い、以下、4つの点について質問いたします。初めに、前述のように、性に関する問題は全体的に見えにくいのが実情です。ここで、士別市における性的少数者の存在の目安とするため、各種調査などを基に、概数、大体の人数をどれぐらいと捉えられているか、お聞かせください。次に、現時点で性的少数者に対する市の施策はどのようなものがあるか、お聞かせください。次に、他の自治体で導入が進むパートナーシップ証明制度の導入について、士別市で導入を仮定したとき、対外的な効果や影響と、市民への効果や影響をどのように考えているか、お聞かせください。対外的な部分とは、関係人口、誘致企業や移住促進の観点からという意味であります。士別市には、グローバル企業が試験場を構え、出張者や士別市に居住する社員もいます。各企業とも、人材確保や働きやすさの観点で、福利厚生含めて性的少数者に対する取組を進められています。また、合宿では、全国から様々な企業、団体、教育機関のアスリートの方をはじめ、多くの方が士別へ来られています。関係人口の部分においては、制度を利用することにはならないかもしれませんが、その自治体の制度の有無がイメージとしてどのように映るのか。移住促進の観点からは、制度の有無が移住先を探す当事者の選択肢の一つとなっている昨今、当事者は暮らしやすさを求めて行動をしています。最後に、パートナーシップ証明制度導入に関しての部分となります。2025年度で終了となる第1次の士別市まちづくり基本計画の、基本計画第3章第2節、人権・男女共同参画の施策の基本方向には、人権に関わる問題への対応や意識啓発活動を行い、一人一人の人権が尊重される地域づくりを進めます、とあります。ここで人権に関わる問題への対応をうたっています。まずしっかり認識いただきたいのは、特別な恩恵、メリットを受けられる制度ではないという点です。婚姻制度を使用することができないために生活の上で支障がある事象に対し、現段階で法的に認められないもの以外をできる限りサポートしようというものであり、特別な権利が与えられるものではありません。よって、相続や扶養などの権利と義務は法的に認められません。ここについては明確に切り分けて考える必要があります。過去の一般質問の答弁では、導入は慎重に判断するという回答でありました。令和7年第2回定例会の答弁では、自治体間の格差、権利や認知の差とありましたが、当事者からの目線では、制度のない自治体は格差という表現の低いほうに位置づけられる、という認識であります。また、日本の文化的、伝統的価値観との衝突という言葉もありましたが、令和5年に制定された性的指向及びジェンダーアイデンティティーの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律の方向性、つまり理解を進めていく方向と衝突により価値観に疑問を投げかけるという相反するニュアンスである、この部分の整合性に疑問を持っております。私は当事者として、パートナーシップ証明制度の導入が必要だと考えております。市として構想、立案する考えがあるかどうか、お聞かせください。私は導入を強く求める考えでありますが、当事者の中には、現段階では制度があってほしい、使いたいと思う方はごく少数ではないかと思っております。ここの、現段階ではという部分を念押して強調しておきます。その要因は、地方ならではの匿名性の低さによる自分のアイデンティティーを表に出しづらい風潮にあります。制度ができたとしても、すぐに全ての人の意識が変わるわけではありません。当事者の中には、差別の恐怖を感じ、誰にも言わず隠し通してひっそりと一生を終えていきたい、異性との家庭を持っていて現状を壊したくない、地方ではパートナーと出会える機会がなく、都市部へ行ったほうが気が楽だと考える人も多くいます。ただし、制度の存在自体が少しずつ地域を変える可能性を秘めており、期待できるところです。伝統的価値観を否定するものでもなく、誰もが生きやすいまちをつくる一つの手段であります。人口減少が課題というならば、このまちに生きづらさを感じ都市部へ出ていく当事者たちを、少しでも食い止める必要があると考えています。これから社会をつくっていく子供たちへも重要なことであります。制度が存在することも一助となり、多様な人々が多様な生き方で幸せに生きられるということが、ひいては長いスパンで現れるであろうこのまちの活力につながることと考えております。以上で、質問を終わります。 (降壇)
答弁 市長 渡辺英次
武井議員の御質問にお答えいたします。日本国内における性的少数者の割合は、調査方法や質問項目、性的少数者の範囲などによって大きく異なり、自治体の調査では1%から3%、民間機関の調査では8%から10%程度となっています。本市では同様の調査を行った経過はありませんが、世界的マーケティングリサーチ会社のイプソスが2024年に調査した最新のデータの5%と仮定し、単純に本市の人口に置き換えますと、おおよそ800人程度の方が何らかの性的少数者に該当する可能性があるものと推察されます。割合については、調査方法以外にも地域性やまちの規模などによる格差も大きいことから、実際のところは不明です。次に、性的少数者に対する施策についてです。現在本市では、ホームページや男女共同参画週間を活用し、多様な性の在り方に関する啓発を行っています。また、令和8年度を始期とする新たな男女共同参画行動計画の策定に当たり、アンケート調査も実施しています。調査結果では、性的少数者の方にとって、偏見や差別により生活しづらい社会だと考えている方が全回答者の52%と半数を超えたほか、性的少数者に対する理解の促進や支援に必要な取組については、職場や学校などにおける理解の促進、悩みや情報が共有できる居場所づくり、パートナーシップ制度の導入が上位を占めた一方で、自由意見として、行政が関わることではないや、特別扱いすることが差別意識だと思うなどの意見も寄せられました。次に、パートナーシップ制度を導入した場合の影響についてですが、まず対外的な影響については、ほぼないものと想定しています。その理由としては、企業が地方進出に求めるのは、災害リスクの分散や新たなビジネス拠点の創出などの企業利益の追求であり、パートナーシップ制度ではないと考えています。また、関係人口や移住者にとっても、田舎は都会と比較して人間関係が密であり、パートナーシップの宣誓をした場合、周囲に知られる可能性が高い中、あえて地方において宣誓を行う方は少ないと考えています。このことは市民にとっても同様であり、自分を取り巻く地域コミュニティに知られることを望まない方にとっては、地方におけるパートナーシップ制度は絵に描いた餅となる可能性を否定できません。その一方で、第三者に知られることに抵抗を感じない方の中には、制度を待ち望んでいる方もいると認識をしています。最後に、今後のパートナーシップ制度の導入についてです。公益財団法人マリッジフォーオールジャパンの調査によれば、現在全国の約3分の1の自治体がパートナーシップ制度を導入しており、人口カバー率は93%に及ぶとのことですが、一方で制度を利用されている方は極めて限定的です。実際、昨年1月にパートナーシップ制度を導入した旭川市に利用状況を伺ったところ、これまでの宣誓件数は12件とのことでした。この傾向は他の市町村においても同様で、人口の少ない市町村ではほぼ皆無に等しいのが実情です。利用が進まない要因としては、当事者が制度を求めていない、制度を利用する上でハードルが高いなどが挙げられると思いますが、いずれにしても制度に課題があることは明らかです。本来、制度とは市民生活を豊かにするためにあるものであり、新たな制約を課すものではありません。現在、第2回定例会で奥山議員にお答えしたとおり、近隣市町村の意向や制度を導入している管内市町への聞き取りを行っていますが、今後パートナーシップ制度が及ぼす本市への影響を分析、検討するとともに、武井議員からいただきました御提言も踏まえつつ、導入の可否について慎重に判断をしてまいります。また、女性初の首相となった高市総理は自民党総裁選の中で、同性婚には反対、でも同性パートナーはいいと思う、と婚姻制度の見直しに反対しつつも、同性パートナーには一定の理解を示していることから、今後、同性パートナーを対象とした制度設計を進める可能性もあることから、国の動向についても注視をしてまいります。以上申し上げ、答弁といたします。 (降壇)
再質問 3番 武井祐司
再質問をさせていただきます。私としましても、どちらと受け取っていいのかという感じではありますけれども、どちらが先かという話なのです。制度をつくって広げるのが先なのか、当事者がまずいるということが先にあって、その後で制度ができるのかというのは、これは都市部と地方で大きく違うと思います。私は現在、旭川市の数字は私は知り得ておりませんでしたけれども、12名というのは非常に多い数字だと思っています。周辺の小さい町ですと、それはどうしても少なくなる。質問の中で私、申しましたけれども、匿名性が非常に低いという部分でなかなか広まらないという傾向はあると思いますけれども、周辺の町村にしましても、まずは設けている、その制度があるということが私は大事なことだと思っています。公にあるかどうかという部分に関して、役所が関係ないと、民間の話で市民の話であるという部分で、公的に制度があるということは、当事者にとって非常に勇気づけられる、それだけでも、このまちでの生きやすさの一つにつながる部分であると考えております。周辺自治体との差という部分の話もありましたけれども、私は周辺自治体の差というのは極端なものでなければ、極端なものといいますか、例えば公共料金の差ですとか、公共施設の差など、いろいろ自治体ごとの差というのはあってしかるべきだと思っていますので、その部分では制度のあるなしというのも、そんなに周りを見ながら、逆に士別市は周りを引っ張っていくぐらいの意識で進んでいただくほうがいいのではないかと思いますが、そういう周辺との差、私は整合性を欠くという感じで捉えているのですけれども、その点いかがかなと思っております。高市総理のお話も出ましたけれども、パートナーシップ宣誓制度は、よく当事者のかいわいは、いわゆるかいわいで言われることがあるのですけれども、制度ができてようやくスタートラインですよと。ゴールというのは、同性婚という法律が変わる部分ですけれども、パートナーシップ制度ができた、仮にできたという部分がようやくスタートラインですと。そこからだんだん理解が深まっていったり、差別が減っていったりというぐらいの認識でおります。それぐらいの力を皆さんかけて、北海道では札幌がスタートでしたけれども、当事者が全身全霊をかけて、制度を札幌市に投げかけてできたという経緯があります。少し長くなりましたが、再質問は、周辺自治体の差で整合性を欠くのではないかという部分について、お願いいたします。
答弁 市長 渡辺英次
武井議員の再質問に答弁申し上げます。今回まず武井議員の冒頭のお話にもありましたが、当事者ということで、この議場で質問していただいて、まずは心から敬意を表するところです。先ほど答弁でも申し上げましたが、武井議員からの再質問では周りの自治体との、旭川以南のほうは進んでいるというお話ありましたが、決してほかの自治体がやっていて士別市がやらないとか、あるいは単純にほかの町がやっているから士別もやろうということではなくて、これまでもこのLGBTの関係、それからパートナーシップについては、この議場で私も答弁しておりますが、先ほど答弁したとおり、このパートナーシップ制度自体に、やはりまだ課題が私はあると考えています。それはどういうことかというと、例えば当事者の方が、仮にパートナーシップ制度を士別が構築した場合に考えられるのは、一番はやはり公営住宅の入居できるというところが一番大きいのかなと想定していますが、こういった部分も、もちろん当事者の方、該当の方には一つの前進ということには捉えられるかと思いますが、やはりこういう制度をつくるときに、逆にそのリスクというのはないのかなということを、やはり考える必要があると思っています。これ実際に悪意のある第三者がこの制度を利用して何かをしようと思ったら、武井議員は承知かと思いますが、やれてしまうことは可能です。そういった部分が、この制度上で、今どこの地方自治体も多分解決できていない状況で、制度を私は進めていると思っています。今のところ何もないから問題ないのでしょうが、何かあった際には、例えばそれこそ当事者の皆さんはそうでありますし、多数者の市民の方にも、もしかしたら迷惑をかける制度になる可能性も私はまだあると思っていますので、そういった部分で慎重に判断をするというお話をしております。この場では具体的にこういう悪用がありますよねということは差し控えますが、制度上あり得ると思っています。ですので、そういった部分がやはりある程度解消される、あるいは国の責任においてしっかりと、制度を自治体ごとにするのではなくて、婚姻制度も含めて国のほうはどう考えるのか、ここが一番重要なのだろうと思っておりますので、まずは国の動向を注視していきたいという考え方です。これまで士別市がやってきていることは、啓発活動、啓蒙活動がメインということにはなりますが、そういったこともやっていることの効果も少しずつ表れているとは思っています。ですので、今後とも行政として、当事者の方、武井議員のお話のとおり、なるべく表に出たくないという当事者もいらっしゃることも含めて、その辺は慎重に行政として判断していきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。以上です。
再々質問 3番 武井祐司
再々質問ではなく、私の発言だけで終わりたいと思いますけれども、渡辺市長からたくさんのいろんなお言葉を聞けたことが、まずありがたかったなと思います。いろいろこれは制度のはざまといいますか、難しい部分であります。法律も関係しますし、今まで国民、市民がずっと生きてきた部分で、実はこれは違ったのだなとちょっとひっくり返す部分にもつながる、非常に難しいことだと、私当事者としてもそれは感じております。だから、一方的に当事者だけを大事にしろと、そういう意味ではなくて、やはりこれから理解も進めていかなければなりませんし、それが法律がどうのこうのなることだけではなく、やはり自治体の制度もできていきながら、自治体が動く部分、北海道が動く部分、国が動く部分、それぞれが動いていく部分で、徐々に徐々に本当に長い年月をかけてよくなっていくのかと思います。例えといいますと乱暴なのですけれども、男女の部分であってもかつては法律上で違いがありました。それが今、同権となった今であっても、男女の部分の様々な課題というのは存在します。そういうのと同じように、この性的少数者のことについても、まだまだこれから長い年月、少しずつ努力しながらよくしていかなければならないなと私自身も考えておりますので、そこら辺、当事者のお話も、私以外でいろいろ聞いていただきながら、少しずつでもこのまちで進んでいただけることを私、期待をしておりますので、これだけ付け加えて、私の質問を終わりたいと思います。
答弁 市長 渡辺英次
先ほど、再質問の御答弁でもお話ししましたが、我々行政として、このパートナーシップといいますか、いわゆる性的少数者の皆さんの存在はもちろん、多くの市民の方に知ってもらいたいと思っておりますし、認められるべきものと、基本的な人権だと思っています。ただ、先ほどお話ししたようにリスクがあるよという部分と、あと武井議員から今のお話の中でありましたが、国が先行するのではなくて、自治体が、例えば範疇でやれるのではないかという部分も、例を挙げると、例えば今やっている再生可能エネルギー、これも我々条例をつくりましたが、最終的に例えば地方自治体として、エネルギーの部分、開発の部分について何か権利を持って止められるかといったら、止められません。ですので、やはりその制度をつくる以上、国のほうがどう責任を持つのか、その下にあって地方自治体が、どうその範囲の中でつくるのかという部分もやはりありますので、先ほどからお話ししているとおり、やはり婚姻制度につながっていく部分も、もしかしたら今後あるかもしれませんから、ただやみくもにつくって、箱だけつくって中身がないというものにならないようにするためにも、もう少し時間をいただきたいと思っています。以上です。────────────────────────────────────────